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第34話 臨機応変に対応して
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「彼らは、我々のことなど何も考えてくれないんだッ!」
そう訴えるのは、白旗投降してきた王国の兵士たちだ。強引に徴兵されて、ろくな装備も与えられず突然の命令で前線に送り出された彼らは、不満を溜め込んでいた。
命令されるままに戦っていたら、無駄死にするだけ。だから、戦いもせず投降してきたのだと語る。
そんな彼らを受け入れるかどうか。いくつか問題があった。
ここから移住予定地に向かうまでの食料が足りるのかどうか。同行者が増えたら、予定していた以上に食料を消費するだろう。
実は、食料の問題については対処することが可能。
マティアスが移動ルートを確保してくれていて、途中にある補給地点で食料を用意してくれている。万が一に備えて、予定の人数分よりも多く用意してくれていた。
その予備を使えば、同行者が増えても食料に困ることはないだろう。
まさか、こうなることを予想してマティアスは大量の食料を事前に用意してくれていたのかしら。だとしたら、私は商人としてまだまだね。そして、先を読む力に優れた彼に対する尊敬の念を強めた。私も、いつか彼のような商人になりたい。
それから、もう一つの問題として彼らを信用してもいいのかどうか。
もしかすると、これは策略の可能性もある。こちらが油断したところで襲いかかってきて、全員を捕まえるつもりなのかもしれない。そう考えると、簡単に信じるわけにはいかない。
しかし、彼らの話を聞いているうちに策略の可能性は低いだろうと思った。王家や貴族に対する不満を語る彼らは、嘘をついているように見えなかったから。
それに、装備が貧弱なのも事実だ。それが偽装だとしても、戦いになった時にその装備では勝てるなんて思えなかった。戦いに関しては素人の私が見ても勝敗が分かるぐらい、王国兵士の武器や防具の品質が悪いのだ。
この前のアーヴァイン王子との会談で、私の部下が騎士の装備について指摘した。その時と同じように、今回も兵士の装備の質が悪い。あの時よりも、一層酷くなっている。アーヴァイン王子は、失敗したのに直そうとしなかったらしい。
それから、移動速度の問題もある。同行者が増えると、それだけ移動のスピードが落ちてしまう。第二第三の王国軍が追いかけてくる可能性を考えると、なるべく早く先へ進みたい。
しかし、王国軍の追手の可能性は低いようだ。
投降してきた王国の兵士の話によると、ほぼ全ての動かせる兵士を今回の作戦に投入されたそうだ。つまり現在、王国の兵士の大半が私のもとに居る。彼らが動かせる兵士が居ない。次の作戦を実行するためには、まず徴兵をして、戦いの準備を整える時間が必要。だから、しばらく追手が現れる可能性は低いという予想。
「彼は一体、何を考えているのかしら……」
私は思わず呟いた。アーヴァイン王子が、どういう理由で兵士たちに命令したのか分からない。なぜ、一気に兵士を投入してしまったのか。しかも、その兵士が戦いもせずに投降してきた。やっぱり何か企んでいるのではないか、と疑ってしまう。
色々と考えてみた結果、私は彼らを受け入れることに決めた。いくつかの問題は、対処できそうだから。
彼らを受け入れることによるメリットもあった。移住予定地には、労働力が必要になる。いくらあっても足りないぐらい、人手が欲しかったところだ。
なので、彼らを移住先まで連れて行って、仕事を与える。そうすれば、私も彼らも助かるし、お互いに利益があるはずだから。
そう訴えるのは、白旗投降してきた王国の兵士たちだ。強引に徴兵されて、ろくな装備も与えられず突然の命令で前線に送り出された彼らは、不満を溜め込んでいた。
命令されるままに戦っていたら、無駄死にするだけ。だから、戦いもせず投降してきたのだと語る。
そんな彼らを受け入れるかどうか。いくつか問題があった。
ここから移住予定地に向かうまでの食料が足りるのかどうか。同行者が増えたら、予定していた以上に食料を消費するだろう。
実は、食料の問題については対処することが可能。
マティアスが移動ルートを確保してくれていて、途中にある補給地点で食料を用意してくれている。万が一に備えて、予定の人数分よりも多く用意してくれていた。
その予備を使えば、同行者が増えても食料に困ることはないだろう。
まさか、こうなることを予想してマティアスは大量の食料を事前に用意してくれていたのかしら。だとしたら、私は商人としてまだまだね。そして、先を読む力に優れた彼に対する尊敬の念を強めた。私も、いつか彼のような商人になりたい。
それから、もう一つの問題として彼らを信用してもいいのかどうか。
もしかすると、これは策略の可能性もある。こちらが油断したところで襲いかかってきて、全員を捕まえるつもりなのかもしれない。そう考えると、簡単に信じるわけにはいかない。
しかし、彼らの話を聞いているうちに策略の可能性は低いだろうと思った。王家や貴族に対する不満を語る彼らは、嘘をついているように見えなかったから。
それに、装備が貧弱なのも事実だ。それが偽装だとしても、戦いになった時にその装備では勝てるなんて思えなかった。戦いに関しては素人の私が見ても勝敗が分かるぐらい、王国兵士の武器や防具の品質が悪いのだ。
この前のアーヴァイン王子との会談で、私の部下が騎士の装備について指摘した。その時と同じように、今回も兵士の装備の質が悪い。あの時よりも、一層酷くなっている。アーヴァイン王子は、失敗したのに直そうとしなかったらしい。
それから、移動速度の問題もある。同行者が増えると、それだけ移動のスピードが落ちてしまう。第二第三の王国軍が追いかけてくる可能性を考えると、なるべく早く先へ進みたい。
しかし、王国軍の追手の可能性は低いようだ。
投降してきた王国の兵士の話によると、ほぼ全ての動かせる兵士を今回の作戦に投入されたそうだ。つまり現在、王国の兵士の大半が私のもとに居る。彼らが動かせる兵士が居ない。次の作戦を実行するためには、まず徴兵をして、戦いの準備を整える時間が必要。だから、しばらく追手が現れる可能性は低いという予想。
「彼は一体、何を考えているのかしら……」
私は思わず呟いた。アーヴァイン王子が、どういう理由で兵士たちに命令したのか分からない。なぜ、一気に兵士を投入してしまったのか。しかも、その兵士が戦いもせずに投降してきた。やっぱり何か企んでいるのではないか、と疑ってしまう。
色々と考えてみた結果、私は彼らを受け入れることに決めた。いくつかの問題は、対処できそうだから。
彼らを受け入れることによるメリットもあった。移住予定地には、労働力が必要になる。いくらあっても足りないぐらい、人手が欲しかったところだ。
なので、彼らを移住先まで連れて行って、仕事を与える。そうすれば、私も彼らも助かるし、お互いに利益があるはずだから。
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