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商人たちから得た情報
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メーウブ帝国に入ってから、しばらく旅を続けていた。私たちは草原で馬車を止めて、休憩していた。ヴァルタルだけ皆から少し離れて、誰かと会って話をしている。
「ありがとう。これは情報の謝礼だ。受け取ってくれ」
「まいど! またのご利用、お待ちしておりますね。では!」
話が終わったのか、彼と会話していた低姿勢な男がお金を受け取り去っていった。それから、深刻そうな表情で皆のもとへ戻ってくるヴァルタル。
「アネルとジーモン、ちょっと来てくれ」
「「はっ!」」
すぐにアネルたちを呼んで、3人で会議を始める。彼らが話している声が、私にも聞こえてくる。聞いたら駄目かもしれないとは思ったけれども、気になって聞き耳を立ててしまう。そして、衝撃的な言葉が聞こえた。
「どうやら近々、戦争が始まるらしい。進行ルートを変更しよう」
「戦争!?」
聞こえてきた物騒な言葉に反応して、私は声を上げてしまった。
「うん。戦争が始まるらしい」
「あ、ごめんなさい。話し合いの邪魔をして」
「いや、いいんだ。俺も、予想外なことに驚いている。ちょっと落ち着かないとな」
ヴァルタルが予想していたよりも早く、メーウブ帝国は戦争を始めるそうだ。
商人や情報屋から入手した内容を吟味して、間違いない事実であることを確認したらしい。戦争が始まるなんて、とても怖いことだ。
「俺たちの予定は変更する。秘宝があるという最有力候補地を3箇所だけに絞って、短期間で調査する。その後、すぐにリムサフス王国へ帰ろう」
「リムサフス王国?」
「そう。俺の故郷なんだ」
「そうなのですか」
ヴァルタルの故郷がリムサフス王国であるということを、初めて聞いた。
故郷に帰る、ということは彼との旅も終わりなのだろうか。それは、とても残念なことだと私は思った。いつまでも、彼と一緒に旅を楽しみたかった。だけど、そうもいかない。旅はいつか終わってしまう。予想していたよりも早く終わってしまうのは悲しいけれど、仕方がない。
リムサフス王国といえば、私たちの最初の目的地でもあった。使用人たちに教会へ送ってもらって、伝手を頼りに保護してもらう予定だった。
ヴァルタルと別れた後、私は修道女として一生を終えることになる。その覚悟を、今のうちにしておいたほうが良さそうだ。
彼との旅は、本当に楽しかった。色んな場所を巡って、美味しいものを満喫した。この思い出を大事に、残りの人生を過ごすことが出来る。
ヴァルタルと出会い、思い出ができたこと。私にとって、それは本当に幸運なことだった。だから、せめて最後まで楽しもうと思った。
「ありがとう。これは情報の謝礼だ。受け取ってくれ」
「まいど! またのご利用、お待ちしておりますね。では!」
話が終わったのか、彼と会話していた低姿勢な男がお金を受け取り去っていった。それから、深刻そうな表情で皆のもとへ戻ってくるヴァルタル。
「アネルとジーモン、ちょっと来てくれ」
「「はっ!」」
すぐにアネルたちを呼んで、3人で会議を始める。彼らが話している声が、私にも聞こえてくる。聞いたら駄目かもしれないとは思ったけれども、気になって聞き耳を立ててしまう。そして、衝撃的な言葉が聞こえた。
「どうやら近々、戦争が始まるらしい。進行ルートを変更しよう」
「戦争!?」
聞こえてきた物騒な言葉に反応して、私は声を上げてしまった。
「うん。戦争が始まるらしい」
「あ、ごめんなさい。話し合いの邪魔をして」
「いや、いいんだ。俺も、予想外なことに驚いている。ちょっと落ち着かないとな」
ヴァルタルが予想していたよりも早く、メーウブ帝国は戦争を始めるそうだ。
商人や情報屋から入手した内容を吟味して、間違いない事実であることを確認したらしい。戦争が始まるなんて、とても怖いことだ。
「俺たちの予定は変更する。秘宝があるという最有力候補地を3箇所だけに絞って、短期間で調査する。その後、すぐにリムサフス王国へ帰ろう」
「リムサフス王国?」
「そう。俺の故郷なんだ」
「そうなのですか」
ヴァルタルの故郷がリムサフス王国であるということを、初めて聞いた。
故郷に帰る、ということは彼との旅も終わりなのだろうか。それは、とても残念なことだと私は思った。いつまでも、彼と一緒に旅を楽しみたかった。だけど、そうもいかない。旅はいつか終わってしまう。予想していたよりも早く終わってしまうのは悲しいけれど、仕方がない。
リムサフス王国といえば、私たちの最初の目的地でもあった。使用人たちに教会へ送ってもらって、伝手を頼りに保護してもらう予定だった。
ヴァルタルと別れた後、私は修道女として一生を終えることになる。その覚悟を、今のうちにしておいたほうが良さそうだ。
彼との旅は、本当に楽しかった。色んな場所を巡って、美味しいものを満喫した。この思い出を大事に、残りの人生を過ごすことが出来る。
ヴァルタルと出会い、思い出ができたこと。私にとって、それは本当に幸運なことだった。だから、せめて最後まで楽しもうと思った。
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