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第1章 狼男が鳴く夜に
第18話 使い分けよう飴と鞭
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「……さて、詳しい事情を聞かせてもらうとしようか」
一旦狼男を誰もいない部屋まで運び込み、人目を気にしなくて良くなったところで、白川さんがうめき続ける狼男に言った。
「……」
「黙秘権もいいけどな。お前、このままじゃ本当にしょっぴかれて終いだぞ」
「ぐ……」
狼男はウチらを睨むけど、とても反抗出来る状態じゃないっていうのは素人のウチにも解った。しばらくそのままにらみ合いが続き――先に折れたのは、狼男の方だった。
「……見守りたい子が、この会社にいるんだ」
「それは、お前を目撃した女か?」
「……そうだ」
少々の間はあったものの、狼男は意外なくらい素直に頷いた。もう、隠し事をする気はないんだろう。
「で、あれか。寝込みを襲っちまおうとした訳か」
「違う! ……っつ……」
けれど白川さんのそんなデリカシーのない指摘には、声を荒げて反論した。……直後に、蹴られたお腹が痛むのか、すぐにうずくまっちゃったけど。
「白川さん、ひとまず、この人の話を最後まで聞いてみませんか? いちいち茶々入れてたら、進む話も進まないですよ」
「……チッ、わあったよ」
「そういう訳なんで、事情をちゃんと最初から聞かせて下さい。あっ、そう言えばお名前、何て言わはるんですか?」
「……赤城だ」
「赤城さんですね。赤城さんが何で彼女に狼男の姿を見せてしまったのか、ウチらに教えてくれますね?」
「……解った。あの夜の事を、総て話そう」
ウチの言葉に、心なしか、少し雰囲気を柔らかくして。狼男改め赤城さんは、ぽつりぽつりと語り始めた。
一旦狼男を誰もいない部屋まで運び込み、人目を気にしなくて良くなったところで、白川さんがうめき続ける狼男に言った。
「……」
「黙秘権もいいけどな。お前、このままじゃ本当にしょっぴかれて終いだぞ」
「ぐ……」
狼男はウチらを睨むけど、とても反抗出来る状態じゃないっていうのは素人のウチにも解った。しばらくそのままにらみ合いが続き――先に折れたのは、狼男の方だった。
「……見守りたい子が、この会社にいるんだ」
「それは、お前を目撃した女か?」
「……そうだ」
少々の間はあったものの、狼男は意外なくらい素直に頷いた。もう、隠し事をする気はないんだろう。
「で、あれか。寝込みを襲っちまおうとした訳か」
「違う! ……っつ……」
けれど白川さんのそんなデリカシーのない指摘には、声を荒げて反論した。……直後に、蹴られたお腹が痛むのか、すぐにうずくまっちゃったけど。
「白川さん、ひとまず、この人の話を最後まで聞いてみませんか? いちいち茶々入れてたら、進む話も進まないですよ」
「……チッ、わあったよ」
「そういう訳なんで、事情をちゃんと最初から聞かせて下さい。あっ、そう言えばお名前、何て言わはるんですか?」
「……赤城だ」
「赤城さんですね。赤城さんが何で彼女に狼男の姿を見せてしまったのか、ウチらに教えてくれますね?」
「……解った。あの夜の事を、総て話そう」
ウチの言葉に、心なしか、少し雰囲気を柔らかくして。狼男改め赤城さんは、ぽつりぽつりと語り始めた。
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