上 下
7 / 7

7. 甘い時間 *

しおりを挟む
朝、ビージェは、宿屋を出た後、
メタトロンランド中心都市から離れた場所にある、都市に向かった。

その都市は、先程の中心都市とは違い、
とても静かで落ち着いた都市だ。

人はまだ見かけない。
まだ、日が出たばかりの頃だから
まだ皆、眠りについている。

この都市は、
窓がステンドグラスで出来た住宅街が多く
太陽の光がステンドグラスに反射し、
きらきら色鮮やかに光っている。

その都市の中を歩いている道中、甘い香りがしてきた。
その香りを頼りに歩いてみると、お店の煙突から先程の甘い香りがする。

すると、その店の裏から誰かが
OPENと書いた看板を運んできた。

看板を運んでいるのは、
金髪に可愛らしい白のリボンを着けた
小さい女の子だ。

その女の子と目が合い女の子は、
ビージェに、ニコッと笑った。

そして、小走りでお店の中に戻って行った。

ビージェは、お店のドアを開け中に入った。
そこには、ケーキが並んでいた。

チョコレートケーキ、

いろんな国の果実フルーツがホイップクリームに包まれたロールケーキ

綺麗な光沢を出してる苺のショートケーキ・・・

どれもビージェにとって、見たこともないケーキだらけだった。


「お姉さん良かったら、おひとつ食べる?」


ドット柄のエプロンを着てる女性に話しかけられた。



ビージェ「魔法通貨はいくらですか・・・?」


「通貨は払わなくて大丈夫よ!こんな朝早い時間からお客様なんて珍しいもの!丁度新しい試作品を作ってたところなの!
良かったら、感想を教えてくれない?」


そのケーキは、
見た目はホイップクリームで包まれたシンプルなケーキだ。他のケーキとは違い、
華やかな見た目ではない、
ただの白いケーキだ。

ビージェは、
ケーキを一口食べた瞬間、驚いた。

口の中でホイップクリームが溶けて
濃厚なチョコレートの味。

その後に、パチパチと飴が口の中で
音を出しながら 線香花火 のように弾ける。

最後は、甘酸っぱいストロベリーソースの味だ。

ビージェは、ケーキを食べて思った。
どんなに見た目が華やかでは無くても、
中身が大切なのだと・・・


゙・・・美味しい・・・゙


食べたことのない美味しさに
思わずビージェは、声が漏れてしまった。


女性「実はねこのケーキ、うちの娘たちが考えたの」

すると、お店の奥から先程看板を運んでた女の子とビージェより年上の少女が出来たてのケーキを運びに来た。
ビージェと目が合い、2人とも会釈した。


女性「まぁ、丁度いい所に!今あなた達の考えたケーキを食べて頂いたところなのよ!」


恐る恐ると女の子が
「・・・・・・お口に合わなかったかな・・・?」
と聞いてきた。

ビージェ「と~っても美味しかったわ!!」
その返事を聞いて二人とも喜んでいた。


すると、女の子が
「私、バニラっていうの!よろしくね!
ホイップクリーム魔術が得意なんだ!
隣にいるのは、ショコラお姉ちゃん、私のお姉ちゃんだよ!
ショコラお姉ちゃんは、チョコレート魔術が得意なんだよ~!」
バニラは自慢げに話してきた。


ショコラ「ちょっとバニラ!!お客様よ!
失礼な態度とらないの!うちの妹がごめんなさい・・・。。」


ビージェ「いいえ、全然大丈夫よ!
私はビージェって言うの!よろしくね!
バニラちゃん、ショコラさん!」


この日、
初めてビージェに友達が二人出来た。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...