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第25話 語った部分 ※ユーグ視点
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俺は一人で、アンリエッタのカフェでコーヒーを飲んでいる。店内の雰囲気に浸りながら、過去について振り返っていた。
パーティーで精霊の契約を結んだアンリエッタを見てから数日後、俺も婚約相手と精霊の契約を結ぶ準備をした。契約書を用意し、相手に事情を説明して、同意を得ることに成功。
「この契約書にサインすれば、あの方と一緒になれるのですね」
「ああ、そうだ。精霊の契約を結んでしまえば、両親も認めるしかなくなるだろう」
話し合った結果、乗り気の婚約相手に内容を確認させてからサインをしてもらう。あっさりと、精霊の契約を結ぶことにも成功した。お互いの腕に金色の輪が出現したことを確認する。これでもう、後戻りはできない。
「今までありがとう。では、さようなら」
婚約を破棄して、近いうちにルニュルス家から出ていく予定の俺。だから、彼女とはもう会うこともないだろう。これが最後のお別れ。
「ユーグ様。色々と、ありがとうございました。私には、これを言う権利はないかもしれませんが。お幸せに」
「ああ、そちらもな」
少し心苦しそうな表情の元婚約相手。俺が、貴族以外の自由な生き方をしたいという願望があったからこそ、こうなってしまった。俺の都合で悪いと思っているけど、後悔はしていない。なので彼女こそ、幸せになってほしいな。
別れを告げて、その場を後にした。思っていたより、悪くない最後だったと思う。後は、優秀な弟に任せておけばいいだろう。
「本当に、兄さんは僕に任せる気なの?」
「ああ。お前がルニュルス家を継ぐ方が、上手くいくはずだ」
「それでも、兄さんが継ぐべきじゃ?」
「お前は優秀だから、大丈夫。彼女のことも、お前に任せた。好き合っている者同士で一緒になる方が幸せになれるはずだから」
元婚約者のことを言うと、弟の表情が赤くなる。本気で好きなんだろう。それが、表情に出ていた。だからこそ、彼らは一緒になるべきなんだ。
「……わかった。頑張ってみる」
弟に任せて、俺の役目はなくなった。これでいい。
全てを終えて、ルニュルス家の現当主である父親へ報告しに行く。
「ということで、俺は婚約を破棄しました」
「お前はまた、そんな勝手なことを……! お前はッ!!」
当然、父親は激怒した。勝手な行動をして、現当主の意向など無視して自分たちで決めてしまった。俺は、ものすごく怒られた。その怒りは当然だろう。
だが、俺は自分の意志を変えるつもりはない。家を出て、当主の座は弟に任せる。余計な家督争い、お家騒動を起こさないためにも。そういう言い訳を用意してきた。
優秀な弟が継いでくれるのが、最善の選択であること。俺の考えを、怒られながら何度も説明した。
「お前は、自分の意志で精霊の契約を取り消すつもりはないのだな?」
「はい」
「……はぁ」
現当主の問いに、俺は答えた。重いため息をついて、呆れた表情の現当主。
「……わかった。認めよう。もう、お前の好きにするがよい。跡継ぎを選びなおし、お前の婚約相手だった彼女の意向も尊重しよう」
「ありがとうございます!」
最終的には納得してくれた。納得というか、俺が絶対に折れないことを悟って諦めたのだろうけど。
こうして俺はルニュルス家を離れて、自由にすることを認めてもらえた。
パーティーで精霊の契約を結んだアンリエッタを見てから数日後、俺も婚約相手と精霊の契約を結ぶ準備をした。契約書を用意し、相手に事情を説明して、同意を得ることに成功。
「この契約書にサインすれば、あの方と一緒になれるのですね」
「ああ、そうだ。精霊の契約を結んでしまえば、両親も認めるしかなくなるだろう」
話し合った結果、乗り気の婚約相手に内容を確認させてからサインをしてもらう。あっさりと、精霊の契約を結ぶことにも成功した。お互いの腕に金色の輪が出現したことを確認する。これでもう、後戻りはできない。
「今までありがとう。では、さようなら」
婚約を破棄して、近いうちにルニュルス家から出ていく予定の俺。だから、彼女とはもう会うこともないだろう。これが最後のお別れ。
「ユーグ様。色々と、ありがとうございました。私には、これを言う権利はないかもしれませんが。お幸せに」
「ああ、そちらもな」
少し心苦しそうな表情の元婚約相手。俺が、貴族以外の自由な生き方をしたいという願望があったからこそ、こうなってしまった。俺の都合で悪いと思っているけど、後悔はしていない。なので彼女こそ、幸せになってほしいな。
別れを告げて、その場を後にした。思っていたより、悪くない最後だったと思う。後は、優秀な弟に任せておけばいいだろう。
「本当に、兄さんは僕に任せる気なの?」
「ああ。お前がルニュルス家を継ぐ方が、上手くいくはずだ」
「それでも、兄さんが継ぐべきじゃ?」
「お前は優秀だから、大丈夫。彼女のことも、お前に任せた。好き合っている者同士で一緒になる方が幸せになれるはずだから」
元婚約者のことを言うと、弟の表情が赤くなる。本気で好きなんだろう。それが、表情に出ていた。だからこそ、彼らは一緒になるべきなんだ。
「……わかった。頑張ってみる」
弟に任せて、俺の役目はなくなった。これでいい。
全てを終えて、ルニュルス家の現当主である父親へ報告しに行く。
「ということで、俺は婚約を破棄しました」
「お前はまた、そんな勝手なことを……! お前はッ!!」
当然、父親は激怒した。勝手な行動をして、現当主の意向など無視して自分たちで決めてしまった。俺は、ものすごく怒られた。その怒りは当然だろう。
だが、俺は自分の意志を変えるつもりはない。家を出て、当主の座は弟に任せる。余計な家督争い、お家騒動を起こさないためにも。そういう言い訳を用意してきた。
優秀な弟が継いでくれるのが、最善の選択であること。俺の考えを、怒られながら何度も説明した。
「お前は、自分の意志で精霊の契約を取り消すつもりはないのだな?」
「はい」
「……はぁ」
現当主の問いに、俺は答えた。重いため息をついて、呆れた表情の現当主。
「……わかった。認めよう。もう、お前の好きにするがよい。跡継ぎを選びなおし、お前の婚約相手だった彼女の意向も尊重しよう」
「ありがとうございます!」
最終的には納得してくれた。納得というか、俺が絶対に折れないことを悟って諦めたのだろうけど。
こうして俺はルニュルス家を離れて、自由にすることを認めてもらえた。
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