Vodzigaの日は遠く過ぎ去り。

宮塚恵一

文字の大きさ
19 / 23

Epilogue 再出発

しおりを挟む
 メカヴォズィガを失ったガジャゴの目論みは崩れ去った。

 空を覆っていたシャッガイ領域も、メカヴォズィガ倒壊と共に消え、私の眼にも空には平和が戻った。

 島から帰って来た私を、博士はTALARIAタラリアを無茶に使ったことを咎めることもなく、ホッと一息ついて迎えてくれた。

「心臓に悪い。二度とするな」
TALARIAタラリアないからもう無理です」

 TALARIAタラリアだけじゃない。怪獣災害の遺産は、もう消え去った。

 メカヴォズィガを壊してもガジャゴがなくなったわけではない。メカヴォズィガを倒してからも、ガジャゴの兵隊を相手にする覚悟もしていたが、マッヨォロガはメカヴォズィガを失ったことで放心し、私はガジャゴ兵とは交戦することなく、島を後にすることが出来た。

「君はこれからどうする?」
「空も元に戻りましたし、正直教員実習くらいはちゃんと終わらせたいですね」

 まだ実習期間は残っている。
 怪獣を利用しようとしていた輩を倒すことも大事だが、それよりもやはり大事なのは、この世界で、怪獣災害なんて関係なく過ごすことだ。

 それが先輩が守ってくれたこの世界に対する、最大限の礼儀だから。

「流石に教員免許は取らないと、先輩に対して嘘です」
「そうだな。そうしろ。色々面倒なこともあるだろうから手は貸してもらうが……と言うか君がぼくを巻き込んだんだからな」
「わかってますよ」

 とは言えTALARIAタラリアを横領していたのは博士だし、その辺りは言い訳も効かないんじゃないだろうか。それを使った私もそうだが。

 私はポケットの中から、ぬいぐるみキーホルダーを取り出した。
 あの混乱の中でも、肌身離さず身につけていたキーホルダーは、ただでさえ経年劣化でボロボロだったのに、擦り切れてもう元がウサギだったのかどうかすらよくわからなくなっている。

 それでも私はキーホルダーを握り締めると、ポケットの中に仕舞い直した。

「先輩。何があっても先輩が守ったこの世界、守り抜きますから」

 怪獣災害なんて、二度と起こさせない。
 また同じようなことが起こったって、何度だって。

「博士。博士の話だと、怪獣の死体って、まだ残ってるんですかね」
「おそらくな」
「じゃあまた同じようなことが起こる可能性はゼロじゃないですよね」
「流石に今回のアレはイレギュラーだが、そうだな」

 例えば先輩を好き勝手断罪した、あの司祭ゼフィレッリィが今どうしているか等を私は知らない。
 全く。やることが増えて敵わない。でも、そういう風に、やって来る困難を次々に薙ぎ倒していかなくちゃいけないのも、人生というモノかもしれない。

「その時はまたよろしくお願いします、博士」
「ああ。ぼくも彼女の救った世界を、好きにさせたくない」

 とりあえず今日は休もう。まだ休暇は残っている。やらなくちゃいけないことは山積みでも、休む自由くらい、あって良いんだから。

 駅のロッカーに仕舞っていた携帯電話を取り出して、私は電話を掛けた。

「あ、先生。体調なんとかなりました。明日大丈夫なら、飲み行かせてください」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

せんせいとおばさん

悠生ゆう
恋愛
創作百合 樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。 ※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

サイレント・サブマリン ―虚構の海―

来栖とむ
SF
彼女が追った真実は、国家が仕組んだ最大の嘘だった。 科学技術雑誌の記者・前田香里奈は、謎の科学者失踪事件を追っていた。 電磁推進システムの研究者・水嶋総。彼の技術は、完全無音で航行できる革命的な潜水艦を可能にする。 小与島の秘密施設、広島の地下工事、呉の巨大な格納庫—— 断片的な情報を繋ぎ合わせ、前田は確信する。 「日本政府は、秘密裏に新型潜水艦を開発している」 しかし、その真実を暴こうとする前田に、次々と圧力がかかる。 謎の男・安藤。突然現れた協力者・森川。 彼らは敵か、味方か—— そして8月の夜、前田は目撃する。 海に下ろされる巨大な「何か」を。 記者が追った真実は、国家が仕組んだ壮大な虚構だった。 疑念こそが武器となり、嘘が現実を変える—— これは、情報戦の時代に問う、現代SF政治サスペンス。 【全17話完結】

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

処理中です...