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第一章
親孝行したい時分に自分はなし
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「南に出発する前に天使達にお土産を渡さなくてはな!」
今日は休日なので学校はお休みだ。ギルドを出て早速家族が住んでいるらしいアパートに向かう。
歩道の横に設置されている花壇を覗くと水仙の芽が出始めていたので、水仙に『トーマス先生に毟られないといいな』とつぶやく。まだ肌寒いが春はすぐそこまで来ている。
メインストリートから外れた歴史ある?古めかしい?正直に言うと寂れたアパートに辿り着いた。人一人通過するだけで一杯一杯な狭い階段を登り、母から聞いていた部屋番号を見つけた。
「ここかな?」
――コンコン――
「はい、どちら様?」
「シュクルですよ~」
すぐにノエルとクラリスがドアを開けてくれた。
「あ!シュクル!いらっしゃい!」 「あ!お母さんシュクルだよ!」
可愛い家族が暖かく迎え入れてくれる。 独身佐藤なんてアレ〇サしか家で佐藤を待っていてくれる存在はなかったのに。
「しかし何なんだ?!このもっさいアパートの一室のくせに、ここの住民の驚くべき顔面偏差値は!超難関レベルだぞ?果たして私の入室は許されるのか?うさ耳転生おっさんの侵入はギリセーフですか?それとも枯れた中年侵入罪でポリス行きですか?」
「シュクル寒いわよ、早く入りなさい」
「あ、はい」
母は通常運転だった。
アパート内は狭いけれど、ごく普通の部屋だった。都心部で一人暮らしをしていた人なら余裕で暮らせる。だが男爵家の人間が住む家ではないよな⋯⋯
「お土産ですよ~これは石鹸ね、友人と作ったんだよ。これはラベンダーのサッシェで、こちらはテクノポリス皇国の香辛料。それにカラフルな砂糖菓子だよ~アカシアの蜂蜜もある」
「すごい!シュクルいいの?本当にもらって」
「そうだよ?砂糖や蜂蜜なんて贅沢品だよ?シュクルが買ったのならシュクルが食べた方がいいんじゃない?」
「なんと優しい⋯⋯私はそんな良い子に食べてもらいたいんだよ。それに物置に穴開けて家族に寒い思いをさせてしまったのは私だしね⋯⋯」
「ありがとう!」「シュクル大好き!」
「おっふ~これで薄汚いパンイチ・デス・マラソンも頑張れそうだ。母には美容クリームがありますよ。美人でも年には勝てないかもしれませんからな」
「⋯⋯一言多いわよ?でもありがとう」
「父にはこれですよ。唐からし。体の機能が下がり始めた中年は食事に刺激が必要ですもんね?それと⋯⋯この薬もあげます」
「えぇぇ?中年?うーん⋯⋯確かに?で、薬って何?⋯⋯えぇぇぇえ?ED治療薬⋯⋯?娘からのお土産が⋯⋯これ?」
少し遅れたがお土産を配る事が出来た。
「所で家はどうするんですか?再建は?」
「目途は立っていないわよ。一応大工のルベルさんに聞いてみたけど、それなりに掛かるのよ」
家を建てるのだからそりゃ費用がかかりますよね。 そのかわり一度建てれば結構長持ちするのがこの世界の家。
「私が頭金くらいは出しますよ。残りはノエルの代でも払い続ける事になる借金になると思いますけどね」
アテナの件とテクノポリス皇国での働き⋯⋯は少し使ってしまったが、その後の賊の討伐でかなりのお金を稼いだのだ。
「まだ子供のあなたからお金を絞り上げる訳にはいかないわよ。それはあなたのお金よ。貴族学院に行く費用にしなさいね」
入学までには時間があるのでまた稼げばいい。それに佐藤は両親に何も親孝行出来ずに死んだ。だからこそシュクルは今の両親や姉兄が元気な内に何かしてあげたいのだ。 人生いつ何が起こるかわからないのは身をもって体験している。
「ノエルよ、将来住宅ローンを払い続ける事になるが、それは家賃を毎月払っている大抵の家族と一緒だよね?私は家族と過ごせる日は今後もあまり無いと思うし、家族に何かあってもすぐには帰れない事もある。こんな事しか出来ないが、家族を頼んだぞ」
「えぇ?!うん!」
「うむ。賢い」
さて大工のルベルさんと再建の話でもして、サクッとかっこよくスマートに支払いますかね~
シュクルは家を出た。
「え⋯⋯?お父さんは?お父さんまだ若いし元気なんだけど⋯⋯」
シュクル父の悲しいつぶやきは薪の爆ぜる音と重なり、誰にも聞かれなかった。
今日は休日なので学校はお休みだ。ギルドを出て早速家族が住んでいるらしいアパートに向かう。
歩道の横に設置されている花壇を覗くと水仙の芽が出始めていたので、水仙に『トーマス先生に毟られないといいな』とつぶやく。まだ肌寒いが春はすぐそこまで来ている。
メインストリートから外れた歴史ある?古めかしい?正直に言うと寂れたアパートに辿り着いた。人一人通過するだけで一杯一杯な狭い階段を登り、母から聞いていた部屋番号を見つけた。
「ここかな?」
――コンコン――
「はい、どちら様?」
「シュクルですよ~」
すぐにノエルとクラリスがドアを開けてくれた。
「あ!シュクル!いらっしゃい!」 「あ!お母さんシュクルだよ!」
可愛い家族が暖かく迎え入れてくれる。 独身佐藤なんてアレ〇サしか家で佐藤を待っていてくれる存在はなかったのに。
「しかし何なんだ?!このもっさいアパートの一室のくせに、ここの住民の驚くべき顔面偏差値は!超難関レベルだぞ?果たして私の入室は許されるのか?うさ耳転生おっさんの侵入はギリセーフですか?それとも枯れた中年侵入罪でポリス行きですか?」
「シュクル寒いわよ、早く入りなさい」
「あ、はい」
母は通常運転だった。
アパート内は狭いけれど、ごく普通の部屋だった。都心部で一人暮らしをしていた人なら余裕で暮らせる。だが男爵家の人間が住む家ではないよな⋯⋯
「お土産ですよ~これは石鹸ね、友人と作ったんだよ。これはラベンダーのサッシェで、こちらはテクノポリス皇国の香辛料。それにカラフルな砂糖菓子だよ~アカシアの蜂蜜もある」
「すごい!シュクルいいの?本当にもらって」
「そうだよ?砂糖や蜂蜜なんて贅沢品だよ?シュクルが買ったのならシュクルが食べた方がいいんじゃない?」
「なんと優しい⋯⋯私はそんな良い子に食べてもらいたいんだよ。それに物置に穴開けて家族に寒い思いをさせてしまったのは私だしね⋯⋯」
「ありがとう!」「シュクル大好き!」
「おっふ~これで薄汚いパンイチ・デス・マラソンも頑張れそうだ。母には美容クリームがありますよ。美人でも年には勝てないかもしれませんからな」
「⋯⋯一言多いわよ?でもありがとう」
「父にはこれですよ。唐からし。体の機能が下がり始めた中年は食事に刺激が必要ですもんね?それと⋯⋯この薬もあげます」
「えぇぇ?中年?うーん⋯⋯確かに?で、薬って何?⋯⋯えぇぇぇえ?ED治療薬⋯⋯?娘からのお土産が⋯⋯これ?」
少し遅れたがお土産を配る事が出来た。
「所で家はどうするんですか?再建は?」
「目途は立っていないわよ。一応大工のルベルさんに聞いてみたけど、それなりに掛かるのよ」
家を建てるのだからそりゃ費用がかかりますよね。 そのかわり一度建てれば結構長持ちするのがこの世界の家。
「私が頭金くらいは出しますよ。残りはノエルの代でも払い続ける事になる借金になると思いますけどね」
アテナの件とテクノポリス皇国での働き⋯⋯は少し使ってしまったが、その後の賊の討伐でかなりのお金を稼いだのだ。
「まだ子供のあなたからお金を絞り上げる訳にはいかないわよ。それはあなたのお金よ。貴族学院に行く費用にしなさいね」
入学までには時間があるのでまた稼げばいい。それに佐藤は両親に何も親孝行出来ずに死んだ。だからこそシュクルは今の両親や姉兄が元気な内に何かしてあげたいのだ。 人生いつ何が起こるかわからないのは身をもって体験している。
「ノエルよ、将来住宅ローンを払い続ける事になるが、それは家賃を毎月払っている大抵の家族と一緒だよね?私は家族と過ごせる日は今後もあまり無いと思うし、家族に何かあってもすぐには帰れない事もある。こんな事しか出来ないが、家族を頼んだぞ」
「えぇ?!うん!」
「うむ。賢い」
さて大工のルベルさんと再建の話でもして、サクッとかっこよくスマートに支払いますかね~
シュクルは家を出た。
「え⋯⋯?お父さんは?お父さんまだ若いし元気なんだけど⋯⋯」
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