6 / 22
序章 総ての始まり
第6話 秘められた力
しおりを挟む
「モノノ怪っていうのはね」
突拍子もない話に声も出せないウチに、美人さんが説明を続ける。
「人間の繁栄以前から存在し、自然と共にひっそりと生きてきた種族。他の生き物にはない力を持っていたから、一時は神として崇められたりもしていたわ」
「もっとも文明の発達と共に次第に歴史の片隅に追いやられて、今ではこうやって人間のフリをしながら暮らしてるんだけどね」
「ち、ちょっと待って下さい。「こうやって」って……まさか皆さんも!?」
とんでもない考えが頭をよぎって、ウチは思わず声を上げる。するとイケメンがニヤリと笑みを深め、右手で自分の頬に触れた。
「そ。君が暴いてくれたでしょ?」
イケメンの右手が、そのまま自分の顔を横切るように動く。すると……そこには目も、鼻も、口もない、のっぺらぼうの顔面があった。
「※☆♯◎◆♪!?」
「おー、いいリアクション」
思わず後ずさったウチの耳に、イケメンの笑い声が響く。後ずさった事で気付いたけど、ウチの寝ていたのはソファーだった。
「僕はね、『のっぺらぼう』。自分の顔がない代わりに、何でも好きな顔になる事が出来るんだ」
「私は『百目』。他人の目を自分の目として、視界を共有する事が出来るわ」
そして続けて言った美人さんの目の色が、今度こそハッキリと黄金色に変わる。こ、この人達……本当に人間じゃないんだ……!
「な、何でそれをウチに教えるの? 何でウチを助けたの!?」
あまりにも非現実的な出来事の連続に、頭の中がぐちゃぐちゃになりながらウチは叫ぶ。もしこれが夢なら、早く覚めて欲しかった。
「……そうね。幾つか理由はあるんだけど……」
「ここからは僕が説明を引き継ぐよ。一つは、君にモノノ怪の存在を認識して貰いたかったから」
のっぺらぼうが顔をもう一撫ですると、のっぺらぼうの顔は元のイケメンに戻っていた。けど言われた内容に、ますますウチは訳が解らなくなる。
「ウ、ウチがそれを知ったら、何か変わるって言うんですか!?」
「変わるよ。君が、自分の本当の力を知る事が出来る」
ヤケクソ染みたウチの叫びに、けれどイケメンは涼しい顔で応える。そしておもむろに、胸の前に組まれたウチの手を指差した。
「君の人物画。おかしいと思った事はない?」
「おかしいって、おかしい事だらけですよっ! ちっとも本人に似てないし!」
「そうじゃない。本当に人物の特徴を捉えるのが下手なら、表情以外のデッサンも狂う筈でしょ? けど君はそうじゃない。表情だけが問題なんだ」
……言われてみれば。うちがいつも上手くいかないのは、表情だけ。それ以外の体とかは、ちゃんと描けてた……。
「総ては、君の持つ力に原因がある。君も知らない、君の中に秘められた力」
そう言って、イケメンは笑みを深める。……ウチに秘められた力……?
イケメンは、そこで一回言葉を切って。そして、ハッキリと宣告した。
「君の右手は、真実を暴き出す。見たものの隠された真実の姿を絵にしてしまう――それが君の力だよ。毛虫ちゃん」
突拍子もない話に声も出せないウチに、美人さんが説明を続ける。
「人間の繁栄以前から存在し、自然と共にひっそりと生きてきた種族。他の生き物にはない力を持っていたから、一時は神として崇められたりもしていたわ」
「もっとも文明の発達と共に次第に歴史の片隅に追いやられて、今ではこうやって人間のフリをしながら暮らしてるんだけどね」
「ち、ちょっと待って下さい。「こうやって」って……まさか皆さんも!?」
とんでもない考えが頭をよぎって、ウチは思わず声を上げる。するとイケメンがニヤリと笑みを深め、右手で自分の頬に触れた。
「そ。君が暴いてくれたでしょ?」
イケメンの右手が、そのまま自分の顔を横切るように動く。すると……そこには目も、鼻も、口もない、のっぺらぼうの顔面があった。
「※☆♯◎◆♪!?」
「おー、いいリアクション」
思わず後ずさったウチの耳に、イケメンの笑い声が響く。後ずさった事で気付いたけど、ウチの寝ていたのはソファーだった。
「僕はね、『のっぺらぼう』。自分の顔がない代わりに、何でも好きな顔になる事が出来るんだ」
「私は『百目』。他人の目を自分の目として、視界を共有する事が出来るわ」
そして続けて言った美人さんの目の色が、今度こそハッキリと黄金色に変わる。こ、この人達……本当に人間じゃないんだ……!
「な、何でそれをウチに教えるの? 何でウチを助けたの!?」
あまりにも非現実的な出来事の連続に、頭の中がぐちゃぐちゃになりながらウチは叫ぶ。もしこれが夢なら、早く覚めて欲しかった。
「……そうね。幾つか理由はあるんだけど……」
「ここからは僕が説明を引き継ぐよ。一つは、君にモノノ怪の存在を認識して貰いたかったから」
のっぺらぼうが顔をもう一撫ですると、のっぺらぼうの顔は元のイケメンに戻っていた。けど言われた内容に、ますますウチは訳が解らなくなる。
「ウ、ウチがそれを知ったら、何か変わるって言うんですか!?」
「変わるよ。君が、自分の本当の力を知る事が出来る」
ヤケクソ染みたウチの叫びに、けれどイケメンは涼しい顔で応える。そしておもむろに、胸の前に組まれたウチの手を指差した。
「君の人物画。おかしいと思った事はない?」
「おかしいって、おかしい事だらけですよっ! ちっとも本人に似てないし!」
「そうじゃない。本当に人物の特徴を捉えるのが下手なら、表情以外のデッサンも狂う筈でしょ? けど君はそうじゃない。表情だけが問題なんだ」
……言われてみれば。うちがいつも上手くいかないのは、表情だけ。それ以外の体とかは、ちゃんと描けてた……。
「総ては、君の持つ力に原因がある。君も知らない、君の中に秘められた力」
そう言って、イケメンは笑みを深める。……ウチに秘められた力……?
イケメンは、そこで一回言葉を切って。そして、ハッキリと宣告した。
「君の右手は、真実を暴き出す。見たものの隠された真実の姿を絵にしてしまう――それが君の力だよ。毛虫ちゃん」
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十六日間の忘れ物
香澄 翔
ライト文芸
三月六日。その日、僕は事故にあった――らしい。
そして三十六日間の記憶をなくしてしまった。
なくしてしまった記憶に、でも日常の記憶なんて少しくらい失っても何もないと思っていた。
記憶を失ったまま幼なじみの美優に告白され、僕は彼女に「はい」と答えた。
楽しい恋人関係が始まったそのとき。
僕は失った記憶の中で出会った少女のことを思いだす――
そして僕はその子に恋をしていたと……
友希が出会った少女は今どこにいるのか。どうして友希は事故にあったのか。そもそも起きた事故とは何だったのか。
この作品は少しだけ不思議な一人の少年の切ない恋の物語です。
イラストはいもねこ様よりいただきました。ありがとうございます!
第5回ライト文芸大賞で奨励賞をいただきました。
応援してくださった皆様、そして選考してくださった編集部の方々、本当にありがとうございました。
ママはヤンママ女子高生! ラン&ジュリー!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
キャラ文芸
神崎ラン(♂)の父親の再婚相手は幼馴染みで女子高生の高原ジュリー(♀)だった。
ジュリーは金髪美少女だが、地元では『ワイルドビーナス』の異名を取る有名なヤンキーだった。
学校ではジュリーは、ランを使いっ走りにしていた。
当然のようにアゴで使われたが、ジュリーは十八歳になったら結婚する事を告白した。
同級生のジュリーが結婚するなんて信じられない。
ランは密かにジュリーの事を憧れていたので、失恋した気分だ。
そう言えば、昨夜、ランの父親も再婚すると言っていた。
まさかとは思ったが、ランはジュリーに結婚相手を聞くと、ランの父親だと判明した。
その夜、改めて父親とジュリーのふたりは結婚すると報告された。
こうしてジュリーとの同居が決まった。
しかもジュリーの母親、エリカも現われ、ランの家は騒然となった。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あやかし警察おとり捜査課
紫音みけ🐾書籍発売中
キャラ文芸
※第7回キャラ文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
二十三歳にして童顔・低身長で小中学生に見間違われる青年・栗丘みつきは、出世の見込みのない落ちこぼれ警察官。
しかしその小さな身に秘められた身体能力と、この世ならざるもの(=あやかし)を認知する霊視能力を買われた彼は、あやかし退治を主とする部署・特例災害対策室に任命され、あやかしを誘き寄せるための囮捜査に挑む。
反りが合わない年下エリートの相棒と、狐面を被った怪しい上司と共に繰り広げる退魔ファンタジー。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる