14 / 15
第14話
しおりを挟む
剣術大会での八百長発言について、調査が行われた。
私も関係者ということで事情聴取されたけれど、すぐ解放された。クリストフ様と妹のジョスリーヌは、かなり長い間拘束されていたようだ。
それから学園の卒業式が行われて、私は師匠と正式に結婚した。
そして師匠と一緒に暮らすことになり、夫婦になってからも相変わらず一緒に剣の訓練を続けていた。学生だった頃に比べて私が剣術の腕を披露する場は無いけれど、師匠を超えるという目標を達成するまで鍛え続けるつもりだった。
そんな日々を過ごしていると、クリストフ様の次期騎士団長という話が取り消しになったという噂を耳にした。
「どうやら、そうらしい。学園を卒業した後は騎士団長ではなく騎士見習いとして、クリストフ君を鍛え直しているようだね」
「師匠も知っているんですね」
「実は、それに関連してセレスに話しておくことがある」
夕食の時間。真剣な表情で師匠が、とある話を切り出した。
「八百長発言がキッカケになって、騎士団全体の実力について見直すことになって」
「そうなのですか」
「この前、テストが行われた。その結果が少し酷かったようで、騎士団を解散したらどうだろうか、という段階まで話し合いが行われた」
騎士団が解散する。クリストフ様の行為が大きな影響を及ぼしたようだ。だけど、解散するまでには至らなかったらしい。
「伝統ある騎士団を潰してしまうのは勿体ない。そこで、近衛師団という新たな組織を立ち上げることになったそうだ」
王族を護衛するのが主な任務という、騎士団の役割と被る新たな組織を作ることになった。
「近衛師団と騎士団を切磋琢磨させて、実力不足を解消させることが目的らしい」
「なるほど」
「それで」
この話は、まだ終わりじゃないらしい。師匠は話し続ける。
「近衛師団の団長として、俺が任命された」
「そうなのですか! それは、おめでとうございます」
師匠は学園の先生を辞めて、近衛師団の団長になるという。
「君の意見を聞きたくて、まだ了承していなんだ。やってみてもいいかな?」
「えぇ、もちろんですよ! 頑張って下さい。応援しています」
「そうか、ありがとう。じゃあ、ちょっと頑張ってみるよ」
わざわざ私の意見を聞くまで、どうするか保留にしてくれていたらしい。もちろん私は賛成だった。頑張って欲しいと思う。
賛成するという言葉を聞いて、師匠は覚悟を決めたようだ。
こうして、近衛師団の団長という役職を引き受けることにした師匠。その日から、騎士団と近衛師団が競い合う日々が始まった。
私も関係者ということで事情聴取されたけれど、すぐ解放された。クリストフ様と妹のジョスリーヌは、かなり長い間拘束されていたようだ。
それから学園の卒業式が行われて、私は師匠と正式に結婚した。
そして師匠と一緒に暮らすことになり、夫婦になってからも相変わらず一緒に剣の訓練を続けていた。学生だった頃に比べて私が剣術の腕を披露する場は無いけれど、師匠を超えるという目標を達成するまで鍛え続けるつもりだった。
そんな日々を過ごしていると、クリストフ様の次期騎士団長という話が取り消しになったという噂を耳にした。
「どうやら、そうらしい。学園を卒業した後は騎士団長ではなく騎士見習いとして、クリストフ君を鍛え直しているようだね」
「師匠も知っているんですね」
「実は、それに関連してセレスに話しておくことがある」
夕食の時間。真剣な表情で師匠が、とある話を切り出した。
「八百長発言がキッカケになって、騎士団全体の実力について見直すことになって」
「そうなのですか」
「この前、テストが行われた。その結果が少し酷かったようで、騎士団を解散したらどうだろうか、という段階まで話し合いが行われた」
騎士団が解散する。クリストフ様の行為が大きな影響を及ぼしたようだ。だけど、解散するまでには至らなかったらしい。
「伝統ある騎士団を潰してしまうのは勿体ない。そこで、近衛師団という新たな組織を立ち上げることになったそうだ」
王族を護衛するのが主な任務という、騎士団の役割と被る新たな組織を作ることになった。
「近衛師団と騎士団を切磋琢磨させて、実力不足を解消させることが目的らしい」
「なるほど」
「それで」
この話は、まだ終わりじゃないらしい。師匠は話し続ける。
「近衛師団の団長として、俺が任命された」
「そうなのですか! それは、おめでとうございます」
師匠は学園の先生を辞めて、近衛師団の団長になるという。
「君の意見を聞きたくて、まだ了承していなんだ。やってみてもいいかな?」
「えぇ、もちろんですよ! 頑張って下さい。応援しています」
「そうか、ありがとう。じゃあ、ちょっと頑張ってみるよ」
わざわざ私の意見を聞くまで、どうするか保留にしてくれていたらしい。もちろん私は賛成だった。頑張って欲しいと思う。
賛成するという言葉を聞いて、師匠は覚悟を決めたようだ。
こうして、近衛師団の団長という役職を引き受けることにした師匠。その日から、騎士団と近衛師団が競い合う日々が始まった。
89
あなたにおすすめの小説
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
四季
恋愛
晩餐会の会場に、ぱぁん、と乾いた音が響きました。
どうやら友人でもある女性が婚約破棄されてしまったようです。
【完結・全10話】偽物の愛だったようですね。そうですか、婚約者様?婚約破棄ですね、勝手になさい。
BBやっこ
恋愛
アンネ、君と別れたい。そういっぱしに別れ話を持ち出した私の婚約者、7歳。
ひとつ年上の私が我慢することも多かった。それも、両親同士が仲良かったためで。
けして、この子が好きとかでは断じて無い。だって、この子バカな男になる気がする。その片鱗がもう出ている。なんでコレが婚約者なのか両親に問いただしたいことが何回あったか。
まあ、両親の友達の子だからで続いた関係が、やっと終わるらしい。
婚約破棄を求められました。私は嬉しいですが、貴方はそれでいいのですね?
ゆるり
恋愛
アリシエラは聖女であり、婚約者と結婚して王太子妃になる筈だった。しかし、ある少女の登場により、未来が狂いだす。婚約破棄を求める彼にアリシエラは答えた。「はい、喜んで」と。
二周目聖女は恋愛小説家! ~探されてますが、前世で断罪されたのでもう名乗り出ません~
今川幸乃
恋愛
下級貴族令嬢のイリスは聖女として国のために祈りを捧げていたが、陰謀により婚約者でもあった王子アレクセイに偽聖女であると断罪されて死んだ。
こんなことなら聖女に名乗り出なければ良かった、と思ったイリスは突如、聖女に名乗り出る直前に巻き戻ってしまう。
「絶対に名乗り出ない」と思うイリスは部屋に籠り、怪しまれないよう恋愛小説を書いているという嘘をついてしまう。
が、嘘をごまかすために仕方なく書き始めた恋愛小説はなぜかどんどん人気になっていく。
「恥ずかしいからむしろ誰にも読まれないで欲しいんだけど……」
一方そのころ、本物の聖女が現れないため王子アレクセイらは必死で聖女を探していた。
※序盤の断罪以外はギャグ寄り。だいぶ前に書いたもののリメイク版です
侯爵令嬢セリーナ・マクギリウスは冷徹な鬼公爵に溺愛される。 わたくしが古の大聖女の生まれ変わり? そんなの聞いてません!!
友坂 悠
恋愛
「セリーナ・マクギリウス。貴女の魔法省への入省を許可します」
婚約破棄され修道院に入れられかけたあたしがなんとか採用されたのは国家の魔法を一手に司る魔法省。
そこであたしの前に現れたのは冷徹公爵と噂のオルファリド・グラキエスト様でした。
「君はバカか?」
あたしの話を聞いてくれた彼は開口一番そうのたまって。
ってちょっと待って。
いくらなんでもそれは言い過ぎじゃないですか!!?
⭐︎⭐︎⭐︎
「セリーナ嬢、君のこれまでの悪行、これ以上は見過ごすことはできない!」
貴族院の卒業記念パーティの会場で、茶番は起きました。
あたしの婚約者であったコーネリアス殿下。会場の真ん中をスタスタと進みあたしの前に立つと、彼はそう言い放ったのです。
「レミリア・マーベル男爵令嬢に対する数々の陰湿ないじめ。とても君は国母となるに相応しいとは思えない!」
「私、コーネリアス・ライネックの名においてここに宣言する! セリーナ・マクギリウス侯爵令嬢との婚約を破棄することを!!」
と、声を張り上げたのです。
「殿下! 待ってください! わたくしには何がなんだか。身に覚えがありません!」
周囲を見渡してみると、今まで仲良くしてくれていたはずのお友達たちも、良くしてくれていたコーネリアス殿下のお付きの人たちも、仲が良かった従兄弟のマクリアンまでもが殿下の横に立ち、あたしに非難めいた視線を送ってきているのに気がついて。
「言い逃れなど見苦しい! 証拠があるのだ。そして、ここにいる皆がそう証言をしているのだぞ!」
え?
どういうこと?
二人っきりの時に嫌味を言っただの、お茶会の場で彼女のドレスに飲み物をわざとかけただの。
彼女の私物を隠しただの、人を使って階段の踊り場から彼女を突き落とそうとしただの。
とそんな濡れ衣を着せられたあたし。
漂う黒い陰湿な気配。
そんな黒いもやが見え。
ふんわり歩いてきて殿下の横に縋り付くようにくっついて、そしてこちらを見て笑うレミリア。
「私は真実の愛を見つけた。これからはこのレミリア嬢と添い遂げてゆこうと思う」
あたしのことなんかもう忘れたかのようにレミリアに微笑むコーネリアス殿下。
背中にじっとりとつめたいものが走り、尋常でない様子に気分が悪くなったあたし。
ほんと、この先どうなっちゃうの?
出来損ないと言われて、国を追い出されました。魔物避けの効果も失われるので、魔物が押し寄せてきますが、頑張って倒してくださいね
猿喰 森繁
恋愛
「婚約破棄だ!」
広間に高らかに響く声。
私の婚約者であり、この国の王子である。
「そうですか」
「貴様は、魔法の一つもろくに使えないと聞く。そんな出来損ないは、俺にふさわしくない」
「… … …」
「よって、婚約は破棄だ!」
私は、周りを見渡す。
私を見下し、気持ち悪そうに見ているもの、冷ややかな笑いを浮かべているもの、私を守ってくれそうな人は、いないようだ。
「王様も同じ意見ということで、よろしいでしょうか?」
私のその言葉に王は言葉を返すでもなく、ただ一つ頷いた。それを確認して、私はため息をついた。たしかに私は魔法を使えない。魔力というものを持っていないからだ。
なにやら勘違いしているようだが、聖女は魔法なんて使えませんよ。
王女と婚約するからという理由で、婚約破棄されました
マルローネ
恋愛
伯爵令嬢のミレーヌと侯爵令息のバクラは婚約関係にあった。
しかしある日、バクラは王女殿下のことが好きだという理由で、ミレーヌと婚約破棄をする。
バクラはその後、王女殿下に求婚するが精神崩壊するほど責められることになる。ミレーヌと王女殿下は仲が良く婚約破棄の情報はしっかりと伝わっていたからだ。
バクラはミレーヌの元に戻ろうとするが、彼女は王子様との婚約が決まっており──
婚約破棄されたので、あなたの国に関税50%かけます~最終的には9割越えの悪魔~
常野夏子
恋愛
隣国カリオストの第一王子であり婚約者であったアルヴェルトに、突如国益を理由に婚約破棄されるリュシエンナ。
彼女は怒り狂い、国をも揺るがす復讐の一手を打った。
『本日より、カリオスト王国の全ての輸入品に対し、関税を現行の5倍とする』
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる