俺たちの誓い

八月 美咲

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『走れメロス』の二日目の幕が降りた時、暖は心の底からほっとした。

 これでやっと琥珀のメロスから解放される。

 初めて琥珀が衣装を身にまとったのを見た時、目のやり場に困った。

 露出した片胸の、桜の蕾のような突起を静止できなかった。

 琥珀が家に泊まりに来た初日、浴室で濡れた琥珀に欲情した。

 自分が琥珀に対してどんな感情を持っているのか、もう誤魔化すことはできなかった。

 琥珀が隣で寝ていると思うと眠れなかった。そのせいでずっと寝不足が続いた。

 いつからだ? いつからこんなふうになってしまった? どうやったら元に戻せる?

 これ以上この感情を膨らませてはいけないと焦った。

 なのに最後のあの夜、健やかな寝息を立てながら安心しきって眠る琥珀を突然、汚したい衝動に駆られた。

 自分を信用し無防備な琥珀を激しく裏切りたくなった。

―止めろ!

 理性が警鐘を鳴らした。

 しかし、我慢できなかった。

 琥珀の半開きの薄い唇に口づけた。

 伏せられた長いまつ毛がわずかに動いただけで、起きない琥珀をいいことに、二度、三度、口づけた。

 唇と唇を合わせるだけの口づけでは物足りず、琥珀のTシャツをそっとめくった。

―何をしてるんだ! 止めろ!

 二つの蕾が目の前に現れ、ゴクリと喉がなった。

 琥珀の寝顔を確かめながら、そっと小さな蕾に触れてみた。

 心臓と身体の中心がドクドクと脈打っている。

 もう、理性の声は耳に届かなかった。

 琥珀の小さな蕾を口に含んだ。

 琥珀は軽く身体をよじっただけで、起きる気配はない。

 舌で弄ぶと、はかない柔らかさだった蕾が固さを持ち始めた。一度口を離して、間近にそれを眺めた。

 興奮した。

 すぐにまた口をつけ、自分の下着の中に右手を突っ込んだ。

 琥珀の蕾を味わいながら、すでに熱くそそり立っているそれをしごいた。

 あっという間だった。下着の中で白濁した欲情を吐き出した。

 そっと部屋を出ると浴室に向かった。

 シャワーの中で むせび泣いた。

 自分は、大切な親友に背徳行為を犯したのだ。

 真っ白な雪のような琥珀を、汚れた靴を履いた欲情で踏みにじったのだ。

 脳裏に遠い少年の日の雪がちらつく。

 あの雪はあんなに美しかったのに、自分の雪はなんと醜いのだろう。
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