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私とタキさんの出会い
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高校はかろうじて卒業できた。卒業して、糸が切れたように何もできなくなった。大学に行こうとも思わなかったし、働く気にもなれなかった。人間生きてくためにはお金が必要で、お金を手に入れるためには働かなくちゃいけないけど、体も頭も動かなかった。
おばあちゃんはそんなどうしようもない孫をみて、「気が向いたら何か始めたらいいのよ」とだけ言った。それが励ましなのか、見放されたのか、私には分からなかった。
おばあちゃんは80歳になっても背筋をピンと伸ばして、毎日外に出て、私にはどうやって作ってるのか検討もつかない凝った料理を毎日作った。無言でその料理を食べる私に「あんたは好き嫌いしないところしか良いところがないのかい」と冗談なのか本気なのか、分からないことを何度も言った。
漠然と、私はこの人ときっとこれからいつまでもそんな暮らしを続けていくんだろうと思った。おばあちゃんは私が家から一歩も出なくなっても、、家事を手伝わなくても、何も言わなかった。
ーーーだから、馬鹿で浅はかでどうしようもない私は考えもしなかった。
おばあちゃんが死ぬことなんて。
死んでから2日たって、おばあちゃんのお葬式が終わろうとしている今も、未だにおばあちゃんが死んだことの実感が湧かない。
お葬式にはおばあちゃんとどんな関係なのか検討もつかない人たちがたくさん来て、年齢層もバラバラで、このお葬式は本当におばあちゃんのお葬式なのかと疑ってしまう。
式が終わると、唯一の親族である私と、頼りない私の代わりに喪主を務めてくれた私が唯一知っている、おばあちゃんの友人の鈴木のおじいちゃんの2人で火葬場に向かう。
「ハルちゃん、冬子さんと住んでたあそこ、出るのかい?2人で住むにも大きすぎる家だったろう」
「…おばあちゃんのものとか、どうすればいい?」
「知り合いに遺品整理と買取やってるのがいるから、安く頼んでみるよ」
「ありがとう」
鈴木のおじいちゃんには、お葬式で泣きもせず、ニートで、全く孝行してこなかった冬子さんの孫娘がどう映っているのだろう。
鈴木のおじいちゃんと別れた後、おばあちゃんのいない家に帰ることが怖くて、半年ぶりくらいに近所を散歩した。近所といっても、生まれた場所でも育った場所でもないから、馴染みはない。高校を卒業してからはほとんど外にも出ていないから、土地勘もあまりない。
これからどうすればいいんだろうか。
頼れる親族なんていない。ひとりで生きていかないといけない。恐怖で頭が、背中が、足先が冷たくなる。もう、誰もいない。ひとりになった、私は。
おばあちゃんはそんなどうしようもない孫をみて、「気が向いたら何か始めたらいいのよ」とだけ言った。それが励ましなのか、見放されたのか、私には分からなかった。
おばあちゃんは80歳になっても背筋をピンと伸ばして、毎日外に出て、私にはどうやって作ってるのか検討もつかない凝った料理を毎日作った。無言でその料理を食べる私に「あんたは好き嫌いしないところしか良いところがないのかい」と冗談なのか本気なのか、分からないことを何度も言った。
漠然と、私はこの人ときっとこれからいつまでもそんな暮らしを続けていくんだろうと思った。おばあちゃんは私が家から一歩も出なくなっても、、家事を手伝わなくても、何も言わなかった。
ーーーだから、馬鹿で浅はかでどうしようもない私は考えもしなかった。
おばあちゃんが死ぬことなんて。
死んでから2日たって、おばあちゃんのお葬式が終わろうとしている今も、未だにおばあちゃんが死んだことの実感が湧かない。
お葬式にはおばあちゃんとどんな関係なのか検討もつかない人たちがたくさん来て、年齢層もバラバラで、このお葬式は本当におばあちゃんのお葬式なのかと疑ってしまう。
式が終わると、唯一の親族である私と、頼りない私の代わりに喪主を務めてくれた私が唯一知っている、おばあちゃんの友人の鈴木のおじいちゃんの2人で火葬場に向かう。
「ハルちゃん、冬子さんと住んでたあそこ、出るのかい?2人で住むにも大きすぎる家だったろう」
「…おばあちゃんのものとか、どうすればいい?」
「知り合いに遺品整理と買取やってるのがいるから、安く頼んでみるよ」
「ありがとう」
鈴木のおじいちゃんには、お葬式で泣きもせず、ニートで、全く孝行してこなかった冬子さんの孫娘がどう映っているのだろう。
鈴木のおじいちゃんと別れた後、おばあちゃんのいない家に帰ることが怖くて、半年ぶりくらいに近所を散歩した。近所といっても、生まれた場所でも育った場所でもないから、馴染みはない。高校を卒業してからはほとんど外にも出ていないから、土地勘もあまりない。
これからどうすればいいんだろうか。
頼れる親族なんていない。ひとりで生きていかないといけない。恐怖で頭が、背中が、足先が冷たくなる。もう、誰もいない。ひとりになった、私は。
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