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神聖アリス教国建国編
53 建国宣言、そうだ迎えに行こう! 蛮族アブラビ2
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翌日、友好の印として当面の食料を渡し神聖アリス教国建国記念式典のためのアブラビ代表団の選出も頼んだ。
そして、一族で話し合いをして貰っている間に俺は水対策をすることにした。
* * *
アブラビの集落のある場所から少し離れ、千里眼であらかじめ目星を付けていた開けてはいるが岩ばかりの場所に移動した。
「こんな荒野で何をしようというのだ?」
付いて来たミゼール達は怪訝そうな顔をしている。そう、全く水の気配のない場所だからな。
「この辺りは人がいない地域であってるな? これから、ちょっと土木工事をするので離れて見ててくれ」
既に女神様のスキャンで、人跡未踏という程でもないが人があまり立ち入らない場所なのは確認している。
俺はまず、岩や石混じりの土砂を操作してかき集めた。
かき集めて一旦溶かしてから冷却し固めた。これを繰り返して、高さ五百メートル幅壱千メートルほどの山を作った。
まぁ山と言ってもスキーのジャンプ台を巨大化したようなものだ。
要するに風から効率よく上昇気流を作ろうという訳わけだ。こういう夏休みの工作レベルの発想でもパワーがあると実行できてしまうところが面白い。これで計算上は三度から五度くらい温度が下がるハズだ。
天候は季節によってまちまちだが、雨季に少しだけ雨が降りやすくしておけば効果はあるだろう。
「こ、これは」とミゼールは絶句している。
「相変わらず、とんでもない物を作りおるのぉ」
当然、王様も面白がって付いて来た。っていうか、「こんな面白いもの、逃してなるものか」とか言ってた。この旅に付いて来たのは、やっぱりそういう理由なんだ。
「これはなんじゃ?」とリリー。
「見たことのないものですな」
当然のように、ついて来たウィスリム。もしかして、王様と同類?
「リュウジ殿……?」とマレス。
「あ? もう少し見てて」
小さい山だが、見ていると海からの風を受けて雲が出来始めた。上昇して温度が低下したので雲が出来たのだ。
「あ~、もう少しだなぁ。雨季じゃないからこんなものか。じゃちょっと強引に」
俺は、上昇して雲が出来たあたりをさらに神力で冷却した。
すると、薄い雲は積乱雲のように成長し、しばらくすると雨になって降ってきた。元々、海の上を渡ってきた湿った風なので水分は十分に含んでいる。あとは冷せばいいだけなのだ。
「な、なんと……」ミゼール達は、さらに驚愕の表情に。
「雨だ! 雨だ! 雨が降った~。ほんとに降った~」
「雨が、雨が降ってきた。もう見ることはできぬと諦めていたのに」
「雨だ~っ、雨だぞ~っ」
「雨って、こんな風に降るのかぁ」
「うわっ。つめて~っ。わはははは。つめて~っ」
「あああ、雨だぁ~。よし、口で受けてやる。あ~~~っ」
「ば~か、お前のデカい口でも入りきらねーよ。あははは」
アブラビの戦士たち大喜び。
っていうか、そんなに降ってなかったのか。予想以上の反応に、俺のほうがビビる。これ、大丈夫かな?
「まぁ、今日は無理やり降らせたが、雨季になれば普通に降るだろう。だめだったら、また何か考える」
一度で上手く行くとも思えないので一応断りを入れておく。
「ま、まことか。ああ。アブラビの地に、これからも雨が降るのか。待ち望んでいた雨が」感極まった様子のミゼール。
「姫、やりましたな」
「ああ、ほんとにな」
手を取り合って感激している。これで雨季に雨が降らなかったら、俺がヤバイ気がする。
とりあえず、雨が止む前に表面を熱処理した溜池を作った。
人工の山なので、降った雨はそのまま川のように流れてため池に溜まる。
さらに雲を冷却したら強い雨になり、溜池を満たしていった。
半日ほど雲を冷やしていたら、溜池にそこそこ水が溜まった。
流石に満タンには程遠い。だがこれで、だいぶ良くなるだろう。雨季のデモをしただけなんだが多少安心するだろう。
「リュウジ殿。この度は我がアブラビをお救いいただき深く感謝致します。かくなる上は、このミゼール、リュウジ殿に忠誠を誓いましょう」
ミゼールは、何か思いつめたような目で言った。
「何言ってんの? これただのデモだから。まだ救われてないから。国として友好を保ってもらえばいい」
「誓いましょう」
「だから、要らないって」
「誓いたいのです」
「また今度」
「リュウジ」とリリー。
「なんだ」
「ミゼールが、可哀相じゃ」
「なんのことだ?」
「リュウジは冷たいのじゃ。無下に断るのじゃ」とリリー。
「おまえ、最初に断ったの、根に持ってるだろ」
「リリー殿。一度断られたのか?」とミゼール。
「そうじゃ、こやつ、めんどくさい嫁はいらんと言いおったのじゃ。都合のいいおなごしか要らんということかのう?」
「いや、ちょっと待て。忠誠と嫁に来るのは違うだろ? ああ、じゃ、忠誠だけ貰おう」
「よかった。リュウジ殿、一生我の忠誠を捧げます」と言って、ミゼール満面の笑み。
「うん。うん?」
ー アブラビ族の女の忠誠って「結婚」って意味らしいわよ。
ー なんだと~! いや、いまの話の流れなら違うだろ?
ー アブラビの女は忠誠を誓った相手と生活を共にするんだって。
ー ここは、知らなかったで通すしかないだろ。
ー わたしは知らないわよ。
ー ひどい。
「リュウジ殿。よろしく頼む」
「あ、ああ。わかった」
どうしよう。
その夜、ニーナから連絡が入り、魔法共生菌の感染者が何人か発見されたが特効薬により事なきを得たとのことだった。
* * *
翌日、アブラビ族の代表者五名が決定した。ミゼールと合わせて六名を乗せて、次の目的地カセームへ向かう。ちなみに、ミゼールって族長の娘だった。そういえば、姫とか言ってたな。あと、飛行船のレストランの食事は泣いて喜んでいた。ふふふ。旨かろう?
そして、一族で話し合いをして貰っている間に俺は水対策をすることにした。
* * *
アブラビの集落のある場所から少し離れ、千里眼であらかじめ目星を付けていた開けてはいるが岩ばかりの場所に移動した。
「こんな荒野で何をしようというのだ?」
付いて来たミゼール達は怪訝そうな顔をしている。そう、全く水の気配のない場所だからな。
「この辺りは人がいない地域であってるな? これから、ちょっと土木工事をするので離れて見ててくれ」
既に女神様のスキャンで、人跡未踏という程でもないが人があまり立ち入らない場所なのは確認している。
俺はまず、岩や石混じりの土砂を操作してかき集めた。
かき集めて一旦溶かしてから冷却し固めた。これを繰り返して、高さ五百メートル幅壱千メートルほどの山を作った。
まぁ山と言ってもスキーのジャンプ台を巨大化したようなものだ。
要するに風から効率よく上昇気流を作ろうという訳わけだ。こういう夏休みの工作レベルの発想でもパワーがあると実行できてしまうところが面白い。これで計算上は三度から五度くらい温度が下がるハズだ。
天候は季節によってまちまちだが、雨季に少しだけ雨が降りやすくしておけば効果はあるだろう。
「こ、これは」とミゼールは絶句している。
「相変わらず、とんでもない物を作りおるのぉ」
当然、王様も面白がって付いて来た。っていうか、「こんな面白いもの、逃してなるものか」とか言ってた。この旅に付いて来たのは、やっぱりそういう理由なんだ。
「これはなんじゃ?」とリリー。
「見たことのないものですな」
当然のように、ついて来たウィスリム。もしかして、王様と同類?
「リュウジ殿……?」とマレス。
「あ? もう少し見てて」
小さい山だが、見ていると海からの風を受けて雲が出来始めた。上昇して温度が低下したので雲が出来たのだ。
「あ~、もう少しだなぁ。雨季じゃないからこんなものか。じゃちょっと強引に」
俺は、上昇して雲が出来たあたりをさらに神力で冷却した。
すると、薄い雲は積乱雲のように成長し、しばらくすると雨になって降ってきた。元々、海の上を渡ってきた湿った風なので水分は十分に含んでいる。あとは冷せばいいだけなのだ。
「な、なんと……」ミゼール達は、さらに驚愕の表情に。
「雨だ! 雨だ! 雨が降った~。ほんとに降った~」
「雨が、雨が降ってきた。もう見ることはできぬと諦めていたのに」
「雨だ~っ、雨だぞ~っ」
「雨って、こんな風に降るのかぁ」
「うわっ。つめて~っ。わはははは。つめて~っ」
「あああ、雨だぁ~。よし、口で受けてやる。あ~~~っ」
「ば~か、お前のデカい口でも入りきらねーよ。あははは」
アブラビの戦士たち大喜び。
っていうか、そんなに降ってなかったのか。予想以上の反応に、俺のほうがビビる。これ、大丈夫かな?
「まぁ、今日は無理やり降らせたが、雨季になれば普通に降るだろう。だめだったら、また何か考える」
一度で上手く行くとも思えないので一応断りを入れておく。
「ま、まことか。ああ。アブラビの地に、これからも雨が降るのか。待ち望んでいた雨が」感極まった様子のミゼール。
「姫、やりましたな」
「ああ、ほんとにな」
手を取り合って感激している。これで雨季に雨が降らなかったら、俺がヤバイ気がする。
とりあえず、雨が止む前に表面を熱処理した溜池を作った。
人工の山なので、降った雨はそのまま川のように流れてため池に溜まる。
さらに雲を冷却したら強い雨になり、溜池を満たしていった。
半日ほど雲を冷やしていたら、溜池にそこそこ水が溜まった。
流石に満タンには程遠い。だがこれで、だいぶ良くなるだろう。雨季のデモをしただけなんだが多少安心するだろう。
「リュウジ殿。この度は我がアブラビをお救いいただき深く感謝致します。かくなる上は、このミゼール、リュウジ殿に忠誠を誓いましょう」
ミゼールは、何か思いつめたような目で言った。
「何言ってんの? これただのデモだから。まだ救われてないから。国として友好を保ってもらえばいい」
「誓いましょう」
「だから、要らないって」
「誓いたいのです」
「また今度」
「リュウジ」とリリー。
「なんだ」
「ミゼールが、可哀相じゃ」
「なんのことだ?」
「リュウジは冷たいのじゃ。無下に断るのじゃ」とリリー。
「おまえ、最初に断ったの、根に持ってるだろ」
「リリー殿。一度断られたのか?」とミゼール。
「そうじゃ、こやつ、めんどくさい嫁はいらんと言いおったのじゃ。都合のいいおなごしか要らんということかのう?」
「いや、ちょっと待て。忠誠と嫁に来るのは違うだろ? ああ、じゃ、忠誠だけ貰おう」
「よかった。リュウジ殿、一生我の忠誠を捧げます」と言って、ミゼール満面の笑み。
「うん。うん?」
ー アブラビ族の女の忠誠って「結婚」って意味らしいわよ。
ー なんだと~! いや、いまの話の流れなら違うだろ?
ー アブラビの女は忠誠を誓った相手と生活を共にするんだって。
ー ここは、知らなかったで通すしかないだろ。
ー わたしは知らないわよ。
ー ひどい。
「リュウジ殿。よろしく頼む」
「あ、ああ。わかった」
どうしよう。
その夜、ニーナから連絡が入り、魔法共生菌の感染者が何人か発見されたが特効薬により事なきを得たとのことだった。
* * *
翌日、アブラビ族の代表者五名が決定した。ミゼールと合わせて六名を乗せて、次の目的地カセームへ向かう。ちなみに、ミゼールって族長の娘だった。そういえば、姫とか言ってたな。あと、飛行船のレストランの食事は泣いて喜んでいた。ふふふ。旨かろう?
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