おっぱい揉む？と聞かれたので揉んでみたらよくわからない関係になりました

40話 朝の小さな幸せ

月曜日の朝、太郎は朝から東雲先輩に会えるかもしれないという期待に胸を膨らませていた。

しかし、校門に近づくにつれ、太郎の表情が曇り始める。先週まで行われていた生徒会の挨拶運動の様子が見えない。

（先週で終わりだったのか...）

太郎は少しがっかりした様子で校門をくぐる。東雲先輩の姿を一目見たかったという思いが胸の奥で膨らむ。

（まあ、毎日やってるわけじゃないしな...）

そう自分に言い聞かせながら、太郎はとぼとぼと歩き始めた。肩を落とし、少し前かがみになった姿勢で歩く太郎。

その後ろ姿は、まるで失恋した少年のようだった。

突然、背中に軽い衝撃が走る。

「背筋を伸ばして歩きましょう！」

艶やかな声と共に、太郎の背中を誰かが軽く叩いた。

「うわっ！」

驚いて振り返る太郎。そこには、にこやかに微笑む東雲翔子の姿があった。

「し、東雲先輩！」

太郎の声が裏返る。驚きと喜び、そして嬉しさが入り混じり、言葉が上手く出てこない。

「お、おはようございます！あ、あの...こ、この前は本当にありがとうございました！」

噛み噛みになりながらも、太郎は必死に挨拶と御礼を伝える。

東雲は優しく微笑んだ。「おはよう、鳴海くん。こちらこそ、わざわざ来てくれてありがとう。あかりも喜んでたわ。また来てほしいって言ってたのよ」

太郎の顔が明るくなる。「本当ですか？あ、あの...先輩のお料理、すごく美味しかったです。また食べたいなって...」

言葉が口をついて出てきた瞬間、太郎は自分の発言に驚く。（え？今の...なんで言っちゃったんだろ）

東雲はくすりと笑う。「まあ、嬉しいわ。じゃあ、毎日でも作ってあげましょうか？」

からかうような東雲の言葉に、太郎は顔を真っ赤にする。

「え！？い、いえ、そんな...毎日なんて...」

慌てふためく太郎を見て、東雲は楽しそうに笑う。「冗談よ。でも、また機会があればぜひ来てね」

太郎は何とか落ち着きを取り戻そうとする。「は、はい。ぜひ...」

二人は並んで歩き始める。太郎の心臓は高鳴ったまま。

「今朝は挨拶運動がなくて久しぶりにゆっくり登校できるのよ」東雲が言うと

太郎は少し照れくさそうに答える。「正直、ちょっと残念でした」

東雲は意外そうな顔をする。「まあ、鳴海くんったら。私に会いたかったの？」

「えっ！？」太郎は慌てて否定しようとする。「い、いえ、そういうわけでは...」

言葉を詰まらせる太郎を見て、東雲は悲しそうに顔を伏せる。「そっか、会いたくなかったのね」

「そ、そんな。す、すごく会いたかったです」

さらに慌てた太郎を見て東雲は楽しそうに笑う。「なんでも真に受けるのが鳴海くんのいいところよね」

またもからかわれた太郎は言葉が出ない。

「ごめんなさいね。鳴海くんみたいな弟が居たら楽しかったでしょうね」

笑顔の東雲を見て太郎はすべてを許してしまう。

「僕も、こんなお姉さんがいたら毎日楽しいと思います」

話が一区切りし頭が冷静になると、周りから見られていることに気付く。

「こんなところで話してたら目立っちゃうわね」東雲に促され昇降口へと向かう。

「またね」手を振る東雲に「はい」と太郎は返事をし教室に向かう。

数歩歩いたところで、太郎はふと振り返った。すると、東雲も同じように振り返っており、二人の目が合う。思わず二人とも笑みがこぼれる。

その瞬間、太郎の胸に温かいものが広がった。たった数秒の出来事だったが、この小さな幸せが一日中太郎の心を明るく照らし続けるのだった。

教室に向かいながら、太郎は東雲との会話を思い返す。弟のような存在と言われたことに少し複雑な気持ちもあったが、それ以上に東雲との距離が縮まった気がして嬉しかった。

（東雲先輩と、もっと仲良くなれたらいいな...）

そんな期待を胸に、太郎は新しい一日を迎える準備を始めた。この些細な出来事が、彼の青春にどんな影響を与えるのか。