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仲間たち再集結
第09話 引き続きお買い物
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スマートフォンの機種変更は後日に持ち越すことになり、三人はショッピングモールの衣料品売り場へと足を向けた。華やかな店内を巡りながら、莉々は水を得た魚のように生き生きとした表情で、ハヤトと城介の服を次々と選んでいく。二人とも彼女の審美眼を全面的に信頼し、手渡される服を黙々と試着していった。
「そちらの商品、とてもお似合いですよ!」
「うんうん! 次は、こっちも試してみて」
若い女性店員と莉々が息を合わせたように声を上げる。二人は熱心に協力し合い、次々と新しいコーディネートを提案してくる。言われるがままに着替えるハヤト。自分も着替えるのかと首を傾げながらも、仲間の言葉に従順に従う城介。
結果として、莉々と店員がタッグを組んで選ばれた衣服で買い物かごが埋まっていった。最後には、ハヤトと城介は両手いっぱいの紙袋を抱えることになった。
「とりあえず一旦、車に荷物を置きに行くか」
「その前に、ちょっといいか?」
「どうしました?」
ハヤトは持っていた袋の中から一つを取り出し、莉々に差し出した。家電や服などを選んでくれた感謝の気持ちを込めて、密かに購入していた小物だった。ハヤトは、自身のファッションセンスの乏しさを痛感しながらも、偶然見つけた莉々の雰囲気にもぴったりの可愛らしいアクセサリーを購入した。
「あ、これ」
それは、リリアだった時の彼女が腕にはめていたブレスレットに似た形のものだ。それを見た時に懐かしくなって、ハヤトは購入を決めた。それほど高価なものではないが、品質はかなり良さそうだった。
「莉々、こんなのを見つけたんだ。君がリリアだった頃、いつも身につけていたブレスレットに似ていると思って。今日のお礼にコレ、受け取ってくれるかな?」
「ありがとうございます!」
ハヤトからの贈り物を彼女の目には涙が浮かんでいた。それは単なるプレゼントへの喜びではなく、前世での記憶を共有できる絆への感動だったのだろう。大切にすると約束する彼女の笑顔に、ハヤトは選んだ甲斐があったと心から思った。その横で、城介も温かい目で二人を見守っていた。
荷物を車のトランクに収めた後、一息入れることになった。
「一休みするのなら、行ってみたいカフェがあるんです」
「いいね」
「じゃあ、次はそこに行こうか」
莉々の提案で向かった先は、温かな木目調の内装が印象的な、洗練された雰囲気のカフェだった。
「ごゆっくりどうぞ」
案内された席に三人で座る。メニューを開いて、昼食とデザートを注文した。落ち着いた照明の下、三人は小声で異世界での思い出話に花を咲かせる。
「こうやって三人で席に座っていると、向こうでの食事の様子を思い出しますね」
「あっちで食べたものは、これほど美味しくなかったけどな」
「やっぱり俺も、こっちの世界出身だって思ってしまうかな。こういうのが普通だと思ってしまうから」
10年以上も異世界で過ごしてきたけれど、食事に関しては慣れなかった。運ばれてきた軽食をつまみながら、ハヤトは語る。
「そういえば、ハヤトは向こうの世界の食べ物が合わないって言ってたな。こういうのを普段から手軽に食べられるんだから、納得だ」
城介は自分の前に置かれたコーヒーをゆっくりと口に運んだ。その仕草は、異世界にいた頃よりも洗練されている。この世界での城介は、さらに大人の余裕を身につけているようだった。
「そうですね。こっちって、どれも美味しい。美味しものばかり! 食べすぎちゃって太ったらどうしよう、って考えちゃいます」
「莉々も、そういうことを考えるんだな」
「当然ですよ。私って、女子校生ですから」
「……そういえば、そうだった。全然見えない」
城介が思わず漏らした一言に、莉々から鋭い視線が飛ぶ。
「なんですか、城介?」
「おっと。女性に対して、年の話はタブーか」
「そうですよ。まあ今日は、この美味しいケーキに免じて許してあげます」
「それは、ありがたい。もっと食べるか?」
「だから、食べ過ぎたら太っちゃいますって。でも、一個だけ追加で注文します」
王都での出来事や、10年間の旅の記憶を語り合う中で、現代の食べ物の美味しさに目を輝かせる莉々の姿を、ハヤトは微笑ましく見守っていた。後で運動しなきゃと呟きながらも、彼女は心ゆくまでスイーツを堪能していた。
私服姿の莉々は、制服とはまた違った大人の女性の趣を漂わせていた。先ほどの家電量販店でも、彼女の存在は自然と周囲の視線を集めていた。店員たちは莉々の顔を見つめては嬉しそうに対応して、ハヤトと城介を羨望や嫉妬の混じった眼差しで見ていたことを思い出す。そんな注目も、彼女の持つ美しさを考えれば当然のことだろうとハヤトは思った。
「それじゃあ、続きの買い物に行きましょ」
食事を終えてカフェから出ると、莉々が声を上げた。
「金の心配はするな。今日は、とことん買ってやるぞ。覚悟しろ、ハヤト」
城介が懐から取り出したブラックカードを掲げながら付け加える。その表情は本気そのものだった。
「いや、もう勘弁してくれ」
冗談めかして返すものの、ハヤトの胸中では仲間たちの厚意に甘え続けることへの後ろめたさが募っていた。それでも、彼らの好意を拒むことはしない。
大金を使う買い物に心苦しさを感じつつも、正直に言えば楽しくもあった。気にしすぎて暗い表情を見せるのも、彼らに申し訳ない。この時間を大切な仲間たちと共に過ごせることが、何より嬉しいのだから。
ハヤトは後ろ向きになりそうな気持ちを意識的に切り替えて、この幸せな時間を素直に楽しもうと思った。
「そちらの商品、とてもお似合いですよ!」
「うんうん! 次は、こっちも試してみて」
若い女性店員と莉々が息を合わせたように声を上げる。二人は熱心に協力し合い、次々と新しいコーディネートを提案してくる。言われるがままに着替えるハヤト。自分も着替えるのかと首を傾げながらも、仲間の言葉に従順に従う城介。
結果として、莉々と店員がタッグを組んで選ばれた衣服で買い物かごが埋まっていった。最後には、ハヤトと城介は両手いっぱいの紙袋を抱えることになった。
「とりあえず一旦、車に荷物を置きに行くか」
「その前に、ちょっといいか?」
「どうしました?」
ハヤトは持っていた袋の中から一つを取り出し、莉々に差し出した。家電や服などを選んでくれた感謝の気持ちを込めて、密かに購入していた小物だった。ハヤトは、自身のファッションセンスの乏しさを痛感しながらも、偶然見つけた莉々の雰囲気にもぴったりの可愛らしいアクセサリーを購入した。
「あ、これ」
それは、リリアだった時の彼女が腕にはめていたブレスレットに似た形のものだ。それを見た時に懐かしくなって、ハヤトは購入を決めた。それほど高価なものではないが、品質はかなり良さそうだった。
「莉々、こんなのを見つけたんだ。君がリリアだった頃、いつも身につけていたブレスレットに似ていると思って。今日のお礼にコレ、受け取ってくれるかな?」
「ありがとうございます!」
ハヤトからの贈り物を彼女の目には涙が浮かんでいた。それは単なるプレゼントへの喜びではなく、前世での記憶を共有できる絆への感動だったのだろう。大切にすると約束する彼女の笑顔に、ハヤトは選んだ甲斐があったと心から思った。その横で、城介も温かい目で二人を見守っていた。
荷物を車のトランクに収めた後、一息入れることになった。
「一休みするのなら、行ってみたいカフェがあるんです」
「いいね」
「じゃあ、次はそこに行こうか」
莉々の提案で向かった先は、温かな木目調の内装が印象的な、洗練された雰囲気のカフェだった。
「ごゆっくりどうぞ」
案内された席に三人で座る。メニューを開いて、昼食とデザートを注文した。落ち着いた照明の下、三人は小声で異世界での思い出話に花を咲かせる。
「こうやって三人で席に座っていると、向こうでの食事の様子を思い出しますね」
「あっちで食べたものは、これほど美味しくなかったけどな」
「やっぱり俺も、こっちの世界出身だって思ってしまうかな。こういうのが普通だと思ってしまうから」
10年以上も異世界で過ごしてきたけれど、食事に関しては慣れなかった。運ばれてきた軽食をつまみながら、ハヤトは語る。
「そういえば、ハヤトは向こうの世界の食べ物が合わないって言ってたな。こういうのを普段から手軽に食べられるんだから、納得だ」
城介は自分の前に置かれたコーヒーをゆっくりと口に運んだ。その仕草は、異世界にいた頃よりも洗練されている。この世界での城介は、さらに大人の余裕を身につけているようだった。
「そうですね。こっちって、どれも美味しい。美味しものばかり! 食べすぎちゃって太ったらどうしよう、って考えちゃいます」
「莉々も、そういうことを考えるんだな」
「当然ですよ。私って、女子校生ですから」
「……そういえば、そうだった。全然見えない」
城介が思わず漏らした一言に、莉々から鋭い視線が飛ぶ。
「なんですか、城介?」
「おっと。女性に対して、年の話はタブーか」
「そうですよ。まあ今日は、この美味しいケーキに免じて許してあげます」
「それは、ありがたい。もっと食べるか?」
「だから、食べ過ぎたら太っちゃいますって。でも、一個だけ追加で注文します」
王都での出来事や、10年間の旅の記憶を語り合う中で、現代の食べ物の美味しさに目を輝かせる莉々の姿を、ハヤトは微笑ましく見守っていた。後で運動しなきゃと呟きながらも、彼女は心ゆくまでスイーツを堪能していた。
私服姿の莉々は、制服とはまた違った大人の女性の趣を漂わせていた。先ほどの家電量販店でも、彼女の存在は自然と周囲の視線を集めていた。店員たちは莉々の顔を見つめては嬉しそうに対応して、ハヤトと城介を羨望や嫉妬の混じった眼差しで見ていたことを思い出す。そんな注目も、彼女の持つ美しさを考えれば当然のことだろうとハヤトは思った。
「それじゃあ、続きの買い物に行きましょ」
食事を終えてカフェから出ると、莉々が声を上げた。
「金の心配はするな。今日は、とことん買ってやるぞ。覚悟しろ、ハヤト」
城介が懐から取り出したブラックカードを掲げながら付け加える。その表情は本気そのものだった。
「いや、もう勘弁してくれ」
冗談めかして返すものの、ハヤトの胸中では仲間たちの厚意に甘え続けることへの後ろめたさが募っていた。それでも、彼らの好意を拒むことはしない。
大金を使う買い物に心苦しさを感じつつも、正直に言えば楽しくもあった。気にしすぎて暗い表情を見せるのも、彼らに申し訳ない。この時間を大切な仲間たちと共に過ごせることが、何より嬉しいのだから。
ハヤトは後ろ向きになりそうな気持ちを意識的に切り替えて、この幸せな時間を素直に楽しもうと思った。
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