帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ

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仲間たちとの旅行

第39話 豪華客船の出航

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 乗船の手続きは、ハヤトが予想していたよりスムーズに進んだ。城介が事前に必要書類を整え、剛がVIP扱いで優先的に処理してもらえるよう手配していたようだ。荷物を預けて乗船カードを手に入れると、一行は案内スタッフに導かれて大きな船内へと足を踏み入れた。

「中も、おっきい!」

 陸の声が響き、大人たちも思わず見上げた。ロビーの天井は高く、シャンデリアが輝いている。周囲には外国人観光客の姿も多く見え、様々な言語が飛び交っていた。

「まずは安全説明を受けましょう」

 スタッフの案内で一行は小さなシアタールームへと移動した。ここで緊急時の対応についての説明ビデオを視聴する。ハヤトは集中して、しっかり内容を頭に入れた。

 その説明が終わると、船内で自由に動くことが許可された。

「お部屋までご案内します」

 一行はグループで分かれることになった。ハヤトと城介、莉々と星華、そして鉄村一家はファミリールームを利用する。

「じゃあ、荷物を置いたらメインダイニングで合流しよう」

 分かれる前に、剛が提案した。

「もうすぐランチタイムが始まるからね」

 ハヤトと城介の部屋は、船の中央よりやや後方に位置していた。ドアを開けると、予想以上に広い空間が広がっている。

「おぉ」
「これは凄いな」

 その広い空間を、一つずつチェックしていく城介。大きなベッドが二つ、テレビと机、ゆったりとしたソファも備えられている。トイレと洗面台も広々としており、浴槽付きのシャワールームまであった。

 そして、何より印象的だったのはバルコニー。ガラスドアを開けると、外の景色を一望できる専用のスペースがあり、オットマン付きの椅子が設置されていた。

「まだ出港してないから、景色はこんなもんだけど」

 バルコニーから見える広大な駐車場を眺めながら言った。ここから見る海の景色は、とても素晴らしいだろうとハヤトは予想した。
 
「そうだな。海に出たら、きっといい景色になるだろう」

 しばらく二人で、ボーッと眺める。何もしない、贅沢な時間。

「さて、そろそろ行こうか」

 城介が時計を確認した。

「メインダイニングでランチが始まる時間だ」
「行こう」

 二人はメインダイニングのあるデッキへと移動した。広々とした食事スペースには、すでに多くの乗客が集まっていた。ウェイターの案内で、窓際の素晴らしい席に通される。

「こちらのお席で、お楽しみ下さい」

 ウェイターがメニューを差し出した。

「お飲物はいかがいたしましょうか」
「えーっと、それじゃあ……どうしようかな」

 ハヤトはメニューを眺めながら迷った。

「俺は、これを貰っておく」

 城介は迷わずスパークリングワインを注文した。ハヤトも結局同じものをオーダーした。二人がドリンクをオーダーして間もなく、鉄村一家が合流した。

「部屋、すごかったよ!」
「なるほど。どう凄かった?」

 剛の息子の陸が興奮した様子で話し始めた。

「ぼくたちの部屋、子ども部屋もあるんだ! それにテレビもゲームもある」
「なるほど。それはいいね」

 ハヤトは子どもの無邪気な喜びに微笑んだ。そして最後に莉々と星華も到着して、一行全員が揃った。

「どうだった? 部屋の様子は」

 ハヤトが尋ねると、莉々の目が輝いた。

「素晴らしいです!バスルームがとても広くて、アメニティも充実していて」

 莉々は興奮気味に話した。

「海に出たら、もっと素晴らしい景色が見れそうでワクワクする」

 彼女の顔には異世界での冒険時代とは違う、純粋な少女らしい喜びが表れていた。



「星華は海外出張が多いから、こういう移動は慣れてるだろ?」
「飛行機にはよく乗るけれど、船に乗るのは久しぶりよ。こうしてゆっくり楽しむのも久しぶり」

 星華は微笑みながら答えた。普段は研究に没頭している彼女だが、今日は肩の力が抜けているように見えた。

 ウェイターが前菜を運んできた。シュリンプカクテルが美しく盛り付けられ、テーブルを彩る。続いて、食べごたえのあるアメリカンスタイルの肉料理が提供された。

「うまい」

 ハヤトは素直な感想を漏らした。

「この船のシェフは、ミシュラン星付きレストランで修行したらしいぞ」

 城介が情報通らしく説明した。

「ママ、おいしいね!」
「そうね、葵。おいしいわね」

 葵が母親を見上げて言う。その光景を見て、幸せな気持ちになるハヤトたち。こんな穏やかな日常を共有できることに感謝の念が湧いてきた。

「明日は終日航海で、明後日に最初の寄港地に着くらしい」

 城介が予定を確認しながら説明するのを皆で聞く。

 そして会話は自然と旅行プランへと移っていった。星華が船内の観光スポットを巡ろうと提案して、莉々は事前に調べた情報を共有し、子どもたちは船内にあるという水族館に行きたいと主張した。

 そんな会話をしていると、食後のデザート、いちごのショートケーキが運ばれてきた。シンプルな見た目だが、一口食べると酸味と甘みのバランスが絶妙だった。大人たちはコーヒーを、子どもたちはジュースを楽しんだ。

「そろそろ出港時間かな」

 城介が時計を確認しながら言う。

「それじゃあ、デッキに行って出発する瞬間を見に行こうか」
「いいね」

 ハヤトの提案で、一行は船のデッキに移動した。ターミナルには、見送る人々の姿が見える。青い空の下、海風が心地よく頬を撫でる。

 その時、船内に銅鑼の音が響き渡った。出港の合図のようだ。続いて大きな汽笛が鳴り響き、巨大な船体がゆっくりと動き始めた。

「しゅっぱつだ!」

 陸と葵が声を上げた。船は定刻通りに港を離れ、ゆっくりと大海原へと進路を取り始めた。

 ハヤトは仲間たちと並んでデッキの手すりに寄りかかり、徐々に遠ざかる港の風景を眺めた。これから始まる旅路に、期待が膨らんだ。
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