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第28話 俺の居場所 ※デーヴィス視点
手紙を書き続けたが、彼女からの返事は一度もなかった。これはおかしい。きっと届いていないのだ。この手紙が彼女に届いているのなら、返事をくれるはずだから。
諦めたくはない。でも、この方法では絶対に無理だと気付いた。他のアプローチを考えないと。それまでは、父親に言われた通り大人しく待つことにした。
今は、タイミングが悪いんだ。きっと、チャンスが来る。そのチャンスを逃さないように耐える。いつか、シャロットと元通りになる日が来ると信じて。
そしてようやく、少しだけ自由に動くことが認められた。けれど、まだ焦らない。失敗してしまったら、また自由を制限されてしまう。
当主である父の言うことに従う。辛抱強く、タイミングが訪れるのを待った。
それから、しばらく時間が経過した。シャロットのことを想う日々を過ごす。
新しい婚約相手を探すため、パーティーに参加しろという指示を父より受ける。
俺の相手は、シャロットだけ。シャロット以外に興味はない。けど、仕方がない。今は素直に従っておこう。それが最善の選択だ。けれど勘違いしないでくれ。これは、表向きの行動だから。本心は違うから。
何度目かのパーティーに参加した時、シャロットを見かけた。俺はすぐに、彼女の姿を見つけることができた。
あの頃よりも美しくなっていて、素敵だった。彼女は、俺を覚えてくれているだろうか。忘れられているかも。そうだとしたら寂しい。
ここで再会したのも何かの縁だと思った俺は、勇気を出して話しかけることにした。
近寄って挨拶する。ようやく、俺の気持ちを伝えることができる。手紙では伝えられなかった。本当の感情。
「……だれだ」
俺の口から言葉が漏れた。彼女の隣に知らない男が立っていた。お前は誰だ!
そこは、俺の居場所。それを、見知らぬ誰かに奪われていた。そんなの、許されるはずがない。
あんな男が、どうして彼女の横に。きっと、シャロットは騙されているんだ。容姿に惑わされるなんて、シャロットらしくない。間違いは正さないと。
そして、俺の居場所を返してもらう。それで、全てがうまくいく。
「そこは、俺の居場所だ!」
「ッ!」
男に向けて怒鳴ったけど、シャロットが怖がっていた。今だけ許してくれ。すぐに終わるから。君を助けたら、ちゃんと謝るよ。
行く手を阻む男。邪魔だ、どけ。
その時、背後に気配があった。
「この愚か者め。大切な息子だからと思って、信じた私が馬鹿だったな。もっと早く処分しておくべきだった。後悔しても、もう遅いが」
「え」
父親の声が聞こえた。後ろにいるのは、父なのか。振り向こうとした時、頬に強烈な痛みを感じた。目の前が真っ暗になった。なんで。どうして……。
諦めたくはない。でも、この方法では絶対に無理だと気付いた。他のアプローチを考えないと。それまでは、父親に言われた通り大人しく待つことにした。
今は、タイミングが悪いんだ。きっと、チャンスが来る。そのチャンスを逃さないように耐える。いつか、シャロットと元通りになる日が来ると信じて。
そしてようやく、少しだけ自由に動くことが認められた。けれど、まだ焦らない。失敗してしまったら、また自由を制限されてしまう。
当主である父の言うことに従う。辛抱強く、タイミングが訪れるのを待った。
それから、しばらく時間が経過した。シャロットのことを想う日々を過ごす。
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俺の相手は、シャロットだけ。シャロット以外に興味はない。けど、仕方がない。今は素直に従っておこう。それが最善の選択だ。けれど勘違いしないでくれ。これは、表向きの行動だから。本心は違うから。
何度目かのパーティーに参加した時、シャロットを見かけた。俺はすぐに、彼女の姿を見つけることができた。
あの頃よりも美しくなっていて、素敵だった。彼女は、俺を覚えてくれているだろうか。忘れられているかも。そうだとしたら寂しい。
ここで再会したのも何かの縁だと思った俺は、勇気を出して話しかけることにした。
近寄って挨拶する。ようやく、俺の気持ちを伝えることができる。手紙では伝えられなかった。本当の感情。
「……だれだ」
俺の口から言葉が漏れた。彼女の隣に知らない男が立っていた。お前は誰だ!
そこは、俺の居場所。それを、見知らぬ誰かに奪われていた。そんなの、許されるはずがない。
あんな男が、どうして彼女の横に。きっと、シャロットは騙されているんだ。容姿に惑わされるなんて、シャロットらしくない。間違いは正さないと。
そして、俺の居場所を返してもらう。それで、全てがうまくいく。
「そこは、俺の居場所だ!」
「ッ!」
男に向けて怒鳴ったけど、シャロットが怖がっていた。今だけ許してくれ。すぐに終わるから。君を助けたら、ちゃんと謝るよ。
行く手を阻む男。邪魔だ、どけ。
その時、背後に気配があった。
「この愚か者め。大切な息子だからと思って、信じた私が馬鹿だったな。もっと早く処分しておくべきだった。後悔しても、もう遅いが」
「え」
父親の声が聞こえた。後ろにいるのは、父なのか。振り向こうとした時、頬に強烈な痛みを感じた。目の前が真っ暗になった。なんで。どうして……。
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