9 / 33
第9話 真実の愛を貫いて ※第三者視点
しおりを挟む
「王太子殿下の身分については、そのまま変えずに維持して頂きたい。つまり今回の件で、ギオマスラヴ様の王位継承権を剥奪しないでほしいのです」
あんな愚かな事件を起こしたのだから、王位継承権を剥奪する処分が妥当だろう。処刑も考えるぐらいの行為。公爵家当主は、処刑を求めてくると思っていた。それが逆に、何の処分もしないでほしいと要求されるなんて、想定外だった。
「……どういう事だ?」
イステリッジ公爵家の当主が一体何を考えているのか分からなくて、国王は理由が知りたかった。だから彼は聞いた。どうして処罰を求めないのか。そう問うと、公爵家の当主は国王に続けてお願いした。
「ルシヨンヌ男爵令嬢との婚約も進めて下さい。どうやら、その女性が殿下にとって運命の相手らしいのです。ぜひ、その愛を成就させてあげてください。そして、その女性を将来の妃に迎え入れてほしいんです」
「それは、あれらが勝手に言っているだけで。私は、認めてなどいない……」
運命の相手なんて、馬鹿馬鹿しい。真実の愛など、何も知らない愚かな息子が思い込みで言っただけ。それを認めるなんて、とても嫌な選択を提示された。
「殿下は、イステリッジ公爵家も侮辱されたようですね。その件についての賠償も話し合う必要がありますか」
「……わかった。息子の身分と婚約相手について、認めよう」
今現在、ギオマスラヴ王子の他に王位を継承できるような候補者が居ない。政務能力や健康面、年齢などの問題で、彼以外の人物に王位を譲るのは厳しいと判断が下されていた。でもまさか、性格面に大きな問題があったと発覚して、見直す必要を少し感じていた。
だが、後任候補の選定は非常に困難で大変な作業だ。選定のための人員や、お金も必要になる。だから、このままギオマスラヴを王太子としておくほうが、面倒が少なくて済む。そんな考えが、国王の頭の中を占めていた。だから、公爵家当主の提案を即座に受け入れた。
拒否しても、賠償の問題を持ち出される。選択の余地はない。
これでローレタウ王国の未来は非常に暗いものになるだろうと、国王は思った。
イステリッジ公爵家の当主は、ローレタウ王国を滅亡させようと企んでいるのではないか。愚か者に王位を継がせて、国を混乱させる。そして、自分が実権を握るために暗躍しようと企てている。国王は疑うが、受け入れるしかない。
むしろ、イステリッジ公爵家の当主が実権を握ったほうが、ローレタウ王国の未来は上手くいくかもしれない。そこまで考えて、余計なことを言わないように国王は口を閉じる。
ギオマスラヴには再教育を行い、男爵令嬢には王妃としての教育を急いで施す。それで、どうにかするしかなかった。残された時間は短いが、どうにかするしか。
賠償についての話し合いが終わって、書類にサインをする。領地の件と、王太子の身分に関する内容。それを確認してから、イステリッジ公爵家の当主は席を立った。
「ては、失礼します」
丁寧な挨拶をして、二度と振り返らずに退出していくイステリッジ公爵家の当主。彼を見送った後、1人になった国王はため息をついた。頼りになる臣下が去ってしまった。自分の息子のせいで。そして、これから先も息子は問題を起こすだろう。それを止めることが出来るのだろうか。
この先、どうなってしまうのかと国王は不安に思うのだった。
あんな愚かな事件を起こしたのだから、王位継承権を剥奪する処分が妥当だろう。処刑も考えるぐらいの行為。公爵家当主は、処刑を求めてくると思っていた。それが逆に、何の処分もしないでほしいと要求されるなんて、想定外だった。
「……どういう事だ?」
イステリッジ公爵家の当主が一体何を考えているのか分からなくて、国王は理由が知りたかった。だから彼は聞いた。どうして処罰を求めないのか。そう問うと、公爵家の当主は国王に続けてお願いした。
「ルシヨンヌ男爵令嬢との婚約も進めて下さい。どうやら、その女性が殿下にとって運命の相手らしいのです。ぜひ、その愛を成就させてあげてください。そして、その女性を将来の妃に迎え入れてほしいんです」
「それは、あれらが勝手に言っているだけで。私は、認めてなどいない……」
運命の相手なんて、馬鹿馬鹿しい。真実の愛など、何も知らない愚かな息子が思い込みで言っただけ。それを認めるなんて、とても嫌な選択を提示された。
「殿下は、イステリッジ公爵家も侮辱されたようですね。その件についての賠償も話し合う必要がありますか」
「……わかった。息子の身分と婚約相手について、認めよう」
今現在、ギオマスラヴ王子の他に王位を継承できるような候補者が居ない。政務能力や健康面、年齢などの問題で、彼以外の人物に王位を譲るのは厳しいと判断が下されていた。でもまさか、性格面に大きな問題があったと発覚して、見直す必要を少し感じていた。
だが、後任候補の選定は非常に困難で大変な作業だ。選定のための人員や、お金も必要になる。だから、このままギオマスラヴを王太子としておくほうが、面倒が少なくて済む。そんな考えが、国王の頭の中を占めていた。だから、公爵家当主の提案を即座に受け入れた。
拒否しても、賠償の問題を持ち出される。選択の余地はない。
これでローレタウ王国の未来は非常に暗いものになるだろうと、国王は思った。
イステリッジ公爵家の当主は、ローレタウ王国を滅亡させようと企んでいるのではないか。愚か者に王位を継がせて、国を混乱させる。そして、自分が実権を握るために暗躍しようと企てている。国王は疑うが、受け入れるしかない。
むしろ、イステリッジ公爵家の当主が実権を握ったほうが、ローレタウ王国の未来は上手くいくかもしれない。そこまで考えて、余計なことを言わないように国王は口を閉じる。
ギオマスラヴには再教育を行い、男爵令嬢には王妃としての教育を急いで施す。それで、どうにかするしかなかった。残された時間は短いが、どうにかするしか。
賠償についての話し合いが終わって、書類にサインをする。領地の件と、王太子の身分に関する内容。それを確認してから、イステリッジ公爵家の当主は席を立った。
「ては、失礼します」
丁寧な挨拶をして、二度と振り返らずに退出していくイステリッジ公爵家の当主。彼を見送った後、1人になった国王はため息をついた。頼りになる臣下が去ってしまった。自分の息子のせいで。そして、これから先も息子は問題を起こすだろう。それを止めることが出来るのだろうか。
この先、どうなってしまうのかと国王は不安に思うのだった。
325
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、愛のない契約結婚を選んだはずでした
鍛高譚
恋愛
王太子の婚約者だった伯爵令嬢・カーテンリンゼ。
しかし、王太子エドワルドは突然の婚約破棄を言い渡し、彼女を冷たく突き放す。
――だが、それは彼女にとってむしろ好都合だった。
「婚約破棄? 結構なことですわ。むしろ自由を満喫できますわね!」
ところが、婚約破棄された途端、カーテンリンゼは別の求婚者たちに目をつけられてしまう。
身分を利用されるだけの結婚などごめんだと思っていた彼女の前に現れたのは、冷徹と噂される若き公爵・レオポルド。
「契約結婚だ。君の自由は保証しよう」
「まあ、それは理想的ですわね」
互いに“愛のない”結婚を選んだ二人だったが、次第に相手の本当の姿を知り、想いが変わっていく――。
一方、王太子エドワルドは、自分が捨てたはずのカーテンリンゼを取り戻そうと動き出し……!?
父母に見捨てられ、妹に婚約者を奪われ、妹の奸計で魔竜の生贄にされた王太女だが、皇太子に溺愛される。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
父母に見捨てられ妹ミアに婚約者を奪われたばかりか、女王の座を狙うミアの奸計で魔竜の生贄として魔境に追いやられた王太女イザベラだったが、偶然魔竜を斃しに来ていた金色の聖騎士に助けられた。だが金色の騎士はただの騎士ではなく、大陸一の強国ウィロウビー皇国の皇太子だった。
『婚約破棄された令嬢ですが、気づけば王国の基準になっていました』
ふわふわ
恋愛
公開の場で婚約破棄された伯爵令嬢セレスティア。
感情に溺れることなく彼女が選んだのは、王都を去ることでも復讐でもなく――王国の財政を立て直すという、最も冷静で最も残酷な道だった。
港湾優遇策による揺さぶり、商会の流出圧力、貴族の反発、制度への不信、そして他国との経済圏構想。
次々と襲いかかる試練の中で、彼女が守り続けたのはただ一つ――「揺らがぬ基準」。
短期の利益ではなく、持続する構造。
称賛ではなく、透明性。
権力ではなく、制度。
やがて王国は、規模ではなく“基準”で選ばれる国へと変わっていく。
そして気づけば、かつて婚約を破棄した者たちは、彼女の築いた秩序の上で判断を仰ぐ立場になっていた。
これは、感情でざまあする物語ではない。
静かに、確実に、世界の重心を塗り替えていく令嬢の逆転譚。
揺れながらも崩れない王国と、選び続ける一人の令嬢の物語。
なんでも私のせいにする姉に婚約者を奪われました。分かり合えることはなさそうなので、姉妹の関係を終わらせようと思います。
冬吹せいら
恋愛
侯爵家令嬢のミゼス・ワグナーは、何かあるとすぐに妹のリズのせいにして八つ当たりをした。
ある日ミゼスは、リズの態度に腹を立て、婚約者を奪おうとする。
リズはこれまで黙って耐えていた分、全てやり返すことにした……。
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
婚約破棄が私を笑顔にした
夜月翠雨
恋愛
「カトリーヌ・シャロン! 本日をもって婚約を破棄する!」
学園の教室で婚約者であるフランシスの滑稽な姿にカトリーヌは笑いをこらえるので必死だった。
そこに聖女であるアメリアがやってくる。
フランシスの瞳は彼女に釘付けだった。
彼女と出会ったことでカトリーヌの運命は大きく変わってしまう。
短編を小分けにして投稿しています。よろしくお願いします。
「君の話はつまらない」と言われて婚約を破棄されましたが、本当につまらないのはあなたの方ですよ。
冬吹せいら
恋愛
「君の話はつまらない」
公爵令息のハメッド・リベルトンに婚約破棄をされた伯爵令嬢、リゼッタ・アリスベル。
リゼッタは聡明な美少女だ。
しかし、ハメッドはそんなリゼッタと婚約を破棄し、子爵令嬢のアイナ・ゴールドハンと婚約を結び直す。
その一方、リゼッタに好意を寄せていた侯爵家の令息が、彼女の家を訪れて……?
許すかどうかは、あなたたちが決めることじゃない。ましてや、わざとやったことをそう簡単に許すわけがないでしょう?
珠宮さくら
恋愛
婚約者を我がものにしようとした義妹と義母の策略によって、薬品で顔の半分が酷く爛れてしまったスクレピア。
それを知って見舞いに来るどころか、婚約を白紙にして義妹と婚約をかわした元婚約者と何もしてくれなかった父親、全員に復讐しようと心に誓う。
※全3話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる