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第18話 とあるお客様について
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忙しいお昼時が終わって、しばらく落ち着けそうな時間になった。頑張ってくれた従業員たちに休憩を指示して、休んでもらう。
「お疲れ様。今のうちにお昼ご飯を食べてきて」
「ありがとうございます、店長。それでは、お言葉に甘えて」
まだ数人のお客様が店内で食事したり、まったりした時間を過ごしている。注文があった場合に対応するため、何人かは店内に残った。私も残る。
順番に休憩しながら、夕方に備える。お店は開いているので、少し遅めのお客様がいらっしゃる時もあって、対応しなくてはいけない。
入り口のベルが鳴った。今日も、遅めのお客様がいらしたので対応する。
「いらっしゃいませ。開いている席に、ご自由にどうぞ」
初めて見る、若い男性だった。遠くから来た商人だろうか。背が高く、鍛えているのがわかる体つき。がっしりとした体格をしていた。商人ではなく、傭兵か冒険者かもしれない。
カウンター席に座ったので、注文を伺うために近寄る。その時に私は気付いた。
「!?」
声を出さないように、なんとか抑えた。表情には出てしまったかもしれない。
驚きそうになったのは、私はその男性を知っていたから。彼を見たことがあった。私が貴族だった頃に。
「……」
向こうも、私の顔を見てくる。視線が絡み合った。彼は私のことを覚えているのか。どうして、この店に訪れたのか。偶然入ってきた、ということはある得るのか。様々な考えが巡り、しばらく黙って見つめ合ってしまった。
ダメよ。今の自分の立場を思い出して、私はカフェの店長として対応する。
「ご注文は?」
「えーっと、じゃあ」
メニュー表を手に取り、注文を選ぶ。すぐに、「コーヒーを」と短く告げる。
「ご注文はコーヒーですね。それでは、しばらくお待ちください」
注文を受けて、コーヒーを淹れる準備をする。彼は何も言わなかった。覚えていないのかしら。もしかしたら、人違いかも。彼が普通の格好をして、こんなお店を訪れるはずがない。公爵家のご子息である彼が、庶民のお店に訪れるなんて。
だけど彼は、庶民のようにカフェを利用している。慣れているようだ。
「お待たせしました。ご注文のコーヒーです」
「ありがとう。とても美味しそうだ」
「ごゆっくり、お過ごしください」
注文の品を運ぶ時に、もう一度確認してみる。間違いなく彼だった。ルニュルス家のユーグ様。でも、なぜ彼は私のお店を訪れたのか。何か目的があるのかしら。
その理由は、私には分からなかった。
「お疲れ様。今のうちにお昼ご飯を食べてきて」
「ありがとうございます、店長。それでは、お言葉に甘えて」
まだ数人のお客様が店内で食事したり、まったりした時間を過ごしている。注文があった場合に対応するため、何人かは店内に残った。私も残る。
順番に休憩しながら、夕方に備える。お店は開いているので、少し遅めのお客様がいらっしゃる時もあって、対応しなくてはいけない。
入り口のベルが鳴った。今日も、遅めのお客様がいらしたので対応する。
「いらっしゃいませ。開いている席に、ご自由にどうぞ」
初めて見る、若い男性だった。遠くから来た商人だろうか。背が高く、鍛えているのがわかる体つき。がっしりとした体格をしていた。商人ではなく、傭兵か冒険者かもしれない。
カウンター席に座ったので、注文を伺うために近寄る。その時に私は気付いた。
「!?」
声を出さないように、なんとか抑えた。表情には出てしまったかもしれない。
驚きそうになったのは、私はその男性を知っていたから。彼を見たことがあった。私が貴族だった頃に。
「……」
向こうも、私の顔を見てくる。視線が絡み合った。彼は私のことを覚えているのか。どうして、この店に訪れたのか。偶然入ってきた、ということはある得るのか。様々な考えが巡り、しばらく黙って見つめ合ってしまった。
ダメよ。今の自分の立場を思い出して、私はカフェの店長として対応する。
「ご注文は?」
「えーっと、じゃあ」
メニュー表を手に取り、注文を選ぶ。すぐに、「コーヒーを」と短く告げる。
「ご注文はコーヒーですね。それでは、しばらくお待ちください」
注文を受けて、コーヒーを淹れる準備をする。彼は何も言わなかった。覚えていないのかしら。もしかしたら、人違いかも。彼が普通の格好をして、こんなお店を訪れるはずがない。公爵家のご子息である彼が、庶民のお店に訪れるなんて。
だけど彼は、庶民のようにカフェを利用している。慣れているようだ。
「お待たせしました。ご注文のコーヒーです」
「ありがとう。とても美味しそうだ」
「ごゆっくり、お過ごしください」
注文の品を運ぶ時に、もう一度確認してみる。間違いなく彼だった。ルニュルス家のユーグ様。でも、なぜ彼は私のお店を訪れたのか。何か目的があるのかしら。
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