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アト先生の魔法講座
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家に戻ってすぐ、アトに頼み事をする。
「魔法を教えてください!」
俺は正座をしながら目の前で両手を合わせる。
「え? いやよ、めんどくさい。今日はもう疲れたし」
俺もこいつもお互い学ばないな……。
「ちょっとさっきの武具屋に行ってくる」
「わかった! わかったわ、しょうがないんだから!」
立ち上がって出ていこうとした俺をアトが慌てて制止する。
かなり不服そうな表情をしていた。
「それじゃ、流し込むわよ」
「ちょ、ちょっと待った!」
慌てて距離をとった。
「なによ? 魔法を覚えたいんでしょ? 直接流し込むのが一番じゃない」
「いやいや、口で説明できる事は流し込まずに説明してほしいんだけど」
「手っ取り早く、この世界の魔法の知識を全て流し込んであげようと思ったのに」
「廃人になるわ!」
アトが非常にめんどくさそうな顔をしている。
「仕方ないわねー。じゃあ、魔法の基礎からいくわよ。一度しか言わないから、よく聞きなさいよ」
「はい、先生! お願いします!」
先生と呼ばれたのが余程嬉しかったのか、笑顔で説明を始める。
「魔法を扱えるかどうかは三つの要素で決まるわ。その三つとは、魔力量、魔力変換、魔法発動時間。魔力量は、その人が持っている魔力の総量で、これによって魔力の使える回数や時間が変わってくるわ。そして魔力変換は、いかに自分の魔力を事象へと変換できるかよ。魔力変換が上手い人は、少ない魔力で強大な魔法を発動できるわ。そして最後に魔法発動時間、これは言葉の通り魔法を発動させられるまでの時間のことで、瞬時に魔法を発動させられる人もいれば、発動までに一分以上かかる人もいるわ」
まくし立てるような説明だったので、いまいち頭に入ってこない。
「簡単に言えば魔力の総量が多くて、魔力の扱いがうまくて、発動が早い人はすごい魔術師ってこと!」
なんか一気に雑になったな!
「それで、魔法を使うにはどうしたらいいんだ? 俺って魔法使えるの?」
「魔力量はー……はっきり言って少ないわね。魔法変換と魔法発動時間に関してはイメージ力が大事だから、異世界人のあんたならイメージ次第で伸びるかもね」
イメージ力……それは魔法を習得してからの練習次第か。
「そういえば、アトって魔法は使えるの?」
「はぁ? あんたバカなの? あんたがこっちの世界に来てから、魔法使ってばっかりじゃない!」
どこでそんな素振り見せてた?
思い当たる時がない。
「まずは記憶のリンク。あたしは対象の知識を覗くことと対象に知識を与えることができる。世界の知識、厳密にはストレ様の記憶を覗いて、あんたに知識を与えてるのよ」
知識を与えるのって魔法だったのか。女神の使いの特性か何かだと思っていた。
「そして、あんたにだけ姿が見えて声が届いてること。これも私への認識を阻害する魔法よ」
こっちは言われて納得する。
透明化とか音声遮断とか、そういうのも魔法で出来るってことか。
何でもいいから魔法を覚えたいな。
「俺でも簡単に覚えられる魔法ってある?」
「待ってました! 今度こそ流し込むわよ!」
え?
「ちょっと――」
咄嗟に自分とアトの間に両手を出して防ごうとする。
「問答無用!」
頭に激痛が走り、エリーとの記憶を引き出された時と似た感覚に襲われる。
激痛の中、魔法陣や魔法で使われる文字などのイメージが、どんどんと頭に流れてくる。
そのイメージを脳が勝手に定着させようとし、その度に頭の痛みが増す。
繰り返している内に、痛みに耐えられなくなり意識が遠のく。
意識が消える寸前……魔法を覚えた……ような気がする。
「魔法を教えてください!」
俺は正座をしながら目の前で両手を合わせる。
「え? いやよ、めんどくさい。今日はもう疲れたし」
俺もこいつもお互い学ばないな……。
「ちょっとさっきの武具屋に行ってくる」
「わかった! わかったわ、しょうがないんだから!」
立ち上がって出ていこうとした俺をアトが慌てて制止する。
かなり不服そうな表情をしていた。
「それじゃ、流し込むわよ」
「ちょ、ちょっと待った!」
慌てて距離をとった。
「なによ? 魔法を覚えたいんでしょ? 直接流し込むのが一番じゃない」
「いやいや、口で説明できる事は流し込まずに説明してほしいんだけど」
「手っ取り早く、この世界の魔法の知識を全て流し込んであげようと思ったのに」
「廃人になるわ!」
アトが非常にめんどくさそうな顔をしている。
「仕方ないわねー。じゃあ、魔法の基礎からいくわよ。一度しか言わないから、よく聞きなさいよ」
「はい、先生! お願いします!」
先生と呼ばれたのが余程嬉しかったのか、笑顔で説明を始める。
「魔法を扱えるかどうかは三つの要素で決まるわ。その三つとは、魔力量、魔力変換、魔法発動時間。魔力量は、その人が持っている魔力の総量で、これによって魔力の使える回数や時間が変わってくるわ。そして魔力変換は、いかに自分の魔力を事象へと変換できるかよ。魔力変換が上手い人は、少ない魔力で強大な魔法を発動できるわ。そして最後に魔法発動時間、これは言葉の通り魔法を発動させられるまでの時間のことで、瞬時に魔法を発動させられる人もいれば、発動までに一分以上かかる人もいるわ」
まくし立てるような説明だったので、いまいち頭に入ってこない。
「簡単に言えば魔力の総量が多くて、魔力の扱いがうまくて、発動が早い人はすごい魔術師ってこと!」
なんか一気に雑になったな!
「それで、魔法を使うにはどうしたらいいんだ? 俺って魔法使えるの?」
「魔力量はー……はっきり言って少ないわね。魔法変換と魔法発動時間に関してはイメージ力が大事だから、異世界人のあんたならイメージ次第で伸びるかもね」
イメージ力……それは魔法を習得してからの練習次第か。
「そういえば、アトって魔法は使えるの?」
「はぁ? あんたバカなの? あんたがこっちの世界に来てから、魔法使ってばっかりじゃない!」
どこでそんな素振り見せてた?
思い当たる時がない。
「まずは記憶のリンク。あたしは対象の知識を覗くことと対象に知識を与えることができる。世界の知識、厳密にはストレ様の記憶を覗いて、あんたに知識を与えてるのよ」
知識を与えるのって魔法だったのか。女神の使いの特性か何かだと思っていた。
「そして、あんたにだけ姿が見えて声が届いてること。これも私への認識を阻害する魔法よ」
こっちは言われて納得する。
透明化とか音声遮断とか、そういうのも魔法で出来るってことか。
何でもいいから魔法を覚えたいな。
「俺でも簡単に覚えられる魔法ってある?」
「待ってました! 今度こそ流し込むわよ!」
え?
「ちょっと――」
咄嗟に自分とアトの間に両手を出して防ごうとする。
「問答無用!」
頭に激痛が走り、エリーとの記憶を引き出された時と似た感覚に襲われる。
激痛の中、魔法陣や魔法で使われる文字などのイメージが、どんどんと頭に流れてくる。
そのイメージを脳が勝手に定着させようとし、その度に頭の痛みが増す。
繰り返している内に、痛みに耐えられなくなり意識が遠のく。
意識が消える寸前……魔法を覚えた……ような気がする。
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