婚約者の浮気現場を目撃してしまったので、叩き潰して差し上げます!!

ジニス

文字の大きさ
11 / 27
第4章 浮気者は叩き潰してやる

私の名前はアリア・マークヴィスです

しおりを挟む
 私の名前はマリア・マークヴィス。しがないメイドである。
 生まれは遠い国で、旅をしていて今いる国にたどり着き力尽きていたところをアンナお嬢様に助けられた。
 さて、今回はそんな私とアンナお嬢様が出会った時のお話をしましょう。さぁ、そこに座ってゆっくりと聞いていってください。



 私の国はとても貧困で、明日のことを考える暇なんてないほどの国でした。
 そんな国が嫌になって、私は拾った使えそうなガラクタを集めて旅に出ました。緑が綺麗な国、機械がたくさんあった国、海が大半を占めた国。
 すべて私の生まれた国よりも綺麗で、みんなが幸せそうな顔をしていました。それを見るたびに私は嫉妬を抱いてしまっていました。
 次々と国を渡り、そしてこの国に来た。
 他の国と違って、どこか特徴的というわけでもなく、それでもみんな幸せそうな顔をしていました。
 私はかぶっていたフードを深くかぶって、薄汚れた服装で街をさまよっていました。
 そんなときです。今まで無理をしてきた分つけが来たのか、気絶するように倒れてしまったのです。暗い人通りの少ない道。誰も通るとは思えなくて私はここで終わる、そう思ってしまいました。

「最後は孤独で…」

 寂しいという思いはなくて、やっと楽になれる。そんな思いを持ってしまいました。
 そんなときです。

「だい、じょうぶですか?」

 赤い髪の綺麗な碧眼、服装は裕福そうでまるで貴族を体現したような少女が私に駆け寄ってきました。
 フードを深くかぶっていた私は、顔すら見えず男か女かも判別がつかない状態の私を迷わず助けようと駆け寄ってきたのが、現在の私の主人’アンナ・ヴィルヘイム’だったのです。

 駆け寄ってきた少女に人声もかけることなく私は、気絶してしまいました。



「あ、目が覚めましたか?」
 
 気が付いたら私は、布団に寝かせられていたようで目が覚めた私の目の前にいたのは先ほどの少女だった。

「ここは…私は何を」

 体を起こすが、痛むからだとただただ迫りくる空腹に再度倒れそうになる。

「あ、これ。食べれそうならどうぞ」

 そう差し出してきたのは、先ほどから香っていた粥だった。

「いいのか!?」

 そう言ってはいるものの手は正直なようで、すでに私の手には粥が渡っていた。

「ええ、どうぞ」

 少し驚き気味だったが、それでも笑顔で’どうぞ’と言ってくれた。

「ありがとう、いただきます」

 レンゲでいまだ湯気が立っている粥をがつがつと食べる。がつがつ食べていると、のどに詰まってしまって飲み水を探していると少女が差し出してくれていた。
 それを受け取ると一気に飲み干し、再度がつがつと食べる。

 数分もたたずに私は完食していて、久しぶりに食べた食事に満足していた。

「ありがとう、助かったよ」
「それはよかったです。…ところでなぜあんな場所で倒れていたのでしょう?」

 少女は笑顔を絶やさずに私に問いかけてくる。

「あぁ、そうだね。助けてもらった礼だ」

 そう言って私は説明を始める。

「私の国はね、明日の食事のことすら考えられないくらい貧相な国だったんだ。みんながみんな生きるのに必死で、自分のことは自分でする、それが常識だった。そんな国が嫌になったんだよ。温かみが欲しかった。旅をしていると余計にそう思うようになってね。この国に来て、でさっきの道で力尽きてしまった。というわけなんだ」

 説明を終わり、水をおかわりして一口で飲み切り、私は布団から立ち上がる。

「助かったよ、しばらくはこの国にいる。礼はこの国にいる間にする」

 そう言って、布団の付近に置かれていた自分のカバンを肩にかけると部屋を出ようとする。

「待ってください」

 袖をつかまれて、私は後ろを振り返る。

「行く場所がある、というわけではないんですよね」

 少女は俯きながら私に問う。

「あぁ、でもこれ以上世話にはなれない」
「いえ、そういうわけではないんです」

 少女は顔を上げると、崩れない笑顔を私に向け続け言った。

「実は、最近メイドさんがたくさんやめてしまってですね。メイドさんを探しているんですけど、うちで働いてみませんか?」
「…いや、世話にはならないと――」
「そうではありません。私の家はメイドさんがいなくて困っている。あなたは働き口に困っているのではないですか?」
「ま、まぁそうだけど…なぁ」

 すると少女は隙をみせた私に詰め寄ってきて、笑顔で言う。

「私のもとで働いてみませんか?」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します

112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。 三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。 やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。 するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。 王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画

及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。 【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】 姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。 双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。 だが、この公爵家、何かおかしい? 異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。 一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。 ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳      バーディナ伯爵家令嬢         ✖️ ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳      キングスフォード公爵 ブックマーク登録、いいね❤️、エール📣たくさんいただきありがとうございます。 とても励みになります。 感想もいただけたら嬉しいです。

地味で結婚できないと言われた私が、婚約破棄の席で全員に勝った話

といとい
ファンタジー
「地味で結婚できない」と蔑まれてきた伯爵令嬢クラリス・アーデン。公の場で婚約者から一方的に婚約破棄を言い渡され、妹との比較で笑い者にされるが、クラリスは静かに反撃を始める――。周到に集めた証拠と知略を武器に、貴族社会の表と裏を暴き、見下してきた者たちを鮮やかに逆転。冷静さと気品で場を支配する姿に、やがて誰もが喝采を送る。痛快“ざまぁ”逆転劇!

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

いや、無理。 (本編完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

処理中です...