Sub侯爵の愛しのDom様

東雲

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55 ※R18

「お待たせしました。……ベル?」

名を呼ばれ、パチリと目を開ければ、すぐ目の前にルノーがいた。

「ごめんなさい。待たせてしまいましたね」
「うぅん……」

いつの間にか、少しだけ眠ってしまっていたらしい。ふるりと首を振り、伸びてきたルノーの手に頬を擦り寄せれば、彼が瞳を細めて笑った。

「迎えの人に、明日の朝、屋敷までお送りしますとちゃんとお伝えしましたからね」
「うん……」
「……疲れちゃいましたね。もうお休みになりますか?」
「うぅん」

自分の身を気遣っての提案だろう言葉に、ふるふると再び首を振る。

「ルゥくん……」

手を伸ばし、身を屈めるルノーの首に腕を絡めると、その身を抱き寄せた。

「ベル?」

ほんの少し離れていただけなのに、こうして温もりに触れるだけで、離れていた間の寂しさを思い出し、『もっと』と欲しくなってしまう。
もっとルノーが欲しくて、もっと触れていたくて、もっと愛してほしくて……ジリジリと燻り続けていた熱は、彼自身を求める音になって、口から溢れた。

「……セックスしたい」
「──」
「お仕置きじゃなくて、ちゃんと、ルゥくんと、セックスしたい」

耳元に唇を寄せ、甘えるように頬を合わせる。
そのままもう一度、ルノーの名を呼べば、コクリと息を呑む音が聞こえた。

「……いいんですか?」
「うん」
「……怖くないの?」
「怖くないよ」
「ベルが泣いても、きっと止められませんよ?」
「うん」
「……朝まで、離しませんよ?」

一段低くなった声に、ゾクリとしたものが背筋を走る。
朝まで離してもらえない──怯えではなく、悦びからふるりと身が震えた。

「……うん。離さないで」

腕の力を緩め、正面からルノーと向き合うと、至近距離でその瞳を見つめた。

「朝までずっと、ルゥくんでいっぱいにして」

愛を強請るように、鼻先を近づければ、ルノーの顔が泣き笑いの表情に変わり、噛みつくようなキスと抱擁が返ってきた。




「まず先に、ベルが怖いな、嫌だなと思うことを教えてください」

ソファーから移動し、再びベッドの上に戻ると、真っ先にルノーからそう言われた。

「僕の好きにしていい、と言ってはいけない理由は、お分かりになりましたね?」
「うん……」
「ベル、そんな泣きそうなお顔をしないでください。怖いと思うことは、決していけないことではありません。それに、僕も知らないままだと、ベルの嫌がることをしてしまいます。それは僕も嫌なんです」
「……うん」

ルノーの真剣な眼差しに、コクリと頷く。
彼の言うことは最もであり、実際、『好きにしていい』という言葉の危険さは、身をもって実感したばかりだ。ここで、何が嫌で、何が怖いのか、正直に伝えることが、ルノーに対する信頼の証なのだと自分に言い聞かせ、口を開いた。

「……言葉を、あまり制限しないでもらえると、嬉しい」
「はい」
「やだとか、だめとか、言っちゃうけど……ルゥくんが、ではなくて……その、気持ち良すぎて、怖くなって、言ってしまうだけだから……言ってはいけないと言われると、少し苦しい」
「……分かりました。ごめんなさい。もう二度と言いません」
「あと、目隠しは、ルゥくんが怒ってる時は、しないでほしい」
「……怒ってる時だけですか?」
「うん。怒ってる時だと、ルゥくんが見えなくて、少し怖いから……」
「……怒ってない時はいいんですか?」
「怒ってない時なら、いいよ」
「怖くないんですか?」
「? 怒ってないなら、怖くないだろう?」
「……そうですね。他には、ありますか?」
「他は……」

先ほどの行為を思い出しながら、何を怖いと感じたか、真剣に考える。

「お仕置き、していいから、褒めてほしい。でないと、その……怖くなってしまうから……」
「ええ、それも必ず。二度と怠らないと誓います」
「……あとは、大丈夫だよ」

ひとまず、現時点で怖いと思うのはそれだけだ。きちんと言えたことに、一人満足していると、ルノーになんとも言えない顔をされた。

「どうかしたかい?」
「あの、他にも色々とあったと思うんですが……」
「他?」
「その、咬んでしまったり、拘束してしまったり……」
「それは……びっくりはしたけど、嫌ではないし、怖くもないよ」

事実、咬まれることも、拘束されることも、恥ずかしくはあるが嫌ではないのだ。

「ルゥくんだから、怖くないよ?」

体の自由を奪われ、苛められても、『ルノーだから大丈夫』という絶対的な安心感があった。だから多少手荒いことをされても、怖くはないのだ。

「ルゥくん?」
「いえ……いえ、はい。分かりました……」

口元を手で覆い、俯いたルノーの耳は赤く染まっていた。その反応が愛らしくて、色づいた耳にキスをすれば、ルノーがパッと顔を上げた。

「咬んでも、縛っても、いいよ」
「ベル……!」
「ふふ」
「……本当に、無意識に煽るのだから」
「うん?」
「……泣いても、止めてあげませんからね」
「あ、ん……」

強引にキスをされ、優しく押し倒される。
咥内を暴かれながら、羽織っていたガウンの腰紐を解かれ、素肌に空気が触れた。たったそれだけで、ルノーに調教された体は戦慄き、甘く疼いた。

「は……あ……」

キスマークと歯型の跡が生々しく残る肌を、ルノーの唇が愛撫していく。舌で撫で、唇で吸われ、すべらかな手の平が擽るように肌を舐めていく。
赤く染まった跡を上書きするように、優しいキスの雨が首筋から鎖骨、胸へと散っていき、ゆっくりと胸の突起を口に含まれた。

「ぅんん……っ」

優しく、優しく、焦ったいほどにゆっくりと乳首を舐め上げられ、ゾクゾクとした快感から背がのけ反った。
唾液で濡れた咥内は熱く、一瞬で芯を持ち、固くなった粒を厚い舌で包まれるだけで、軽く達してしまった。

「あっ、だめ、ルゥくん……!」

既に散々鳴かされ、敏感になっていた体は、ほんの少しの刺激で簡単に熱を上げていく。
舌先で膨れた粒を転がされ、指の腹で表面を撫でられるだけで、気持ち良くて堪らなくなるのだ。

「あっ、んん……っ」
「ふ……、気持ちいい?」
「ぅん、きもち……っ、きもちい……!」

『気持ちいい時は、「気持ちいい」と言うように』
そう躾けられた体は、「気持ちいい」と口にするだけで、どんどん敏感に、いやらしくなっていく。

「あっ、イく、ルゥくん、イッちゃう……!」
「うん、たくさんイッて」
「ダメ……ッ、ルゥくんと、セックスするから……っ、今いっぱいイッたら、ダメだ……!」
「! ……もう、貴方は本当に……」
「あっ……」

唾液で濡れた乳首から、ちゅうっと音を立て、ルノーの唇が離れていく。吸われ、舐められ、乳輪からぷくりと膨れた肉の先に何度も軽いキスをされ、それだけで腰が跳ねた。

「あ、あ、ルゥくん……っ」
「ここはまた後で、たくさん可愛がってあげますね」
「……ん」

ああ、きっと後で、目一杯愛でられるのだろう……そんなことを考えている間に、キスの雨が徐々にズレていき、腹筋、脇腹、下腹部へと降り注いだ。

「っ、まって! ダメだ! そこは……!」

ペニスにまで及びそうになったキスに、慌てて手で性器を隠そうとするも、その手を取られ、指先を絡めるように握り込まれてしまう。

「ルゥくん!」
「ベル、キスだけですから」
「やっ、ダメだ……!」
「どうしてダメなの?」
「だ、だって……すぐ、イッてしまう……」

口淫は一度だけされたことがあるのだが、ルノーにペニスを舐められているという背徳感と、信じられないほどの気持ち良さから、ものの数秒で果ててしまった。
正直、その時の衝撃が残っていて、どうしても苦手意識が先に立ってしまうのだ

「イッていいんですよ?」
「や……だって……」
「……ごめんなさい。言い方が悪かったですね。僕がキスしたいんです。ベルはおちんちんにキスされて、可愛く鳴きながらイッてください」
「──!」
「できる?」
「……ぅん」
「うん、良い子」
「あっ」

ルノーに『したい』と言われ、抵抗する気持ちは一瞬で萎んでしまった。
良い子、という言葉と共に、唇が竿に触れ、リップ音を響かせながらペニスに吸いつく。

「あ、あ……っ、あっ、や……!」

ペニス全体に余すことなくキスをされ、気持ち良さと恥ずかしさから先走りがタラリと漏れる。垂れた雫をルノーの舌先が掬い、裏筋を下から上に舐め上げられ、吐精欲が腹の奥でじわりと広がった。
やはり刺激が強すぎる……そう思った直後、亀頭をぱくりと咥えられ、敏感な先端を舐め回され、突然のことにビクンッと腰が跳ねた。

「あっ!? あっ、うそ! だめ! ルゥくんダメだ!」

ルノーの唾液と先走りでぬるついた亀頭を、熱く柔らかな舌で舐め回され、強すぎる快感に足が引き攣ったようにビクついた。

「キスするだけって……ッ、アッ、ダメッ、出ちゃうっ、出ちゃうから……!」

今にも射精してしまいそうなことに、慌ててルノーを引き剥がそうとするも、手はがっちり掴まれたままで、押し返すこともできない。そうしている間もルノーの舌は止まらず、焦燥感から汗が吹き出した。

「ルゥくん……っ、出ちゃうから離し、ひっ!? いあぁぁっ!」
「ん……」

ルノーの口に出してしまう──咄嗟に腰を引こうとした瞬間、先端を強く吸われ、我慢する間もなく、達してしまった。
強制的に精を抜かれるような感覚に腰はビクつき、突然の絶頂に、息が乱れた。先に何度も達していたおかげか、出た精液の量は少ない。が、とぷりと漏れたそれを舌で丁寧に舐め取られ、コクリと嚥下する音が聞こえてきた時には、あまりの恥ずかしさに眩暈がした。

「えっ!? の、飲ん……っ」
「ふ……、飲んじゃいましたね」
「キ、キスするだけ、て、言ったのに……!」
「ごめんね。でも、これから先も何度もあることですから、少しずつ慣れていきましょうね」
「な、なん……!?」

体を起こし、微笑むルノーはどこか満足気で、今の言葉が嘘ではないのだと察してしまう。間違いなく、この先も同じようなことが何度もあるのだろう。

「ちゃんと、可愛く鳴きながらイけましたね。良い子ですよ、ベル」
「うぅ~……っ」
「ああ、泣かないでください。苛めている訳ではないんですよ。ベルが大好きだから、ベルの全部が欲しいだけなんです」

良い子、と頭を撫でられながら抱き締められ、きゅうきゅうと胸が鳴る。
恥ずかしいのに嬉しくて、嬉しいのに恥ずかしくて、眩暈につられるように頭がふわふわし始めた。

「ルゥくん……、ルゥくん、セックスして……!」
「……ベル?」
「私も、大好きだから、ルゥくんの全部、ちょうだい……!」
「……本当に、どうしてこんなに可愛いんでしょう」
「んぅ……」

吐息混じりの呟きと共に頬にキスをされ、込み上げる愛しさからその背に手を回した。

「ルゥくん……っ」
「うん、セックスしようね」
「うん……!」

背に抱き着いたまま、コクコクと頷けば、もう一度頬にキスをしてから、ルノーがゆっくりと体を起こした。
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