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第2話 金の無駄遣い
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「なぜ急に、婚約を破棄するなんて話を……?」
本来であれば、こんな場所で話す内容じゃない。色々な人達に見られているから。だけど既に皆に知られてしまった。これは、ここで事実を明らかにしておいたほうが良さそう。そう判断した私は、婚約を破棄する理由について彼に尋ねた。
するとアーヴァイン王子は、したり顔で理由を説明し始める。
「私が繰り返し注意しても、君が無駄遣いを止めないからだ」
「無駄遣い? 一体、何の話ですか?」
「何度も言っているのに、まだごまかすつもりなのかッ?」
彼は、怒りの声を上げる。意味が分からなかった。ごまかすつもりなんてないし、無駄遣いをしている自覚もなかった。怒鳴られる理由なんて無いはず。だけど、少し前にアーヴァイン王子が言っていたことを思い出した。
もしかして、あの時に彼が言っていたことが理由なのかしら。
「今日のパーティーも無駄遣いし過ぎだろう。こんなに数多くの給仕や料理人を雇う必要はないし、音楽隊に演奏させるのも無駄だろう。こんなに豪華にする必要なんて無い。そもそも、新たな劇場を建てるだなんて無駄だろうに!」
彼の言葉を聞いていると、分かった。どうやら、アーヴァイン様は状況を全く理解していないようだ。何度も繰り返し説明したのに、あれでも足りなかったのか。私が何度も話したというのに、それでも理解してくれなかったのか。
「いいえ、アーヴァイン様。これは全て必要な費用ですよ。今回の記念パーティーに参加してくれた方々に楽しんでもらうため、皆様をもてなすために無駄なんてことは一切ありません。事前に説明しましたよね」
今まで主催してきたパーティーについては、全て事前にアーヴァイン王子には説明した。どんな目的で、どんな人達を招待して、どれぐらいの費用を使う予定なのか。その目的と効果、どのような影響が予想されるのか。全てを。
私の説明を聞いたアーヴァイン王子は、いつも納得していない様子だった。
どれほど丁寧に説明しても、金の使い過ぎだと指摘してくる。とにかく節約。金を使わないようにしろと、繰り返して言うだけ。その時に私は、ちゃんと考えてお金を効果的に消費していると彼に解説した。これは必要なお金であり、無駄遣いではないことを説明はずだ。
そもそもの話、このお金は私が事業で稼いできた資産を使っている。なので、彼に文句を言われるような筋合いは無かった。婚約相手だから念の為にと思って、事前に知らせていただけ。
「だが、お金を使っているのは確かだろう。この無駄に豪華なパーティーをしていることを知った王国民がどう思うのか、君は考えていないのか? 徴収してきた税金を君達が無駄に浪費している、なんて思われるんじゃないか?」
「ですからそれは、何度も説明したように。新たな雇用を生み出すために必要な」
「それだけじゃない!」
彼は大声を出して私の言葉を遮る。自分の主張を押し進めるために。私の話なんて聞くつもりはないらしい。私にではなく、周りに居る者達に向かって、アーヴァイン王子は語りかけているようだ。
「エステル」
「はい、こちらを」
アーヴァイン王子は、誰かの名前を呼んだ。そして前に出てきたのは一人の女性。その人物が、紙の束を王子に差し出す。受け取った王子は、それを周りに見せつけるように掲げた。
「ここに記されているのは、クリスティーナが今まで無駄遣いしてきた資金の数々。これほどの資産を、彼女は無駄に浪費してきたのだッ!」
紙に記されている内容に見覚えがあった。私が今まで、アーヴァイン王子に色々と説明するために用意した資料だった。外部には漏らさないでと約束して明かした機密情報なのに、彼は無視して披露してしまった。
それが、どんな事態を引き起こしてしまうのかアーヴァイン様には分かっていないようだ。
私は、頭が痛くなった。本当に、なんて面倒なことを。
本来であれば、こんな場所で話す内容じゃない。色々な人達に見られているから。だけど既に皆に知られてしまった。これは、ここで事実を明らかにしておいたほうが良さそう。そう判断した私は、婚約を破棄する理由について彼に尋ねた。
するとアーヴァイン王子は、したり顔で理由を説明し始める。
「私が繰り返し注意しても、君が無駄遣いを止めないからだ」
「無駄遣い? 一体、何の話ですか?」
「何度も言っているのに、まだごまかすつもりなのかッ?」
彼は、怒りの声を上げる。意味が分からなかった。ごまかすつもりなんてないし、無駄遣いをしている自覚もなかった。怒鳴られる理由なんて無いはず。だけど、少し前にアーヴァイン王子が言っていたことを思い出した。
もしかして、あの時に彼が言っていたことが理由なのかしら。
「今日のパーティーも無駄遣いし過ぎだろう。こんなに数多くの給仕や料理人を雇う必要はないし、音楽隊に演奏させるのも無駄だろう。こんなに豪華にする必要なんて無い。そもそも、新たな劇場を建てるだなんて無駄だろうに!」
彼の言葉を聞いていると、分かった。どうやら、アーヴァイン様は状況を全く理解していないようだ。何度も繰り返し説明したのに、あれでも足りなかったのか。私が何度も話したというのに、それでも理解してくれなかったのか。
「いいえ、アーヴァイン様。これは全て必要な費用ですよ。今回の記念パーティーに参加してくれた方々に楽しんでもらうため、皆様をもてなすために無駄なんてことは一切ありません。事前に説明しましたよね」
今まで主催してきたパーティーについては、全て事前にアーヴァイン王子には説明した。どんな目的で、どんな人達を招待して、どれぐらいの費用を使う予定なのか。その目的と効果、どのような影響が予想されるのか。全てを。
私の説明を聞いたアーヴァイン王子は、いつも納得していない様子だった。
どれほど丁寧に説明しても、金の使い過ぎだと指摘してくる。とにかく節約。金を使わないようにしろと、繰り返して言うだけ。その時に私は、ちゃんと考えてお金を効果的に消費していると彼に解説した。これは必要なお金であり、無駄遣いではないことを説明はずだ。
そもそもの話、このお金は私が事業で稼いできた資産を使っている。なので、彼に文句を言われるような筋合いは無かった。婚約相手だから念の為にと思って、事前に知らせていただけ。
「だが、お金を使っているのは確かだろう。この無駄に豪華なパーティーをしていることを知った王国民がどう思うのか、君は考えていないのか? 徴収してきた税金を君達が無駄に浪費している、なんて思われるんじゃないか?」
「ですからそれは、何度も説明したように。新たな雇用を生み出すために必要な」
「それだけじゃない!」
彼は大声を出して私の言葉を遮る。自分の主張を押し進めるために。私の話なんて聞くつもりはないらしい。私にではなく、周りに居る者達に向かって、アーヴァイン王子は語りかけているようだ。
「エステル」
「はい、こちらを」
アーヴァイン王子は、誰かの名前を呼んだ。そして前に出てきたのは一人の女性。その人物が、紙の束を王子に差し出す。受け取った王子は、それを周りに見せつけるように掲げた。
「ここに記されているのは、クリスティーナが今まで無駄遣いしてきた資金の数々。これほどの資産を、彼女は無駄に浪費してきたのだッ!」
紙に記されている内容に見覚えがあった。私が今まで、アーヴァイン王子に色々と説明するために用意した資料だった。外部には漏らさないでと約束して明かした機密情報なのに、彼は無視して披露してしまった。
それが、どんな事態を引き起こしてしまうのかアーヴァイン様には分かっていないようだ。
私は、頭が痛くなった。本当に、なんて面倒なことを。
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