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序章・帝国崩壊編
27、領主も辛いよ
カルシオス・オルモード連合軍は敗退した。
最後の突撃に失敗し、百旗騎士の殆どが戦死したのだ。
膨れ上がった兵達はそのあまりにも数が多すぎて指揮官の目が届かないのを良いことに、「これは負けるぞ」と次々逃げ出してしまった。
兵がどんどん逃げ出すと、今度はバルムッド、デルキッシュ、ムーザッド、オリン、マローの五人の貴族達も「偽帝ティタラに仕えたくないだけでオルモードに仕える義理も無い」と逃亡してしまったのである。
孤立したオルモードは急いで砦へと撤退した。
残った兵士は三千。それと百旗騎士が十余名のみ。
しかも、本来は後方から補充される筈の後詰めの兵まで突撃に駆り出したせいで、どれだけ籠城した所で援軍は期待出来ない。
こうなっては砦を使って防衛も何も無いのだ。
オルモードは三千の兵達と十余名の騎士を率いてオーゼリードへと帰った。
オーゼリードへ向かっている途中で雪はとても強く吹き付けて、凄い勢いで積もりだした。
寒さに誰もがガチガチと震えていると、ようやくオーゼリードの城壁が見えてホッとした。
「おうい! オルモードだ! 早く中に入れてくれ!」
オルモードが城壁の上に立っている見張りへ声を張り上げると、そこからひょこっとカルシオスが顔を出す。
毛皮に頭までくるまって暖かそうな格好だ。
彼はオルモードを見下ろし、しばらく黙っていたが、やがて堪えられない様子で声を挙げて笑いだしたのである。
「何がおかしい! 早く入れぬか!」
「これがおかしくない訳あるまい!」
カルシオスは凍えるオルモードを見下したまま、もう用済みなのだと言った。
元々カルシオスは自分達文官が保有する戦力が少ない為にオルモードと手を組んでいたに過ぎない。
しかし、オルモードは今回の戦いでその戦力の殆どを失った。
もはやオルモードと味方である意味がカルシオスには無いのである。
だから、入れるつもりは無いとカルシオスは言うのだ。
「あ、そうだ。おい、そこの騎士と兵よ。オルモードを見捨てて私に忠誠を誓うならば入っても良いぞ。兵舎には暖炉がついてて温かいスープもあるぞ」
そのように誘惑すると、吹き付ける雪に体の冷えた彼らは堪らずオルモードを見捨ててカルシオスに忠誠を誓うと言うのだ。
これにオルモードは絶望した。
城門が開いて百旗騎士の生き残りや兵達がオーゼリードへと入ろうとするので、オルモードも便乗しようとする。
しかし、衛兵が槍を突きつけて刺そうとして来た為にオルモードはオーゼリードへ入る事が出来なかった。
目の前で無情にも門が重々しい音をたてて閉まる。
オルモードは震えて、鼻水をだらだら流しながら門に縋り付くと、開けてくれ。開けてくれ。と咽び泣いた。
だけど、どれだけ泣き喚こうと門は動かないので、オルモードはどこへ行くとも無く雪の中を歩き始める必要があったのである。
どこでも良いから暖かい所に行きたい……。
そう思うが、オルモードは今、自分がどこへ向けて歩いているのかすら分からないので、向かう先に集落があるかどうかすら怪しかった。
雪はいつの間にか膝まで積もり、雪に足が取られたオルモードはその場に倒れてしまう。
寒くて寒くて立ち上がる気力も湧かなかった。
このまま死ぬのだろうか?
寒さと死の恐怖に体の震えが止まらない。
段々眠くなってきた。
オルモードが意識を失い始めた時、ズルズル、ズルズル……と何かを引きずる音が聞こえてくる。
最後の気力を振り絞って顔を挙げると、誰かがオルモードの前に立っていた。
「オルモードか?」
そう聞く者の顔を見たオルモードは「ガ・ルスか?」と言う。
オルモードの前にガ・ルスが立っていた。
彼は顔の半分が酷く焼けただれていた。
左耳は抉れて無くなり、血糊がどす黒く変色してガ・ルスの頬を染めている。
そして、片手で焼けた馬の死体を引っ張っていたのである。
オルモードが「何をしている?」とガ・ルスに聞くと、「お前の所に帰ろうとしていた」と答えた。
「お前の方はこんな所で何をしている?」
「俺か? 俺は……何もかも失ったのだ……」
オルモードは戦いに負けて、兵も騎士も失い、カルシオスにも裏切られて追い出されたのだと説明すると、「ガ・ルスもどこかに行け。敗軍の将に関わっている暇はあるまい」と自嘲して、雪へと顔をうずめた。
このままゆっくりと静かに死のう。
みっともなく足掻いて最後を汚したくない。
「……ダライアもこんな気持ちだったのだろうか」
かつて、雪中をオルモードの為に各地の領主へ手紙を届けてくれたダライア。
手紙を全て届け、雪の中で行方不明となったダライアの事を思い出して、静かに眠ろうとした。
すると、いきなりオルモードの体が雪から浮かび上がる。
死んで天に昇るのかと思ったがどうにも違う。
オルモードが目を開けると、ガ・ルスがオルモードを肩に担いでいたのだ。
「何をしている?」
オルモードが驚いて聞くと、「お前は何もかも失った訳では無い。俺が居る」と言うのだ。
何を言っているのかオルモードには分からず、黙りこくっていると、「俺もあいつを失って何もかも失った気分だった」とガ・ルスは言う。
あいつとはガ・ルスの愛馬であった西方馬だ。
ガ・ルスは愛馬を失い、全身大火傷。
そんな中、彼はオルモードと出会って、一人ではないという気分になったのである。
「オルモード、貴様は戦いの男だ。争いの中でしか生きられん。俺もそうだ。だから、お前と居れば俺は戦いの中に居られる」
「だが、俺は敗軍の将だ。今更俺についてくる者もいるまい」
「ついてくる者が居るか居ないかなどそんな事、俺は知らん。だが貴様は約束したのだ。『アーランドラ帝国は大乱世となる』とな」
オルモードはガ・ルスを配下に加える時、アーランドラ帝国が大乱世になると言って迎えたのだ。
ガ・ルスは戦いの人だから、大乱世こそ望む世界なのである。
「さあ、大乱世に備えるぞオルモード。俺に戦いを提供するのだ。この国の奴らは歯応えがあるのでな、楽しみだ」
新しい玩具を貰った子供みたいに無邪気に笑うガ・ルスの声を聞くと、なんだかオルモードも笑いが込み上げて来た。
「ああ。ああ。そうだな。そうだとも……。備えよう。大乱世が来るぞ、ガ・ルス。お前とならとことんまで大乱世を突き抜けられるぞ俺は」
笑いながらそう言うオルモードの目からはとめどなく涙が流れてくる。
雪で涙が冷えて目が痛かったが、涙は決して止まらない。
痛いほど熱い涙がオルモードの目から止まること無く流れ続けるのであった。
一方その頃、帝都では勝利に兵士達は沸いていた。
しかし、城内の貴族達はそう喜んでいられない状態である。
なぜならば、カルシオスが積雪前に仕掛けた工作によりティタラが皇帝の血を引いていないという話がアーランドラ帝国全土へと広がり、各地の諸侯が独立していたからだ。
してやられた!
カルシオスはこれを狙ってオルモードに帝都を攻めさせたのであろう。
各地の諸侯、領主が独立すればするほど、帝国はカルシオスへ征伐に行けなくなる。
オルモードは各地の諸侯を独立させる工作の時間稼ぎに使う駒でしかなかったのだ。
兵舎では兵士達がどの貴族に仕えているかなど無関係にどんちゃん騒ぎを起こしていたが、城内では全く騒げない状態だったのである。
城に残っていた諸侯達の一部はティタラが皇帝の血を引いていないと知っていた。
それは例えば、かつて帝都が荒廃した時に城内に居てその噂を聞いていた者や、先のオルモードとの戦いでその話を聞かされてなお帝国軍に加わった者達だ。
しかし、そのような事情を知らずティタラに仕えていた者達にとっては大きな衝撃を与えた。
だけど、ティタラが偽帝であれ地位と富を持っているから従おうと思う者も居たし、何よりもハルアーダが「今さら皇帝陛下の血だの何だの言って混乱を広めるな! この混乱で呑気に皇帝陛下の血を引く者を悠長に探すつもりか!」と叱咤したのでとてもとても離脱できる雰囲気では無かった。
ハルアーダは近衛騎士達へ、悪い噂をたてる者は無遠慮に首を斬るよう厳命したので城内の諸侯は震え上がって従わざる得なかった。
また、彼は戒厳令を敷いてティタラに彼女自身の噂を聞かせないようにしたのである。
そのような事態だったので、城内のメイドや兵士達の一人一人に至るまで軽口一つ言えず、とにかく城内は張り詰めて重々しい空気となってしまった。
とはいえ、ラドウィンにはどうだって良い問題だ。
連日の軍議をサボり、兵舎で宴に参加する始末である。
彼は酒を飲まないが、一度、兵に無理矢理酒を一杯飲まされてしまいぐでんぐでんとなっていた。
酔っ払ったそんなラドウィンが千鳥足で廊下を歩いている時にハルアーダと出会ってしまったから大変だ。
ハルアーダは眉間に皺を寄せて怒気を発してラドウィンの胸倉を掴むと「いいご身分だな!」と怒った。
しかしラドウィンはいつもの飄々とした態度で手を離すように言うのである。
ラドウィンは酒が嫌いだ。
酩酊すると記憶が朧になる。
多くの人々は記憶が朧になって高揚する事を望むが、ラドウィンは望まない。
死んだ人々の事を忘れてしまうからだ。
ラドウィンは、自分の為に死んだ人々を忘れたく無かったのである。
それで、死んでいった見知らぬ兵達の事を聞くために、連日宴会に参加して、兵達から戦死した兵達の事を聞いていたのだ。
ハルアーダはラドウィンが死んだ兵達の事を調べて心に留めている事を知っていた。
それで、彼はラドウィンの全てを否定しなければ気が済まない気持ちになったのである。
世の将というものは、大抵最初の頃は自分のせいで兵が死んだと悔やむものだ。
ハルアーダもかつてはそうだった。
だが、何度も兵が死んでいくうちに、将というものは心にカサブタができていく。
分厚い殻のようなカサブタが心に出来上がって、自分のせいで兵を殺したという事実から目を背けるのだ。
それが普通である。
で、なくば、常人というものは心を酷く病んでしまうものだ。
「兵の一人や二人、将ならば気にするな! 馬鹿馬鹿しい! この戦いで一体どれだけの将兵が死んだと思っているのだ! お前はその一人一人にまで憐れみを抱くつもりか!」
ハルアーダが怒り混じりに怒鳴るも、ラドウィンは笑ってその場を後にするだけである。
まるでハルアーダの心の底を見透かすように、あたかも憐れむような笑みであった。
そのような笑みを向けられるとハルアーダはラドウィンを追うことが出来ない。
ハルアーダだって自分の配下や部下か死んで、その事を悲しまない訳ではない。
だが、一々悲しんでいると心が持たないのだ。
だから、ラドウィンのその笑みが、ハルアーダの立ち入って欲しくない場所に不躾に侵入されるような気持ちとなる。
これにハルアーダは激しく怒り、憎悪し、耐え難い憤怒に身を焼かれた。
それと同時にラドウィンを恐れたのである。
将は兵達を物として扱う。
しかし、ラドウィンは兵達を人として見ているのだ。
誰だって自分の事を人として見てくれる者に付いていきたいものである。
ハルアーダはラドウィンの事を恐れた。
もしもラドウィンが、その皇帝の血を引いているという事実を公表したら、多くの人々が付き従いたくなるだろう。
いや、ラドウィンが名乗り出なくとも、ラドウィンを担ぎ出すものが居るかも知れない。
その時、兵達は、民は、人々はラドウィンに従ってしまうのだ。
「貴様は権力に興味か無かろうが、貴様の周りは放っておかぬぞ。それはティタラ様の障害となるのだ」
なんとかせねば。
ハルアーダは怒りと恐怖を身に宿してとある執務室へ足早に向かう。
その執務室とはエルグスティアの執務室だ。
彼はいまやハルアーダと共に皇帝ティタラの腕としてその補佐を行っていた。
それは騎士の役目では無いが、皇帝の補佐を貴族連中に任せるのは信用出来ないとしてハルアーダが皇帝補佐の実権を奪ったのである。
なので現宰相の席はカルシオスが去ってから空いていた。
しかし、ハルアーダもエルグスティアも大臣達に宰相のような権力を与えては皇帝を再び傀儡にされるのではないかと恐れて、その地位を与える事はしなかったのである。
そんなエルグスティアの執務室に勢い良くハルアーダが来たから、彼は驚きの様子でどうしたのかと聞いた。
するとハルアーダは彼の執務机に手をついて「ラドウィンを始末するぞ」と言うのだ。
なぜラドウィンを始末するのか分からない。
エルグスティアが戸惑ったのは当然の事である。
「良いか。ラドウィンは危険だ。ティタラ陛下のためにも消すべきだ」
ラドウィンが熱弁するけれど、エルグスティアは事態が全く飲み込めないのでとにかく状況を説明するように言う。
「ハルアーダ、俺は確かにお前を良き友人だと思っているし、陛下に仕える仲間だ。だけどな、良いか? だからってお前の提案を何でも受け入れるとは限らない」
エルグスティアの言葉は全くその通りだ。
大体、ハルアーダの提案はあまりに身勝手に思える。
人を殺すと言うならば相応の理由が必要だ。
なのにハルアーダはその理由を言わないのだからエルグスティアは首を縦に振るわけにはいかなかった。
エルグスティアが動かないとハルアーダは分かり、そして、自分の言動があまりに突拍子も無い事と冷静に考え直すと深呼吸をする。
ハルアーダはエルグスティアを説得するのを諦めて、騒いで悪かったと一言謝罪し彼の執務室を出た。
もしもエルグスティアにラドウィンが皇族だと説明したら、万が一にもエルグスティアは彼を皇帝として擁立するかも知れない。
その危険を考えると説得するのは諦めざる得なかった。
いや、皇帝陛下に仕える近衛騎士というものはそれが普通であり、近衛騎士以上に皇帝へ忠義を貫く皇帝騎士のハルアーダが真の皇帝では無く、偽帝のティタラに肩入れするのがおかしいのだ。
それでもハルアーダはティタラに肩入れしている。
ばかりか真の皇帝がラドウィンと知りながら地方に追いやり、ともすれば命を奪おうとするなど皇帝騎士失格だ。
しかし、ハルアーダがティタラに肩入れするのは一つの理由があった。
とてもとても重大な理由だ。
「私はその理由を知っています……」
廊下を歩くハルアーダの耳元でそう囁かれ、彼は振り向いた。
日のくれた廊下を松明の灯りだけが薄オレンジ色に染めている。
そっと腰の剣に手を置き、攻撃の姿勢を取った。
「そう敵対しないで下さい……」
呟くように、囁くように、静かに声が響いている。
ラドウィンは少しとんがった耳を澄まして、その声が天井から聞こえてくると分かった。
「私はあなたにお願いへ来たのです。その為の材料として私の持っている情報を提示しているだけですよ。あなたがティタラに肩入れする理由を知っているという情報を……」
ハルアーダは天井の闇を見つめながら聞いている。
松明のほのかな明かりは天井を殆ど照らしていなかった。
だけどハルアーダは夜目が利くので、その程度の闇を見る事は出来たのだが、それでもそこに潜む者の姿を見つける事は出来なかった。
「お願いに来たと言うなら姿を見せよ。礼儀の無い者め」
ハルアーダがそのように言うと、天井の闇から一人、飛び降りて来たのである。
即座に剣を抜き、その切っ先をその人へ向けた。
その人は床に着地すると同時に片膝つく。
それと同時にハルアーダが向けた剣の切っ先が、その額へと微かに当たった。
しかし、その人は微動だにせず、ハルアーダを見ていた。
ハルアーダが名を言えと命令すると、「カルシオス様に雇われているカーンという者です」と名乗った。
頭巾と口元を覆うベールの隙間から無感情に覗く眼……カルシオスの雇っていた私兵の一人にして情報収集の右腕、カーンだ。
「カルシオスが私に使者とは何のつもりだ?」とハルアーダが眉をひそめたが、カーンはカルシオスの使者では無いと答えた。
「我々はカルシオスを見限ろうと思っています。そして、ハルアーダ様、あなたに雇って欲しいのです」
カーンがそのように言うので、ハルアーダは彼を冷たい目で見下ろして信用出来ないと言うのだ。
するとカーンは目元を不敵に笑わせる。
「そのために私の持つ情報を提示したのです。ミルランス様とティタラ様の父であるハルアーダ様にね」
最後の突撃に失敗し、百旗騎士の殆どが戦死したのだ。
膨れ上がった兵達はそのあまりにも数が多すぎて指揮官の目が届かないのを良いことに、「これは負けるぞ」と次々逃げ出してしまった。
兵がどんどん逃げ出すと、今度はバルムッド、デルキッシュ、ムーザッド、オリン、マローの五人の貴族達も「偽帝ティタラに仕えたくないだけでオルモードに仕える義理も無い」と逃亡してしまったのである。
孤立したオルモードは急いで砦へと撤退した。
残った兵士は三千。それと百旗騎士が十余名のみ。
しかも、本来は後方から補充される筈の後詰めの兵まで突撃に駆り出したせいで、どれだけ籠城した所で援軍は期待出来ない。
こうなっては砦を使って防衛も何も無いのだ。
オルモードは三千の兵達と十余名の騎士を率いてオーゼリードへと帰った。
オーゼリードへ向かっている途中で雪はとても強く吹き付けて、凄い勢いで積もりだした。
寒さに誰もがガチガチと震えていると、ようやくオーゼリードの城壁が見えてホッとした。
「おうい! オルモードだ! 早く中に入れてくれ!」
オルモードが城壁の上に立っている見張りへ声を張り上げると、そこからひょこっとカルシオスが顔を出す。
毛皮に頭までくるまって暖かそうな格好だ。
彼はオルモードを見下ろし、しばらく黙っていたが、やがて堪えられない様子で声を挙げて笑いだしたのである。
「何がおかしい! 早く入れぬか!」
「これがおかしくない訳あるまい!」
カルシオスは凍えるオルモードを見下したまま、もう用済みなのだと言った。
元々カルシオスは自分達文官が保有する戦力が少ない為にオルモードと手を組んでいたに過ぎない。
しかし、オルモードは今回の戦いでその戦力の殆どを失った。
もはやオルモードと味方である意味がカルシオスには無いのである。
だから、入れるつもりは無いとカルシオスは言うのだ。
「あ、そうだ。おい、そこの騎士と兵よ。オルモードを見捨てて私に忠誠を誓うならば入っても良いぞ。兵舎には暖炉がついてて温かいスープもあるぞ」
そのように誘惑すると、吹き付ける雪に体の冷えた彼らは堪らずオルモードを見捨ててカルシオスに忠誠を誓うと言うのだ。
これにオルモードは絶望した。
城門が開いて百旗騎士の生き残りや兵達がオーゼリードへと入ろうとするので、オルモードも便乗しようとする。
しかし、衛兵が槍を突きつけて刺そうとして来た為にオルモードはオーゼリードへ入る事が出来なかった。
目の前で無情にも門が重々しい音をたてて閉まる。
オルモードは震えて、鼻水をだらだら流しながら門に縋り付くと、開けてくれ。開けてくれ。と咽び泣いた。
だけど、どれだけ泣き喚こうと門は動かないので、オルモードはどこへ行くとも無く雪の中を歩き始める必要があったのである。
どこでも良いから暖かい所に行きたい……。
そう思うが、オルモードは今、自分がどこへ向けて歩いているのかすら分からないので、向かう先に集落があるかどうかすら怪しかった。
雪はいつの間にか膝まで積もり、雪に足が取られたオルモードはその場に倒れてしまう。
寒くて寒くて立ち上がる気力も湧かなかった。
このまま死ぬのだろうか?
寒さと死の恐怖に体の震えが止まらない。
段々眠くなってきた。
オルモードが意識を失い始めた時、ズルズル、ズルズル……と何かを引きずる音が聞こえてくる。
最後の気力を振り絞って顔を挙げると、誰かがオルモードの前に立っていた。
「オルモードか?」
そう聞く者の顔を見たオルモードは「ガ・ルスか?」と言う。
オルモードの前にガ・ルスが立っていた。
彼は顔の半分が酷く焼けただれていた。
左耳は抉れて無くなり、血糊がどす黒く変色してガ・ルスの頬を染めている。
そして、片手で焼けた馬の死体を引っ張っていたのである。
オルモードが「何をしている?」とガ・ルスに聞くと、「お前の所に帰ろうとしていた」と答えた。
「お前の方はこんな所で何をしている?」
「俺か? 俺は……何もかも失ったのだ……」
オルモードは戦いに負けて、兵も騎士も失い、カルシオスにも裏切られて追い出されたのだと説明すると、「ガ・ルスもどこかに行け。敗軍の将に関わっている暇はあるまい」と自嘲して、雪へと顔をうずめた。
このままゆっくりと静かに死のう。
みっともなく足掻いて最後を汚したくない。
「……ダライアもこんな気持ちだったのだろうか」
かつて、雪中をオルモードの為に各地の領主へ手紙を届けてくれたダライア。
手紙を全て届け、雪の中で行方不明となったダライアの事を思い出して、静かに眠ろうとした。
すると、いきなりオルモードの体が雪から浮かび上がる。
死んで天に昇るのかと思ったがどうにも違う。
オルモードが目を開けると、ガ・ルスがオルモードを肩に担いでいたのだ。
「何をしている?」
オルモードが驚いて聞くと、「お前は何もかも失った訳では無い。俺が居る」と言うのだ。
何を言っているのかオルモードには分からず、黙りこくっていると、「俺もあいつを失って何もかも失った気分だった」とガ・ルスは言う。
あいつとはガ・ルスの愛馬であった西方馬だ。
ガ・ルスは愛馬を失い、全身大火傷。
そんな中、彼はオルモードと出会って、一人ではないという気分になったのである。
「オルモード、貴様は戦いの男だ。争いの中でしか生きられん。俺もそうだ。だから、お前と居れば俺は戦いの中に居られる」
「だが、俺は敗軍の将だ。今更俺についてくる者もいるまい」
「ついてくる者が居るか居ないかなどそんな事、俺は知らん。だが貴様は約束したのだ。『アーランドラ帝国は大乱世となる』とな」
オルモードはガ・ルスを配下に加える時、アーランドラ帝国が大乱世になると言って迎えたのだ。
ガ・ルスは戦いの人だから、大乱世こそ望む世界なのである。
「さあ、大乱世に備えるぞオルモード。俺に戦いを提供するのだ。この国の奴らは歯応えがあるのでな、楽しみだ」
新しい玩具を貰った子供みたいに無邪気に笑うガ・ルスの声を聞くと、なんだかオルモードも笑いが込み上げて来た。
「ああ。ああ。そうだな。そうだとも……。備えよう。大乱世が来るぞ、ガ・ルス。お前とならとことんまで大乱世を突き抜けられるぞ俺は」
笑いながらそう言うオルモードの目からはとめどなく涙が流れてくる。
雪で涙が冷えて目が痛かったが、涙は決して止まらない。
痛いほど熱い涙がオルモードの目から止まること無く流れ続けるのであった。
一方その頃、帝都では勝利に兵士達は沸いていた。
しかし、城内の貴族達はそう喜んでいられない状態である。
なぜならば、カルシオスが積雪前に仕掛けた工作によりティタラが皇帝の血を引いていないという話がアーランドラ帝国全土へと広がり、各地の諸侯が独立していたからだ。
してやられた!
カルシオスはこれを狙ってオルモードに帝都を攻めさせたのであろう。
各地の諸侯、領主が独立すればするほど、帝国はカルシオスへ征伐に行けなくなる。
オルモードは各地の諸侯を独立させる工作の時間稼ぎに使う駒でしかなかったのだ。
兵舎では兵士達がどの貴族に仕えているかなど無関係にどんちゃん騒ぎを起こしていたが、城内では全く騒げない状態だったのである。
城に残っていた諸侯達の一部はティタラが皇帝の血を引いていないと知っていた。
それは例えば、かつて帝都が荒廃した時に城内に居てその噂を聞いていた者や、先のオルモードとの戦いでその話を聞かされてなお帝国軍に加わった者達だ。
しかし、そのような事情を知らずティタラに仕えていた者達にとっては大きな衝撃を与えた。
だけど、ティタラが偽帝であれ地位と富を持っているから従おうと思う者も居たし、何よりもハルアーダが「今さら皇帝陛下の血だの何だの言って混乱を広めるな! この混乱で呑気に皇帝陛下の血を引く者を悠長に探すつもりか!」と叱咤したのでとてもとても離脱できる雰囲気では無かった。
ハルアーダは近衛騎士達へ、悪い噂をたてる者は無遠慮に首を斬るよう厳命したので城内の諸侯は震え上がって従わざる得なかった。
また、彼は戒厳令を敷いてティタラに彼女自身の噂を聞かせないようにしたのである。
そのような事態だったので、城内のメイドや兵士達の一人一人に至るまで軽口一つ言えず、とにかく城内は張り詰めて重々しい空気となってしまった。
とはいえ、ラドウィンにはどうだって良い問題だ。
連日の軍議をサボり、兵舎で宴に参加する始末である。
彼は酒を飲まないが、一度、兵に無理矢理酒を一杯飲まされてしまいぐでんぐでんとなっていた。
酔っ払ったそんなラドウィンが千鳥足で廊下を歩いている時にハルアーダと出会ってしまったから大変だ。
ハルアーダは眉間に皺を寄せて怒気を発してラドウィンの胸倉を掴むと「いいご身分だな!」と怒った。
しかしラドウィンはいつもの飄々とした態度で手を離すように言うのである。
ラドウィンは酒が嫌いだ。
酩酊すると記憶が朧になる。
多くの人々は記憶が朧になって高揚する事を望むが、ラドウィンは望まない。
死んだ人々の事を忘れてしまうからだ。
ラドウィンは、自分の為に死んだ人々を忘れたく無かったのである。
それで、死んでいった見知らぬ兵達の事を聞くために、連日宴会に参加して、兵達から戦死した兵達の事を聞いていたのだ。
ハルアーダはラドウィンが死んだ兵達の事を調べて心に留めている事を知っていた。
それで、彼はラドウィンの全てを否定しなければ気が済まない気持ちになったのである。
世の将というものは、大抵最初の頃は自分のせいで兵が死んだと悔やむものだ。
ハルアーダもかつてはそうだった。
だが、何度も兵が死んでいくうちに、将というものは心にカサブタができていく。
分厚い殻のようなカサブタが心に出来上がって、自分のせいで兵を殺したという事実から目を背けるのだ。
それが普通である。
で、なくば、常人というものは心を酷く病んでしまうものだ。
「兵の一人や二人、将ならば気にするな! 馬鹿馬鹿しい! この戦いで一体どれだけの将兵が死んだと思っているのだ! お前はその一人一人にまで憐れみを抱くつもりか!」
ハルアーダが怒り混じりに怒鳴るも、ラドウィンは笑ってその場を後にするだけである。
まるでハルアーダの心の底を見透かすように、あたかも憐れむような笑みであった。
そのような笑みを向けられるとハルアーダはラドウィンを追うことが出来ない。
ハルアーダだって自分の配下や部下か死んで、その事を悲しまない訳ではない。
だが、一々悲しんでいると心が持たないのだ。
だから、ラドウィンのその笑みが、ハルアーダの立ち入って欲しくない場所に不躾に侵入されるような気持ちとなる。
これにハルアーダは激しく怒り、憎悪し、耐え難い憤怒に身を焼かれた。
それと同時にラドウィンを恐れたのである。
将は兵達を物として扱う。
しかし、ラドウィンは兵達を人として見ているのだ。
誰だって自分の事を人として見てくれる者に付いていきたいものである。
ハルアーダはラドウィンの事を恐れた。
もしもラドウィンが、その皇帝の血を引いているという事実を公表したら、多くの人々が付き従いたくなるだろう。
いや、ラドウィンが名乗り出なくとも、ラドウィンを担ぎ出すものが居るかも知れない。
その時、兵達は、民は、人々はラドウィンに従ってしまうのだ。
「貴様は権力に興味か無かろうが、貴様の周りは放っておかぬぞ。それはティタラ様の障害となるのだ」
なんとかせねば。
ハルアーダは怒りと恐怖を身に宿してとある執務室へ足早に向かう。
その執務室とはエルグスティアの執務室だ。
彼はいまやハルアーダと共に皇帝ティタラの腕としてその補佐を行っていた。
それは騎士の役目では無いが、皇帝の補佐を貴族連中に任せるのは信用出来ないとしてハルアーダが皇帝補佐の実権を奪ったのである。
なので現宰相の席はカルシオスが去ってから空いていた。
しかし、ハルアーダもエルグスティアも大臣達に宰相のような権力を与えては皇帝を再び傀儡にされるのではないかと恐れて、その地位を与える事はしなかったのである。
そんなエルグスティアの執務室に勢い良くハルアーダが来たから、彼は驚きの様子でどうしたのかと聞いた。
するとハルアーダは彼の執務机に手をついて「ラドウィンを始末するぞ」と言うのだ。
なぜラドウィンを始末するのか分からない。
エルグスティアが戸惑ったのは当然の事である。
「良いか。ラドウィンは危険だ。ティタラ陛下のためにも消すべきだ」
ラドウィンが熱弁するけれど、エルグスティアは事態が全く飲み込めないのでとにかく状況を説明するように言う。
「ハルアーダ、俺は確かにお前を良き友人だと思っているし、陛下に仕える仲間だ。だけどな、良いか? だからってお前の提案を何でも受け入れるとは限らない」
エルグスティアの言葉は全くその通りだ。
大体、ハルアーダの提案はあまりに身勝手に思える。
人を殺すと言うならば相応の理由が必要だ。
なのにハルアーダはその理由を言わないのだからエルグスティアは首を縦に振るわけにはいかなかった。
エルグスティアが動かないとハルアーダは分かり、そして、自分の言動があまりに突拍子も無い事と冷静に考え直すと深呼吸をする。
ハルアーダはエルグスティアを説得するのを諦めて、騒いで悪かったと一言謝罪し彼の執務室を出た。
もしもエルグスティアにラドウィンが皇族だと説明したら、万が一にもエルグスティアは彼を皇帝として擁立するかも知れない。
その危険を考えると説得するのは諦めざる得なかった。
いや、皇帝陛下に仕える近衛騎士というものはそれが普通であり、近衛騎士以上に皇帝へ忠義を貫く皇帝騎士のハルアーダが真の皇帝では無く、偽帝のティタラに肩入れするのがおかしいのだ。
それでもハルアーダはティタラに肩入れしている。
ばかりか真の皇帝がラドウィンと知りながら地方に追いやり、ともすれば命を奪おうとするなど皇帝騎士失格だ。
しかし、ハルアーダがティタラに肩入れするのは一つの理由があった。
とてもとても重大な理由だ。
「私はその理由を知っています……」
廊下を歩くハルアーダの耳元でそう囁かれ、彼は振り向いた。
日のくれた廊下を松明の灯りだけが薄オレンジ色に染めている。
そっと腰の剣に手を置き、攻撃の姿勢を取った。
「そう敵対しないで下さい……」
呟くように、囁くように、静かに声が響いている。
ラドウィンは少しとんがった耳を澄まして、その声が天井から聞こえてくると分かった。
「私はあなたにお願いへ来たのです。その為の材料として私の持っている情報を提示しているだけですよ。あなたがティタラに肩入れする理由を知っているという情報を……」
ハルアーダは天井の闇を見つめながら聞いている。
松明のほのかな明かりは天井を殆ど照らしていなかった。
だけどハルアーダは夜目が利くので、その程度の闇を見る事は出来たのだが、それでもそこに潜む者の姿を見つける事は出来なかった。
「お願いに来たと言うなら姿を見せよ。礼儀の無い者め」
ハルアーダがそのように言うと、天井の闇から一人、飛び降りて来たのである。
即座に剣を抜き、その切っ先をその人へ向けた。
その人は床に着地すると同時に片膝つく。
それと同時にハルアーダが向けた剣の切っ先が、その額へと微かに当たった。
しかし、その人は微動だにせず、ハルアーダを見ていた。
ハルアーダが名を言えと命令すると、「カルシオス様に雇われているカーンという者です」と名乗った。
頭巾と口元を覆うベールの隙間から無感情に覗く眼……カルシオスの雇っていた私兵の一人にして情報収集の右腕、カーンだ。
「カルシオスが私に使者とは何のつもりだ?」とハルアーダが眉をひそめたが、カーンはカルシオスの使者では無いと答えた。
「我々はカルシオスを見限ろうと思っています。そして、ハルアーダ様、あなたに雇って欲しいのです」
カーンがそのように言うので、ハルアーダは彼を冷たい目で見下ろして信用出来ないと言うのだ。
するとカーンは目元を不敵に笑わせる。
「そのために私の持つ情報を提示したのです。ミルランス様とティタラ様の父であるハルアーダ様にね」
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