ショボい人生のやり直し?!絶対に消えたくないので真逆の人生でポイント貯める

亀野内アンディ

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第一章

佐藤はワニの背中に乗るカピバラを見るとゾワゾワする

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『ムヒヒ』 

『ムフフ』 

「⋯⋯?ん?何だ?」 

何か音がした気がする。まぁいいか。まだ夜だし寝よう。 

『ムフフ』 

「zzzz」 

 
 朝になった。まずはカミーユの様子を見に行かなくてはな。寒いからベッドから出たくないが気合を入れて、よいしょ⋯⋯?何だ?何か足の間にあるぞ?布団をめくって確認しなくては。 

「えい!――え?!何でー?!」 

シュクルの股に卵があった。 

「⋯⋯え?私は寄生されてないよな⋯⋯?体に穴もないし、まさか私が産んだ?でも、うさぎ獣人は卵は産まないよな?」 

ではなぜこの卵が私の股の間にあるんだ?やだ怖い⋯⋯どうしょう⋯⋯ 

「⋯⋯⋯⋯⋯⋯(怖すぎて思考停止)」 

まぁ百歩譲って私が産んだとしても無精卵だからいいや。 
でも何故か昨日から卵ばっかりだな。とりあえず気を取り直してカミーユを見に行こう。 
佐藤はパンドラの箱を見つけたとしても開けない派なのだ。浦島太郎の心理とか考えられない。

「カカカーカ?(起きてる~?)」 

「ガーガガーガ(ここどこ?)」 

「ウーウウーウ(へんないえ)」 

ちょ⋯⋯ニーチェよ、変な家ってよくわかっているじゃないか!やっぱりうちの子は天才!それに意外とドラゴンとグリフォンのご対面って問題ないんだな⋯⋯ 

まずはカミーユに庭に出しておいた魔鹿を食べてもらう。傷の治療と卵の摘出、それに食事を済ませれば元気になるだろう。本当にトーマス先生と一緒にフラコンの花の採集に行ってよかった。もしカミーユに会えていなかったらと思うと肝が冷える。 

「やあ~おはよ~そのグリフォンは意識が戻ったんだ~?」 

「おはようございます。あれ?先生疲れてませんか?」 

「この卵に魔力を吸われてる気がするよ~」 

先生の魔力量はわからないけど、昨日より先生の見た目が五歳ほど老けていた。 
怖。この卵、実は呪物だろ?生き物の生気を奪う曰く付きな。 

「先生ちょっとギルドに行ってきます。その卵が及ぼす森への影響も相談したいですし、一応カミーユがここにいる事を話してきます」 

「そうかい~ついでに町の花壇を見て水仙が芽を出してたら収穫してきて~」 

「そりゃダメですね」 

絶対にあの植物魔法のゲルマン先生に怒られる。毒草一味がまた花壇を荒らしたって。大体あのゲルマン培地キノコ事件以来顔を合わせていないんだよな。きっと怒っているに違いない。 

 
「こんにちは。今日は相談があって来ました」 

「シュクルさん、こんにちは。今日はギルド長がいらしてるわよ」 

「お~お会いするのは三ヵ月ぶりですかね?」 

受付のお姉さんに聞いたらギルド長室にいるとの事。早速そちらに向かう。 

――コンコンコン―― 

「こんにちは。シュクルです」 

「あら久しぶりね~どうぞ入って~」 

久々のギルド長との対面だ。お元気そうで安心する。 

「シュクル~沢山のお礼が届いてるわよ~盗賊がいなくなったおかげで物資が安全に届くようになったって~」 

「それはよかったです」 

あの街道に沸いていた盗賊が行商人から商品を奪ってしまって、雪の影響で物資がすぐにでも必要な北に届かない状態だったらしい。商人としても生活必需品だけでも早く運んでやりたかったが、盗まれてしまうのが分かっていてまで運ぶ事は憚れていた。 

そこにシュクルが現れ、街道沿いに北上しながら盗賊を次々に捕まえてくれたので、物資が滞りなく届くようになった。そのお礼状がこのギルドに届いていたらしい。 

「うれしいですね。何か役に立てた感じがします」 

佐藤は毎日社畜をしていたが、それは自分が給料をもらって生活する為だった。でも今回の盗賊退治は自分の懐を肥やすだけでなく、皆に凄く感謝されて人々の生活の為になった気がする。素直に嬉しい。 

「シュクルはまだ戻ったばかりよね~ごめんなさいね~一つ仕事があるのよ~」 

「急ぎですか?ちょっと今は困った事態なんですよ――」 

私は本日ギルドを訪れた要因である、森の動物や魔獣に植え付けられた卵の話をギルド長にした。 

「え~?そんな魔獣がいるの?怖いわね~サムソンに伝えておくわ~」 

「あと私が今生活しているトーマス先生の家に、グリフォン兄弟のカミーユが治療の為に滞在しています」 

「まぁ!いや、でもいいわね~丁度いいわ~」 

「何がですか?」 

これから春になると魔獣の被害が出始めるので、私にそれを頼みたいらしい。 

「ほら覚えてる~?クロワサント伯爵のナルシスがね~シュクルが魔獣と会話出来るなら人に被害を出すのをやめて欲しいと魔獣達と交渉出来ないかって言ってきたのよ~」 

「美食のお宅の⋯⋯」 

私は寝ていて知らなかったが、私たちが滞在中にニーチェが伯爵邸の庭の植物をすべて食べ尽くしたらしい。 

帰る時に随分と殺風景な庭だなとは思ったんだけどな⋯⋯まさかニーチェが食べていたとは。あぁそのせいで断りにくい。 

「それで具体的に何をするんですか?」 

「そうね~――」 

森や山から人間の住むエリアに出てきた魔獣に忠告したり、家畜を襲う魔獣を脅したりすればいいらしい。今年は北の動物や魔獣が雪の影響で減った分、南に食料を求めて移動した、又はすると思われるのでシュクルも南下しながら魔獣の動きを監視する。 

「これは要望なのだけれど~シュクルはアテナの町から西の街道を通ってパックに戻ったでしょ?できれば今度は東の街道を通って欲しいそうなのよ~」 

西の街道は盗賊が大分討伐されたが、東の街道には盗賊がわんさかいるそうな。そりゃアカン。佐藤は関東人だがついアカンと言ってしまうほどアカン。 

はぁ~またシュクル愛用のロープが空を駆け巡るぜ~恒例パンイチ・デス・マラソン東大会開催か~シュクルはチェリーの茎もレロレロと口の中で結べるまでに成長した。抜かりはない。

「丁度いいわ~そのグリフォンにも手伝ってもらいましょ~いい子なんでしょ?ギルドタグあげるわよ~そうすれば討伐対象にならないわ~」 

「おお!」 

それは安心だな。今後カミーユが人に討伐される事が無くなるのなら嬉しい。 

私はまた南に向けて出発する事になった。 
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