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貴族学院編
シュクルは壺が欲しいお年頃
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「え~どうしょう?!画集いいわ~。壺欲しい~壺が魅力的だわ~」
夜になり、いつもの屋根の上で監視をしながら画集を眺める。最近は新月が近づいているせいか結構暗い。だがシュクルの目は長い地下生活によって暗闇を克服しているので、明かり無しに画集を見る事ができるのだ。
「骨董品の朝市に行こうかな~掘り出し物があるかも~シュクルは審美眼あるし~」
完全に老人である。レプリカを本物だと騙され高額で買わされる、カモられる未来しかない。
しかし本人は見る目があるし、騙されないと思っている。
そして古き昭和時代の詐欺と言えば、壺買え詐欺であろう。数多の老人たちが自身の信じる審美眼と販売者の巧みな話術に乗り高額投資したのだ。チャラついた電話超しの詐欺なんかではない。堂々と対面で行われた詐欺。佐藤は昭和の詐欺師からプロ根性を感じた事がある。詐欺は絶対駄目だけど。
その日からシュクルは、屋根の上で古本屋で買った美術品の画集を眺めながら監視を始めた。
「え~?このワインの栓するヤツいいじゃん!この陶器の洗面器の装飾が細かい!水差し欲しい~どれも絶対に使わないけど~」
ほぅ~いい仕事してますね⋯⋯深夜の真っ暗な屋根の上、古本を片手にシュクルが一人で盛り上がっていると、目の前の道を二人の男が通り過ぎた。
「おや?飲み屋帰りかね。一応後を追いますか」
深夜に外を歩いている人は大抵そんな感じである。シュクルは屋根から屋根に飛び移りながら、二人の男を尾行する。彼らは紙切れを広げながら何かを探している風だった。
「迷子?友人宅を探しているとか?でも深夜にそれはあり得ないよな」
それにこの地域には怪しいネオン輝くセクシーなお店は無いぞ。若者よ残念だったな。この先も民家しかない。
二人の男はしばらく歩くと一つのアパートの前で止まった。
「知り合いの家か?あれ??」
紙切れを見ながらアパートを確認している。外観を見たり周りを見たり⋯⋯でもアパートに入らない所が怪しい。そしてしばらくすると来た道を戻っていった。
彼らが去ったのを見てから、シュクルはそのアパートと周辺を確認したが、特に何かされた形跡はなかった。
「こんな暗い日に何してるんだか。あれ?今日は何日だ?ん?もしかして関係あるのか⋯⋯」
今日は日の日、大きな朝マルシェがある日だ。本日行われるマルシェはいつもよりお店が多く、お菓子や花、服や骨董品も売られている。シュクルは最近お気に入りのスイカを買ってから骨董品エリアへ向かった。
布の上に適当に並べられた商品は皿やカトラリー、大小様々なコップ類におもちゃ、布類と色々混ざって滅茶苦茶であったが、それがいい。この中から見つけるのだ!本物を!
「ん?何だこれは?丸い入れ物?」
「それは卵入れだよ」
何だそれ?鶏卵を一つ容器に入れてどうするのだ? どこへ持ち運ぶ?
「半熟卵をここに入れて、スプーンで殻をコンコンと割って食べるんだよ」
「へぇ⋯⋯⋯⋯」
絶対使わねぇ。そんな食べ方しねぇ。
気を取り直して他のお店も覗いてみる。古本屋にキッチン用品店、靴屋に古着店に、そして⋯⋯
「マジかよ?!」
神殿の神官達も出店していた。まぁそれは普通にあり得るだろう、だが⋯⋯
「カイザーぬいが神官服着てるんですけど?!縫ったのですか?!夜なべをしたのですか?!」
「?!い、いらっしゃいませ!!」
あの元気な神官が店番をしていた。これは買うしかないだろうよ!
「作ったのですか?神官服カイザーを」
「はい!僕が頑張りました!」
何て事だ。素晴らしい若者ではないか。小さい服を作るのは難しかっただろうに。シュクルはうん〇しか作れないのに。 王都の神官は権力欲と肉欲に塗れているが、地方都市の神官は勤勉で清廉潔白なのかもしれない。
「よし!これとこれも買いましょう⋯⋯ん?君の名前は?」
「ありがとうございます!!僕はレミと申します!」
うんうん。覚えておこう。 また会おう!
少し疲れたので、マルシェで購入したお菓子を食べながら遺跡のある記念公園で休む。すると見覚えのある白熊がすでに到着していた。
「おや?早いね」
「⋯⋯西の獣王こそ」
今日は西の獣王ルシアンさんと報告会をするのだ。ちなみに二日に一度はルシアンさんの使い魔がシュクルからの報告書を取りに来ていた。 カッコいい鷹の使い魔だった。
「それでどう?」
「動くと思いますが⋯⋯で、今日は何ゴッコですか?」
ルシアンさんのお腹部分に何か入っている。小麦の袋みたいな⋯⋯
「これは十キロの麦だ。妻が妊婦の大変さを理解しろと言って俺の腹に入れたんだ」
今日は妻からの仕打ちだった。
「でもいいんだ。彼女が妊娠中で大変な時に、俺は三カ月も任務で家を空けたからね。出産時も家にいなかったし、当然の罰さ!」
そういえば佐藤のねーちゃんも言っていたな。妊娠中や出産時、産後に得た恨みは一生忘れないと。しかも一生許さないらしい。
「じゃあ今夜また来るよ!」
諸々の情報を共有して、お腹に麦を詰めた白熊はマルシェで買った山ほどの商品を抱えて消えていった。
「私は一生独身でいいや⋯⋯」
シュクルは本気でそう思った。
夜になり、いつもの屋根の上で監視をしながら画集を眺める。最近は新月が近づいているせいか結構暗い。だがシュクルの目は長い地下生活によって暗闇を克服しているので、明かり無しに画集を見る事ができるのだ。
「骨董品の朝市に行こうかな~掘り出し物があるかも~シュクルは審美眼あるし~」
完全に老人である。レプリカを本物だと騙され高額で買わされる、カモられる未来しかない。
しかし本人は見る目があるし、騙されないと思っている。
そして古き昭和時代の詐欺と言えば、壺買え詐欺であろう。数多の老人たちが自身の信じる審美眼と販売者の巧みな話術に乗り高額投資したのだ。チャラついた電話超しの詐欺なんかではない。堂々と対面で行われた詐欺。佐藤は昭和の詐欺師からプロ根性を感じた事がある。詐欺は絶対駄目だけど。
その日からシュクルは、屋根の上で古本屋で買った美術品の画集を眺めながら監視を始めた。
「え~?このワインの栓するヤツいいじゃん!この陶器の洗面器の装飾が細かい!水差し欲しい~どれも絶対に使わないけど~」
ほぅ~いい仕事してますね⋯⋯深夜の真っ暗な屋根の上、古本を片手にシュクルが一人で盛り上がっていると、目の前の道を二人の男が通り過ぎた。
「おや?飲み屋帰りかね。一応後を追いますか」
深夜に外を歩いている人は大抵そんな感じである。シュクルは屋根から屋根に飛び移りながら、二人の男を尾行する。彼らは紙切れを広げながら何かを探している風だった。
「迷子?友人宅を探しているとか?でも深夜にそれはあり得ないよな」
それにこの地域には怪しいネオン輝くセクシーなお店は無いぞ。若者よ残念だったな。この先も民家しかない。
二人の男はしばらく歩くと一つのアパートの前で止まった。
「知り合いの家か?あれ??」
紙切れを見ながらアパートを確認している。外観を見たり周りを見たり⋯⋯でもアパートに入らない所が怪しい。そしてしばらくすると来た道を戻っていった。
彼らが去ったのを見てから、シュクルはそのアパートと周辺を確認したが、特に何かされた形跡はなかった。
「こんな暗い日に何してるんだか。あれ?今日は何日だ?ん?もしかして関係あるのか⋯⋯」
今日は日の日、大きな朝マルシェがある日だ。本日行われるマルシェはいつもよりお店が多く、お菓子や花、服や骨董品も売られている。シュクルは最近お気に入りのスイカを買ってから骨董品エリアへ向かった。
布の上に適当に並べられた商品は皿やカトラリー、大小様々なコップ類におもちゃ、布類と色々混ざって滅茶苦茶であったが、それがいい。この中から見つけるのだ!本物を!
「ん?何だこれは?丸い入れ物?」
「それは卵入れだよ」
何だそれ?鶏卵を一つ容器に入れてどうするのだ? どこへ持ち運ぶ?
「半熟卵をここに入れて、スプーンで殻をコンコンと割って食べるんだよ」
「へぇ⋯⋯⋯⋯」
絶対使わねぇ。そんな食べ方しねぇ。
気を取り直して他のお店も覗いてみる。古本屋にキッチン用品店、靴屋に古着店に、そして⋯⋯
「マジかよ?!」
神殿の神官達も出店していた。まぁそれは普通にあり得るだろう、だが⋯⋯
「カイザーぬいが神官服着てるんですけど?!縫ったのですか?!夜なべをしたのですか?!」
「?!い、いらっしゃいませ!!」
あの元気な神官が店番をしていた。これは買うしかないだろうよ!
「作ったのですか?神官服カイザーを」
「はい!僕が頑張りました!」
何て事だ。素晴らしい若者ではないか。小さい服を作るのは難しかっただろうに。シュクルはうん〇しか作れないのに。 王都の神官は権力欲と肉欲に塗れているが、地方都市の神官は勤勉で清廉潔白なのかもしれない。
「よし!これとこれも買いましょう⋯⋯ん?君の名前は?」
「ありがとうございます!!僕はレミと申します!」
うんうん。覚えておこう。 また会おう!
少し疲れたので、マルシェで購入したお菓子を食べながら遺跡のある記念公園で休む。すると見覚えのある白熊がすでに到着していた。
「おや?早いね」
「⋯⋯西の獣王こそ」
今日は西の獣王ルシアンさんと報告会をするのだ。ちなみに二日に一度はルシアンさんの使い魔がシュクルからの報告書を取りに来ていた。 カッコいい鷹の使い魔だった。
「それでどう?」
「動くと思いますが⋯⋯で、今日は何ゴッコですか?」
ルシアンさんのお腹部分に何か入っている。小麦の袋みたいな⋯⋯
「これは十キロの麦だ。妻が妊婦の大変さを理解しろと言って俺の腹に入れたんだ」
今日は妻からの仕打ちだった。
「でもいいんだ。彼女が妊娠中で大変な時に、俺は三カ月も任務で家を空けたからね。出産時も家にいなかったし、当然の罰さ!」
そういえば佐藤のねーちゃんも言っていたな。妊娠中や出産時、産後に得た恨みは一生忘れないと。しかも一生許さないらしい。
「じゃあ今夜また来るよ!」
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