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第19話 予想外の連続
私との婚約を破棄すると、リカード王子がパーティー会場のど真ん中で言い放つ。これは、聞き間違いじゃないわよね。
「ふん!」
婚約破棄すると告げた後の彼は、満足そうな表情を浮かべて突っ立っていた。
リカード王子との婚約破棄は、私の狙い通りである。だが、こんな場所で破棄すると告げてくるなんて、完全に予想外だった。
いや。普通は、こんな場所で発表するなんてありえないこと。王族の醜聞を、他の貴族達に聞かせるだなんて、あまりにも愚かすぎる。正常な人間の発想じゃない。
リカード王子の発言を理解して、受け止めるのに少し時間がかかった。ようやく、彼の発言の内容を理解して、この後に私はどう対応するべきかを考える。
周りにいる貴族達にも聞かれてしまった。王子の発言を隠し通すことは出来ない。これで、穏便に済ませることは不可能になってしまった。
リカード王子が言ったことを取り消すことも出来ないだろうから、婚約を破棄することは確定した。それは、良い。
けれど、対応を間違えてしまえばストランド伯爵家の名誉が傷つく可能性がある。リカード王子なんかに足を引っ張られて、うちの名誉が傷つくなんて絶対に嫌。
でも、どう対応するべきなのか分からない。
「なんとか言ったらどうだ?」
私の表情を伺いながら、リカード王子がそう言った。どうやら、私の反応を楽しむつもりのようだ。泣いてほしいのか、怒ってほしいのか。
私は、なるべく落ち着いて答える。周りに居る人達の視線を感じながら、冷静に。
「婚約破棄ですか?」
「あぁ、そうだ」
「なぜですか? いきなり、なぜ婚約破棄を?」
「分からないのか?」
私は頷いた。意味が分からない。なぜ突然、という疑問にリカード王子が答えた。
「ならば、教えてやる。婚約者である俺に対して、愛情が足りないからだ!」
「はぁ……?」
愛情が足りない。貴方がそれを言うのか! 怒りで頭がおかしくなりそうだった。どうにか、冷静に落ち着いて。このまま、最大限の魔力を放出して奴を消し炭にしてやりたいが、我慢する。
精神を落ち着かせようとしていると、リカード王子が続けて言った。
「お前は、婚約者がいるというのに浮気をした」
「なんですって?」
いきなりの疑いに、またまた意味が分からなくなった。浮気をしているのは、貴方でしょうに。
「お前の浮気を証言してくれる者も居る」
「証言?」
彼は何を言っているのか。なぜか、私が浮気していることを確信しているらしい。しかも、私の浮気を証言する者まで居るそうだ。一体誰、なのかしら。まともな人物ではないだろう。
リカード王子は後ろを振り返って、誰かを呼び出した。
「メイヤ、こっちに来てくれ!」
「はぁい」
「な……」
名前を呼ばれて出てきたのは、妹のメイヤだった。なぜ、彼女がここに居るのか。ますます意味が分からなくなった。
「ふん!」
婚約破棄すると告げた後の彼は、満足そうな表情を浮かべて突っ立っていた。
リカード王子との婚約破棄は、私の狙い通りである。だが、こんな場所で破棄すると告げてくるなんて、完全に予想外だった。
いや。普通は、こんな場所で発表するなんてありえないこと。王族の醜聞を、他の貴族達に聞かせるだなんて、あまりにも愚かすぎる。正常な人間の発想じゃない。
リカード王子の発言を理解して、受け止めるのに少し時間がかかった。ようやく、彼の発言の内容を理解して、この後に私はどう対応するべきかを考える。
周りにいる貴族達にも聞かれてしまった。王子の発言を隠し通すことは出来ない。これで、穏便に済ませることは不可能になってしまった。
リカード王子が言ったことを取り消すことも出来ないだろうから、婚約を破棄することは確定した。それは、良い。
けれど、対応を間違えてしまえばストランド伯爵家の名誉が傷つく可能性がある。リカード王子なんかに足を引っ張られて、うちの名誉が傷つくなんて絶対に嫌。
でも、どう対応するべきなのか分からない。
「なんとか言ったらどうだ?」
私の表情を伺いながら、リカード王子がそう言った。どうやら、私の反応を楽しむつもりのようだ。泣いてほしいのか、怒ってほしいのか。
私は、なるべく落ち着いて答える。周りに居る人達の視線を感じながら、冷静に。
「婚約破棄ですか?」
「あぁ、そうだ」
「なぜですか? いきなり、なぜ婚約破棄を?」
「分からないのか?」
私は頷いた。意味が分からない。なぜ突然、という疑問にリカード王子が答えた。
「ならば、教えてやる。婚約者である俺に対して、愛情が足りないからだ!」
「はぁ……?」
愛情が足りない。貴方がそれを言うのか! 怒りで頭がおかしくなりそうだった。どうにか、冷静に落ち着いて。このまま、最大限の魔力を放出して奴を消し炭にしてやりたいが、我慢する。
精神を落ち着かせようとしていると、リカード王子が続けて言った。
「お前は、婚約者がいるというのに浮気をした」
「なんですって?」
いきなりの疑いに、またまた意味が分からなくなった。浮気をしているのは、貴方でしょうに。
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「証言?」
彼は何を言っているのか。なぜか、私が浮気していることを確信しているらしい。しかも、私の浮気を証言する者まで居るそうだ。一体誰、なのかしら。まともな人物ではないだろう。
リカード王子は後ろを振り返って、誰かを呼び出した。
「メイヤ、こっちに来てくれ!」
「はぁい」
「な……」
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