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第12話

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 あれから、何度かフィヨン家が主催するパーティーを成功させた。評判も良くて、参加を希望する貴族も増えていった。

 バティステト様が仲良くしている、軍人派閥の貴族から相談されることもあった。社交界について教えてほしいと。そんな人達に社交界やパーティーについての知識を指南すると、知識を授けた人たちから感謝された。

 バティステト様にも、お礼を言われた。

「君の活躍は、俺の想像していた以上だよ。感謝している」
「バティステト様の助力となれたのなら、私も嬉しいです」
「あぁ。とっても助かっているよ」



 そしてまた、次のパーティーを開催する。

 フィヨン家の使用人やメイドたちは、ものすごいスピードでスキルをレベルアップさせていた。パーティーを開くたびに経験値を積んで、失敗も無くスムーズに仕事をこなせるようになっていた。彼らは、とても頼もしい人材に成長している。

 私も、フィヨン家のホステスとして慣れてきた。かつて、社交嫌いと言われていたフィヨン家は影も形も無くなっていた。そのことをバティステト様は喜んでいる。



「本日は、カペルベン地方で収穫した野菜をたっぷりと使ったカペルベン料理を用意しました。どうぞ、ご賞味ください」

 テーブルの上に配膳された料理の数々を、参加者たちが手を伸ばして口にする。

「どれどれ?」
「うん。美味しいな」
「なかなかの味じゃないか。カペルベン地方というと、山を一つ超えたところにある場所だったかな?」
「えぇ、そうなんです」

 提供した料理は、なかなか高評価のようだ。土地や特産品にも興味を持ってくれたようで、良い雑談が出来たと思う。話題への食いつきが良いので、続けてカペルベン地方の商品をアピールしていく。

「カペルベン地方から商品を輸送するのは大変ですが、中央では入手が困難な新鮮で美味しい野菜が沢山あるんですよ」
「ふむふむ」
「へぇ。そっち方面は確認不足だったな」
「ちょっと、商隊を送ってみようかな」

 パーティーでの雑談が、後に大きな商談に発展していくことは良くあること。

 今回のお披露目は、非常に反応が良い。カペルベン地方の特産品が注目を集めて、人気商品になってくれる可能性も高そうだ。

 カペルベン地方を管理しているカペルベン侯爵家は、フィヨン侯爵家と関係がある家だった。先祖を遡ると血の繋がりもある貴族家である。なので、カペルベン地方で商売繁盛すれば、巡り巡ってフィヨン家の発展にも繋がる。

 そういう事も考えて、パーティーで提供する食事や娯楽などを決めたりすることも多い。貴族の関係は、とても大事にしておきたい。

 今日もパーティーは大成功な予感がした。しかし、私の予感が外れてしまいそうな出来事が起こってしまう。

「エヴリーヌ!!!」
「貴方は……」

 パーティーの最中、会場に響き渡るような大声で私の名を呼んだのは、元婚約者のアルフレッドだった。
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