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第二章 針の筵の婚約者編
あんたって、何なの
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誰の目も耳も届かない空間に、リリオルザ嬢と取り残されてしまった。非常に気まずい……この人、ベアトリス様の恋敵よね。
しばらくお互いに無言が続いていたが、やがてリリオルザ嬢が口を開く。
「ねえ」
「は、はいっ何でしょう!?」
「あんたって、何なの」
…?
いきなり曖昧な問いかけをされて首を傾げる。
私とは何か。
哲学的な問答を望んでいるのだろうか。
反応を返さない私に苛立ったのか、それまでの大人しい態度は鳴りを潜めて、テーブルがバン! と強く叩かれた。
「アイシャ=ゾーンなんて、聞いた事ないのよ! ベアトリスの従妹? 友達でも悪役でもない、存在すらしなかったあんたが、何でチャーリーを寝取ってるわけ!? しかも妊娠とか! ふざけんじゃないわよチャーリーにはベアトリスこそがお似合いなの、地味顔のあんたが横に入ってくるから台無しよ、もう!!」
一気に捲し立てられ、目をぱちくりさせながらも聞いている事しかできない。
えーと……彼女が私とチャールズ様の婚約を気に入らないのは分かった。それは今更だから置いといて(寝取るとか横入りに関しては心外だが)、チャールズ様とベアトリス様がお似合い? …いやまあ、私よりはそうなんでしょうけど。どうでもいいけど呼び捨てなんて無礼過ぎやしないかしら。
「あの…ベアトリス様はカーク殿下の婚約者ですし、公爵様には双鷹の誓いがですね」
「今更何言ってんのよ、カークが彼女の事なんて何とも思ってないのはあんたも知ってるでしょ」
殿下まで呼び捨てと来たか……もう怖い物なしだな。とは言えこの部屋には聞いているのは私一人、つまり私が舐められてるだけとも言える。実家の使用人からしてそうだったしなあ…
「それを言うなら、公爵様とベアトリス様も犬猿の仲ですよ。恋仲になれるとは思えません」
「何よ、自分ならラブラブだとでも言いたいの?」
いえ、私も成り行きで……チャールズ様だって実はベアトリス様の血縁だった私の事なんて面倒に決まっているだろうし。責任を取るために婚約しただけだ。
微妙な表情をしていたのがおかしかったのか、リリオルザ嬢はふふんと笑うと、手提げ鞄から分厚い封筒を出して私に寄越した。
「普通の恋愛関係はそりゃ無理でしょうけどね。二人共あれだけ顔がいいのよ。たとえ罵り合っていようと見ていておいしいに決まってるじゃない。
これ、あたしが描いたんだけど、二人の理想の夫婦生活よ」
やたら得意げに力説されるのに押され、封筒から紙の束を取り出す。そこに描かれていたものを見て、私は目が点になった。
一枚の紙に枠がいくつもあり、その中に人物画が描かれていた。現在主流のタッチではなく、単純な線で描かれデフォルメされているが誰だか分かる程度には特徴が捉えられている。見た事もない描き方だがかなり上手いと言える。
内容は、チャールズ様とベアトリス様が夫婦になったと言う前提の物語だった。小説の挿絵とは違い、口から煙のようなものを吐き出し、その中に台詞が書かれている。絵本に近いがそれよりも細々としていて、何よりとてもお子様に見せられない。
…何か、突っ込む所が多過ぎて逆に何も言えない感じだった。
「あの……色々言いたい事はあるのですが、何なのですかこれは」
「鳩狐よ」
答えになってない。鳩狐って何? どうして二人がこう…そう言う行為に至っているの? 意味が分からないのは会話自体は確かに彼等ならしていてもおかしくない事だ。罵り合いながら事に及んでいる。さらにチャールズ様はリリオルザ嬢を想っていると言う設定だった。自分で描いてて恥ずかしくないのかしら。
「お二人に見られたら大変な事になりますよ」
「もちろん、本人に見せられるわけないわ。こう言うのはこっそり妄想するのが楽しいのよ。でも、あんたは別よ。ねえ本気でチャーリーと愛し合えるなんて思ってないんでしょ? あんたなんかよりチャーリーにはベアトリスの方がよっぽど似合ってると思わない?」
どうしよう、散々嫉妬による嫌がらせは受けてきたけど、こんな方法で牽制されたのは初めてだ。似合ってると言われても、彼女が理想だと言う二人の夫婦生活が殺伐とし過ぎてて賛同しかねる。おまけにチャールズ様が自分を好きだとか……
「え、リリオルザ嬢はカーク殿下と交際されていると聞きましたが……本当は公爵様の事を?」
「はあ…何でそうなるのよ。確かにチャーリーは超絶イケメンよ。あたしだって最後まで迷ったわ。だけどチャーリーを選んだらベアトリスが悲惨な目に遭うし、ついさっきもグロい事実を知っちゃったし……それに今となってはカークが本当に好きだもの。だから都合上とは言えあんたに譲りたくないのよね」
「ベアトリス様が悲惨な目にって、どう言う事ですか!?」
リリオルザ嬢の妄想の中では、自分が好きな相手を自由に選べる立場らしいが、それよりもベアトリス様の事が引っ掛かって思わず大声を出してしまった。突然立ち上がった私に彼女は驚いている。
「どうして貴女と公爵様が恋仲になると、ベアトリス様に危険が訪れるのですか」
「だって、それが悪役令嬢だもの」
悪役令嬢――彼女の言葉に、秋の式典でベアトリス様から聞いたのを思い出す。カーク殿下は、ベアトリス様を「悪役令嬢」と呼んだ、と。
「あ、貴女が……もしかしてベアトリス様を『悪役令嬢』だと殿下に言ったのは、貴女ですか!」
「だとしたら何? 言っておくけど、あたしと出会う前から二人の仲は冷え切ってたわよ。あの調子じゃ王妃になったとしても絶対、愛し合える日なんて来ないわね」
「っ決め付けないで! ベアトリス様がどれだけ努力しているのか知りもしないで……あの方は悪役令嬢なんかじゃない!」
「うるさい、モブ以下!!」
ベアトリス様を悪く言われて激昂しかける私の胸倉を、リリオルザ嬢が掴む。彼女の中で、貴族と平民だとかそんなものは存在しないかのようだ。殿下との恋愛の影響かとも思ったが、根本的な何かが食い違っているようだ。
「『はが姫』にも出て来ない癖に、掻き回さないでよ。あんた何者!? ひょっとしてあたしと同じなの?」
「い…言ってる意味が分かりません」
「異世界から来たのかって聞いてるの!」
異世界……今までの流れからして唐突なワードなのは否めない。確かに無関係ではないけれど、私自身がそうだと言う事はない。
「私は正真正銘、スティリアム王国の生まれですけど……貴女は違うと?」
「あ、あたしだってこの世界の人間よ。じゃあ、異世界転生?」
「いえ、それもたぶん……あったとしても今の私以外の記憶はありません」
親族にはいますけどね。何て言うか私って、周りがすごいだけでつくづく平凡な人間だなあと思い知る。血が繋がっているのに特別な能力も何も引き継がなかったんだから。
納得したのか、リリオルザ嬢は私を解放した。身分云々を抜きにしても、常識として謝ってもらえないかしら。交際しているカーク殿下の見る目も疑いたくなるから。
「確かに、漫画の事も知らないみたいだし……ベアトリスと入れ替わってチャーリーの子を妊娠するとか、狙ってやったとしか思えなかったけど」
ちらりと目線を送った先にある紙の束は『マンガ』と言うらしい。…それより、貴女みたいな命知らずと一緒にしないで欲しい。こんな恐ろしい現状、誰が好き好んで狙うものか。
「まあいいわ……とにかくカークにはやるべき事があるから、あんたは足引っ張らないでよね。こんな時期にチャーリーが父親になんて、ゲームがどうなるか…」
ぶつぶつ言いながら部屋を出ようとする彼女に、私は慌てて紙束を封筒に戻して返そうとする。
「あの、これ忘れてますよ」
「あんたにあげる! それ読んでどれだけ自分がお邪魔虫か思い知るといいわ」
あげるって言われても……ここに描かれているのはリリオルザ嬢の妄想であって、現実とはかすりもしていない。と言うかチャールズ様の目に留まったらと思うと恐ろしくて置いておきたくないんだけど。
ドアを開けると、カーク殿下が立ったままお茶を飲んでいた。待ちぼうけになっているのを侍女が見かねたらしい。
「随分話し込んでいたようだな。気になっていた事は聞けたか?」
「はい! アイシャ様とはしっかり親睦を深めました!」
ねえ? とにこやかに笑いかけられて、顔が引き攣る。もう、カーク殿下もリリオルザ嬢も怖い。私はベアトリス様じゃないんだから、この二人の相手なんてとてもできない。
そんな私の様子にカーク殿下は面白そうに肩を揺らして笑うと、彼女を伴い帰って行った。
(疲れた……)
玄関まで見送った後、よたよた部屋まで戻り、ベッドにダイブしたくなったが、その前に手に持ったままの封筒を引き出しの奥に仕舞った。
しばらくお互いに無言が続いていたが、やがてリリオルザ嬢が口を開く。
「ねえ」
「は、はいっ何でしょう!?」
「あんたって、何なの」
…?
いきなり曖昧な問いかけをされて首を傾げる。
私とは何か。
哲学的な問答を望んでいるのだろうか。
反応を返さない私に苛立ったのか、それまでの大人しい態度は鳴りを潜めて、テーブルがバン! と強く叩かれた。
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えーと……彼女が私とチャールズ様の婚約を気に入らないのは分かった。それは今更だから置いといて(寝取るとか横入りに関しては心外だが)、チャールズ様とベアトリス様がお似合い? …いやまあ、私よりはそうなんでしょうけど。どうでもいいけど呼び捨てなんて無礼過ぎやしないかしら。
「あの…ベアトリス様はカーク殿下の婚約者ですし、公爵様には双鷹の誓いがですね」
「今更何言ってんのよ、カークが彼女の事なんて何とも思ってないのはあんたも知ってるでしょ」
殿下まで呼び捨てと来たか……もう怖い物なしだな。とは言えこの部屋には聞いているのは私一人、つまり私が舐められてるだけとも言える。実家の使用人からしてそうだったしなあ…
「それを言うなら、公爵様とベアトリス様も犬猿の仲ですよ。恋仲になれるとは思えません」
「何よ、自分ならラブラブだとでも言いたいの?」
いえ、私も成り行きで……チャールズ様だって実はベアトリス様の血縁だった私の事なんて面倒に決まっているだろうし。責任を取るために婚約しただけだ。
微妙な表情をしていたのがおかしかったのか、リリオルザ嬢はふふんと笑うと、手提げ鞄から分厚い封筒を出して私に寄越した。
「普通の恋愛関係はそりゃ無理でしょうけどね。二人共あれだけ顔がいいのよ。たとえ罵り合っていようと見ていておいしいに決まってるじゃない。
これ、あたしが描いたんだけど、二人の理想の夫婦生活よ」
やたら得意げに力説されるのに押され、封筒から紙の束を取り出す。そこに描かれていたものを見て、私は目が点になった。
一枚の紙に枠がいくつもあり、その中に人物画が描かれていた。現在主流のタッチではなく、単純な線で描かれデフォルメされているが誰だか分かる程度には特徴が捉えられている。見た事もない描き方だがかなり上手いと言える。
内容は、チャールズ様とベアトリス様が夫婦になったと言う前提の物語だった。小説の挿絵とは違い、口から煙のようなものを吐き出し、その中に台詞が書かれている。絵本に近いがそれよりも細々としていて、何よりとてもお子様に見せられない。
…何か、突っ込む所が多過ぎて逆に何も言えない感じだった。
「あの……色々言いたい事はあるのですが、何なのですかこれは」
「鳩狐よ」
答えになってない。鳩狐って何? どうして二人がこう…そう言う行為に至っているの? 意味が分からないのは会話自体は確かに彼等ならしていてもおかしくない事だ。罵り合いながら事に及んでいる。さらにチャールズ様はリリオルザ嬢を想っていると言う設定だった。自分で描いてて恥ずかしくないのかしら。
「お二人に見られたら大変な事になりますよ」
「もちろん、本人に見せられるわけないわ。こう言うのはこっそり妄想するのが楽しいのよ。でも、あんたは別よ。ねえ本気でチャーリーと愛し合えるなんて思ってないんでしょ? あんたなんかよりチャーリーにはベアトリスの方がよっぽど似合ってると思わない?」
どうしよう、散々嫉妬による嫌がらせは受けてきたけど、こんな方法で牽制されたのは初めてだ。似合ってると言われても、彼女が理想だと言う二人の夫婦生活が殺伐とし過ぎてて賛同しかねる。おまけにチャールズ様が自分を好きだとか……
「え、リリオルザ嬢はカーク殿下と交際されていると聞きましたが……本当は公爵様の事を?」
「はあ…何でそうなるのよ。確かにチャーリーは超絶イケメンよ。あたしだって最後まで迷ったわ。だけどチャーリーを選んだらベアトリスが悲惨な目に遭うし、ついさっきもグロい事実を知っちゃったし……それに今となってはカークが本当に好きだもの。だから都合上とは言えあんたに譲りたくないのよね」
「ベアトリス様が悲惨な目にって、どう言う事ですか!?」
リリオルザ嬢の妄想の中では、自分が好きな相手を自由に選べる立場らしいが、それよりもベアトリス様の事が引っ掛かって思わず大声を出してしまった。突然立ち上がった私に彼女は驚いている。
「どうして貴女と公爵様が恋仲になると、ベアトリス様に危険が訪れるのですか」
「だって、それが悪役令嬢だもの」
悪役令嬢――彼女の言葉に、秋の式典でベアトリス様から聞いたのを思い出す。カーク殿下は、ベアトリス様を「悪役令嬢」と呼んだ、と。
「あ、貴女が……もしかしてベアトリス様を『悪役令嬢』だと殿下に言ったのは、貴女ですか!」
「だとしたら何? 言っておくけど、あたしと出会う前から二人の仲は冷え切ってたわよ。あの調子じゃ王妃になったとしても絶対、愛し合える日なんて来ないわね」
「っ決め付けないで! ベアトリス様がどれだけ努力しているのか知りもしないで……あの方は悪役令嬢なんかじゃない!」
「うるさい、モブ以下!!」
ベアトリス様を悪く言われて激昂しかける私の胸倉を、リリオルザ嬢が掴む。彼女の中で、貴族と平民だとかそんなものは存在しないかのようだ。殿下との恋愛の影響かとも思ったが、根本的な何かが食い違っているようだ。
「『はが姫』にも出て来ない癖に、掻き回さないでよ。あんた何者!? ひょっとしてあたしと同じなの?」
「い…言ってる意味が分かりません」
「異世界から来たのかって聞いてるの!」
異世界……今までの流れからして唐突なワードなのは否めない。確かに無関係ではないけれど、私自身がそうだと言う事はない。
「私は正真正銘、スティリアム王国の生まれですけど……貴女は違うと?」
「あ、あたしだってこの世界の人間よ。じゃあ、異世界転生?」
「いえ、それもたぶん……あったとしても今の私以外の記憶はありません」
親族にはいますけどね。何て言うか私って、周りがすごいだけでつくづく平凡な人間だなあと思い知る。血が繋がっているのに特別な能力も何も引き継がなかったんだから。
納得したのか、リリオルザ嬢は私を解放した。身分云々を抜きにしても、常識として謝ってもらえないかしら。交際しているカーク殿下の見る目も疑いたくなるから。
「確かに、漫画の事も知らないみたいだし……ベアトリスと入れ替わってチャーリーの子を妊娠するとか、狙ってやったとしか思えなかったけど」
ちらりと目線を送った先にある紙の束は『マンガ』と言うらしい。…それより、貴女みたいな命知らずと一緒にしないで欲しい。こんな恐ろしい現状、誰が好き好んで狙うものか。
「まあいいわ……とにかくカークにはやるべき事があるから、あんたは足引っ張らないでよね。こんな時期にチャーリーが父親になんて、ゲームがどうなるか…」
ぶつぶつ言いながら部屋を出ようとする彼女に、私は慌てて紙束を封筒に戻して返そうとする。
「あの、これ忘れてますよ」
「あんたにあげる! それ読んでどれだけ自分がお邪魔虫か思い知るといいわ」
あげるって言われても……ここに描かれているのはリリオルザ嬢の妄想であって、現実とはかすりもしていない。と言うかチャールズ様の目に留まったらと思うと恐ろしくて置いておきたくないんだけど。
ドアを開けると、カーク殿下が立ったままお茶を飲んでいた。待ちぼうけになっているのを侍女が見かねたらしい。
「随分話し込んでいたようだな。気になっていた事は聞けたか?」
「はい! アイシャ様とはしっかり親睦を深めました!」
ねえ? とにこやかに笑いかけられて、顔が引き攣る。もう、カーク殿下もリリオルザ嬢も怖い。私はベアトリス様じゃないんだから、この二人の相手なんてとてもできない。
そんな私の様子にカーク殿下は面白そうに肩を揺らして笑うと、彼女を伴い帰って行った。
(疲れた……)
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