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第4話 罵詈雑言
「なぜ、わざわざ私がそんな事をするとお思いで?」
「だから、貴様がリザベットに嫉妬してッ!」
嫉妬するもなにも、彼女との接点はない。それに、嫉妬する意味もわからないし、そもそも彼女が誰なのか知らなかったのに。
「私は、嫉妬などしていませんわ。ギオマスラヴ様もおっしゃった通り、政略のために決められた相手でしたから。嫉妬するほど、貴方に好意を抱いたことはありませんもの」
「なっ――!?」
言い返すと、ギオマスラヴ様が殺気を放ちながら睨みつけてきた。あら、怖い。そんなに、彼のプライドを傷つけてしまったかしら。
「黙れっ! この醜い豚がっ! 王太子である私が婚約者として今まで付き合ってきてやったというのに、恩も忘れて勝手なことを抜かしやがって!」
「……」
彼の口から出てきた言葉に唖然とする。なんて酷い言葉なのかしら。聞き間違いすら疑うような、信じられない暴言だった。付き合ってきた恩というが、そんなのを感じたことは今までに一度もない。彼は正気じゃない。
そして、それを横で聞いて微笑んでいる男爵令嬢の反応も信じられなかった。同じ人間とは思えないぐらい、理解不能。なんで、この状況でそんな表情を浮かべられるの。
これ以上、彼と真面目に話をしても無駄でしょうね。そう考えていると、さらに彼は酷い言葉で罵ってきた。
「イステリッジ公爵家の劣等貴族どもが、王家に頼っている分際で! さっさと、この場から立ち去れッ!!」
酷い言葉を吐き捨てる。その態度が、本当に信じられない。彼は、王家とイステリッジ公爵家の関係をわかっていないのかしら。両家の関係や今までの歴史を知らないなんて、そんな事ありえるの?
いいえ。今は彼が何を考えているのか別に、どうでもいい。早く、この場から立ち去るのが賢明ね。彼と一緒に居るだけで、こちらの精神までおかしくなりそうだわ。
「……かしこまりました。婚約破棄の件については、陛下とイステリッジ公爵家当主が話し合って最終的な判断を下すでしょう。この会場で、今の話を聞いていた皆様も証人になってくださるでしょうから、スムーズに話がまとまると思います」
「ふんッ! 当然だ!」
腕を組んで見下すようにして、鼻で笑われた。自分が正しいと、信じ切っている。
本当に、この男は……ッ! 漏れそうになる怒りを必死で抑え込む。つられて怒るのは愚の骨頂。目の前の愚か者と同じ低さへ降りていく必要は、どこにもない。私は冷静になって、話し続ける。
「それから、公の場で私とイステリッジ公爵家を侮辱したことについて、ギオマスラヴ様には責任を取っていただきます。そのつもりで」
「なんだと? どういうことだ!」
「それでは、ごきげんよう」
再び怒り出した彼の質問には答えず背を向けて、私は歩き出す。
「おい、待てっ! エルミリア!!」
立ち去れと言ったり、待てと言ったり。忙しい人ね。
もう、話すことなど何もないから。後ろから、怒り狂った男の声が聞こえてくる。そんな声など無視して、私はその場から離れた。
それにしても、これまでの恩を仇で返されるとは思わなかった。こんな事になるなら、最初からイステリッジ公爵家は王家との関係を続けるべきじゃなかったわね。もっと早く、関係を断つべきだったわ。
お父様は、今回の件をうまく利用するでしょう。
イステリッジ公爵家を敵に回したこと、身をもって知ればよいのです。あの男がキッカケになって、ローレタウ王国は大きく変化していくことになる。もちろん、彼らにとっては悪い方向へ。
そうなればいいと、心の底から思う。私は、それを眺めて楽しませてもらおうかと思った。
「だから、貴様がリザベットに嫉妬してッ!」
嫉妬するもなにも、彼女との接点はない。それに、嫉妬する意味もわからないし、そもそも彼女が誰なのか知らなかったのに。
「私は、嫉妬などしていませんわ。ギオマスラヴ様もおっしゃった通り、政略のために決められた相手でしたから。嫉妬するほど、貴方に好意を抱いたことはありませんもの」
「なっ――!?」
言い返すと、ギオマスラヴ様が殺気を放ちながら睨みつけてきた。あら、怖い。そんなに、彼のプライドを傷つけてしまったかしら。
「黙れっ! この醜い豚がっ! 王太子である私が婚約者として今まで付き合ってきてやったというのに、恩も忘れて勝手なことを抜かしやがって!」
「……」
彼の口から出てきた言葉に唖然とする。なんて酷い言葉なのかしら。聞き間違いすら疑うような、信じられない暴言だった。付き合ってきた恩というが、そんなのを感じたことは今までに一度もない。彼は正気じゃない。
そして、それを横で聞いて微笑んでいる男爵令嬢の反応も信じられなかった。同じ人間とは思えないぐらい、理解不能。なんで、この状況でそんな表情を浮かべられるの。
これ以上、彼と真面目に話をしても無駄でしょうね。そう考えていると、さらに彼は酷い言葉で罵ってきた。
「イステリッジ公爵家の劣等貴族どもが、王家に頼っている分際で! さっさと、この場から立ち去れッ!!」
酷い言葉を吐き捨てる。その態度が、本当に信じられない。彼は、王家とイステリッジ公爵家の関係をわかっていないのかしら。両家の関係や今までの歴史を知らないなんて、そんな事ありえるの?
いいえ。今は彼が何を考えているのか別に、どうでもいい。早く、この場から立ち去るのが賢明ね。彼と一緒に居るだけで、こちらの精神までおかしくなりそうだわ。
「……かしこまりました。婚約破棄の件については、陛下とイステリッジ公爵家当主が話し合って最終的な判断を下すでしょう。この会場で、今の話を聞いていた皆様も証人になってくださるでしょうから、スムーズに話がまとまると思います」
「ふんッ! 当然だ!」
腕を組んで見下すようにして、鼻で笑われた。自分が正しいと、信じ切っている。
本当に、この男は……ッ! 漏れそうになる怒りを必死で抑え込む。つられて怒るのは愚の骨頂。目の前の愚か者と同じ低さへ降りていく必要は、どこにもない。私は冷静になって、話し続ける。
「それから、公の場で私とイステリッジ公爵家を侮辱したことについて、ギオマスラヴ様には責任を取っていただきます。そのつもりで」
「なんだと? どういうことだ!」
「それでは、ごきげんよう」
再び怒り出した彼の質問には答えず背を向けて、私は歩き出す。
「おい、待てっ! エルミリア!!」
立ち去れと言ったり、待てと言ったり。忙しい人ね。
もう、話すことなど何もないから。後ろから、怒り狂った男の声が聞こえてくる。そんな声など無視して、私はその場から離れた。
それにしても、これまでの恩を仇で返されるとは思わなかった。こんな事になるなら、最初からイステリッジ公爵家は王家との関係を続けるべきじゃなかったわね。もっと早く、関係を断つべきだったわ。
お父様は、今回の件をうまく利用するでしょう。
イステリッジ公爵家を敵に回したこと、身をもって知ればよいのです。あの男がキッカケになって、ローレタウ王国は大きく変化していくことになる。もちろん、彼らにとっては悪い方向へ。
そうなればいいと、心の底から思う。私は、それを眺めて楽しませてもらおうかと思った。
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