ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

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第一章

佐藤の知らなかった噂の世界

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「シュクルじゃなかったわ、カイザーね、情報は何か得たかしら?」

「モヴェーズ商会の三男が私に色々プレゼントをくれるんです。かなり仲良くなりましたから色々探れると思います」

「やるじゃない~!」

「で、ギルド長は一体何をしてるんですか?」

「情報収集よ~!は~い!風船どうぞ~!」

 騎士養成校に入学してから順調に一週間が経ち、私は今、アテナ港にいる。今日は開港記念日だとかでお祭りなのだ。養成校も休みだし、せっかくなので情報を求めてアテナ港に来たら、ギルド長がカモメの着ぐるみを着てよい子に風船を配っていた。

「その恰好で突っ立っていて情報得られます?」

「カイザーは分かってないわね~この着ぐるみはあなたが思うよりも視野が広いわよ?私からあなたの顔は見えるけど、あなたからは私が見えない。私が今どこを見つめているかもわからないでしょ~?それに無害そうで意外と警戒されないのよ~それでカイザーはどこに行くのかしら?」

「よい子の海上警備船見学ですよ。その後は積み荷の集積場で迷子をするつもりです」

「あらぁ~気を付けてね~海外に売られちゃダメよ~あなたはこの国の獣王になるのだから!」

「はいはい。では」


今日は年に一度の海上警備船の見学が出来る日なのだ。カイザーは騎士養成校の生徒なので見学が推奨されている。

「お?養成校の生徒か?しっかり見学していけよ。将来一緒に乗るかもしれないからな」

「はい。ありがとうございます」

船内は意外と綺麗だった。それに警備兵の制服が白と青でちょっとかっこいい。この仕事も悪くなくね?と思ったが、船室の天井の低さと全面鉄に囲まれているのは非常に閉塞感を与える。やっぱり私には無理だな。船酔いもすると思う。

見学可能な場所を手早く観察し、船内にある地図を頭に叩き込む。

『モヴェーズ商会が黒なのはわかっているけど、海上警備兵は何処までが黒なのかわからないわ。でも白ではないはずよ』

ギルド長から言われた言葉を思い出す。


「すみません、質問いいですか?」

「おおいいぞ。熱心な生徒だな」

「何人くらいで海上警備は行いますか?夜も海に出ますか?」

「そうだな、大体十人くらいで警備に出るぞ。夜間は基本的に危険だから船には乗らないよ。でも灯台から監視はしてるぞ。もちろん何かあれば船を夜間でも出すが、この港の少し沖にいきなり浅瀬になっている所があってね、そこが危険だから暗いと問題なんだよな」

「じゃあ小型の船ならどうですか?」

「漁船くらいなら大丈夫だと思うぞ」


さて次は船の積み荷を上げ下ろしする所を見学しよう。モヴェーズ商会の大型商船はどこだろうか?

「凄いな~コンテナじゃなくて木箱な所にレトロ感を感じる――『おい』――」

積み荷を荒々しい筋肉マン達がガンガン運ぶ。中身は何だろうか?美味しい物ならいいよな~ちょっと一つくらい転がって落ちてこないかな?一つくらいなら拾ってもOKだろ?

「おい君、君だよ。こんな所で何をしている?」

「ひぇ?!俺ですか?」

いきなり真後ろから肩を掴まれた。

「こんな所に入って泥棒か?君から邪な感情を感じたぞ?」

「そ、そんなぁ!今日は港の見学に来ただけです!」

振り向いたらフードを被って顔が見えづらい細身の男がいた。

こいつ⋯⋯私に全く気配を感じさせないとは訓練を受けてるな。それに何だ?邪な感情とは。少しばかりお裾分けしてくれたらいいな~と思っただけだぞ!

「ふぅん?確かにその制服は養成校のだな。だが何だろうな?お前から妙な違和感を受ける。特にその頭からだ」

「?!」

コイツ何者だ?違和感MAXだがあえて誰も突っ込まない黒髪から生えるピンク耳を話題に出すとは!まさかコイツ――

「あの、おじさんはよく空気読めないって言われません?女性からも引かれがちだったりするのではありませんか?」

「な、何で知ってるんだよ!それと俺はまだ二十歳だ!」

「初対面の人間に対して容姿の事を悪く言うなんて失礼ですよ?俺は男だからいいですけど、女性だったら絶――対に怒ると思います。そしておじさんの何気ない暴言を吐かれた被害者女性が友人達に被害報告をして、その友人達がまた友人達に話して⋯⋯ネズミ講式におじさんは嫌われていくんです」

「そ、そんな馬鹿な!」

「おや?心当たりがおありですね?ですがおじさんは女性の噂伝達速度を理解されていません。今頃おじさんは全女性の敵です。女性の悪口は凄まじいですよ?例えば――『あの人酷い男よ』から『アイツ酷く臭そうじゃない?』に進化し『超臭くて小さそうよね~外れないフード被ってそう(w笑w)』とか言われ出し、『ねぇ聞いた?あのおじさん短小フード付きで性病なんですって!悪臭を放つらしいわ』と二日で噂は成長するでしょう」

「う、嘘だ!事実無根だ!」

「女性の噂は楽しければ何でもいいんです。おじさんはもう手遅れですので結婚はあきらめて下さい。ではさようなら~淋病おじさん。梅毒には気を付けてね~」

「ま、待ってくれ~!嘘だって言ってくれ――――!俺はまだ新品だ――!」

全く。せっかく積み荷の観察をしていたのに邪魔してくれるぜ。

今の男は魔術師だな。だがどうやって私の心を読んだんだ?男は私の後ろにいて私の顔など見ていないのに。

どこの魔術師だろうか?港の集積場で何をしていたのだ?まあいい。とりあえず精神的苦痛を与えておいたから今のうちに逃げよう。危うきには近寄らずだな。



「さて気を取り直して屋台を調査するぞ~」

食べ物はじっくりと吟味しなくてはな!だが食べ物以外も調査しなくてはならない。
綺麗なガラス細工に銀細工。壺や食器類に布、服も売っている。

「おや?植物も売っているな」

私も植物成長魔法で花を咲かせて出店すれば儲かるだろうか。

「へぇ~動物も売っている。アヒルと亀だ、ヤギも可愛いな」

草食動物はいいよな。魔獣ばかり見ているから余計愛らしく感じる。 あぁ白い羽毛に触りたい。

「いらっしゃい!安くするよ!このアヒルは肥えていて美味しいよ!この亀は滋養強壮にいいですよ!」

「⋯⋯そうですか。母に勧めておきます⋯⋯」

食用だった。大切なのはどうぶつ達と目を合わせない事だ。もし目が合ってしまったら自責の念に駆られるのだ。

さて次は医薬品だろうか?何やら女性が群がっている場所に行ってみよう。

「安いですよ~いらっしゃいませ~石鹸に美白用品~クリームはいかがですか?」

「美白?」

美白だと?絶対に嘘だろう!美白とは案外難しいものだからこの世界にあるとは思えないぞ。白い肌でいる最もよい方法はやはり日焼けをしない事だ。

「輸入品の大人気な日焼け止めだよ~朝塗れば白い肌でいられますよ~残りあと二つ!お急ぎ下さい~」

「一つ下さい」

「毎度!」

これは情報収集の証拠品なのだ。怪しい外来品の安全性を確認しなくてはならぬ。
だから経費で落としてもらわなくてはな。うん。

よく聞くだろ?昔の白粉に鉛や水銀が含まれていて危険だったと。これから私は自分の体を持ってして実験をするのだ。この国の女性のために。

「ちょっと怖いから腕に塗ろう。マジで日焼け止めなのかな?安全で効果があったら買いだめしよ~」

「お?可愛い子、カ、カイザーじゃねぇか。こんな所で何してるんだ?」

「あ!ジェローム・モヴェーズさん、こんにちは!先ほどクリームを買ったので試しているんですよ」

「そうなのか。あ?そのクリーム俺ん家の商会のじゃねぇか?家に一杯あるぞ」

「えぇ?!羨ましい!!」

ほう?このクリームはモヴェーズ商会の輸入品だったか。自分冴えてるぜ!絶対に経費で落とそう。

「欲しいのか?じ、じゃあ家来るか?」

「いいんですか?!ではお邪魔させていただきます!」

いきなりモヴェーズ商会会長の家に潜入出来るチャンスが転がって来た。
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