98 / 99
第三章 港町の新米作家編
参加目的
しおりを挟む
「あれ? 何だこれ、屋台が写ってない!」
改めて写真を覗き込んだジョセフ様が驚愕する。確かに、写っているのは私たちだけ。叔父様の馬車は認識が阻害されるみたいだけど、もしかして写真にも写らないのかしら?
「って、いつの間にか屋台も消えてる!?」
「お前が喋ってる間に撤収してたぞ。このテーブルと机は置いてかれたな……」
叔父様としちゃ、私の正体もそうだけれど、あまり騒がれてルージュ侯爵家に見つかるのもまずいでしょうね。
そんな事を考えていると――
ビリビリッ!
「ああっ! 何するんですか僕の写真!!」
ガッツ先輩がジョセフ様から受け取ったたった一枚の写真を、ビリビリに破いていた。地面に散らばる紙片を這い蹲って拾おうとするジョセフ様に、先輩は唸るような低い声で脅す。
「ふざけんな、人の許可も取らずに盗撮なんてしやがって。俺らはただの記者だからまだいい、国や地域によっては怒らせて命を狙われる事もざらだぞ」
「ひえっ!」
「お前もカメラマンの端くれなら、心を蔑ろにするような撮影は考えた方がいい。リリーって子が大事なんだろ?」
まるでジョセフ様がリリオルザ嬢に気があるような物言い。だが気まずそうに目を逸らすあたり、当たらずとも遠からずの模様。
「そのリリーにどうしても気になるって言ってたんです! それに、俺がどうこうしなくても近い内にリリーはこの町に来ますよ」
「えっ、どういう事!?」
不穏な言葉が聞き捨てならずに身を乗り出せば、ジョセフ様は溜息を吐きながら広場を指差した。
「あとひと月ほどで、キトピロでは『花祭り』が開催されるでしょう? リリーはそこでK=ホイール先生に会うつもりなんです」
彼の言う『花祭り』とは、毎年秋の始めに行われる町おこしの事。ゾーン伯爵領に聖マリエール教の後付けの風習があるように、ここキトピロにも光の乙女にちなんだイベントがあり、それが『花祭り』だ。
最大の目玉はベストカップルコンテスト『光の乙女杯』。去年住み始めたばかりの私は行けなかったが、聞いた話によれば審査員長はこの町の神官らしい……まあ、光の乙女は信仰の対象だし。優勝したカップルには『光の花冠』が贈られるが、歴代優勝者の家に飾られている花冠はレプリカであって、噂によれば神官様はコンテストを隠れ蓑にして本物の光の乙女を探しているとか何とか……
「その本物の光の乙女が、リリーなんです」
「え……っ、聖マリエール教は元々隣国の教義でしたよね?」
信仰さえあれば場所は関係ないかもしれないけど、それにしたってリリオルザ嬢が光の乙女……『マンガ』を手にして熱く語っていたテンションを思い出すと納得できない。
それはさておき、実はスティリアム王立学園に入学する経緯そのものが、光の乙女のもとに現れると言われる聖獣の顕現だったらしい。孤児だったリリオルザ嬢が光の乙女の再来として、ヴァリーの町は大騒ぎになり、当然隣町のキトピロにもその話は伝わっていたのだが、ポーチェ男爵が学園へ入学させるために早々に囲い込んでしまったので、接触が叶わなかったそうだ。
「以来花祭りは形骸化してしまい、『光の乙女杯』も熱を失ったお遊びのコンテストになってしまっているそうです。でも今年は違う、本物がついに参加してくれるという事で、町長も神官様もやる気になっているんですよ」
「……その話が本当なら、新聞社が情報をキャッチしてないのは変な話だが」
「あ、リリーの話を町長に伝えたのは僕ですから、まだ聞いていないのは当然ですよ」
えー……リリオルザ嬢が、私に会うために花祭りへ!? まさか町長、ガラン新聞社の情報を渡してないでしょうね。叔父様がガッチリ対策をしているし、ジョセフ様の反応を見る限りでは私がK=ホイールという事もバレていないようだけど。
もし参加依頼が来れば、断る事はできるのだろうか? もし正体がバレたら私たち親子だけじゃない、関わった人たち全てが危険に晒されてしまう。
「分かった……そのリリ何とかってお嬢さんには、花祭り当日K=ホイール先生に会わせてやると伝えておけ」
「ガッツ先輩!?」
何を、と言いかける私を視線で制し、先輩はジョセフ様に告げた。
「そうだな、どうせなら思い出に残るイベントにして、心行くまでご満足いただこうじゃないか。その代わり、演出は全てガラン新聞社に任せてもらう。本人も含め、絶対誰にも情報を漏らさないと誓うなら協力してやってもいいが……どうする?」
「いいんですか!? もちろん、是非ともお願いします!!」
ジョセフ様としては、リリオルザ嬢の望みさえ叶うならそれでよかったようだ。機密漏洩しそうになると首が絞まるという恐ろしい効果のあるチョーカーまで身に着けるという念の入れようで、誓約書をその場で作った。
「チョーカーを無理に外そうとしても分かるからな。命が惜しいなら当日まで大人しくしておいた方がいい」
「ここまでしないといけないなんて……ひょっとしてK=ホイール先生ってヤバい人ですか?」
「最初からその可能性も視野に入れとけ。この業界、儲けの種になる人材は引き抜き合戦になるんだよ」
適当な事を言いつつも、先輩はジョセフ様と打ち合わせのために何度か会う約束を交わしてようやく追い払った。
見ている事しかできなかったけど……私はチラリと先輩の方を窺う。
「あの……会わせるなんて言って、本当に大丈夫なんですか?」
「あの手の輩は本当しつこいからな。シャットアウトしたところで執念で嗅ぎ付けて忍び込んでくる。だったら野放しするよりも囲い込んで行動を把握しておく方が安全だ。あのチョーカーも祭りが終わるまでしか着けさせられないから、知られても問題ない情報だけ渡しておけばいいし」
なるほど。
ジョセフ様の洞察力と、この町まで行き着いた行動力を思い返し、私も納得した。敵に回すと厄介だからこそ、仲間に引き入れて動きを制限させるとは。
「……だけど結局、私は祭りに参加してリリオルザ嬢と会わなければならないんですね」
「そのためにもこれから作戦会議だな。安心しろって、俺たちが絶対守ってやるから」
溜息を吐きそうになったところにバシンと背中を叩かれ、私は咳き込んでしまった。
改めて写真を覗き込んだジョセフ様が驚愕する。確かに、写っているのは私たちだけ。叔父様の馬車は認識が阻害されるみたいだけど、もしかして写真にも写らないのかしら?
「って、いつの間にか屋台も消えてる!?」
「お前が喋ってる間に撤収してたぞ。このテーブルと机は置いてかれたな……」
叔父様としちゃ、私の正体もそうだけれど、あまり騒がれてルージュ侯爵家に見つかるのもまずいでしょうね。
そんな事を考えていると――
ビリビリッ!
「ああっ! 何するんですか僕の写真!!」
ガッツ先輩がジョセフ様から受け取ったたった一枚の写真を、ビリビリに破いていた。地面に散らばる紙片を這い蹲って拾おうとするジョセフ様に、先輩は唸るような低い声で脅す。
「ふざけんな、人の許可も取らずに盗撮なんてしやがって。俺らはただの記者だからまだいい、国や地域によっては怒らせて命を狙われる事もざらだぞ」
「ひえっ!」
「お前もカメラマンの端くれなら、心を蔑ろにするような撮影は考えた方がいい。リリーって子が大事なんだろ?」
まるでジョセフ様がリリオルザ嬢に気があるような物言い。だが気まずそうに目を逸らすあたり、当たらずとも遠からずの模様。
「そのリリーにどうしても気になるって言ってたんです! それに、俺がどうこうしなくても近い内にリリーはこの町に来ますよ」
「えっ、どういう事!?」
不穏な言葉が聞き捨てならずに身を乗り出せば、ジョセフ様は溜息を吐きながら広場を指差した。
「あとひと月ほどで、キトピロでは『花祭り』が開催されるでしょう? リリーはそこでK=ホイール先生に会うつもりなんです」
彼の言う『花祭り』とは、毎年秋の始めに行われる町おこしの事。ゾーン伯爵領に聖マリエール教の後付けの風習があるように、ここキトピロにも光の乙女にちなんだイベントがあり、それが『花祭り』だ。
最大の目玉はベストカップルコンテスト『光の乙女杯』。去年住み始めたばかりの私は行けなかったが、聞いた話によれば審査員長はこの町の神官らしい……まあ、光の乙女は信仰の対象だし。優勝したカップルには『光の花冠』が贈られるが、歴代優勝者の家に飾られている花冠はレプリカであって、噂によれば神官様はコンテストを隠れ蓑にして本物の光の乙女を探しているとか何とか……
「その本物の光の乙女が、リリーなんです」
「え……っ、聖マリエール教は元々隣国の教義でしたよね?」
信仰さえあれば場所は関係ないかもしれないけど、それにしたってリリオルザ嬢が光の乙女……『マンガ』を手にして熱く語っていたテンションを思い出すと納得できない。
それはさておき、実はスティリアム王立学園に入学する経緯そのものが、光の乙女のもとに現れると言われる聖獣の顕現だったらしい。孤児だったリリオルザ嬢が光の乙女の再来として、ヴァリーの町は大騒ぎになり、当然隣町のキトピロにもその話は伝わっていたのだが、ポーチェ男爵が学園へ入学させるために早々に囲い込んでしまったので、接触が叶わなかったそうだ。
「以来花祭りは形骸化してしまい、『光の乙女杯』も熱を失ったお遊びのコンテストになってしまっているそうです。でも今年は違う、本物がついに参加してくれるという事で、町長も神官様もやる気になっているんですよ」
「……その話が本当なら、新聞社が情報をキャッチしてないのは変な話だが」
「あ、リリーの話を町長に伝えたのは僕ですから、まだ聞いていないのは当然ですよ」
えー……リリオルザ嬢が、私に会うために花祭りへ!? まさか町長、ガラン新聞社の情報を渡してないでしょうね。叔父様がガッチリ対策をしているし、ジョセフ様の反応を見る限りでは私がK=ホイールという事もバレていないようだけど。
もし参加依頼が来れば、断る事はできるのだろうか? もし正体がバレたら私たち親子だけじゃない、関わった人たち全てが危険に晒されてしまう。
「分かった……そのリリ何とかってお嬢さんには、花祭り当日K=ホイール先生に会わせてやると伝えておけ」
「ガッツ先輩!?」
何を、と言いかける私を視線で制し、先輩はジョセフ様に告げた。
「そうだな、どうせなら思い出に残るイベントにして、心行くまでご満足いただこうじゃないか。その代わり、演出は全てガラン新聞社に任せてもらう。本人も含め、絶対誰にも情報を漏らさないと誓うなら協力してやってもいいが……どうする?」
「いいんですか!? もちろん、是非ともお願いします!!」
ジョセフ様としては、リリオルザ嬢の望みさえ叶うならそれでよかったようだ。機密漏洩しそうになると首が絞まるという恐ろしい効果のあるチョーカーまで身に着けるという念の入れようで、誓約書をその場で作った。
「チョーカーを無理に外そうとしても分かるからな。命が惜しいなら当日まで大人しくしておいた方がいい」
「ここまでしないといけないなんて……ひょっとしてK=ホイール先生ってヤバい人ですか?」
「最初からその可能性も視野に入れとけ。この業界、儲けの種になる人材は引き抜き合戦になるんだよ」
適当な事を言いつつも、先輩はジョセフ様と打ち合わせのために何度か会う約束を交わしてようやく追い払った。
見ている事しかできなかったけど……私はチラリと先輩の方を窺う。
「あの……会わせるなんて言って、本当に大丈夫なんですか?」
「あの手の輩は本当しつこいからな。シャットアウトしたところで執念で嗅ぎ付けて忍び込んでくる。だったら野放しするよりも囲い込んで行動を把握しておく方が安全だ。あのチョーカーも祭りが終わるまでしか着けさせられないから、知られても問題ない情報だけ渡しておけばいいし」
なるほど。
ジョセフ様の洞察力と、この町まで行き着いた行動力を思い返し、私も納得した。敵に回すと厄介だからこそ、仲間に引き入れて動きを制限させるとは。
「……だけど結局、私は祭りに参加してリリオルザ嬢と会わなければならないんですね」
「そのためにもこれから作戦会議だな。安心しろって、俺たちが絶対守ってやるから」
溜息を吐きそうになったところにバシンと背中を叩かれ、私は咳き込んでしまった。
30
あなたにおすすめの小説
真実の愛がどうなろうと関係ありません。
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令息サディアスはメイドのリディと恋に落ちた。
婚約者であった伯爵令嬢フェルネは無残にも婚約を解消されてしまう。
「僕はリディと真実の愛を貫く。誰にも邪魔はさせない!」
サディアスの両親エヴァンズ伯爵夫妻は激怒し、息子を勘当、追放する。
それもそのはずで、フェルネは王家の血を引く名門貴族パートランド伯爵家の一人娘だった。
サディアスからの一方的な婚約解消は決して許されない裏切りだったのだ。
一ヶ月後、愛を信じないフェルネに新たな求婚者が現れる。
若きバラクロフ侯爵レジナルド。
「あら、あなたも真実の愛を実らせようって仰いますの?」
フェルネの曾祖母シャーリンとレジナルドの祖父アルフォンス卿には悲恋の歴史がある。
「子孫の我々が結婚しようと関係ない。聡明な妻が欲しいだけだ」
互いに塩対応だったはずが、気づくとクーデレ夫婦になっていたフェルネとレジナルド。
その頃、真実の愛を貫いたはずのサディアスは……
(予定より長くなってしまった為、完結に伴い短編→長編に変更しました)
婚約者と義妹に裏切られたので、ざまぁして逃げてみた
せいめ
恋愛
伯爵令嬢のフローラは、夜会で婚約者のレイモンドと義妹のリリアンが抱き合う姿を見てしまった。
大好きだったレイモンドの裏切りを知りショックを受けるフローラ。
三ヶ月後には結婚式なのに、このままあの方と結婚していいの?
深く傷付いたフローラは散々悩んだ挙句、その場に偶然居合わせた公爵令息や親友の力を借り、ざまぁして逃げ出すことにしたのであった。
ご都合主義です。
誤字脱字、申し訳ありません。
陛下を捨てた理由
甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。
そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。
※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。
選ばれたのは私ではなかった。ただそれだけ
暖夢 由
恋愛
【5月20日 90話完結】
5歳の時、母が亡くなった。
原因も治療法も不明の病と言われ、発症1年という早さで亡くなった。
そしてまだ5歳の私には母が必要ということで通例に習わず、1年の喪に服すことなく新しい母が連れて来られた。彼女の隣には不思議なことに父によく似た女の子が立っていた。私とあまり変わらないくらいの歳の彼女は私の2つ年上だという。
これからは姉と呼ぶようにと言われた。
そして、私が14歳の時、突然謎の病を発症した。
母と同じ原因も治療法も不明の病。母と同じ症状が出始めた時に、この病は遺伝だったのかもしれないと言われた。それは私が社交界デビューするはずの年だった。
私は社交界デビューすることは叶わず、そのまま治療することになった。
たまに調子がいい日もあるが、社交界に出席する予定の日には決まって体調を崩した。医者は緊張して体調を崩してしまうのだろうといった。
でも最近はグレン様が会いに来ると約束してくれた日にも必ず体調を崩すようになってしまった。それでも以前はグレン様が心配して、私の部屋で1時間ほど話をしてくれていたのに、最近はグレン様を姉が玄関で出迎え、2人で私の部屋に来て、挨拶だけして、2人でお茶をするからと消えていくようになった。
でもそれも私の体調のせい。私が体調さえ崩さなければ……
今では月の半分はベットで過ごさなければいけないほどになってしまった。
でもある日婚約者の裏切りに気づいてしまう。
私は耐えられなかった。
もうすべてに………
病が治る見込みだってないのに。
なんて滑稽なのだろう。
もういや……
誰からも愛されないのも
誰からも必要とされないのも
治らない病の為にずっとベッドで寝ていなければいけないのも。
気付けば私は家の外に出ていた。
元々病で外に出る事がない私には専属侍女などついていない。
特に今日は症状が重たく、朝からずっと吐いていた為、父も義母も私が部屋を出るなど夢にも思っていないのだろう。
私は死ぬ場所を探していたのかもしれない。家よりも少しでも幸せを感じて死にたいと。
これから出会う人がこれまでの生活を変えてくれるとも知らずに。
---------------------------------------------
※架空のお話です。
※設定が甘い部分があるかと思います。「仕方ないなぁ」とお赦しくださいませ。
※現実世界とは異なりますのでご理解ください。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
後悔などありません。あなたのことは愛していないので。
あかぎ
恋愛
「お前とは婚約破棄する」
婚約者の突然の宣言に、レイラは言葉を失った。
理由は見知らぬ女ジェシカへのいじめ。
証拠と称される手紙も差し出されたが、筆跡は明らかに自分のものではない。
初対面の相手に嫉妬して傷つけただなど、理不尽にもほどがある。
だが、トールは疑いを信じ込み、ジェシカと共にレイラを糾弾する。
静かに溜息をついたレイラは、彼の目を見据えて言った。
「私、あなたのことなんて全然好きじゃないの」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる