聖女の攻防

双葉

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四話

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あれから何かと殿下が絡んでくる
ありがた迷惑どころかただの迷惑でしかない
もう心の中では『あの男』と呼んでいる
今日も何故か迷惑にも話しかけられる
最近はストレスのせいか悪態しか出てこない
「リリィ、今日はどうだった?」
「平和な一日を過ごさせて頂きました」 
お前が話しかけて来るまでな
「そうか。何かあったら相談してくれ」
「はい。その時はお願い致します、殿下」
この茶番が終わればシルビアの茶番があるんだから、さっさと何処に行ってくれないかしら
話しかけてくる殿下を笑顔でかわしながら去ってくれるのを待った
やっと去ったら予定通り第二幕
「また殿下と仲良く。羨ましいですわ。ですが勘違いはなさらないでください。殿下は私の婚約者であって、あなたは珍しいから気にかけて頂いているだけですのよ」
「わかっています、そのような事思った事もございません」
笑顔でかえす
婚約者なら引き取れよ
手綱を締めろよ
「解っていれば良いのよ」
やっとシルビアは去っていった
連日のように繰り返される茶番にうんざりしていた
「これっていつまで続けなきゃいけないの?」
あの男も当たり障りの無い会話で察しろよ
その後もわかりきってる事を毎回毎回
元々綺麗とは言い難かったが、学園に入ってから心の声も性格もどんどん汚れていっている
このままでは婿の来ても減っていってしまう
「あいつらのせいだ」
ハッとなって周りを見回すが、平民で有名な自分に興味を示している人はいない
やはりシルビアが呼び出しをするから注目を浴びてしまうと再認識させられた
「もう、いや」
仕方ないよね
あの男は無理そうだし、まずはシルビアの弱み握って交渉でもしないと私が壊れてしまう
シルビアが部屋にいなくてもいつもメイドが居る
メイドが用事で出ている数分の間に、、、
その日の授業はシルビアの弱みを握る計画に時間を費やした


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