ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

文字の大きさ
87 / 206
第一章

佐藤はあの船で最後まで演奏していた演奏家に感動した

しおりを挟む
 巨大ムカデが足を絡ませる事なくシュクルに向かって来る。これほどの恐怖があるだろうか?いや、無い。でもアレに食べられるのはもっと嫌だ。アレに触れて欲しくない。出来れば視界にも入れたくない。ならば―― 

「風魔法で吹き飛ばす!!フン!」 

――ドゴン―― 

「あぁぁぁぁあああ キモい!!バイオハザード!!」 

そうだここはくねくねした洞窟内だった。風魔法で吹き飛ばしたってそばの壁に当たるのだ。先ほどのムカデの殻が割れてもう⋯⋯絶対モザイク入れないと放送禁止レベルな光景が広がっている。 

「いいね~シュクル!硬い殻が割れたよ~これで食べられるよ~」 
「無理です!」 

先生はムカデに近づき火の魔石で焼き始めた。その異常な光景にシュクルは目を背けていたが、次第に洞窟内に充満する香ばしい香りに何故か腹が鳴りだした。 

「いやいやいや、ないないない。さすがに無理だろ?」 

自身の胃に忠告するが、今度はシュクルの脳が―― 

『初めて蜂の子とかタガメを食べた人間だってありえないと思ったんじゃん?でも食べてみたよね?初めはみんなそんなモンだって!』 

「いやいや、別に食事に困ってないし⋯⋯」 

『食わず嫌いは良くないよ?それに食材を無駄にするのは駄目!命を狩ったのだから責任をとりなさい』 

「正当防衛では?しかも食材じゃないし⋯⋯」 

『お腹鳴ってるじゃん。シュクルの体は食材と認めてるよ?拒否してるのは最早お前だけだぞ?』 

「えぇ?!多数決的な感じなの?私が負けたのか?!」 

なんてこった。でも私は民主主義な人間だしな⋯⋯多数決には従うべきか?でも開票方法なんて信用できなくね?票は操作されてるだろ?私の免疫系も消化器系も反対してるはずだぞ?どうしようか――

 
「シュクル~焼けたよ~」 
「はーい」 

ムカデの一節?が丁度お椀の様になっていて、そこから香ばしい匂いがふわりとシュクルの食欲を促す。確かに食わず嫌いはよい子ではない。とりあえず一口⋯⋯ 

「⋯⋯よくわからない味ですね⋯⋯塩でもかけるか」 

バッグから塩を取り出してかけてみる。まぁ味気ないお粥というかプリンというか⋯⋯食べられなくはないのか。とりあえずこの一節は食べるか。 

「シュクル~焼けたよ~」 
「はーい」 

お高い魔石で焼いてもらったのなら食べなきゃ駄目じゃないか。仕方ないなぁ、次はテクノポリス皇国産の唐辛子で行くか。 

「シュクル~次~」 
「は~い」 

 
「シュクルこれで全部だよ~」 
「全く⋯⋯美味しいのか美味しくないのかわからない味でした⋯⋯うぅぅ?」 

突然謎のビジョンが脳裏に映し出された。ぼんやりとした変な視野、これはまさか⋯⋯ 

「うぇぇ巨大ムカデの記憶?!見たくない!止めろ!あぁぁぁ何食ってんだよ!巡りに巡って私の胃に入ってくるだろう?!おぇぇぇ」 

「ははは~シュクルは面白いね~」 

もう二度と虫は食べないと誓ったシュクルだった。 


 
心をゴリゴリと削られたシュクルはトーマス先生の背中を追う。迷う事なく先生は洞窟の奥に進んで行った。 

「もう巨大ムカデは出ませんよね?」 

「どうかな~ムカデは一匹いると十匹はいるからな~それにムカデの匂いが充満しているから呼び寄せるんだよね~」 

「ヒィッィ」 

嫌だ早く洞窟から出たい。でも一人じゃ恐怖過ぎて歩けないのでトーマス先生の後を追うしかない。 

「着いた~ここだよ~見て~」 
「あれ?洞窟内なのに湖があるんですか?」 

洞窟内に湖があった。 

「先生、水中に光る物がありますね?何でしょう?」 

綺麗だし売れたらいいなと思い手を伸ばすと―― 

「え???ええええ?!?!?先生助けて!!」 

音もなく水草がシュクルの体に絡みついて水中に引きずり込もうとしている。 

「いいよ~!シュクル!それがフラコンだよ~!花弁部分が欲しいな~!」 

体が水に入る。信じられないくらい冷たい。心臓発作を起こしそうだ。そんな危機的状況でふと佐藤は友人との何気ない会話を思い出した。 

『タイタニックの生存者って避難ボートに乗れた人達だけなのかね?』 

『いや、それが海に投げ出されても助かった人はいたらしいよ。アルコールを飲んでいた人だとか。でも氷河が浮かんでるような海水なんてヤバすぎるだろ』 

(マジでヤバすぎる!誰か私にアルコールを!!) 

水中の中で先ほどの白く光る何かが近づいて来る。水中なので視界がぼやけているが、あれがトーマス先生の欲しいフラコンの花だろう。腰にある短剣を構えて近づいて来るのを待ち、花弁の下にある茎を切る。想像していたよりも花の動きはゆっくりだ。多分水草を絡めて獲物を水中に引きずり込んで、窒息させて食べるからだと思う。なのでゆっくりでも構わないのだ。 

そしてシュクルの体を拘束していた水草は解けた。 

「プハァ!はー、これですか?先生?」 
「そう~ありがとう~」 

急いで岸に戻り服を乾かさねば!シュクルは水中から出た。先生にフラコンの花を手渡し、服を脱ごうとしたのだが⋯⋯ 

「何だ?!先生いぃぃぃ!自分が変です!」 

自身の体から湯気が出ている。そういえば雪解け水の中にいたのにそれ程寒さを感じない。 

「ははは~シュクルはサウナみたいだな~それが多分さっき食べた火属性の魔力じゃないかな~?」 

「何それ微妙過ぎる!でも何だか服も乾いてきてるからいいか」 

そういえば乾燥機も欲しかったんだよな。風魔法だけだと寒くて湿度の高い日は乾きが悪いからな。でもムカデはもう食べたくない。 

「シュクル~あそこ見てごらん?あのやもりがフラコンに狙われてるよ~」 

「ん?あ!あれは!」 

ウーパールーパー風やもりだ!あいつは洞窟内に生息していたのか!確かに洞窟内は虫が多いし暗い。洞窟内の食物連鎖の邪魔はしたくないが、ついウーパーやもりを助けてしまった。 

「先生もう一つフラコンをどうぞ――ズン――」 

「ありがとう~そのやもりはどうする~?焼いて食べる~?――グ――」 

「絶対に食べません――ゴゴ――」 

「「⋯⋯?」」 

先程から何か変な音がする。 

「先生、フラコンは冬眠明けの動物を食べるんですよね?冬眠明けにこの湖を通る動物ってどんな動物でしょう?」 

「魔獣かな~?」 

「ほう⋯⋯⋯⋯」 

音は洞窟の奥から聞こえてくる気がする。しかもその音が徐々にこちらへ向かっている感じがするのだが⋯⋯ 

「僕は魔獣除け持っているから多分平気だよ~シュクルは~?」 

「何一人で狭い横穴に入ってるんですか?!魔獣除けって何ですか?!知りませんよ!」 

「嘘~?シュクルは魔獣除け無しで森に入るの~?すごいね~ちなみにこの横穴はお一人様用だよ~」 

「おぃぃぃぃ?!」 

――ガツ――ドシ――ジャリ―― 

さらにこちらに向かって来ているんですけど?! 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない

紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。 完結済み。全19話。 毎日00:00に更新します。 R15は、念のため。 自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)

異世界魔物大図鑑 転生したら魔物使いとかいう職業になった俺は、とりあえず魔物を育てながら図鑑的なモノを作る事にしました

おーるぼん
ファンタジー
主人公は俺、43歳独身久保田トシオだ。 人生に疲れて自ら命を絶とうとしていた所、それに失敗(というか妨害された)して異世界に辿り着いた。 最初は夢かと思っていたこの世界だが、どうやらそうではなかったらしい、しかも俺は魔物使いとか言う就いた覚えもない職業になっていた。 おまけにそれが判明したと同時に雑魚魔物使いだと罵倒される始末……随分とふざけた世界である。 だが……ここは現実の世界なんかよりもずっと面白い。 俺はこの世界で仲間たちと共に生きていこうと思う。 これは、そんなしがない中年である俺が四苦八苦しながらもセカンドライフを楽しんでいるだけの物語である。 ……分かっている、『図鑑要素が全くないじゃないか!』と言いたいんだろう? そこは勘弁してほしい、だってこれから俺が作り始めるんだから。 ※他サイト様にも同時掲載しています。

転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~

ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。 異世界転生しちゃいました。 そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど チート無いみたいだけど? おばあちゃんよく分かんないわぁ。 頭は老人 体は子供 乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。 当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。 訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。 おばあちゃん奮闘記です。 果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか? [第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。 第二章 学園編 始まりました。 いよいよゲームスタートです! [1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。 話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。 おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので) 初投稿です 不慣れですが宜しくお願いします。 最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。 申し訳ございません。 少しづつ修正して纏めていこうと思います。

転生してチートを手に入れました!!生まれた時から精霊王に囲まれてます…やだ

如月花恋
ファンタジー
…目の前がめっちゃ明るくなったと思ったら今度は…真っ白? 「え~…大丈夫?」 …大丈夫じゃないです というかあなた誰? 「神。ごめんね~?合コンしてたら死んじゃってた~」 …合…コン 私の死因…神様の合コン… …かない 「てことで…好きな所に転生していいよ!!」 好きな所…転生 じゃ異世界で 「異世界ってそんな子供みたいな…」 子供だし 小2 「まっいっか。分かった。知り合いのところ送るね」 よろです 魔法使えるところがいいな 「更に注文!?」 …神様のせいで死んだのに… 「あぁ!!分かりました!!」 やたね 「君…結構策士だな」 そう? 作戦とかは楽しいけど… 「う~ん…だったらあそこでも大丈夫かな。ちょうど人が足りないって言ってたし」 …あそこ? 「…うん。君ならやれるよ。頑張って」 …んな他人事みたいな… 「あ。爵位は結構高めだからね」 しゃくい…? 「じゃ!!」 え? ちょ…しゃくいの説明ぃぃぃぃ!!

最安もふもふ三匹に名前をつける変な冒険者ですが、この子たちの力を引き出せるのは私だけです ~精霊偏愛録~

Lihito
ファンタジー
精霊に名前をつける冒険者は、たぶん私だけだ。 うさぎのノル、狐のルゥ、モモンガのピノ。三匹とも最安の契約で、手のひらに乗るサイズ。周りからは「手乗り精霊で何ができる」と笑われている。 でも、この子たちへの聞き方を変えるだけで、返ってくる答えはまるで違う。三匹の情報を重ねれば、上位の精霊一体では見えないものが見える。 上位パーティが三度失敗した大型討伐。私は戦わない。ノルに地中を、ピノに上空を、ルゥに地上を調べさせて、答えを組み上げる。 ——この世界の精霊の使い方、みんな間違ってませんか?

異世界で俺の初級魔法が最強でした。無自覚に絶望から救った美女やエルフたちに溺愛されています

仙道
ファンタジー
やり込んでいたゲームの世界に転移した俺、渉。この世界では、俺にとっての「初級魔法」が最高峰の威力だった。しかし、他の冒険者たちが雑魚モンスター1匹に苦労しているのを見て、「みんなわざと弱い魔法を使って戦闘を楽しんでいるんだな」と思い込む。空気を読んだ俺は、手加減をして平凡な冒険者を演じることにした。街で出会った気品ある貴族の娘セリアに猛アタックするも振られ、俺はすっぱりと諦める。 そんな中、歩くたびに大きく揺れる豊満な胸と、吸い付くような肉感的な太ももを持つ冒険者リナと出会う。彼女がモンスターに武器を壊され、冒険者としての誇りを踏みにじられそうになる絶望的な場面に遭遇。俺はつい初級魔法を放ち敵を一掃してしまう。「獲物を横取りしてしまった」と激しく後悔してそっけない態度をとる俺。だが、その態度が逆に「プライドを傷つけない大人の余裕」と誤解され、リナに激しく惚れられてしまう。彼女は柔らかく熱い体をためらいなく俺に押し付け、甘い吐息がかかる距離で猛烈なスキンシップをしてくるようになった。 その後も、俺は手加減を続けながら、絶望の淵にいたセリアや、可憐なエルフのエル、活発なエルフのルミを無自覚に救い出していく。俺は毎回「余計な手出しをしてしまった」と激しく後悔するが、ヒロインたちはそんな俺の強さと優しさにますます惹かれ、激しく溺愛してくる。なぜこんなに好かれるのか全く理解できないまま、俺は柔らかくていい匂いのする女の子たちに囲まれ、この異世界で生きていくことを決める。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

魔法筆職人の俺が居なくなったら、お前ら魔法使えないけど良いんだよな?!

川井田ナツナ
ファンタジー
俺は慈悲深い人間だ。 だから、魔法の『ま』の字も理解していない住民たちに俺の作った魔法筆を使わせてあげていた。 だが、国の総意は『国家転覆罪で国外追放』だとよ。 馬鹿だとは思っていたが、俺の想像を絶する馬鹿だったとはな……。 俺が居なくなったら、お前ら魔法使えなくて生活困るだろうけど良いってことだよな??

処理中です...