9 / 19
第9話 エリザベートとの出会いと同盟
しおりを挟む
鉄槌王国の闇を知った寛人たち。
彼らは国を変えるための手がかりを探していた。
「王国軍の中にも、国王に反発する者がいるらしい」
「シルバーフォックスって呼ばれてる女軍人がいてな...」
酒場で聞いたその噂が、彼らの次の行動を決定づけた。
「このシルバーフォックスとやらに会えれば、何か分かるかもしれないわね」
リリアが提案する。
「うん、その人きっと良い人だと思う!」
ミーナも賛成の意を示す。
寛人は頷いた。
「よし、じゃあ今夜、兵舎に忍び込もう」
夜の帳が下りた頃、寛人たちは王城近くの兵舎に忍び込んだ。
月明かりを頼りに、彼らは慎重に動く。
「むげんちゃん、あそこ!」
ミーナが小さな声で告げる。
一つの部屋から、かすかな明かりが漏れていた。
寛人たちがその部屋に近づいた瞬間——
「誰だ!」
鋭い声と共に、一振りの剣が寛人の首筋に突きつけられる。
「おっと、そう警戒しないでくれよ」
寛人はゆっくりと両手を上げる。
月明かりに照らされたその人物は、シルバーのショートヘアを持つ凛とした美女だった。
「あなたが...シルバーフォックス?」
「...何用だ」
女性は剣を下げないまま問う。
「話があるんだ。この国のこと...そして魔王軍のことでね」
その言葉に、女性の目が細くなる。
「...私についてきなさい」
彼女は寛人たちを小部屋に案内した。
「私はエリザベート。鉄槌王国軍の大佐だ」
「俺は無限寛人。こっちはリリアとミーナ」
自己紹介を済ませた後、エリザベートが切り出す。
「で、何の用件だ?」
「率直に言おう。俺たちは、この国を変えたいんだ」
寛人の言葉に、エリザベートの目が見開く。
「...狂気の沙汰だな」
「そうかもしれない。でも、君も同じことを考えてるんじゃないのか?」
一瞬の沈黙。
そして——
「...証拠がある」
エリザベートが小声で言う。
「国王が魔王軍と手を組んでいる証拠だ」
寛人たちの表情が引き締まる。
「見せてもらえるか?」
エリザベートは慎重に周囲を確認し、隠し扉を開け書類を出す。
「これを見てごらん」
寛人たちは息を呑んだ。
そこには、国王と魔王軍との密約の詳細が記されていた。
民からの搾取、若者の強制徴用、そして魔王軍への協力...全てが明らかになっていた。
「これは...」
リリアが言葉を失う。
「酷すぎる...」
ミーナの声が震える。
寛人は黙って資料に目を通し、そして顔を上げた。
「エリザベート、協力してくれるんだな?」
「ああ。だが、一つ条件がある」
「なんだ?」
「もし本当にこの国を変えられるなら...私を新しい国の軍の長にしてくれ」
寛人は微笑んだ。
「いいだろう。約束する」
エリザベートの目に、希望の光が宿る。
「ありがとう...本当に、この国を変えられると信じていいのかい?」
寛人は真剣な眼差しで応えた。
「ああ、必ず。俺たちの力を見せてやるさ」
こうして、エリザベートという強力な同盟者を得た寛人たち。
彼らの反乱計画は、新たな段階に入る。
しかし、彼らはまだ知らない。
この決断が、どれほど大きな波紋を呼ぶことになるのかを——。
彼らは国を変えるための手がかりを探していた。
「王国軍の中にも、国王に反発する者がいるらしい」
「シルバーフォックスって呼ばれてる女軍人がいてな...」
酒場で聞いたその噂が、彼らの次の行動を決定づけた。
「このシルバーフォックスとやらに会えれば、何か分かるかもしれないわね」
リリアが提案する。
「うん、その人きっと良い人だと思う!」
ミーナも賛成の意を示す。
寛人は頷いた。
「よし、じゃあ今夜、兵舎に忍び込もう」
夜の帳が下りた頃、寛人たちは王城近くの兵舎に忍び込んだ。
月明かりを頼りに、彼らは慎重に動く。
「むげんちゃん、あそこ!」
ミーナが小さな声で告げる。
一つの部屋から、かすかな明かりが漏れていた。
寛人たちがその部屋に近づいた瞬間——
「誰だ!」
鋭い声と共に、一振りの剣が寛人の首筋に突きつけられる。
「おっと、そう警戒しないでくれよ」
寛人はゆっくりと両手を上げる。
月明かりに照らされたその人物は、シルバーのショートヘアを持つ凛とした美女だった。
「あなたが...シルバーフォックス?」
「...何用だ」
女性は剣を下げないまま問う。
「話があるんだ。この国のこと...そして魔王軍のことでね」
その言葉に、女性の目が細くなる。
「...私についてきなさい」
彼女は寛人たちを小部屋に案内した。
「私はエリザベート。鉄槌王国軍の大佐だ」
「俺は無限寛人。こっちはリリアとミーナ」
自己紹介を済ませた後、エリザベートが切り出す。
「で、何の用件だ?」
「率直に言おう。俺たちは、この国を変えたいんだ」
寛人の言葉に、エリザベートの目が見開く。
「...狂気の沙汰だな」
「そうかもしれない。でも、君も同じことを考えてるんじゃないのか?」
一瞬の沈黙。
そして——
「...証拠がある」
エリザベートが小声で言う。
「国王が魔王軍と手を組んでいる証拠だ」
寛人たちの表情が引き締まる。
「見せてもらえるか?」
エリザベートは慎重に周囲を確認し、隠し扉を開け書類を出す。
「これを見てごらん」
寛人たちは息を呑んだ。
そこには、国王と魔王軍との密約の詳細が記されていた。
民からの搾取、若者の強制徴用、そして魔王軍への協力...全てが明らかになっていた。
「これは...」
リリアが言葉を失う。
「酷すぎる...」
ミーナの声が震える。
寛人は黙って資料に目を通し、そして顔を上げた。
「エリザベート、協力してくれるんだな?」
「ああ。だが、一つ条件がある」
「なんだ?」
「もし本当にこの国を変えられるなら...私を新しい国の軍の長にしてくれ」
寛人は微笑んだ。
「いいだろう。約束する」
エリザベートの目に、希望の光が宿る。
「ありがとう...本当に、この国を変えられると信じていいのかい?」
寛人は真剣な眼差しで応えた。
「ああ、必ず。俺たちの力を見せてやるさ」
こうして、エリザベートという強力な同盟者を得た寛人たち。
彼らの反乱計画は、新たな段階に入る。
しかし、彼らはまだ知らない。
この決断が、どれほど大きな波紋を呼ぶことになるのかを——。
1
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~
甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって?
そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。
【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~
こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』
公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル!
書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。
旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください!
===あらすじ===
異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。
しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。
だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに!
神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、
双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。
トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる!
※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい
※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております
※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる