聖女の攻防

双葉

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五話

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弱みを握ると決めてから最初の休み明け
授業を抜け出した後、光魔法の一つの不可視化魔法を使ってシルビアの部屋に侵入していた
今はメイドも出払っているみたいだ
「やっぱり休み明けは忙しいみたいね。今の間にあの人の弱みを握らないと」
机や引き出しを漁っていると鍵付きの引き出しの中から渡された日記帳と同じ日記帳とノートを見つけた
「鍵付きに鍵かけないなら、鍵いらないのに」
日記帳をみるのは流石に、、、という思いもあったが、仕方ないと開いて読む
「何、これ」
ペラペラと流し読みをしながら読む
「完全な妄想日記じゃない。おまけに、他の人がみたら書いたのが私ってなる内容」
一緒にあったノートも読んでみる
「は?何?」
はっとなりまわりを見るが誰もいない
ノートを閉じてから引き出しに戻して部屋から逃げ出した
寮を出て近くの木に隠れてから座って息を吐く
日記よりも衝撃的な事が書いてあった
シルビアは何故か貴族生活が嫌で、何故か私が光魔法の属性持ちの情報をしって、自分が助かるために私を生贄にして国外追放か教会に逃げるらしい
おまけに教会に行っても反省しましたで、数年後には国外で平民生活する
「平民の生活なんて貴族様には無理と思うけど。それよりも自分が嫌だからって私を生贄にするなんて、あの女」
思い出したら腹が立ってくる
「偶にだけど、なんだかんだで絡んでくるあの男から守ってくれる良い人だと思ってたのに」
守るどころか最終的に熨斗つけて渡す気だったとは
「最初からそのつもりで近づいていたのね。何が卒業したら関係は無くなるよ。逃げ切る気満々じゃない。身分差で結婚は絶対にないし、卒業したら私はパン屋を継ぐつもりなのに。、、、そう言えばあのノートに聖女なるとかなんとかも、、」
ノートをもう一度確認する必要がある
妄想代筆日記の存在も不安だ
数日後、もう一度進入した
見るものは決まっているので一目散に目的の場所に向かう
引き出しに手を伸ばして引こうにも引けない
「あ、か、ない」
バレない程度に力いっぱい引っ張ってもあかない
早く確認しないと後手後手に回ってしまう
でも無理やり開けて証拠が残れば警戒されてしまうかもしれない
仕方ないがちょこちょこ夜中に進入して少しずつ手の内を探るしかない
この日から文字通り寝る間も惜しんで寝静まるのを待ってから色々探った
確実にシルビアより部屋の事は詳しくなったと思う
鞄に引き出しの鍵があるのも見つけた
いつもより遅い時間に忍びこんで鍵をあける
ノートを取り出してからまた鍵をかけて一度部屋を出る
人目を気にしながらノートを読み直す
文書と単語が幾つも書かれている
"リリィ"を見つけて読み出す
「えーっと、一学期の終わり頃、テストと一緒、国からの要請で魔法属性の検査」
急遽の所が丸で囲まれている
当日知らされるって事かな?
「そこで聖魔法の属性もある事発覚。光魔法+聖魔法=聖女?で、学園に通いながら各公爵地で封印を重ねがけ?殿下が同行?仲の良さに嫉妬→イジメ?日記帳が証拠。結局魔王復活するけど、公爵家の封印の強さで魔王の強さが変わる、と。強さに関係無く結局国は助かる。祝賀会でシルビアへの糾弾が行われて、殿下と私がくっつく?」
ノートを勢いよく閉じる
「損な役ばっかり書いてある。結局大丈夫なら、私要らないよね。留年か退学か知らないけど、受けなければ解決するよね。別に学園にいる必要ないし」
一人言で自分を納得させてる
不可視化魔法で部屋に入ってノートを元の位置に戻してから部屋のベッドに身を沈める
「あの女に手を貸す事態で同罪だけど、可哀想な気もするし」
日記帳を盗めばメイドが被害を受けると悩んでしまう
かといってあの日記帳がシルビアの手元にあれば何に使われるか
逃げ切った後にバレるなら100歩譲って、、、許せない
逃げる前には必ず回収しておかなくては
「まずはあの女ぬバレないように『国からの魔法属性の検査』に欠席しないと」
数日間寝る間も惜しんでいたせいか考えながらもウトウトきてしまった
こうなっては考えるだけ損である
「今日はきちんと寝て、明日からあの女に注意しなくっちゃ」
最後の方は意識の半分が夢に向かいながら呟いて、次に気づいたのは遅刻ギリギリの時間だった
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