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南方諸国編
124 ストーン砂漠復興プロジェクト
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ストーン砂漠に流れていた大河を復活させて半年経った。
水は砂漠に浸透しつつも、ついに海に到達したらしい。女神コリスが興奮気味に報告して来た。
大河は、南大陸北北東の湖から流れ出して大陸を縦断して南下、南南西の端で海へと注いでいる。
南大陸が縦長なので、ほぼその中央を流れ下っているような感じだ。これはロキー山脈が東側を縦に走っているせいだ。直線距離でも一千キロメートルに及ぶ。
粘土質が川底に溜まるまでは浸透するばかりだろうと思っていたが、思ったより早い到達だった。
「周りの土地が水分を吸収して、今では草が生えて来てるの!」とコリス。
ちょっと期待が出来そうなのか? まだ水が入っただけで土壌はやせたままだろうが、それでも生えて来るものはあるらしい。
だが、そろそろ南方諸国へ旅立つ準備が始まっているので俺も暇じゃない。これ、どうしたもんかなぁ? 動き始めるべき?
「あれ? そう言えば、ケリスは暇してるんじゃないか?」
ぽっ
女神ケリス登場。
「ちょっと、失礼な。私は、ちゃんと仕事してますぅ」でも、ゴスロリなんだ。
「お前、ルセ島で焼きそば食ってただろ」
「な、なんでバレてるし」
いや、上位神なんだからバレて普通なんだけど? 俺が女神に遠慮して覗いてないだけだし!
「いや、匂いでわかる。あそこでしか売ってないし。俺が教えたし」
「ごめんなさい。遊んでました」
「いや、別にいいんだけど。神界はブラックだって分かったからな。女神様感謝デーとか作って労いたいくらいだよ」
「きゃ~っ、ほんとに?」とコリスが喜ぶ。
「いや、お前は仕事しろ」
「してるも~んっ」
「え~っと。で、報告は草が生えたってだけか?」
「ああ、えっと、小動物も出て来たよ。山から下りて来たみたい」
「ほう」
「あと、気候が砂漠の気候じゃ無くなってきたわね」
「おおっ。それは大きいな。意外と早く人が住めるようになるのかも?」
「そうね。長期的に生活ができる条件が何時整うかよね?」
「そうそう。あ、気温、湿度、日照時間とかって測定してる?」
「どうするの?」
「今は変化している最中だろ? 測定しておけば安定したかどうか分かるんじゃないか?」
「なるほど。分かった測定する!」
「具体的な開発は、気候が安定してからだな」
「そうね。まだ乾燥したままの土地も多いしね」
乾燥したままか。俺はちょっと気になった。
「他にも新しい河を作れないかな?」
そういいつつ、俺たちはそれぞれ神眼でストーン砂漠の様子を見た。
「例の秘境の湖に流れ込む河って砂漠に流せるかもな」
俺が吹き飛ばした小山の北側あたりを流せそうだった。
「堰き止めるってこと?」
「そう。半分ほど西に流す」
「そうね。出来そう」
「あれ? コリスに神化リングって渡してたっけ?」
「貰ってないよ」
「そか、じゃぁ神化リング渡すから、ちょちょっと流れを作って来てよ。そのまま西に流せばいいから」
「分かったわ」
「ケリスは?」
「私も神化リング貰ってない」
「そうだったっけ。うちのグループは全員に渡したつもりだったんだけど。はいこれ。じゃ、ケリスも南の山付近にある小さい川を誘導して来て。あれも、西に流そう」
「遺跡方向でいいのね。途中で今の河に合流してもいいの?」
「遺跡の反対側辺りに流せばいいんじゃないか? 遺跡はいじりたくないし」
「おっけー。やってみる」
「じゃ、よろしく~っ」
二人とも、純粋な女神様なので転移は楽々だ。
* * *
数日して、ケリス&コリスが戻って来た。あれ? 失敗した?
「リュウジ、これすっごいね~っ」と女神コリス。
「うん?」
何かと思ったら、神化リングの事だった。
「前に教わった土操作が楽々なのよ。びっくりしたわ」
「そうそう。あの時は集中してやっとだったのに、今回は鼻歌交じりで、ちょいちょいよ」と女神ケリス。
「本当かよ」
俺は、鼻歌交じりのちょいちょいが気になったので神眼で見たが、ちゃんと仕事したようだ。水も綺麗に流れている。雨季になれば更に水量が増えそうだ。
「おお、ちゃんと水が流れてる」
「でしょ? 私、結構器用なのよ」ケリスは得意げに言った。
「いや、マジでそうかも」っていうか、器用とかのレベル越えてる。
「これ、河の作り方とか知ってたの?」
「そんなことないけど、一般教養で作ったのよ」あ、教育の女神だからか?
「これもしかして川底を焼き固めたのか?」
「そう、粘土が溜まるのを待ってたら遅くなるからね。一部浸透するようにはしてあるよ」それ、一般教養なのか? なんか、俺の想像以上のことしてる気がするが。
「ほぉ。まぁ、その辺は良く分からんが、後で調整すればいいだろうな」
「そうだね。あと何が必要かな?」
「そうだな。とりあえずこの位でいいだろ。やり過ぎても困る。大体、元の状態を知らないからな」
「分かった」
「あっ、河口付近に港でもできれば理想的だろうな」
「ああ、港町を作るのね」
「うん、漁業をするかどうかはともかく、近隣の国との交易にも使えるし」
「そうか。そこまでは私らで出来るね」
「うん。後は、安定してからかな」
「誰か住み着きそうだけど」
「ああ、そうだな。遺跡は荒らされないように保存しといたほうがいいな。別の場所に開拓の拠点を作ろう」
「たぶん、南方諸国から帰った頃には、完了してると思う」
「分かった。じゃあ、そのとき改めて計画を建てよう」
まずは快適な土地にしないと都市計画も何も始まらない。
まぁ、急ぐことはないな。
しかし、こういう力技の開発には神化リングって最強だな。
人が使ってない土地だからこそ出来るんだけど。っていうか、女神様が神化リング付けると不慣れでもこの程度は出来ちゃうんだな。
水は砂漠に浸透しつつも、ついに海に到達したらしい。女神コリスが興奮気味に報告して来た。
大河は、南大陸北北東の湖から流れ出して大陸を縦断して南下、南南西の端で海へと注いでいる。
南大陸が縦長なので、ほぼその中央を流れ下っているような感じだ。これはロキー山脈が東側を縦に走っているせいだ。直線距離でも一千キロメートルに及ぶ。
粘土質が川底に溜まるまでは浸透するばかりだろうと思っていたが、思ったより早い到達だった。
「周りの土地が水分を吸収して、今では草が生えて来てるの!」とコリス。
ちょっと期待が出来そうなのか? まだ水が入っただけで土壌はやせたままだろうが、それでも生えて来るものはあるらしい。
だが、そろそろ南方諸国へ旅立つ準備が始まっているので俺も暇じゃない。これ、どうしたもんかなぁ? 動き始めるべき?
「あれ? そう言えば、ケリスは暇してるんじゃないか?」
ぽっ
女神ケリス登場。
「ちょっと、失礼な。私は、ちゃんと仕事してますぅ」でも、ゴスロリなんだ。
「お前、ルセ島で焼きそば食ってただろ」
「な、なんでバレてるし」
いや、上位神なんだからバレて普通なんだけど? 俺が女神に遠慮して覗いてないだけだし!
「いや、匂いでわかる。あそこでしか売ってないし。俺が教えたし」
「ごめんなさい。遊んでました」
「いや、別にいいんだけど。神界はブラックだって分かったからな。女神様感謝デーとか作って労いたいくらいだよ」
「きゃ~っ、ほんとに?」とコリスが喜ぶ。
「いや、お前は仕事しろ」
「してるも~んっ」
「え~っと。で、報告は草が生えたってだけか?」
「ああ、えっと、小動物も出て来たよ。山から下りて来たみたい」
「ほう」
「あと、気候が砂漠の気候じゃ無くなってきたわね」
「おおっ。それは大きいな。意外と早く人が住めるようになるのかも?」
「そうね。長期的に生活ができる条件が何時整うかよね?」
「そうそう。あ、気温、湿度、日照時間とかって測定してる?」
「どうするの?」
「今は変化している最中だろ? 測定しておけば安定したかどうか分かるんじゃないか?」
「なるほど。分かった測定する!」
「具体的な開発は、気候が安定してからだな」
「そうね。まだ乾燥したままの土地も多いしね」
乾燥したままか。俺はちょっと気になった。
「他にも新しい河を作れないかな?」
そういいつつ、俺たちはそれぞれ神眼でストーン砂漠の様子を見た。
「例の秘境の湖に流れ込む河って砂漠に流せるかもな」
俺が吹き飛ばした小山の北側あたりを流せそうだった。
「堰き止めるってこと?」
「そう。半分ほど西に流す」
「そうね。出来そう」
「あれ? コリスに神化リングって渡してたっけ?」
「貰ってないよ」
「そか、じゃぁ神化リング渡すから、ちょちょっと流れを作って来てよ。そのまま西に流せばいいから」
「分かったわ」
「ケリスは?」
「私も神化リング貰ってない」
「そうだったっけ。うちのグループは全員に渡したつもりだったんだけど。はいこれ。じゃ、ケリスも南の山付近にある小さい川を誘導して来て。あれも、西に流そう」
「遺跡方向でいいのね。途中で今の河に合流してもいいの?」
「遺跡の反対側辺りに流せばいいんじゃないか? 遺跡はいじりたくないし」
「おっけー。やってみる」
「じゃ、よろしく~っ」
二人とも、純粋な女神様なので転移は楽々だ。
* * *
数日して、ケリス&コリスが戻って来た。あれ? 失敗した?
「リュウジ、これすっごいね~っ」と女神コリス。
「うん?」
何かと思ったら、神化リングの事だった。
「前に教わった土操作が楽々なのよ。びっくりしたわ」
「そうそう。あの時は集中してやっとだったのに、今回は鼻歌交じりで、ちょいちょいよ」と女神ケリス。
「本当かよ」
俺は、鼻歌交じりのちょいちょいが気になったので神眼で見たが、ちゃんと仕事したようだ。水も綺麗に流れている。雨季になれば更に水量が増えそうだ。
「おお、ちゃんと水が流れてる」
「でしょ? 私、結構器用なのよ」ケリスは得意げに言った。
「いや、マジでそうかも」っていうか、器用とかのレベル越えてる。
「これ、河の作り方とか知ってたの?」
「そんなことないけど、一般教養で作ったのよ」あ、教育の女神だからか?
「これもしかして川底を焼き固めたのか?」
「そう、粘土が溜まるのを待ってたら遅くなるからね。一部浸透するようにはしてあるよ」それ、一般教養なのか? なんか、俺の想像以上のことしてる気がするが。
「ほぉ。まぁ、その辺は良く分からんが、後で調整すればいいだろうな」
「そうだね。あと何が必要かな?」
「そうだな。とりあえずこの位でいいだろ。やり過ぎても困る。大体、元の状態を知らないからな」
「分かった」
「あっ、河口付近に港でもできれば理想的だろうな」
「ああ、港町を作るのね」
「うん、漁業をするかどうかはともかく、近隣の国との交易にも使えるし」
「そうか。そこまでは私らで出来るね」
「うん。後は、安定してからかな」
「誰か住み着きそうだけど」
「ああ、そうだな。遺跡は荒らされないように保存しといたほうがいいな。別の場所に開拓の拠点を作ろう」
「たぶん、南方諸国から帰った頃には、完了してると思う」
「分かった。じゃあ、そのとき改めて計画を建てよう」
まずは快適な土地にしないと都市計画も何も始まらない。
まぁ、急ぐことはないな。
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※本作は他サイトでも掲載しています
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