残念ながら、契約したので婚約破棄は絶対です~前の関係に戻るべきだと喚いても、戻すことは不可能ですよ~

キョウキョウ

文字の大きさ
15 / 31

第15話 切り捨てる時 ※レイティア視点

しおりを挟む
「どうしよう、レイティア?」

 目の前でオロオロしているランドリックを見る。どうやら彼は、次期当主の座から降ろされてしまったそうだ。

 どうするかなんて、自分で考えないとダメでしょ。私を頼ろうとするなんて、情けない男ね。彼に対する評価が一気に下がる。気持ちも冷めてしまった。

 これまで彼には利用価値があった。メディチ公爵家の長男で、次期当主という地位にある彼の存在は非常に重宝されるものだった。そんなランドリックと一緒になれば、私も楽しく過ごせるだろうと思っていたのに。

 今のランドリックの姿を見ると、雲行きが怪しいわね。まだ彼と一緒にいるべきかどうか、私は判断しないといけない。その価値があるかどうか。

 もう目的は果たせたから。彼にアンリエッタを捨てさせる。その時の彼女の表情を見れただけで、満足すべきなのかもしれない。

 私の想像と違い、あの女は余裕そうだったけど。でもきっとあれは、強がっていただけでしょ。だって彼女は、貴族の身分を捨てて平民になるなんて契約した。

 あの女が平民になるなんて想定外だけど、とても愉快な結果になってくれた。あの澄ました顔がどうなるのか、とても興味がある。

 とにかく、ランドリックは見限って、別の男を探すべきかもしれない。せっかく、いい男を捕まえたと思ったのに。残念ね。

「何か、いい方法はないか? レイティア」
「そうですね……」

 私に聞いてばかりで、自分で考える気はないのかしら。そう言いたくなる気持ちをグッと抑えて、考えてみる。

 とりあえず適当に、私に迷惑のかからないように。

「今動くのは得策ではありません。じっとして様子を見るべきです。私との結婚も、しばらく先送りにしましょう。その方が安全かと」
「……そうだな。わかった、そうしよう」

 そう言うと、ランドリックは頷いた。それから、安心したように表情を緩ませた。まだ何も解決していないのに、お気楽ね。

 私の言うことを聞いて、動いてくれそう。扱いやすいのはいいけれど、頼りない。やっぱり、彼との関係は一旦白紙に戻した方がいいかしら。

 しばらく付き合いながら、徐々に距離を置く方が良さそうね。こんな男と一緒に、人生を失敗するなんてごめんよ。

「やはり、レイティアは頼りになるよ! これから先、どんな困難があっても二人で乗り越えていけそうだな」
「……そうですね」

 この前、私が言った言葉。けれども今の私は、その気持ちが薄れてしまっていた。それに気付く様子もないランドリック。この男では頼りにならないわ。もっと優秀な人がいい。

 そんな本音を隠しながら、曖昧な笑みを浮かべて誤魔化しておく。それに満足したようで、ランドリックはとても嬉しそうな顔をしていた。
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

妹の嘘を信じた婚約者から責められたうえ婚約破棄されましたが、救いの手が差し伸べられました!? ~再会から幕開ける希望ある未来への道~

四季
恋愛
ダリア・フィーオンはある日のパーティー中に王子であり婚約者でもあるエーリオ・ディッセンヴォフから婚約破棄を告げられた。 しかもその決定の裏には、ダリアの妹であるローズの嘘があり。 婚約者と実妹の両方から傷つけられることとなってしまうダリアだった。 ただ、そんな時、一人の青年が現れて……。

やり直し悪女は転生者のヒロインと敵対する

光子
恋愛
ああ、どうしてこんなことになってしまったんだろう…… 断頭台を登る足が震える。こんなところで死にたくないと、心の中で叫んでいる。 「《シルラ》、君は皇妃に相応しくない! その罪を悔い、死で償え!」 私に無情にも死を告げるのは、私の夫である《キッサリナ帝国》の皇帝陛下 《グラレゴン》で、その隣にいるのは、私の代わりに皇妃の座に収まった、《美里(みさと)》と呼ばれる、異世界から来た転生者だった。 「さようならシルラ、また、来世で会えたら会いましょうね。その時には、仲良くしてくれたら嬉しいな!」 純粋無垢な笑顔を浮かべ、私にお別れを告げる美里。 今の人生、後悔しかない。 もしやり直せるなら……今度こそ間違えない! 私は、私を大切に思う人達と、自分の幸せのために生きる! だから、お願いです女神様、私の人生、もう一度やり直させて……! 転生者という、未来が分かる美里に対抗して、抗ってみせるから! 幸せになってみせるから! 大切な人を、今度こそ間違えたりしないから! 私の一度目の人生は幕を閉じ―――― ――――次に目を覚ました時には、私は生家の自分の部屋にいた。女神様の気まぐれか、女神様は、私の願いを叶えて下さったのだ。 不定期更新。 この作品は私の考えた世界の話です。魔物もいます。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

【完結】その人が好きなんですね?なるほど。愚かな人、あなたには本当に何も見えていないんですね。

新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。 1作品数話(5000文字程度)の予定です。

婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。

松ノ木るな
恋愛
 純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。  伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。  あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。  どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。  たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。

「婚約破棄だ」と笑った元婚約者、今さら跪いても遅いですわ

ゆっこ
恋愛
 その日、私は王宮の大広間で、堂々たる声で婚約破棄を宣言された。 「リディア=フォルステイル。お前との婚約は――今日をもって破棄する!」  声の主は、よりにもよって私の婚約者であるはずの王太子・エルネスト。  いつもは威厳ある声音の彼が、今日に限って妙に勝ち誇った笑みを浮かべている。  けれど――。 (……ふふ。そう来ましたのね)  私は笑みすら浮かべず、王太子をただ静かに見つめ返した。  大広間の視線が一斉に私へと向けられる。  王族、貴族、外交客……さまざまな人々が、まるで処刑でも始まるかのように期待の眼差しを向けている。

婚約破棄でかまいません!だから私に自由を下さい!

桗梛葉 (たなは)
恋愛
第一皇太子のセヴラン殿下の誕生パーティーの真っ最中に、突然ノエリア令嬢に対する嫌がらせの濡れ衣を着せられたシリル。 シリルの話をろくに聞かないまま、婚約者だった第二皇太子ガイラスは婚約破棄を言い渡す。 その横にはたったいまシリルを陥れようとしているノエリア令嬢が並んでいた。 そんな2人の姿が思わず溢れた涙でどんどんぼやけていく……。 ざまぁ展開のハピエンです。

【完結】急に態度を変えて来られても貴方のことは好きでも何でもありません!

珊瑚
恋愛
太っているせいで婚約者に罵られていたシャーロット。見切りをつけ、婚約破棄の書類を纏め、友達と自由に遊んだり、関係改善を諦めたら一気に激痩せ。今更態度を変えてきましたが私の貴方への気持ちが変わることは金輪際ありません。

お前との婚約は、ここで破棄する!

ねむたん
恋愛
「公爵令嬢レティシア・フォン・エーデルシュタイン! お前との婚約は、ここで破棄する!」  華やかな舞踏会の中心で、第三王子アレクシス・ローゼンベルクがそう高らかに宣言した。  一瞬の静寂の後、会場がどよめく。  私は心の中でため息をついた。

処理中です...