情けない少年の英雄譚

耳ふく 耳

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一章

田舎の少年1

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 「よし、ラブル。俺が稽古をつけてやる。 剣を持て」

 聖女グローリアの伝説が残る、聖都タリスデン領。
 その端、田舎の村 ミリテロム。
 そんなド田舎の村はずれで、バルトはグイッと木の枝をラブル差し出した。

 「えっ、無理だよ。僕なんかじゃ、バルトに勝てっこないよ」

 ラブルは勝負何てしませんよとでも言いたげに、バルトに手をヒラヒラさせながら答えた。
 このバルトという少年は中々の者である。
 ラブルと同い年なのに、すでに大人と稽古をして、頭1つ以上抜きでた剣技の才能を持っている。
 将来は聖都の騎士団にと期待をされているのである。
 そんな相手だもの。勝てるはずないでしょとラブルは最初から負けを認めている様だった。

 「ほら、良いからやるぞ」

 少し強引に、バルトはラブルに木の枝を渡した。
 枝を受け取ると観念したのか、ラブルは嫌々ながらも構えて見せた。

 「そら、いくぞ」

 バルトが声をかけた次の瞬間、ラブルの手に握られていたはずの枝が空を飛んでいた。
 2人は、あっけにとられ地面へと落ちる枝を眺めていた。

 「……なんで、こんなのも受け止められないんだよ」

 ため息を吐きながらバルトは続けた。

 「なぁ、ラブル。早いやつは10歳で入っている直ぐに卒業する俺なんかの歳でお前だけだぞ。まだ、初歩クラスを卒業できないのは……」

 左手で髪をくしゃりと掴み天を仰ぐバルト。
 指の隙間から溢れる金髪が日の光を浴びて透き通っていた。

 「ははっ……」

 乾いた笑いが小さくラブルの口から溢れた。

 10歳になると英雄タリス、聖女グローリアに肖って男の子には剣技を、女の子には魔法を習わすのがこの聖都タリスデンの風習だ。
 男の子のラブルは剣技を習っていた。
 真面目にはやっているが、いかんせん剣技のセンスが無さ過ぎた。
 3年たった今でも、初歩的な事すら危うい状態だ。
 おそらく森に出るブヨブヨっとした最弱な魔物にすら危ういという実力であった。

 「次の試験で俺らの将来が決まるんだから、気合い入れていけよ」

 バルトは、ジッとラブルの目を見つめ軽く肩を一発叩いて村の中心の方へと帰っていった。


 ラブルには夢があった。
 試験に合格して町の学校へ。
 町の学校を卒業して、聖都の騎士団へ。

 男の子ならみんな思う憧れの道だ。

 試験に合格しない場合、村に残されそのまま仕事につくことになる。

 ラブル自身もとより、剣技が得意じゃないのはもっと小さな頃から解ってた。
 みんなで木の枝を持ってやった、騎士団ごっこでもやはり弱かった。
 叩かれて、泣いて、解散。
 そして次の日も、次の日も。
 痛くて悲しくても翌日になればまた同じ立ち位置で過ごせる。
 小さい時の遊びなんてそんなもんだった。

 しかし、今度の試験に合格しなかった場合、自分だけ村に残る。
 みなとは違った立場になってしまう。

 今度の試験はいつも以上に頑張らなくては。
 ラブルは、そう肝に銘じた









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