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第一章
佐藤は精神攻撃に弱いが復活も早い
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「船嫌だなー」
年が明けてヴィクトワール王国に帰国する船に乗り込んだ。すでに気分は最悪だ。
「どしたの?船は嫌い?」
「船酔いが酷いんだよ⋯⋯」
シュクルは一生船乗りにはなれないだろう。乗客船のクルーも無理だ。なので心から彼らを尊敬する。
「薬飲む?」
「え?持ってるの?!神か?!」
なんと薬があるらしい。私は苺さんに言われた通り、簡易ベッドに横になって水と共に服用した。
「シュクル~着いたわよ~シュクル~?」
「⋯⋯ん?え?どこにですか?」
「もうアテナの町に着いたのよ~」
「えぇぇぇ?!」
薬を飲んで横になってからの記憶が無い。気づいた時にはアテナに着いていた。
一体何故?
「シュクルに眠剤飲ませたからだよ。たまにだし、いいっしょ?」
「凄い。薬って凄い⋯⋯」
苺さんは元薬剤師らしい。調剤や保険薬剤師ではなくて新薬の開発、研究の場で医師や研究員らと働いていたとか。
こんな人材を遊ばせておくわけにはイカン。良い職場を苺さんに探さなくては!
「ムフフ⋯⋯獣人にも人間の薬って効くんだ~へぇ~」
苺の呟きは波の音に消えた⋯⋯
「あ~~ローブ脱いで耳出せるっていいわ~!ニーチェもそう思う?」
「ウーウ(お腹すいた)」
「確かに!」
アテナの町を歩きながら食べ物を探す。すると何故かいつもと違う人々の目線を感じる。
「?」
「シュクル、この町は何が美味しいの?」
「オイルサーディンとかの魚介、フルーツに新鮮な野菜もいいよ」
ギルド長のお気に入りのバー兼、大衆食堂で食事をする。ギルド長はつまみを片手にカウンターで立ち飲みだが。
「?」
また視線を感じる。そこに悪感情は感じないが。
「ちょっとシュクル、それ何食べてんの?!」
「魔獣の生肉。最近全然食べていなかったから恋しかったよ。てか、なんだかさっきから目線を感じるんだよね。おかしいなぁ?」
苺さんといるからだろうか?日本人顔が珍しいとか?
「シュクルの変な髪型が原因じゃない?耳と髪の生え際ピンクで変だし。黒い髪染め落ちててマダラ模様だし」
「うぉぉおぉぉ?!」
そりゃ変だな。ヤバい⋯⋯お洒落に気を使わないと皇弟みたいになってしまう。
「ママ!ぬいだ!ぬいがいる~」
「ぬいはいませんよ?え?あれ?いるわね」
食事をしていると小さい女の子が現れた。ぬいとは何だろうか?その女の子の手に人形の様なぬいぐるみの様な物があった。
「⋯⋯?」
ぬいとはこの黒髪おかっぱのうさ耳獣人人形だろうか。
「あ、すみません、うちの子が。あなたがぬいに似ていたもので」
「いえ、ぬいとはその人形ですか?」
「えぇ。最近人気なんですよ?モヴェーズ商会が売り出していて、最近あそこも色々あったから趣旨替えしたみたいですね。可愛い物を沢山売り出してるんです」
「⋯⋯そ、そうですか⋯⋯」
「超~ウケるんですけど!!インチキ女神の次は、うさ耳転生ぬいおじさん!大人気!」
「⋯⋯ほらオワコンじゃないだろ?」
明日養成校に行ってモヴェーズ先輩に詳しく聞かなくてはな。女神の件はアレだが、今度こそモデル代として我に金を払え。
苺さんは私達の借りている家に一緒に住む事になった。元農家の家なので大きくて部屋は有り余っている。苺さんは料理も家事も出来るそうで女子力が高そうだ。私とギルド長は戦闘力に特化し過ぎていて家事は出来ない。
最近では⋯⋯
『シュクル~魔法で空中に水出して洗剤とクルクルってして服洗って~その後は風魔法で乾燥させてね~』
『疲れたからシュクルの水魔法で丸ごと私を洗って~あと食器も~』
『シーツにワインこぼしたの~シュクルの魔法でベッドごと洗って~ついでに部屋の塵も風魔法で飛ばして~』
こんな感じだ。私もすでにこの生活に慣れている。風と水魔法は本当に便利だ。 環境に優しいフリーエネルギー。でもシュクルは尋常じゃないくらい食べるから燃費が悪いか⋯⋯?
次の日私は久々に学校に向かった。
「じゃあニーチェ行ってくるね。ニーチェは森で食事かな?亀も森の中を歩いているのかな?」
「ウー(うん)」
森を抜けて養成校に着いた。休み明けの学校は少し浮足立っている。
「カイザー君おはよう?あれ?!髪の色が違うよ?!カイザー君だよね?」
「おはようジャン。実はさぁ町で俺に似たぬいが流行ってて落ち着かないんだよね。だから髪染めたんだ」
まだら模様の頭が奇怪過ぎたので苺さんにピンク髪色を戻してもらった。もうすぐ地元に戻るし。
「何て言うか、可愛いね、女の子みたいだ」
「そうか⋯⋯」
ジャンよテレないでくれ。こんな場面苺さんに見られたら『可愛い~推せるカプ誕生!』なんて事になるからな。
「よし!みんな冬休みは楽しかったか?今日からまたしっかり鍛えるぞ!」
「「「「はい」」」」
最近体鍛えてなかったもんな。このままではヤバいわ。変態皇弟にも追いつかれそうだったし。
今日から真面目に挑むぞ。まずはランニング、そして体術の稽古だ。
「よし!次は攻守交代で行くぞ!」
「じゃあ本気でカイザー来い!」
「⋯⋯え?先生、本気でやっていいんですか?マジっすか?じゃあ行きます!」
「フン!フン!フーン!!ハハハハ!カイザーは体術はまだまだだな!」
先生は人間なのに強い。
「先生凄い!さすが戦闘が好き過ぎて結婚出来なかっただけはありますね!これだけ強ければ一生一人でも平気ですもんね!」
「ん?どうして過去形なんだよ?まだ結婚出来るだろ?!え?」
全く歯が立たなくて悔しいので精神攻撃をしておく。そして先生がちょっと動揺した隙に攻撃する。シュクルはギルド長から学んだのだ。勝つためなら全方向から攻撃せよと。弱点を見極め、そこを徹底的に攻撃せよと。
「く、強いですね先生⋯⋯でも毎年ピチピチの成人男性が婚活市場に出荷されるんですよ?だったら女性も長年売れ残って萎びた物より新鮮でいい物を選びたいですよね?」
「おいぃぃ?!それは俺が売れ残りみたいな言い方じゃないか?!でも俺は堅実に仕事をしてそれなりに稼ぎがあるぞ!大人で落ち着いていていいだろ?!」
「男性の寿命は女性より短いですし、即要介護は⋯⋯それに『お前のとーちゃんお爺ちゃんだよな?』って子供が言われるのは悲しいですよ?」
「ぐはっ⋯⋯」
うむ。やっと勝てた。先生は強いが精神攻撃に弱いみたいだな。しかし自分で言っていて佐藤の心にぶっ刺さる、心抉る攻撃だった⋯⋯
今日の訓練は精神的攻撃で萎びた先生と自身の言葉で自爆したシュクルが出来上がっただけだった。
楽しい昼食の時間だ。カイザーは俊足を生かし、学食に一番にたどり着くのだ。勿論その為には先生に圧力をかける。授業終了三分前には先生目掛けて軽い覇気を飛ばすのだ。先生はため息をついて授業を終わらせてくれる。
「お姉さん!肉定食ちょうだい!」
「また~おばさんの事お姉さんだなんて!あら?カイザー君?髪の色が違うね?すごく可愛い!大盛りにしてあげる!」
「お姉さん大好き!」
「まぁ!もっと増やしちゃう~」
窓際のいい席に座り肉を味わう。うさぎ獣人らしからぬ感じだがサラダも食べるからセーフだ。
食事を堪能しているといつもの先輩方がやって来た。
「カイザーなのか?髪がピンクじゃねぇか?!」
「お久しぶりです先輩方。髪は最近アテナの町で大人気なぬいに間違えられるので染めましたよ。あれ?モヴェーズ先輩はいませんか?」
自分に似たぬいを大人気とか言って先ほどの体術の授業中に負った心の負傷を埋める。自家治療。
「おぉ染めたのか!ちょっと可愛い過ぎるんじゃねぇか?!こりゃ護衛増やさねぇとな!ジェロームの奴は今モヴェーズ商会で頑張ってるぞ」
ジェローム・モヴェーズは父親と兄達が捕まり、全く仕事を手伝っていなかったジェローム先輩が商会を継ぐ事になり、学校を辞めたそうだ。
今回の騒動でかなりの損害を出し、沢山あった店舗を手放したり売りに出したり大変だったそうだ。
「あいつ最近カイザーのぬい売ってたな。医薬品とか化粧品とかじゃなくて、よくわかんね~けど可愛い物とかそういう物を残った従業員と売り出したらしいぞ?」
「やっぱ俺じゃん!」
やはりあのぬいは私だった。そりゃみんな私を見るわけだ。モデル代をせしめたいがモヴェーズ商会も大変そうだな⋯⋯
「カイザーが遊びに行ったらあいつ喜ぶぜ!放課後行ってみねぇか?」
「はい!」
放課後ジェローム・モヴェーズに会いに行く事にした。
年が明けてヴィクトワール王国に帰国する船に乗り込んだ。すでに気分は最悪だ。
「どしたの?船は嫌い?」
「船酔いが酷いんだよ⋯⋯」
シュクルは一生船乗りにはなれないだろう。乗客船のクルーも無理だ。なので心から彼らを尊敬する。
「薬飲む?」
「え?持ってるの?!神か?!」
なんと薬があるらしい。私は苺さんに言われた通り、簡易ベッドに横になって水と共に服用した。
「シュクル~着いたわよ~シュクル~?」
「⋯⋯ん?え?どこにですか?」
「もうアテナの町に着いたのよ~」
「えぇぇぇ?!」
薬を飲んで横になってからの記憶が無い。気づいた時にはアテナに着いていた。
一体何故?
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「凄い。薬って凄い⋯⋯」
苺さんは元薬剤師らしい。調剤や保険薬剤師ではなくて新薬の開発、研究の場で医師や研究員らと働いていたとか。
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苺の呟きは波の音に消えた⋯⋯
「あ~~ローブ脱いで耳出せるっていいわ~!ニーチェもそう思う?」
「ウーウ(お腹すいた)」
「確かに!」
アテナの町を歩きながら食べ物を探す。すると何故かいつもと違う人々の目線を感じる。
「?」
「シュクル、この町は何が美味しいの?」
「オイルサーディンとかの魚介、フルーツに新鮮な野菜もいいよ」
ギルド長のお気に入りのバー兼、大衆食堂で食事をする。ギルド長はつまみを片手にカウンターで立ち飲みだが。
「?」
また視線を感じる。そこに悪感情は感じないが。
「ちょっとシュクル、それ何食べてんの?!」
「魔獣の生肉。最近全然食べていなかったから恋しかったよ。てか、なんだかさっきから目線を感じるんだよね。おかしいなぁ?」
苺さんといるからだろうか?日本人顔が珍しいとか?
「シュクルの変な髪型が原因じゃない?耳と髪の生え際ピンクで変だし。黒い髪染め落ちててマダラ模様だし」
「うぉぉおぉぉ?!」
そりゃ変だな。ヤバい⋯⋯お洒落に気を使わないと皇弟みたいになってしまう。
「ママ!ぬいだ!ぬいがいる~」
「ぬいはいませんよ?え?あれ?いるわね」
食事をしていると小さい女の子が現れた。ぬいとは何だろうか?その女の子の手に人形の様なぬいぐるみの様な物があった。
「⋯⋯?」
ぬいとはこの黒髪おかっぱのうさ耳獣人人形だろうか。
「あ、すみません、うちの子が。あなたがぬいに似ていたもので」
「いえ、ぬいとはその人形ですか?」
「えぇ。最近人気なんですよ?モヴェーズ商会が売り出していて、最近あそこも色々あったから趣旨替えしたみたいですね。可愛い物を沢山売り出してるんです」
「⋯⋯そ、そうですか⋯⋯」
「超~ウケるんですけど!!インチキ女神の次は、うさ耳転生ぬいおじさん!大人気!」
「⋯⋯ほらオワコンじゃないだろ?」
明日養成校に行ってモヴェーズ先輩に詳しく聞かなくてはな。女神の件はアレだが、今度こそモデル代として我に金を払え。
苺さんは私達の借りている家に一緒に住む事になった。元農家の家なので大きくて部屋は有り余っている。苺さんは料理も家事も出来るそうで女子力が高そうだ。私とギルド長は戦闘力に特化し過ぎていて家事は出来ない。
最近では⋯⋯
『シュクル~魔法で空中に水出して洗剤とクルクルってして服洗って~その後は風魔法で乾燥させてね~』
『疲れたからシュクルの水魔法で丸ごと私を洗って~あと食器も~』
『シーツにワインこぼしたの~シュクルの魔法でベッドごと洗って~ついでに部屋の塵も風魔法で飛ばして~』
こんな感じだ。私もすでにこの生活に慣れている。風と水魔法は本当に便利だ。 環境に優しいフリーエネルギー。でもシュクルは尋常じゃないくらい食べるから燃費が悪いか⋯⋯?
次の日私は久々に学校に向かった。
「じゃあニーチェ行ってくるね。ニーチェは森で食事かな?亀も森の中を歩いているのかな?」
「ウー(うん)」
森を抜けて養成校に着いた。休み明けの学校は少し浮足立っている。
「カイザー君おはよう?あれ?!髪の色が違うよ?!カイザー君だよね?」
「おはようジャン。実はさぁ町で俺に似たぬいが流行ってて落ち着かないんだよね。だから髪染めたんだ」
まだら模様の頭が奇怪過ぎたので苺さんにピンク髪色を戻してもらった。もうすぐ地元に戻るし。
「何て言うか、可愛いね、女の子みたいだ」
「そうか⋯⋯」
ジャンよテレないでくれ。こんな場面苺さんに見られたら『可愛い~推せるカプ誕生!』なんて事になるからな。
「よし!みんな冬休みは楽しかったか?今日からまたしっかり鍛えるぞ!」
「「「「はい」」」」
最近体鍛えてなかったもんな。このままではヤバいわ。変態皇弟にも追いつかれそうだったし。
今日から真面目に挑むぞ。まずはランニング、そして体術の稽古だ。
「よし!次は攻守交代で行くぞ!」
「じゃあ本気でカイザー来い!」
「⋯⋯え?先生、本気でやっていいんですか?マジっすか?じゃあ行きます!」
「フン!フン!フーン!!ハハハハ!カイザーは体術はまだまだだな!」
先生は人間なのに強い。
「先生凄い!さすが戦闘が好き過ぎて結婚出来なかっただけはありますね!これだけ強ければ一生一人でも平気ですもんね!」
「ん?どうして過去形なんだよ?まだ結婚出来るだろ?!え?」
全く歯が立たなくて悔しいので精神攻撃をしておく。そして先生がちょっと動揺した隙に攻撃する。シュクルはギルド長から学んだのだ。勝つためなら全方向から攻撃せよと。弱点を見極め、そこを徹底的に攻撃せよと。
「く、強いですね先生⋯⋯でも毎年ピチピチの成人男性が婚活市場に出荷されるんですよ?だったら女性も長年売れ残って萎びた物より新鮮でいい物を選びたいですよね?」
「おいぃぃ?!それは俺が売れ残りみたいな言い方じゃないか?!でも俺は堅実に仕事をしてそれなりに稼ぎがあるぞ!大人で落ち着いていていいだろ?!」
「男性の寿命は女性より短いですし、即要介護は⋯⋯それに『お前のとーちゃんお爺ちゃんだよな?』って子供が言われるのは悲しいですよ?」
「ぐはっ⋯⋯」
うむ。やっと勝てた。先生は強いが精神攻撃に弱いみたいだな。しかし自分で言っていて佐藤の心にぶっ刺さる、心抉る攻撃だった⋯⋯
今日の訓練は精神的攻撃で萎びた先生と自身の言葉で自爆したシュクルが出来上がっただけだった。
楽しい昼食の時間だ。カイザーは俊足を生かし、学食に一番にたどり着くのだ。勿論その為には先生に圧力をかける。授業終了三分前には先生目掛けて軽い覇気を飛ばすのだ。先生はため息をついて授業を終わらせてくれる。
「お姉さん!肉定食ちょうだい!」
「また~おばさんの事お姉さんだなんて!あら?カイザー君?髪の色が違うね?すごく可愛い!大盛りにしてあげる!」
「お姉さん大好き!」
「まぁ!もっと増やしちゃう~」
窓際のいい席に座り肉を味わう。うさぎ獣人らしからぬ感じだがサラダも食べるからセーフだ。
食事を堪能しているといつもの先輩方がやって来た。
「カイザーなのか?髪がピンクじゃねぇか?!」
「お久しぶりです先輩方。髪は最近アテナの町で大人気なぬいに間違えられるので染めましたよ。あれ?モヴェーズ先輩はいませんか?」
自分に似たぬいを大人気とか言って先ほどの体術の授業中に負った心の負傷を埋める。自家治療。
「おぉ染めたのか!ちょっと可愛い過ぎるんじゃねぇか?!こりゃ護衛増やさねぇとな!ジェロームの奴は今モヴェーズ商会で頑張ってるぞ」
ジェローム・モヴェーズは父親と兄達が捕まり、全く仕事を手伝っていなかったジェローム先輩が商会を継ぐ事になり、学校を辞めたそうだ。
今回の騒動でかなりの損害を出し、沢山あった店舗を手放したり売りに出したり大変だったそうだ。
「あいつ最近カイザーのぬい売ってたな。医薬品とか化粧品とかじゃなくて、よくわかんね~けど可愛い物とかそういう物を残った従業員と売り出したらしいぞ?」
「やっぱ俺じゃん!」
やはりあのぬいは私だった。そりゃみんな私を見るわけだ。モデル代をせしめたいがモヴェーズ商会も大変そうだな⋯⋯
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