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Episode4
思われる造反者
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変わって、トマス達を閉じ込めている部屋の隣。タークラプとその手下たちが集まり、十数人の魔族が色々と作業をしていた。
彼らが魔王から任されている仕事は三つ。
ルーノズアを巨大な罠として『囲む大地の者』を捕獲する事。
捕獲した『囲む大地の者』を使役して、特別製の登録印を生産する事。
そして。
『囲む大地の者』に肉体改造魔法を施して、魔族へと変容させる事。
タークラプはその任務の責任者として魔王から直接指名され、従事していた。特に彼が注力していたのは肉体改造魔法にて『囲む大地の者』を魔族に変える作業だ。
魔王から魔法式を授けられ、それの効率化を図るべくあれこれと思案を重ねていた。この変容作業は大魔法と差し支えない程の魔力を消費してようやく一人分が完了する。現行の方法ではあまりにも非効率すぎるのだ。
魔法の実力でいえばかなりの使い手と言って差し支えない程のタークラプといえども、本来は魔王が行うレベルの魔法を連発するのは、どうしたところで無理がある。事実、彼は連日の研究と変容魔法による魔力の枯渇が災いし、呼吸器官を傷めて日常生活ですら病人のような息遣いで過ごしてた。
だがそれは彼にとっては誉れだ。
魔王の為に身を削り、任に従事する。
魔族であれば当然の事。それに異を唱えることがおかしいのだ。
確かに辛く、責任の重い立場であったが彼には都合の良い事に最適なストレスの発散方法が転がってきていた。
他ならぬトマスである。
タークラプとトマスは元々は婚約者同士の関係だった。『螺旋の大地』にいた頃は仲睦まじく過ごしていたという自負はある。だが時折見せるトマスの顔に掛かる影に気が付かなかった訳ではない。今思えば、あの時から造反の種は育っていたのかも知れない。
だがこうなってしまったことに、タークラプは悲観的な見方をしていない。むしろ感謝している程だった。
自分自身もこの感情には驚いている。トマスに対してここまで加虐心を抱いている事に。
今更自分の事を分析すると、タークラプは愛情と嫉妬という二つの相反する感情をトマスに対して持っていた。いや、このような事態に陥って彼女に悪意を向けられる大義名分を得てしまったからこそ、タークラプは気が付けたのだ。
トマスに改心して再び共に魔王に忠誠を誓ってもらいたい。
いっそこのまま、自分を貫き通し最後まで慰み者としていてもらいたい。
どっちに転んでも自分にとっては益にしかならないと考えている。
しかし、その目論見は脆くも崩れ去ることになるだろう。あと数分の後、この部屋には破滅の刻が訪れるのだから。
彼らが魔王から任されている仕事は三つ。
ルーノズアを巨大な罠として『囲む大地の者』を捕獲する事。
捕獲した『囲む大地の者』を使役して、特別製の登録印を生産する事。
そして。
『囲む大地の者』に肉体改造魔法を施して、魔族へと変容させる事。
タークラプはその任務の責任者として魔王から直接指名され、従事していた。特に彼が注力していたのは肉体改造魔法にて『囲む大地の者』を魔族に変える作業だ。
魔王から魔法式を授けられ、それの効率化を図るべくあれこれと思案を重ねていた。この変容作業は大魔法と差し支えない程の魔力を消費してようやく一人分が完了する。現行の方法ではあまりにも非効率すぎるのだ。
魔法の実力でいえばかなりの使い手と言って差し支えない程のタークラプといえども、本来は魔王が行うレベルの魔法を連発するのは、どうしたところで無理がある。事実、彼は連日の研究と変容魔法による魔力の枯渇が災いし、呼吸器官を傷めて日常生活ですら病人のような息遣いで過ごしてた。
だがそれは彼にとっては誉れだ。
魔王の為に身を削り、任に従事する。
魔族であれば当然の事。それに異を唱えることがおかしいのだ。
確かに辛く、責任の重い立場であったが彼には都合の良い事に最適なストレスの発散方法が転がってきていた。
他ならぬトマスである。
タークラプとトマスは元々は婚約者同士の関係だった。『螺旋の大地』にいた頃は仲睦まじく過ごしていたという自負はある。だが時折見せるトマスの顔に掛かる影に気が付かなかった訳ではない。今思えば、あの時から造反の種は育っていたのかも知れない。
だがこうなってしまったことに、タークラプは悲観的な見方をしていない。むしろ感謝している程だった。
自分自身もこの感情には驚いている。トマスに対してここまで加虐心を抱いている事に。
今更自分の事を分析すると、タークラプは愛情と嫉妬という二つの相反する感情をトマスに対して持っていた。いや、このような事態に陥って彼女に悪意を向けられる大義名分を得てしまったからこそ、タークラプは気が付けたのだ。
トマスに改心して再び共に魔王に忠誠を誓ってもらいたい。
いっそこのまま、自分を貫き通し最後まで慰み者としていてもらいたい。
どっちに転んでも自分にとっては益にしかならないと考えている。
しかし、その目論見は脆くも崩れ去ることになるだろう。あと数分の後、この部屋には破滅の刻が訪れるのだから。
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