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第8話 賠償についての話し合い ※第三者視点
「この度の件について、誠に申し訳なかった。わが愚息がそなたの令嬢を酷く扱ったこと、深くお詫びする。弁解の余地もないが、どうか許してほしい」
ローレタウ王国の王と、イステリッジ公爵家の当主が向かい合って座る中、国王は謝罪の言葉を口にした。会談を警護する兵士たちも見守る中、国王はテーブルに手をついて頭を下げている。
王族が貴族に。普通ならばありえないほど、徹底的な謝罪だった。それだけローレタウ王国の王は、今回の件を重く受け止めているということ。それを態度で示した。
イステリッジ公爵家の当主は、深々と頭を下げる国王を目にしても表情を変えなかった。淡々と言葉を紡ぐ。
「ローレタウ王国の一貴族でしかない私に、一国の王である貴方がそこまで謝罪する必要など、ないでしょう。頭を上げてください」
さっさと頭を上げるように促した。そんな事で、今回の件を水に流すつもりは一切ない。誠意を見せて話し合いを有利に進めようとする、国王の腹積もりを理解していた。
「我が娘の婚約破棄について、あのような形で一方的に告げられたこと、そして冤罪を着せられて、名誉まで傷つけられたこと、誠に遺憾であります。この件につきましては、相応の償いを要求させていただきたい」
「……承知している。どのような処罰でも受ける所存だ」
公爵家当主の言葉を受けて、国王は苦しげな表情で答えた。それを聞いて、イステリッジ公爵家の当主は表情を変えずに内心でニヤリと笑う。求めていた展開だった。
「では、賠償としてイステリッジ公爵家が王家に支援してきた過去15年分の金額を返還していただきましょうか。具体的な金額については、こちらにまとめてありますので、ご確認ください」
イステリッジ公爵家の令嬢と、王太子が婚約していた期間の15年分の支援金。それを返してもらう。
公爵家の当主は、懐から書類を取り出した。それをテーブルの上に、静かに置いた。その書類の内容を見て、国王は驚く。これまでイステリッジ公爵家が王家に対して行ってきた援助金が書かれていた。それが、予想していた以上の金額だったから。
「こ、これは……。こんな、高額……」
苦しそうな小声で呟いた王。彼は、実際の数字を目にして驚いた。たった15年間で、こんなに莫大な金額になるなんて。自分が把握している金額と、大きな差があった。その差は、想定外である。
イステリッジ公爵家の当主が出してきた金額だから、間違いはないはず。騙そうなんて、そんな下劣なやり方をする男じゃない。そう信じている国王。だからこそ、提示された金額に度肝を抜かれた。
返せと言われたら、返すしかない。そういう契約だった。だけど。
「申し訳ないが、これほどの金額を支払う余裕は我が王家には……」
「無理ですか? それは困りましたね……。どうしましょう?」
国王の言葉を聞いた公爵家当主はわざとらしく、困惑した表情を浮かべた。もちろん、王家の財政状況を把握している公爵家当主は、賠償金の支払いが不可能であることなど理解していた。国王が、どういう判断を下すのか興味を持って聞いただけである。そして、想定していた答えが返ってきた。
この先の展開も、公爵家当主は読んでいた。
「……」
「……」
それから少しの間、沈黙が流れる。部屋に、嫌な雰囲気と緊張感が漂う。先に口を開いたのは、公爵家当主。
「では、支援金の返還ではなく、別の形で償ってもらいましょうか」
「別の形、とは?」
公爵家当主の提案を、すがるようにして聞き返してしまう国王。
「イステリッジ公爵家が統治する領土の主権を認めていただきたい」
「そ、それは……!?」
王家が、イステリッジ公爵家に領土の主権を譲渡する。そんな事をすれば、ローレタウ王国の支配から完全に脱してしまう。関係が完全に断ち切れてしまう。
王国内で一番栄えている領地。そこからの税収が途絶えれば、王国の運営にも大きな影響があるだろう。
それだけは避けなければならない。しかし、他に賠償する方法が思いつかない。公爵家当主の提案に従うしかなかった。
「それから」
消沈する国王に対して、公爵家当主が続けて言う。話は、それで終わりではなかった。
ローレタウ王国の王と、イステリッジ公爵家の当主が向かい合って座る中、国王は謝罪の言葉を口にした。会談を警護する兵士たちも見守る中、国王はテーブルに手をついて頭を下げている。
王族が貴族に。普通ならばありえないほど、徹底的な謝罪だった。それだけローレタウ王国の王は、今回の件を重く受け止めているということ。それを態度で示した。
イステリッジ公爵家の当主は、深々と頭を下げる国王を目にしても表情を変えなかった。淡々と言葉を紡ぐ。
「ローレタウ王国の一貴族でしかない私に、一国の王である貴方がそこまで謝罪する必要など、ないでしょう。頭を上げてください」
さっさと頭を上げるように促した。そんな事で、今回の件を水に流すつもりは一切ない。誠意を見せて話し合いを有利に進めようとする、国王の腹積もりを理解していた。
「我が娘の婚約破棄について、あのような形で一方的に告げられたこと、そして冤罪を着せられて、名誉まで傷つけられたこと、誠に遺憾であります。この件につきましては、相応の償いを要求させていただきたい」
「……承知している。どのような処罰でも受ける所存だ」
公爵家当主の言葉を受けて、国王は苦しげな表情で答えた。それを聞いて、イステリッジ公爵家の当主は表情を変えずに内心でニヤリと笑う。求めていた展開だった。
「では、賠償としてイステリッジ公爵家が王家に支援してきた過去15年分の金額を返還していただきましょうか。具体的な金額については、こちらにまとめてありますので、ご確認ください」
イステリッジ公爵家の令嬢と、王太子が婚約していた期間の15年分の支援金。それを返してもらう。
公爵家の当主は、懐から書類を取り出した。それをテーブルの上に、静かに置いた。その書類の内容を見て、国王は驚く。これまでイステリッジ公爵家が王家に対して行ってきた援助金が書かれていた。それが、予想していた以上の金額だったから。
「こ、これは……。こんな、高額……」
苦しそうな小声で呟いた王。彼は、実際の数字を目にして驚いた。たった15年間で、こんなに莫大な金額になるなんて。自分が把握している金額と、大きな差があった。その差は、想定外である。
イステリッジ公爵家の当主が出してきた金額だから、間違いはないはず。騙そうなんて、そんな下劣なやり方をする男じゃない。そう信じている国王。だからこそ、提示された金額に度肝を抜かれた。
返せと言われたら、返すしかない。そういう契約だった。だけど。
「申し訳ないが、これほどの金額を支払う余裕は我が王家には……」
「無理ですか? それは困りましたね……。どうしましょう?」
国王の言葉を聞いた公爵家当主はわざとらしく、困惑した表情を浮かべた。もちろん、王家の財政状況を把握している公爵家当主は、賠償金の支払いが不可能であることなど理解していた。国王が、どういう判断を下すのか興味を持って聞いただけである。そして、想定していた答えが返ってきた。
この先の展開も、公爵家当主は読んでいた。
「……」
「……」
それから少しの間、沈黙が流れる。部屋に、嫌な雰囲気と緊張感が漂う。先に口を開いたのは、公爵家当主。
「では、支援金の返還ではなく、別の形で償ってもらいましょうか」
「別の形、とは?」
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