聖女の攻防

双葉

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三話

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入学当日
朝から制服に身を包み両親に別れを告げる
何故か両親の隣にあの人のメイドがいる
時間を気になり落ち着いて話も出来ない
「あの人から今週は帰らないようにって言われいるから、来週末に帰ってくるから」
「待ってる」
「じゃあ、行ってきます」
私の手伝いに来ていたはずのメイドが邪魔をしたせいでギリギリになってしまったのだ
このメイドがいなければもっと余裕があった
逆恨みしながら学園に向かって走る
何とか門を潜ったところで転けてしまった
「わぁ」
転けて起きあがろうとした所に手が差し出される
「大丈夫かい?」
出された手を取らないのは失礼かと手をかりて立ち上がる
「ありがとうございます」
「どういたしまして」
手をかしてくれたのは同い年くらいの爽やか青年
モテそうだが、私のタイプでないな
苦手なタイプだし、変に近づいたら後々面倒だから近づかないのが吉
起きて直ぐに手を離して鞄を拾ってもう一度お礼を言ってからすぐに逃げた
逃げてしまったせいで手をかしてくれた人の正体も、近くにいたシルビアの言葉も聞きそびれてしまった

「あの時、逃げなければもっと早くにあの女の考えに気づけていたかもしれないわ」

あとで聞いた話で、はあの時シルビアが皆に聞こえるように私の事を悪く言っていたらしい
なんでも、、、、
「まあ、殿下に手を差し伸べて頂いてあのような態度。なんて失礼な方が学園にいるのでしょう。殿下も殿下です。私という婚約者が近くにおりますのに、ほかに目移りするなんて。悲しいです」
「助けただけではないか」
「いいえ、私は殿下の婚約者。殿下に近づく女性は許せません」
「わかった、わかった」
殿下は困った顔でシルビアをみていた
側からみたら『無自覚のバカップルか』ってなったらしい
そんな事も知らずに式が行われる講堂の端の方の椅子に座ってハンカチで汗をぬぐった
「あー疲れた。手伝いって邪魔しに来たせいで走らなきゃならなかったし、何かの嫌がらせかしら?」
体が辛くて少しだらしない姿勢で座って式が始まるのを待っていた
「ちょっとそこのあなた」
後ろから声がかかるが自分ではないと気にしなかった
体がつらい
「ちょっと、私を無視するなんて」
トラブルかと興味本意で振り向くとシルビアが後ろで立っている
距離も離れているし関係ないかと思ってみたがあからさまにこちらをみている
「私ですか?」
「そうに決まっているではありませんか。殿下に対しての無礼だけでなく、淑女がそのような格好。学園に通うものとして恥ずかしくありませんの?」
「それはすみません」
「ところで初めて見る顔ね。名前は何とか仰るの?」
いや、お前が通わせているんだろと思いながらも仕方なく挨拶をする
「初めまして。私はブールー通りのパン屋の娘でリリィと申します」
「ふん。平民が由緒正しいこの学園に通えるなんて幸運ね」
いや、あんたのせいだけどね
「そうですね」
「ですが通うからには最低限のマナーくらいできていなくては」
「申し訳ございません」
通わせたくないなら、帰って良いかな?
「なんでも謝れば良いと思っているの?馬鹿しているつもり?私は公爵家ノマノフの長子・シルビアよ。私に楯突く気?」
「いえ、そう言うわけでは」
なんか慣れてきたら怖いより面倒だな
「まあ、私に口答えなんて。平民が偉そうに」
シルビアの茶番に付き合わされていたが助け舟がきた
「まあまあ。シルビア、少しわがままがすぎると思うぞ。君は私の婚約者として身分関係なく誰とでも仲良くしてくれ」
「わがままではございません‼︎ですが、殿下が仰るのであれば今回だけは引き下がりましょう」
おわり?
「花屋のルーシーさんだったかしら?」
家に来たはずでは?
名前は嘘言ってましたが、それも違う
「パン屋のリリィです」
「まあ、どちらでも良いけれど。私は殿下の婚約者です。殿下に近づかないでほしいわ。殿下がお優しいからって勘違いしないでくださいませ。助けられたからって平民が殿下に懸想しても無駄ですから」
近づく気もないのに言われると腹が立つ
それでも一部以外は貴族ばかりの学園では見方はいない
何とか卒業して縁を切らなければ
「ご安心ください。殿下が私のような者に御心を砕いてくださるのは平民も国民の一人だからに違いありません。私も弁えております」
「どうですかしら?兎に角、殿下には近づかないでくださいませ」
シルビアは訳のわからない事を言って去っていった
「なんだったの?」
気にしても仕方ないと座り直す
シルビアの指摘も尤もだと恥ずかしくない程度の姿勢で
式が始まり学園長の話と学則の話が長かった事以外何事もないままおわった
「やっと終わった」
クラスに案内されて選択授業の説明を受けただけで今日の予定は終了した
「来月までに選択授業の申請を忘れないでください。数は自由ですが、必要単位に満たないと進級出来ません。予定より何個か多くの授業を選択するようにおねが、、」
担任の言葉を聞きながらゆっくりと教室を出て行く
「疲れたから、今日は寮に帰って早めに寝よう」

「あの時、走って寮に帰っていれば、、、」

気力なくゆっくり歩いて帰っていると後ろから声がかけられる
「リリィ‼︎だったか?」
早く帰りたい
名前を呼ぶのはやめてほしい
名前を呼ばれて仕方なく振り返ると多分殿下?がいた

人揃って何故邪魔をするのか
「はい?」
「いや、私の婚約者が失礼な事をした」
「いえ」
「私の方からも注意しておくから許してやってほしい」
無理やり入学させられた事を言っていないのがわかる分、お前も同罪だよと心の中で悪態をつく
だが私も商人
貴族相手に笑顔くらいやってやる
親にも言ってないが、ここで顔を売ってからパン屋を継ぐ
「いえ、シルビア様は私の為を思って言ってくださっただけです。平民の私にまで目を向けられる優しい方です」
「そう言える、君は優しいな。自己紹介をしておく、私の名前はアドリュー。アドリュー・シューリン。これから宜しく」
「宜しくお願い致します、殿下」












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