神様から無限の力をもらったので、異世界で無双して世界を救います!

星宮 嶺

文字の大きさ
13 / 19

第13話  フレイヤとの出会いと神託の謎

しおりを挟む
寛人たちが最初に目をつけたのは、中央に位置する光輪神政国だった。
宗教国家である彼らの協力を得られれば、他国への影響力も大きいはずだ。

初夏の陽気の中、一行は光輪神政国の首都・光輪城に到着した。
街は巨大な神殿を中心に同心円状に広がり、神聖な雰囲気に包まれていた。

「すごい...」
リリアが目を輝かせる。彼女の瞳に、光り輝く神殿が映り込んでいる。

「ここが光の女神様を祀る本殿なのね」

街路には、白い衣をまとった信者たちが行き交い、通りの至る所に小さな祭壇が設けられていた。空気中には、かすかに香が漂っている。

一行が神殿に近づくと、一人の巫女が現れた。

長い黒髪、神秘的な紫色の瞳。
その姿は、まるで絵画から抜け出してきたかのようだった。

「はじめまして、異世界から来られた方」

巫女が寛人に向かって微笑む。その声は、清らかな鈴の音のようだった。

「え?」
寛人が驚いて声を上げる。

「どうして俺が異世界から来たって...」

巫女は静かに答えた。

「私は フレイヤ。光の女神様の神託を受ける巫女です」

彼女はゆっくりと目を閉じ、続けた。

「女神様が、あなたのことを教えてくださいました」

一同が息を呑む。
空気が、一瞬凍りついたかのようだった。

「むげんちゃん、すごいね!」
ミーナが興奮気味に言う。彼女の翅が、キラキラと光を放っている。

フレイヤは寛人たちを神殿の奥へと案内した。
巨大な柱が立ち並ぶ神殿内部は、天井から差し込む光で神秘的に照らされていた。

神殿の最奥部、祭壇の前で、フレイヤは寛人たちに向き直った。

「お聞かせください。あなた方の目的を」

フレイヤの声には、不思議な力が宿っているようだった。

寛人は深呼吸し、彼らの理想と計画を説明し始めた。
大陸の平和、魔王軍の脅威、そして統一の必要性——

フレイヤは静かに、しかし真剣に聞き入っている。
彼女の表情からは、何も読み取ることができない。

話し終えると、フレイヤは目を閉じ、何かを感じ取るように立ち尽くした。
神殿内に、深い静寂が訪れる。

数分が過ぎ——

「...分かりました」

フレイヤが目を開ける。その瞳には、神秘的な光が宿っていた。

「光の女神様が、あなた方の行く末を示されました」

「え?どんな...」
リリアが身を乗り出す。彼女の声には、期待と不安が混じっていた。

フレイヤは神秘的な微笑みを浮かべ、ゆっくりと語り始めた。

「七つの試練が待ち受ける」
「光と闇が交わるとき、世界の運命が決する」
「無限の力を持つ者よ、汝の選択が全てを左右する」

フレイヤの声が神殿内に響き渡る。
その言葉は、まるで神殿そのものが語りかけているかのようだった。

寛人たちは、その言葉の意味を理解しようと必死だった。

「七つの試練...それは七大国のことか?」
エリザベートが呟く。彼女の表情には、深い思慮の色が浮かんでいる。

「光と闇...魔王軍との決戦ってことかな」
リリアが推測する。彼女の声には、かすかな緊張が混じっている。

寛人は黙って考え込んでいた。
彼の瞳には、複雑な思いが渦巻いている。

そして、ふと顔を上げる。

「フレイヤ、君はどう思う?」

フレイヤは少し驚いたように寛人を見つめ、そしてゆっくりと答えた。

「私は...あなた方に従いたいと思います」

「え?」
今度は寛人が驚く番だった。

「女神様は、あなた方と共に行動するよう私に告げられました」
フレイヤの瞳に、決意の色が宿る。

「私の力が、少しでもお役に立てるのなら...」

寛人は微笑んだ。

「ありがとう、フレイヤ。君の力は必ず必要になる」

フレイヤの加入により、寛人たちの仲間は五人となった。
彼らは神殿を後にし、これからの行動について話し合うため、街の宿に向かった。

宿の一室で、寛人たちは円陣を組んで座っていた。

「さて、フレイヤの神託の意味を考えよう」
寛人が口火を切る。

「七つの試練...これは間違いなく七大国のことでしょう」
エリザベートが地図を広げながら言う。

「でも、どんな試練なのかしら?」
リリアが不安そうに尋ねる。

「それぞれの国の特性に応じた試練があるのかもしれないわ」
フレイヤが静かに答える。

「むげんちゃん、怖くない?」
ミーナが寛人の肩に寄り添う。

寛人は優しく微笑んだ。

「大丈夫だよ、ミーナ。俺たちには仲間がいる。きっと乗り越えられる」

「うん!」
ミーナの表情が明るくなる。

「それで、次はどこに向かいますか?」
エリザベートが尋ねる。

寛人は地図を見つめ、しばらく考え込んだ。

「よし、決めた」

全員の視線が寛人に集中する。

「次は炎竜帝国だ」

「え?あの軍事大国?」
リリアが驚いた様子で声を上げる。

「そうだ。彼らの力を味方につければ、他国への影響力も大きくなる」

「確かに...」
エリザベートが頷く。

「でも、どうやって説得するの?」
ミーナが首を傾げる。

寛人は自信に満ちた笑みを浮かべた。

「大丈夫、方法はある」

彼の目には、強い決意の色が宿っていた。

「俺たちの理想を、炎帝に直接伝えるんだ」

仲間たちは、寛人の言葉に力強く頷いた。

こうして、寛人たちの大陸征服の旅は、新たな段階へと突入した。
彼らの前には、まだ見ぬ試練と冒険が待っている。

そして、世界の運命を左右する「光と闇の交わり」とは——
その答えは、まだ誰も知らない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!

椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。 しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。 身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。 そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜

東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。 ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。 「おい雑魚、これを持っていけ」 ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。 ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。  怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。 いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。  だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。 ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。 勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。 自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。 今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。 だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。 その時だった。 目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。 その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。 ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。 そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。 これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。 ※小説家になろうにて掲載中

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

処理中です...