婚約相手と一緒についてきた幼馴染が、我が物顔で人の屋敷で暮らし、勝手に婚約破棄を告げてきた件について

キョウキョウ

文字の大きさ
28 / 31

第28話 俺の居場所 ※デーヴィス視点

 手紙を書き続けたが、彼女からの返事は一度もなかった。これはおかしい。きっと届いていないのだ。この手紙が彼女に届いているのなら、返事をくれるはずだから。

 諦めたくはない。でも、この方法では絶対に無理だと気付いた。他のアプローチを考えないと。それまでは、父親に言われた通り大人しく待つことにした。

 今は、タイミングが悪いんだ。きっと、チャンスが来る。そのチャンスを逃さないように耐える。いつか、シャロットと元通りになる日が来ると信じて。

 そしてようやく、少しだけ自由に動くことが認められた。けれど、まだ焦らない。失敗してしまったら、また自由を制限されてしまう。

 当主である父の言うことに従う。辛抱強く、タイミングが訪れるのを待った。

 それから、しばらく時間が経過した。シャロットのことを想う日々を過ごす。



 新しい婚約相手を探すため、パーティーに参加しろという指示を父より受ける。

 俺の相手は、シャロットだけ。シャロット以外に興味はない。けど、仕方がない。今は素直に従っておこう。それが最善の選択だ。けれど勘違いしないでくれ。これは、表向きの行動だから。本心は違うから。



 何度目かのパーティーに参加した時、シャロットを見かけた。俺はすぐに、彼女の姿を見つけることができた。

 あの頃よりも美しくなっていて、素敵だった。彼女は、俺を覚えてくれているだろうか。忘れられているかも。そうだとしたら寂しい。

 ここで再会したのも何かの縁だと思った俺は、勇気を出して話しかけることにした。

 近寄って挨拶する。ようやく、俺の気持ちを伝えることができる。手紙では伝えられなかった。本当の感情。

「……だれだ」

 俺の口から言葉が漏れた。彼女の隣に知らない男が立っていた。お前は誰だ!

 そこは、俺の居場所。それを、見知らぬ誰かに奪われていた。そんなの、許されるはずがない。

 あんな男が、どうして彼女の横に。きっと、シャロットは騙されているんだ。容姿に惑わされるなんて、シャロットらしくない。間違いは正さないと。

 そして、俺の居場所を返してもらう。それで、全てがうまくいく。

「そこは、俺の居場所だ!」
「ッ!」

 男に向けて怒鳴ったけど、シャロットが怖がっていた。今だけ許してくれ。すぐに終わるから。君を助けたら、ちゃんと謝るよ。

 行く手を阻む男。邪魔だ、どけ。

 その時、背後に気配があった。

「この愚か者め。大切な息子だからと思って、信じた私が馬鹿だったな。もっと早く処分しておくべきだった。後悔しても、もう遅いが」
「え」

 父親の声が聞こえた。後ろにいるのは、父なのか。振り向こうとした時、頬に強烈な痛みを感じた。目の前が真っ暗になった。なんで。どうして……。
感想 31

あなたにおすすめの小説

「通訳など辞書で足りる」と追放された令嬢——三国会談で、婚約者は一言も話せなくなった

歩人
ファンタジー
宮廷通訳官エレノーラは五つの言語を操り、婚約者クラウスの外交を陰で支えてきた。 だがクラウスは言った。「通訳など辞書で足りる。お前は要らない」 追放されたエレノーラは隣国で新たな道を歩み始める。 一方、クラウスは三国会談の場で辞書片手に立ち往生。 誤訳が外交問題に発展し、窮地に陥ったその場に、隣国の通訳官として現れたのは——。 「その言葉は、もう翻訳できません」

【完結】「お前に聖女の資格はない!」→じゃあ隣国で王妃になりますね

ぽんぽこ@3/28新作発売!!
恋愛
【全7話完結保証!】 聖王国の誇り高き聖女リリエルは、突如として婚約者であるルヴェール王国のルシアン王子から「偽聖女」の烙印を押され追放されてしまう。傷つきながらも母国へ帰ろうとするが、運命のいたずらで隣国エストレア新王国の策士と名高いエリオット王子と出会う。 「僕が君を守る代わりに、その力で僕を助けてほしい」 甘く微笑む彼に導かれ、戸惑いながらも新しい人生を歩み始めたリリエル。けれど、彼女を追い詰めた隣国の陰謀が再び迫り――!? 追放された聖女と策略家の王子が織りなす、甘く切ない逆転ロマンス・ファンタジー。

婚約破棄をされるのですね、そのお相手は誰ですの?

恋愛
フリュー王国で公爵の地位を授かるノースン家の次女であるハルメノア・ノースン公爵令嬢が開いていた茶会に乗り込み突如婚約破棄を申し出たフリュー王国第二王子エザーノ・フリューに戸惑うハルメノア公爵令嬢 この婚約破棄はどうなる? ザッ思いつき作品 恋愛要素は薄めです、ごめんなさい。

【本編完結】真実の愛を見つけた? では、婚約を破棄させていただきます

ハリネズミ
恋愛
「王妃は国の母です。私情に流されず、民を導かねばなりません」 「決して感情を表に出してはいけません。常に冷静で、威厳を保つのです」  シャーロット公爵家の令嬢カトリーヌは、 王太子アイクの婚約者として、幼少期から厳しい王妃教育を受けてきた。 全ては幸せな未来と、民の為―――そう自分に言い聞かせて、縛られた生活にも耐えてきた。  しかし、ある夜、アイクの突然の要求で全てが崩壊する。彼は、平民出身のメイドマーサであるを正妃にしたいと言い放った。王太子の身勝手な要求にカトリーヌは絶句する。  アイクも、マーサも、カトリーヌですらまだ知らない。この婚約の破談が、後に国を揺るがすことも、王太子がこれからどんな悲惨な運命なを辿るのかも―――

妹の方がかわいいからと婚約破棄されましたが、あとで後悔しても知りませんよ?

志鷹 志紀
恋愛
「すまない、キミのことを愛することができなくなった」  第二王子は私を謁見の間に連れてきて、そう告げた。 「つまり、婚約破棄ということですね。一応、理由を聞いてもよろしいですか?」 「キミの妹こそが、僕の運命の相手だったんだよ」 「そうですわ、お姉様」  王子は私の妹を抱き、嫌な笑みを浮かべている。 「ええ、私は構いませんけれど……あとで後悔しても知りませんよ?」  私だけが知っている妹の秘密。  それを知らずに、妹に恋をするなんて……愚かな人ですね。

姉の所為で全てを失いそうです。だから、その前に全て終わらせようと思います。もちろん断罪ショーで。

しげむろ ゆうき
恋愛
 姉の策略により、なんでも私の所為にされてしまう。そしてみんなからどんどんと信用を失っていくが、唯一、私が得意としてるもので信じてくれなかった人達と姉を断罪する話。 全12話

婚約破棄?私の婚約者はアナタでは無い  リメイク版 【完結】

翔千
恋愛
「ジュディアンナ!!!今この時、この場をもって、貴女の婚約を破棄させてもらう!!」 エンミリオン王国王妃の誕生日パーティーの最中、王国第2王子にいきなり婚約破棄を言い渡された、マーシャル公爵の娘、ジュディアンナ・ルナ・マーシャル。 王子の横に控える男爵令嬢、とても可愛いらしいですね。 ところで、私は第2王子と婚約していませんけど? 諸事情で少しリメイクさせてもらいました。 皆様の御目に止まっていただけたら幸いです。

元婚約者がマウント取ってきますが、私は王子殿下と婚約しています

マルローネ
恋愛
「私は侯爵令嬢のメリナと婚約することにした! 伯爵令嬢のお前はもう必要ない!」 「そ、そんな……!」 伯爵令嬢のリディア・フォルスタは婚約者のディノス・カンブリア侯爵令息に婚約破棄されてしまった。 リディアは突然の婚約破棄に悲しむが、それを救ったのは幼馴染の王子殿下であった。 その後、ディノスとメリナの二人は、惨めに悲しんでいるリディアにマウントを取る為に接触してくるが……。