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第38話 バッドエンド ※ヒロイン視点
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処刑される直前に彼らが助けに来てくれた。その瞬間、体中を駆け巡った衝撃は今も忘れることができない。とても感動した。
やっぱり私は愛されているんだと感じた。だけど彼らは、すぐに捕まっちゃった。
なんなのよ、もう!
なんとか処刑は延期になったみたいだけど、まだ私は捕まったまま。そして、新たに捕まった彼らも処刑されるようだ。カッコよかったのに、少し残念よね。そこは、カッコいいままでいて欲しかったかも。
しかし! まだ、希望はある。トゥーサンが残っている。彼はまだ、捕まっていない。きっと今頃、私を助け出す方法を探しているはずだ。
乙女ゲームのシナリオとしては、少し先延ばしにし過ぎで退屈な展開だろうけど。最後の大逆転が待ち受けていると考えたら、ワクワクするじゃない。きっと助かる。だって私は、この世界のヒロインなんだから。
延期になった処刑が、とうとう執行される。今度は広場じゃなくて、どこかの部屋の中だった。前回のような、見世物にされたりはしないらしい。
処刑の準備が、着々と進められていく。首と胴体を切断するための道具が置かれている。あれだよね? ギロチンってやつだよね? 前回の処刑台にも置かれていた。わざわざ部屋まで運んできたのかな。
私の目の前でルドルフが斬首台へと上がって、手足を固定される。彼の顔には恐怖が浮かんでいた。本当にギリギリの状態。早く助けないと、間に合わなくなる。え、ちょっと待って。
「ひっ!?」
目の前で、男の首が飛んだ。血飛沫が上がる。悲鳴を上げる暇もなかった。一瞬の出来事だった。死んじゃった……?
だって、ここはゲームの世界で。誰かが死ぬような展開なんてないはずなのに。
彼は、メインキャラクターなのに!
あっけなく、ルドルフが死んだ。嘘。そんなはずない。
「次はお前の番だ」
「い、いやっ!? は、はなしてっ!?」
「今頃、慌てだしてどうした? まだ覚悟してなかったのか?」
「だ、だれが覚悟なんて……! 私が死ぬなんて、おかしいじゃない!?」
覚悟なんて必要ない。私は、ここで死ぬはずじゃないんだから。きっと誰かが助けてくれるんだから。そういう、展開が待っているはずなんだから。
「ちょっとうるさいな。おい、こいつを黙らせろ」
「や、やめてっ! んっ――!?」
口に布を押し当て縛られる。声が出さなくなり、必死にもがくことしかできない。しかし、逃げることは出来ず。私は無理矢理、処刑台の上へと連れていかれる。
「こいつも、さっさと終わらせよう」
「ん! ん――!!」
だ、だって私は助かるはずじゃ。
ここは、私中心に回っている世界じゃないの?
おかしい。私が死んだら、この世界も意味がなくなるんじゃ。
なんでこんなことに。嫌だ、死にたくない。
死にたくない……! 死にたくないッ!!
声が出せず、心の中で叫ぶことしか出来ない。そうしているうちに、首が冷たくなっていく感覚に襲われる。刃が落ちてくる。怖い。怖くて仕方がない。涙が溢れ出てくる。
こんな終わり、認めない。だって私は、ヒ―――
やっぱり私は愛されているんだと感じた。だけど彼らは、すぐに捕まっちゃった。
なんなのよ、もう!
なんとか処刑は延期になったみたいだけど、まだ私は捕まったまま。そして、新たに捕まった彼らも処刑されるようだ。カッコよかったのに、少し残念よね。そこは、カッコいいままでいて欲しかったかも。
しかし! まだ、希望はある。トゥーサンが残っている。彼はまだ、捕まっていない。きっと今頃、私を助け出す方法を探しているはずだ。
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延期になった処刑が、とうとう執行される。今度は広場じゃなくて、どこかの部屋の中だった。前回のような、見世物にされたりはしないらしい。
処刑の準備が、着々と進められていく。首と胴体を切断するための道具が置かれている。あれだよね? ギロチンってやつだよね? 前回の処刑台にも置かれていた。わざわざ部屋まで運んできたのかな。
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「ひっ!?」
目の前で、男の首が飛んだ。血飛沫が上がる。悲鳴を上げる暇もなかった。一瞬の出来事だった。死んじゃった……?
だって、ここはゲームの世界で。誰かが死ぬような展開なんてないはずなのに。
彼は、メインキャラクターなのに!
あっけなく、ルドルフが死んだ。嘘。そんなはずない。
「次はお前の番だ」
「い、いやっ!? は、はなしてっ!?」
「今頃、慌てだしてどうした? まだ覚悟してなかったのか?」
「だ、だれが覚悟なんて……! 私が死ぬなんて、おかしいじゃない!?」
覚悟なんて必要ない。私は、ここで死ぬはずじゃないんだから。きっと誰かが助けてくれるんだから。そういう、展開が待っているはずなんだから。
「ちょっとうるさいな。おい、こいつを黙らせろ」
「や、やめてっ! んっ――!?」
口に布を押し当て縛られる。声が出さなくなり、必死にもがくことしかできない。しかし、逃げることは出来ず。私は無理矢理、処刑台の上へと連れていかれる。
「こいつも、さっさと終わらせよう」
「ん! ん――!!」
だ、だって私は助かるはずじゃ。
ここは、私中心に回っている世界じゃないの?
おかしい。私が死んだら、この世界も意味がなくなるんじゃ。
なんでこんなことに。嫌だ、死にたくない。
死にたくない……! 死にたくないッ!!
声が出せず、心の中で叫ぶことしか出来ない。そうしているうちに、首が冷たくなっていく感覚に襲われる。刃が落ちてくる。怖い。怖くて仕方がない。涙が溢れ出てくる。
こんな終わり、認めない。だって私は、ヒ―――
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