奪い取るより奪った後のほうが大変だけど、大丈夫なのかしら

キョウキョウ

文字の大きさ
12 / 16

第12話

しおりを挟む
 あれから、何度かフィヨン家が主催するパーティーを成功させた。評判も良くて、参加を希望する貴族も増えていった。

 バティステト様が仲良くしている、軍人派閥の貴族から相談されることもあった。社交界について教えてほしいと。そんな人達に社交界やパーティーについての知識を指南すると、知識を授けた人たちから感謝された。

 バティステト様にも、お礼を言われた。

「君の活躍は、俺の想像していた以上だよ。感謝している」
「バティステト様の助力となれたのなら、私も嬉しいです」
「あぁ。とっても助かっているよ」



 そしてまた、次のパーティーを開催する。

 フィヨン家の使用人やメイドたちは、ものすごいスピードでスキルをレベルアップさせていた。パーティーを開くたびに経験値を積んで、失敗も無くスムーズに仕事をこなせるようになっていた。彼らは、とても頼もしい人材に成長している。

 私も、フィヨン家のホステスとして慣れてきた。かつて、社交嫌いと言われていたフィヨン家は影も形も無くなっていた。そのことをバティステト様は喜んでいる。



「本日は、カペルベン地方で収穫した野菜をたっぷりと使ったカペルベン料理を用意しました。どうぞ、ご賞味ください」

 テーブルの上に配膳された料理の数々を、参加者たちが手を伸ばして口にする。

「どれどれ?」
「うん。美味しいな」
「なかなかの味じゃないか。カペルベン地方というと、山を一つ超えたところにある場所だったかな?」
「えぇ、そうなんです」

 提供した料理は、なかなか高評価のようだ。土地や特産品にも興味を持ってくれたようで、良い雑談が出来たと思う。話題への食いつきが良いので、続けてカペルベン地方の商品をアピールしていく。

「カペルベン地方から商品を輸送するのは大変ですが、中央では入手が困難な新鮮で美味しい野菜が沢山あるんですよ」
「ふむふむ」
「へぇ。そっち方面は確認不足だったな」
「ちょっと、商隊を送ってみようかな」

 パーティーでの雑談が、後に大きな商談に発展していくことは良くあること。

 今回のお披露目は、非常に反応が良い。カペルベン地方の特産品が注目を集めて、人気商品になってくれる可能性も高そうだ。

 カペルベン地方を管理しているカペルベン侯爵家は、フィヨン侯爵家と関係がある家だった。先祖を遡ると血の繋がりもある貴族家である。なので、カペルベン地方で商売繁盛すれば、巡り巡ってフィヨン家の発展にも繋がる。

 そういう事も考えて、パーティーで提供する食事や娯楽などを決めたりすることも多い。貴族の関係は、とても大事にしておきたい。

 今日もパーティーは大成功な予感がした。しかし、私の予感が外れてしまいそうな出来事が起こってしまう。

「エヴリーヌ!!!」
「貴方は……」

 パーティーの最中、会場に響き渡るような大声で私の名を呼んだのは、元婚約者のアルフレッドだった。
しおりを挟む
感想 62

あなたにおすすめの小説

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

【完結】どうぞお気遣いなく。婚約破棄はこちらから致しますので。婚約者の従姉妹がポンコツすぎて泣けてきます

との
恋愛
「一体何があったのかしら」  あったかって? ええ、ありましたとも。 婚約者のギルバートは従姉妹のサンドラと大の仲良し。 サンドラは乙女ゲームのヒロインとして、悪役令嬢の私にせっせと罪を着せようと日夜努力を重ねてる。 (えーっ、あれが噂の階段落ち?) (マジか・・超期待してたのに) 想像以上のポンコツぶりに、なんだか気分が盛り下がってきそうですわ。 最後のお楽しみは、卒業パーティーの断罪&婚約破棄。 思いっきりやらせて頂きます。 ーーーーーー

婚約者が、私より従妹のことを信用しきっていたので、婚約破棄して譲ることにしました。どうですか?ハズレだったでしょう?

珠宮さくら
恋愛
婚約者が、従妹の言葉を信用しきっていて、婚約破棄することになった。 だが、彼は身をもって知ることとになる。自分が選んだ女の方が、とんでもないハズレだったことを。 全2話。

従姉は、私の持っているものを奪っても許されてきましたが、婚約者だけは奪われたくないので抵抗を試みます

珠宮さくら
恋愛
侯爵家の一人娘として生まれ育ったアナスタシア・ヴァヴィロフ。そんな彼女には、苦手な人物がいた。 でも、その人物に会うことはもうないと思っていたのに夢を見ただけで、気落ちして大変だった。 それが現実に留学しに来ているとわかったアナスタシアは、気が変になりかけていたのだが……。

奪われたものは、全て要らないものでした

編端みどり
恋愛
あげなさい、お姉様でしょ。その合言葉で、わたくしのものは妹に奪われます。ドレスやアクセサリーだけでなく、夫も妹に奪われました。 だけど、妹が奪ったものはわたくしにとっては全て要らないものなんです。 モラハラ夫と離婚して、行き倒れかけたフローライトは、遠くの国で幸せを掴みます。

見知らぬ子息に婚約破棄してくれと言われ、腹の立つ言葉を投げつけられましたが、どうやら必要ない我慢をしてしまうようです

珠宮さくら
恋愛
両親のいいとこ取りをした出来の良い兄を持ったジェンシーナ・ペデルセン。そんな兄に似ずとも、母親の家系に似ていれば、それだけでもだいぶ恵まれたことになったのだが、残念ながらジェンシーナは似ることができなかった。 だからといって家族は、それでジェンシーナを蔑ろにすることはなかったが、比べたがる人はどこにでもいるようだ。 それだけでなく、ジェンシーナは何気に厄介な人間に巻き込まれてしまうが、我慢する必要もないことに気づくのが、いつも遅いようで……。

【完結】こんな所で言う事!?まぁいいですけどね。私はあなたに気持ちはありませんもの。

まりぃべる
恋愛
私はアイリーン=トゥブァルクと申します。お父様は辺境伯爵を賜っておりますわ。 私には、14歳の時に決められた、婚約者がおりますの。 お相手は、ガブリエル=ドミニク伯爵令息。彼も同じ歳ですわ。 けれど、彼に言われましたの。 「泥臭いお前とはこれ以上一緒に居たくない。婚約破棄だ!俺は、伯爵令息だぞ!ソニア男爵令嬢と結婚する!」 そうですか。男に二言はありませんね? 読んでいただけたら嬉しいです。

婚約者と妹が運命的な恋をしたそうなので、お望み通り2人で過ごせるように別れることにしました

柚木ゆず
恋愛
※4月3日、本編完結いたしました。4月5日(恐らく夕方ごろ)より、番外編の投稿を始めさせていただきます。 「ヴィクトリア。君との婚約を白紙にしたい」 「おねぇちゃん。実はオスカーさんの運命の人だった、妹のメリッサです……っ」  私の婚約者オスカーは真に愛すべき人を見つけたそうなので、妹のメリッサと結婚できるように婚約を解消してあげることにしました。  そうして2人は呆れる私の前でイチャイチャしたあと、同棲を宣言。幸せな毎日になると喜びながら、仲良く去っていきました。  でも――。そんな毎日になるとは、思わない。  2人はとある理由で、いずれ婚約を解消することになる。  私は破局を確信しながら、元婚約者と妹が乗る馬車を眺めたのでした。

処理中です...