役に立つんだか立たないんだかの小説家入門

無自覚の騙し討ち「タグ」の難しさ

　タグについては【ざまぁの定義】で語った通り、読者が読みたいものを探す上で不可欠なものなので、作者側としても意味合いをしっかり把握しておきたいものです。

　こんなケースがありました。
　ざまぁタグが付いているのに、主人公は追放されたまま、追い出した側は何事もなくハッピーエンド。これに読者は抗議しましたが、作者側の言い分としては「追い出した側から見たら、主人公が追放される事こそがざまぁだから」……うーん、そう解釈しちゃいますか。
　私も読者様から熱弁された定義が絶対だとも思っていませんが、タグで誤解させるのはさすがにまずい気が。読み手はタグにあるような展開を期待して読むわけですから、期待を裏切られた分不快に感じてしまってもしょうがない。

　また、タグは「こんなのが読みたい」という目的以外にも「これは読みたくない」という自衛のためにも使われます。作者に表現の自由があるように、読者にも選ぶ権利がある。読む前に内容が地雷かどうかをタグで判断するのです。

　ちなみに私は「ヤンデレ」がダメです。定義についてはpixiv百科事典を見ていただくとして、主人公の意思を無視して強制的に関係を結んだり、主人公と親しい異性を権力や暴力などで排除するキャラが相手役だった場合には絶対にタグを付けて欲しいですね。
　あと「モラハラ」もかな。暴言や暴力で主人公にトラウマを植え付けておいて、最後まで謝罪や反省をしない（もしくは「ごめん」の一言のみで済ませる）。これで主人公が簡単に絆されるようなら、DVカップルの爆誕ですｗ　もちろんキャラが何をもって幸せとするかは作者が決める事ですが、全ての読者がそれに賛同できるとは限りません。
　残念ながら、これらのタグが付いてない作品が物凄く多くて、知らずに地雷を踏んでしまう事数知れず……いやもう本当ダメなんです、ヤンデレもモラハラも！　うっかり目にした時の拒絶反応が凄まじいので、作者様方は読者の地雷回避のためにも、ぜひタグ付けをお願いしたい。（※脇役だったり、最終的に別れる結末であれば、もちろん不要です）

　判断が難しいタグとしては「ハッピーエンド」がありますね。こちらも人によって定義が違いますから……一見ハッピーだけど不穏要素がある、解釈によって幸福と不幸が引っ繰り返る結末の場合は「メリーバッドエンド（メリバ）」が妥当かな。

　なお、これらタグによる住み分けはpixivで叩き込まれましたｗ
　二次創作は何かとヘイトに偏りやすいんで、お互い不快な思いをさせないよう試行錯誤しているんですよ。その中でも「死ネタ」はネタバレ的な意味もあって、タグを付けるか否か意見が分かれてましたね。