1 / 3
希望の光
しおりを挟む「泣かないで、風鈴。必ず帰ってくるから、ね?」
……あれは、誰だったっけ?
ピピピピピピピピ!
目覚ましの音により目を覚ました午前4時。今日は朝から新聞配達のバイトがあった。急いで準備を済ませ、新聞を受け取る。
今日もいつも通りバイト三昧の一日が始まる、はずだった。
「君、明日から来なくていいよ」
「……え?」
突然告げられたクビ宣告。特に何かヘマをしたわけではない、どちらかというと頑張っていた方だと思う。それなのになぜ? しかも、こんないきなり決まるなんて……
「あの、なんでですか? 俺、何か」
「正直、失望したよ。まさか君がこんなことをする人だったなんて」
「こんなこと……?」
「知らないふりをしても無駄だよ。女の子をストーカーした挙句、監禁しようとまでしてたらしいじゃないか」
何を言っているのか、正直分からなかった。
俺が、女の子をストーカー?
人並みに付き合ったことはある。けれどここ数年は恋人はおろか、好きな人すら出来たことがない。それに、俺が好きなのは男。女の子を襲うはずはない。
「そんなことはしていません!」
「ここまで来てまだシラを切る気か! それに、もしやっていなかったとしても噂が立ってしまっているのだ、そんな人を雇っているなんて思われたくないからな」
「そんな……」
「とにかく! もうここには来ないでくれ。今日までの給料は払っておくから、じゃあな」
バタン!
無理矢理外に押し出され、扉を閉められてしまった。
どうしよう……。いや、まだ色んなバイトをしてるじゃないか! それがあれば大丈夫……
「君、クビね」
「君みたいな人をここに置いておくわけには行かないな」
「次から来ないでくれ」
俺がバイトしてるところ全てからもうここには来るなと言われてしまった。
これからどうしていけばいいんだ……
それから数日が経った。応募サイトのバイトに片っ端から電話してみたものの、答えは全てNOだった。
お金がほとんどなくなってしまった。当然家賃は払えず、今日ここを出て行くようにと言われた。
少ない荷物を持って外へ出る。
「はぁ」
ため息をつきながらベンチに座る。すると、とある看板を目にした。
男性が男性の相手をする、所謂いかがわしいお店だった。
もう、ここで働くしか……
「ねえ、君」
「え?」
そんなこと考えていると不意に声をかけられた。振り返るとそこには優しそうな青年が立っていた。歳は同じくらいだろうか、美しい顔立ちをしていて、思わず見惚れてしまった。
「こんなところで何をしているんだい?」
「えぇと、ちょっと色々あって……」
「もしかして、家がないのかい?」
「……まぁ、そんな所です」
青年は少し考えてからこう告げた。
「君、僕の家に来ない?」
突然のことで頭がフリーズしてしまう。
「ちょうど家政婦さんが辞めてしまってね、新しい人が欲しいんだ。どうかな? 住み込みで生活費は免除、日給二万円」
条件はかなり、いやとても良い。けど、見ず知らずの男にこんな話を持ちかけるなんて怪しすぎる。
「あはは、ごめん。怪しいよね」
「いえ……」
「家政婦になるかは別として、とりあえず今日は家に泊まりなよ。何かあったら警察に連絡してもらって構わない」
「……じゃあ、お願いします」
着いていくとどんなことをされるか分からない、でも本当だったらこんな良い話は二度とない。それに、俺には彼が人を騙すようには見えなかった。
「ふふ、行こっか」
彼の笑顔に目を細めながら青年の手を握った。
0
あなたにおすすめの小説
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
【花言葉】
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです!
【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。
◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
お兄ちゃんができた!!
くものらくえん
BL
ある日お兄ちゃんができた悠は、そのかっこよさに胸を撃ち抜かれた。
お兄ちゃんは律といい、悠を過剰にかわいがる。
「悠くんはえらい子だね。」
「よしよ〜し。悠くん、いい子いい子♡」
「ふふ、かわいいね。」
律のお兄ちゃんな甘さに逃げたり、逃げられなかったりするあまあま義兄弟ラブコメ♡
「お兄ちゃん以外、見ないでね…♡」
ヤンデレ一途兄 律×人見知り純粋弟 悠の純愛ヤンデレラブ。
俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した
あと
BL
「また物が置かれてる!」
最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…?
⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。
攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。
ちょっと怖い場面が含まれています。
ミステリー要素があります。
一応ハピエンです。
主人公:七瀬明
幼馴染:月城颯
ストーカー:不明
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
内容も時々サイレント修正するかもです。
定期的にタグ整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)
ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに
ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子
天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。
可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている
天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。
水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。
イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする
好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた
自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い
そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる