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救 想
しおりを挟む霧は完全に晴れ、T都湾は静かになった。
鬼磯目は捕獲爪を用いて動かなくなったおにかますを海上に押し上げた。船体の異変は身を潜め、オレンジ色のオーラも既に失せていた。
相変わらず氷結島はそこにある。
マーティア···、コティアーシュは鬼磯目の長い胴体を利用して、おにかますが沈まないように海中でその船体を支えた。
艦首を乙の字にもたげた鬼磯目は、捕獲爪の先端で軽くおにかますの船体をノックする。
······応答は無い。
何度かそれを繰り返す鬼磯目。そのゴンコンという音に、海中のリゲルナイドが気付き、海面にゆっくりと目元を出して様子を見る。
「······?······!居た!!」
リゲルナイドは鬼磯目、もといコティアーシュを驚かせないよう、慎重に近付いて行った。
黒煙を上げるガルンシュタエンだったものを見つめるアンバーニオンは、ガルン本体の状態を確かめようと、一歩を踏み出した。
パキン!ギャリン!バキキキ!ギビキッン!
度重なる戦闘でダメージが蓄積し、エネルギーを消費し過ぎたアンバーニオンの宝甲がついに限界を迎え、全てではないにせよ、琥珀柱を始めとした細かい装飾やメインの装甲を務める宝甲までもがほぼ砕け散ってしまった。
驚いたように操玉に現れ、宇留達の周囲を飛び回る木々の力を宿した光達はその数を減らしつつ元居た場所に帰って行く。
「!」
それと同時に、宇留と抱き合っていたままの半透明の琥珀のヒメナが、宇留の首に両手を回しながら輝きに包まれる。
最後の光は宇留達とのしばしの別れを惜しむように周囲を飛び回り、いつしかフッと消えていった。
「······ありがとう···!」
宇留が光達とヒメナに感謝を告げる頃、ヒメナはもう通常のロルトノクの琥珀に戻っていた。
そしてそれは、満身創痍のアンバーニオンがもう一歩爆煙に近付いた時に起こった。
ガラガラと細かい残骸を振り落とし、何かが立ち上がった。だが立ち上がったというよりは浮かび上がったかのようにフラついていた。
「!」
影は幽鬼のように宙を舞い、もたれ掛かる場所を探してアンバーニオンに近付く。
「うっ!」
大破しボロボロになったガルン本体が、恐らく合体を解除出来なくなった上、殆どフレームだけになったエギデガイジュパーツを引きずってアンバーニオンに迫る。
ドゴゴッ!
「うわっ!」
ガルン本体にのし掛かられたアンバーニオンもそれを支える余力は無く、簡単に押し倒された。ガチンと操玉の琥珀同士がぶつかり、両者の動きが止まる。
「······!」
アンバーニオンの操玉に再び沈黙が流れた。
ガルン本体の操玉を映しているアンバーニオンのディスプレイに一瞬ノイズが走る。
そしてそのディスプレイから飛び出すようにコンバットナイフを持った傷だらけのエシュタガが飛び出して来た。
「!!、エシュ····
宇留は驚く顔をする間も無かった。
エシュタガのブレスレットがオレンジ色に光っている。ブレスレットの宝甲が侵入を許した原因か?と、ヒメナが予想する間も無く、パイロットスーツの左襟を捻り上げられ簡単に操玉の床に叩き付けられる宇留。
エシュタガがナイフを振りかぶるのと、宇留がヒメナを両手で庇うのは同時だった。
最悪。
···最悪、ヒメナとアンバーニオンは奪われ帝国に利用されるだろう。そんなのは絶対に嫌だけど、そうなれば多分自分が死んでもヒメナの命だけは多分大丈夫。
エシュタガは血か汗で前髪が濡れて程よく乱れ、表情はクールさと程よいドヤ顔が共存してイケメンに拍車がかかっている。
自分もいつかこのくらいカッコよくなりたかったな?
初めて会った時もこんな事考えてたな?
と、覚悟をまとめようとした。
キンッッ!
硬い音と共に宇留の視界が切り替わる。
公園。
そこは初めてガルンシュタエンと戦った公園だった。だが空気が、雰囲気が違う。
看板や備え付けの備品。舗装やタイルまでもが比較的宇留の時代のものでは無かった。やがて薄靄の漂う公園に青年が歩いて来た。
「!」
首にロルトノクの琥珀を掛けた私服のムスアウ。
ムスアウは申し訳なさそうに後ろを歩くもう一人の小柄な人物を振り返る。
「?、ん?」
もう一人の人物の姿は霧がかっていてよく見えない。
ポツ!
「!」
その霧が風に流されようとした瞬間。宇留は頬に触れた暖かい感触をきっかけに現実に戻って来た。
「ゥゥゥ···フーッ!フーッ!」
宇留の左頭部側面の床にナイフを突き立てるエシュタガと、エシュタガのナイフを持った手に本気で噛みつく猫のアッカ。
アッカから吹き出す鼻息からは少し血の匂いがした。
ポツ!
もう一つ何かが頬に触れた。
涙が落ちる。
エシュタガは泣いていた。
エシュタガとヒメナの視線が交差する。
ハッとしてエシュタガは身を引く。
ボテっと宇留の左懐に落ちるアッカ。
アッカは無意識で宇留を守ろうとしたのだろう。もう眠っている。
そしてエシュタガのナイフの先端は、小さな豆本に突き刺さっていた。
豆本はキーキーとしばらく暴れていたがすぐに大人しくなった。暴れてページが見えた気がしたが、何故か生理的にもう見たくないと宇留は思ってしまった。
片手で顔を拭うフリをして涙を誤魔化すエシュタガ。
理由はわからないが宇留はエシュタガも同じ夢を見ていたのだと何故か確信した。
でもどうして泣いていたのだろう?
「クイスランめ!余計な真似を!」
「え?」
「洗脳ブックだ!こんなものが無くても!俺は!うぐ!く!」
傷の痛みに苦しむエシュタガ。豆本は、恐らくデリューワールドで仕込まれたものであろう。しかし宇留は緊張していて、その本の悪影響は今の所無かったよ、とはとても言えなかった。
ズンッッ!
「!」
「なんだ?!」
謎の振動が宇留達とエシュタガを警戒させる。
氷結島が見えるT都湾岸の緑地。
高速道路が走る公園内に突如現れた巨大ロボットが氷結島に向けて腕をかざしていた。もう一度その腕の砲門からエネルギー光弾を放つ巨大ロボット。
量産型エガスデライガ。かつてのアルオスゴロノ帝国皇帝、エグジガンの乗機を簡易的に量産した機体。
二発目のエネルギー光弾は、アンバーニオンとガルンシュタエンの近くに着弾した。
エガスデライガの周囲に現れる異空間の扉は十ヵ所程現れ、そこから次々と量産型エガスデライガが歩み出て来た。
そして最後に緑地に降り立った巨大な影。重厚な鎧を纏い、兜の中から鋭い目で氷結島を睨む巨人。量産型エガスデライガが二体、巨人に仕えるように近付き両脇に陣取った。
巨人は開いた手を氷結島に向けてかざした。
その合図に合わせ、エガスデライガ部隊全機によるエネルギー光弾の一斉砲撃が始まった。
苛烈な光弾の嵐は、超巨大に成長した氷結島を後始末であるかのようにみるみる削り壊していく。
あまりにも迅速な帝国の展開は、国防隊の対応が間に合わない程であった。
!そ、そんな!
洋上でおにかますを守る鬼磯目も、唖然としていた。
コン!コンコン!
!!!
突然おにかますの内部から金属音がした。誰かが居る。生きている。
·あ!誰か!誰かが!!
喜びも束の間、鬼磯目達にも光弾が迫る。
·あ···そ、そんな!!
ザヴァァァーーー!
鬼磯目達の前にリゲルナイドが立ちはだかり、光弾を腕で弾いた。
·あ!あなたは!?
「ぐっう!」
エネルギー光弾を弾いたリゲルナイドの腕は、一撃で全てのトゲコブが吹き飛び、ベースとなった外骨格は焼け抉れていた。
「ヤバい!一撃でコレ···」
·あの······
リゲルナイドは振り返り、鬼磯目を見た。
「潜って!早く!」
リゲルナイドの声に鬼磯目はハッとする。
ゲルナイド?
「コティアーシュ姉ちゃん!早く!」
·ゲルナイドーーー!
次の攻撃が鬼磯目達に迫り、視界が煌めく。
「くっっそおーー!」
リゲルナイドの願いに答えたのか、掌で宝甲がチラリと輝く。リゲルナイドは咄嗟に海水をその手ですくい。一か八か詠唱する。
「ウキローオン!ヒキエラム!」
ヒシュルルル!
「!」ビシィィ!
リゲルナイドの掌に一瞬現れた小さくも凄まじい水の渦がエネルギー光弾を弾く。
「出来た!」
だが光弾の数は増え、周囲の海上に落ちたエネルギー光弾は凄まじい水蒸気爆発を起こす。リゲルナイドはエガスデライガ達に発見されてしまったようだ。
·は!···ゲルナイド!私の力も使って!
「!」
再び琥珀色のオーラを燃やした鬼磯目は、消えかかっていた水の渦を琥珀の牙で突ついた。
その途端、たちまち巨大化するリゲルナイド版、涙光の閃。
「す、すごいや姉ちゃん!」
·ゲルナイドもね?!
巨大化した水の渦は、向かって来るエネルギー光弾を次々と防いでいる。氷結島周辺に霧散したアンバーニオンの宝甲の欠片が、何故かそれを可能にしていた。
巨人が氷結島脇の海上で起こっている異変に気付く。巨人は一歩前に出て語った。
「また来ると言っただろう、小僧」
エガスデライガの一体が攻撃を止め、胸部アーマーを開く。そこには一際大きな砲門が口を開けていた。
そしてそこから放たれたエネルギーの奔流はリゲルナイドに向かって噴き出した。
「!!、姉ちゃん···潜って!」
·!でも!ゲルナイド!
「いいから早く!あれはそこにいる人間には耐えられない!仲間なんでしょ?早く!」
一瞬躊躇する鬼磯目。そしてリゲルナイドに艦首が向く。
·わかった!無茶しないでね?
おにかますに巻き付いた鬼磯目はその場で沈降していく。
「どうして、おれ、人間を、守って···?」
ギャビィィィィーーー!
盾にしたリゲルナイドの涙光の閃に浴びせられるエネルギーの奔流は、涙光の閃ごとリゲルナイドを吹き飛ばす。
水の渦は破れ弾け、リゲルナイドはT都湾の何処かへと消えていった。
ガッ、ガガ!ゴ!ヴシッ!キューン!
エネルギー奔流を放出していたエガスデライガがオーバーヒートを起こして踞る。
「フン!」
巨人はその機体を一瞥し、氷結島へと視線を移した。
次々と周囲に着弾する衝撃でアンバーニオンの操玉が揺さぶられる。
「······エグジガン!」
エシュタガは宇留に背を向けコンバットナイフを納めると、操玉から出ようとした。
「エシュタガッ!何故?···」
「······」
宇留の問いにエシュタガは何も答えない。
「···忘れてくれ···」
「え?」
「···あんな機体で!どうしようというの?」
ヒメナもエシュタガに問い掛ける。
「······うるさい」
「「!」」
エシュタガは来た時同様。操玉の前部ディスプレイを通り抜けて、近接しているガルン本体の操玉に戻っていった。
〔エシュタガ〕
エシュタガがガルン本体に戻ると、早速エグジガンから通信があった。
「······」
〔そのままアンバーニオンを押さえていろ?〕
「!」
ヒュ!ドォォン!
飛んで来たエネルギー光弾が、かろうじて原型を留めていたエギデガイジュパーツの腕を破壊する。
「ぐ!エグジガンッ!」
〔?、言ったハズだ、戻ってこいと、もう一度生まれ変わってな?話はその時にでも聞いてやろう?〕
ガルン本体···ガルンシュタエンは、砲撃の先に居る巨人、エグジガンを睨んだ。
「···ガルン!残りのエネルギーを全て使うぞ!付き合ってくれるか?」
「もうそうしてるよ?エシュタガ!」
「すまん···」
「それがエシュタガの願いなら···」
「ぬぅぅん!」
バキバキと音を立てその場に立ち、アンバーニオンの前に立つガルンシュタエン。
「!」
アンバーニオンを庇っている?、と考えるには、理由の為の素材がどうしても足りなかった。
やがて砲撃は二体に集中し、二体はこの場を離れるのが困難な状態に陥る。
バギョ!ガゴォォ!
アンバーニオンも既に左手と右足がが砕けていた。
ドン!ギャン!ヴァゴッ!
ついに両足が砕かれ、その場に墜ちるガルンシュタエン。二体を包囲する攻撃は更にエスカレートし閃光と爆煙が彼らを氷結島に隠していく。
ググ!ガキョ!ゴっッ!
三体のエガスデライガが動きを止める。
「む?」
その異変に、全ての攻撃が一旦停止した。
三体の額には、赤色ともピンク色ともつかないツツジ色の手裏剣が深々と突き刺さり、そのエガスデライガ達は立ったまま機能を停止している。
「これは?」
ビギーッ!
状況を観察していた一体が、異変を巨人、エグジガンに警笛で知らせる。
エグジガンが目を凝らすと、緑地から見える一番高いビルの屋上に何かが立っている。手裏剣と同じツツジ色の巨人が、オレンジ色のマフラーをたなびかせ爪先立ちでエグジガン達を見下ろしていた。
「むぅ?何者だ?」
巨人はボロボロになったアンバーニオンと、ガルンシュタエンを軽々と両脇に抱えている。そして二体よりも大きい。七十~八十メートルはありそうだ。
顔は狼ともライオンともつかない肉食動物を思わせる仮面に、サイバー忍者を思わせるスタイルのボディは半透明のツツジ色の宝甲?で覆われ、背中には大剣の鞘を背負っている。
「······俺さぁ?」
ツツジ色のライオン忍者の言葉に、残ったエガスデライガ達が一斉に腕の砲口を向ける。
「勝負に水差しなんてホントは大っ嫌いなんだよね?」
ドスッ!ザン!ザキュ!
「!」
いきなりエガスデライガ達の懐に潜り、機体に刀を突き刺しているツツジ色の人影。人影はそのライオン忍者のシルエットを模していた。シルエット達が同時にエガスデライガの機体から刀を引き抜くと、すぐにその三体も膝から崩れ落ちた。
謎のライオン忍者巨人の操珀。共上 獅子生は、
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次回、最終回。
「おまけもあるんるん!」
「(3)モ、アルヨ?」
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