婚約者の浮気現場を目撃してしまったので、叩き潰して差し上げます!!

ジニス

文字の大きさ
15 / 27
第4章 浮気者は叩き潰してやる

ジンクという男は

しおりを挟む
「アンナお嬢様、お離れ下さい。拘束しているとはいえ、こいつはなかなかの手練。何があるか分かりません」

 未だ目覚めて、呆然としている彼にアリアは警戒気味に私を背後に隠そうとする。

「大丈夫よ、アリア。それに彼はもう抵抗などしていないでしょう?」

 私はアリアを見ながらも、彼に近づいていく。
 それは決して、拷問にかけるなどというものではなく、たださっきまでの疑問を解消したかった。

「嫌なことを聞いてしまった自覚はあるわ。でも、あなたについて教えてくれないかしら?」
「・・・何故だ? 何故そこまで知りたがる? なんの目的だ、何を奪うつもりだ」

 ただ獣のように睨んでいる彼は、強気でいながらもどこか怯えていると感じてしまった。
 だから私は少しずつ近づいて、彼の頭に手のひらを乗せる。
 ただ、少しずつゆっくりと撫でていく。

 警戒をとかない彼は、それでもなお私を睨むことをやめない。

 すると、アリアが私の片方の肩を掴んで、後ろに下げる。

「・・・アンナお嬢様。分かりたくはないのですが、ここは一旦わかったことにしておきます。ですが、近すぎます。私の後ろからなら話してもらっても構いません」
「そう、わかったわ」

 アリアは警戒をとくことをやめない。それは先程の事もあるからであって、構えている姿勢に一瞬の隙も感じることが出来ない。

「少しずつでいいの。あなたの名前や、好きなこと、仕事なんかを教えてくれない?」
「・・・名はジンク、好きなことは特にない。仕事は・・・特にない」
「ジンクくんね、何か楽しいと思ったようなことは無かったの?」
「・・・楽しい・・・ないな」
「・・・そうなのね」

 ここでアリアも何となくわかったのか構えていた姿勢が少し崩れたように感じる。
 さっき質問して怒らせてしまった言葉''虐待''
 貴族の出で、性を名乗らない。

 つまり、事情があって、または嫌になって逃げてきたはいいものの力尽きて倒れていた?
 そう考えられてしまう自分が嫌になる。
 こんなbatな話をしてしまうのは、彼にも悪い。

 アリアと目を合し、互いにテレパシーのような信頼関係で話し合う。
 と言っても、実際なんて言っているのかなんて分からないから、アリアが何を思っているかは分からない。
 でも、アリアが少しでも警戒を解いてくれている事実がある以上、アリアも察してしまったのだろう。

 だからこそ私は言う。

「ジンクくん、私のもとで働かないかしら?」

 ジンクくんは、目を見開きながらも少しすると俯くように目を逸らして、言った。

「とても嬉しい話、だかそれは出来ない」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完】王妃の座を愛人に奪われたので娼婦になって出直します

112
恋愛
伯爵令嬢エレオノールは、皇太子ジョンと結婚した。 三年に及ぶ結婚生活では一度も床を共にせず、ジョンは愛人ココットにうつつを抜かす。 やがて王が亡くなり、ジョンに王冠が回ってくる。 するとエレオノールの王妃は剥奪され、ココットが王妃となる。 王宮からも伯爵家からも追い出されたエレオノールは、娼婦となる道を選ぶ。

何かと「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢は

だましだまし
ファンタジー
何でもかんでも「ひどいわ」とうるさい伯爵令嬢にその取り巻きの侯爵令息。 私、男爵令嬢ライラの従妹で親友の子爵令嬢ルフィナはそんな二人にしょうちゅう絡まれ楽しい学園生活は段々とつまらなくなっていった。 そのまま卒業と思いきや…? 「ひどいわ」ばっかり言ってるからよ(笑) 全10話+エピローグとなります。

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します

スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」 眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。 隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。 エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。 しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。 彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。 「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」 裏切りへのカウントダウンが今、始まる。 スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!

姉の忘れ形見を育てたいだけなのに、公爵閣下の執着が重いんですが!?~まっすぐ突き進み系令嬢の公爵家再建計画

及川えり
ファンタジー
突然届いた双子の姉からの手紙。 【これをあなたが読んでいるころにはわたしはもう死んでいることでしょう。わたしのことは探さないでね。双子を引き取ってもらえないかしら?】 姉の遺言通り双子を育てようと姉の嫁ぎ先へと突入する。 双子を顧みなかったという元夫のウィルバート公爵に何とか双子を引き取れるよう掛け合うが、話の流れからそのまま公爵家に滞在して双子を育てる羽目に。 だが、この公爵家、何かおかしい? 異常に気付いたハンナは公爵家に巣くう膿をとりのぞくべく、奮闘しはじめる。 一方ハンナを最初は適当にあしらっていたウィルバートだったが、ハンナの魅力に気付き始め……。 ハンナ・キャロライン・バーディナ 22歳      バーディナ伯爵家令嬢         ✖️ ウィルバート・アドルファス・キングスフォード 26歳      キングスフォード公爵 ブックマーク登録、いいね❤️、エール📣たくさんいただきありがとうございます。 とても励みになります。 感想もいただけたら嬉しいです。

地味で結婚できないと言われた私が、婚約破棄の席で全員に勝った話

といとい
ファンタジー
「地味で結婚できない」と蔑まれてきた伯爵令嬢クラリス・アーデン。公の場で婚約者から一方的に婚約破棄を言い渡され、妹との比較で笑い者にされるが、クラリスは静かに反撃を始める――。周到に集めた証拠と知略を武器に、貴族社会の表と裏を暴き、見下してきた者たちを鮮やかに逆転。冷静さと気品で場を支配する姿に、やがて誰もが喝采を送る。痛快“ざまぁ”逆転劇!

公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました

歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と 罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、 エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」 辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。 商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。 元夫が「戻ってこい」と泣きつくが—— 「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」

いや、無理。 (本編完結)

詩海猫(8/29書籍発売)
恋愛
細かいことは気にせずお読みください。 一旦完結にしましたが、他者視点を随時更新の間連載中に戻します。 もはや定番となった卒業パーティー、急に冷たくなって公の場にエスコートすらしなくなった婚約者に身に覚えのない言い掛かりをつけられ、婚約破棄を突きつけられるーーからの新しい婚約者の紹介へ移るという、公式行事の私物化も甚だしい一連の行動に、私は冷めた瞳をむけていたーー目の前の男は言い訳が終わると、 「わかってくれるだろう?ミーナ」 と手を差し伸べた。 だから私はこう答えた。 「いや、無理」 と。

処理中です...