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第5章 叩き潰す相手は
ランガ・ダイナハウンはやはり少年である
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朝起きて、いつも通りアリアが起こしに来てくれる。
最近アリアが起こしに来る前に自然と起きてしまうようになってしまった。
着替え、食堂に向かい、朝ご飯を済ませ、ジンクの様子を見に行く。
昨日今日でやっと睨みつけてくることが無くなった。どうやらこの館にも慣れてくれたようで、そのまま私の元で働いてくれたらなぁ、なんて言う下心がジンクに透けたのか再度睨んでくる。
今日も変わらず平和なのに、結婚までは4日しかない。
それでも、リスの話が頭によぎって計画も何も考えられない状態になってしまった。
そんな時、館に1人の男、ランガ・ダイナハウンが尋ねてきた。
「やぁ、アンナ。体調はどうだい?」
紙袋を片腕で抱きながらランガは尋ねてきた。
少しはみ出て見える袋の中身はどうやら果物のようだ。
「え? あぁー、大丈夫よ」
そういえば、嘘ついてたの忘れてたなぁ、なんて考えながら頬に少し冷や汗をかいていた。
「? そうかい。そうだ、これからデートなんてどうかな?」
ランガは、食堂のテーブルに紙袋を丁寧に置き、ひとつ提案をしてきた。
デート・・・。きっと少し前の私ならまた嘘でもついて流していただろう。
でも、リスの話からするとランガはしたくもない浮気を強制されている、という可能性がわいてくるわけだ。
だから私は2つ返事で了承した。
「行ってくるわね」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
玄関までアリアが見送ってくれた。
ランガが館に来た際に乗ってきた馬車により、街に向かう。
「久しぶりだね、アンナとこう、出掛けるのは」
頬を人差し指で掻きながらランガは照れくさそうに微笑んだ。
「えぇ、そうね」
私もその微笑みにつられて微笑む。
その笑みはごく自然と出たものだった。
「アンナ、喉は渇いていないかい?」
ランガは私の手を握りながらエスコートして行ってくれる。
よく集合場所として使われるこの街のシンボルである、大きな噴水のベンチで私たちは休憩をしていた。
「そうね、少しなにか飲みたいわ」
「うん、なにか買ってくるよ。ここで待っていてくれ」
「えぇ、ありがとう」
ランガはベンチから立ち上がって、少し駆け足で噴水近くの常にやっている屋台の元へと駆けていった。
ふとその時数人の男達がこちらを見てニヤついたような気がした。
「お嬢さん、彼と別れてしまったのか?」
茶髪の少しガラは悪いものの、顔は整っている男が私に声をかけてきた。
「? 飲み物を買いに行ってくれているの」
ふと、急に話しかけられたものだから一瞬困惑したが、無視するのもなんだから答えた。
「ふぅん、そうなのかい。そうだ、私達と出掛けないか?」
そう言うと、男の背後、人混みから4.5人の男たちがニヤつきながら出てきた。
「遠慮しておくわ」
そう言って私はそそくさと立ち去ろうとしたが、茶髪の男に腕を捕まれバランスを崩しコケてしまった。
「うっ、ぃたい」
「すまないね、お詫びをしよう。そうだ、行きつけの店があるんだよ」
男たちはごく自然を装って私を囲み、外の人達には見えないように取り囲んだ。
これはやばい。とっさにそう思った時、見慣れた金髪の男が手に持っていた紙コップの中の液体を囲んでいた男数人に掛けた。
「そこをのきたまえ。君たちのようなゲスな輩が近づいていいようなお人じゃない」
そう言った時のランガの覇気はまるで、野生の獣だった。
「な、なんだよ。連れの人がいるなら言ってくれてもよかったじゃないか」
そう言って茶髪の男を筆頭に、男たちは人混みに消えていった。
「・・・ふぅ、アンナ。すまない、僕が目を離した隙に」
そう言ってランガは手を出してくる。
私はその手を借りて立ち上がり、ランガにお礼を言った。
「こんな雰囲気だが、最後に寄りたいところがあるんだ。いいかい?」
「えぇ、まだ日が落ちるまでに時間があるわ」
そう言うとランガは私の手を掴み、人混みをすり抜けながら少し古い小物店へと入っていった。
「ここなんだ」
その古い小物店は、昔ながらの雰囲気のいいお店と言った感じで、棚に並んでいたのは人形やぬいぐるみがほとんどだった。
「ほら、これなんて可愛らしいだろう?」
そう言って持ってきたのは、赤い髪の可愛らしい人形だった。
先程の覇気など一切感じられず、いま赤い髪の人形を触りながら満面の笑みを浮かべている彼、ランガ・ダイナハウンは少年である。
どうも、ジニスです。
昨日は疲れていたのか、寝落ちしてしまって投稿出来ませんでした。
今日は「よし! 頑張るぞ!」ってなった瞬間にお気に入り登録の通知がものすごい勢いで来ていて、執筆前に確認した時50を超えていました。
ありがとうございます!
以上、作者のジニスでしたー
最近アリアが起こしに来る前に自然と起きてしまうようになってしまった。
着替え、食堂に向かい、朝ご飯を済ませ、ジンクの様子を見に行く。
昨日今日でやっと睨みつけてくることが無くなった。どうやらこの館にも慣れてくれたようで、そのまま私の元で働いてくれたらなぁ、なんて言う下心がジンクに透けたのか再度睨んでくる。
今日も変わらず平和なのに、結婚までは4日しかない。
それでも、リスの話が頭によぎって計画も何も考えられない状態になってしまった。
そんな時、館に1人の男、ランガ・ダイナハウンが尋ねてきた。
「やぁ、アンナ。体調はどうだい?」
紙袋を片腕で抱きながらランガは尋ねてきた。
少しはみ出て見える袋の中身はどうやら果物のようだ。
「え? あぁー、大丈夫よ」
そういえば、嘘ついてたの忘れてたなぁ、なんて考えながら頬に少し冷や汗をかいていた。
「? そうかい。そうだ、これからデートなんてどうかな?」
ランガは、食堂のテーブルに紙袋を丁寧に置き、ひとつ提案をしてきた。
デート・・・。きっと少し前の私ならまた嘘でもついて流していただろう。
でも、リスの話からするとランガはしたくもない浮気を強制されている、という可能性がわいてくるわけだ。
だから私は2つ返事で了承した。
「行ってくるわね」
「行ってらっしゃいませ、お嬢様」
玄関までアリアが見送ってくれた。
ランガが館に来た際に乗ってきた馬車により、街に向かう。
「久しぶりだね、アンナとこう、出掛けるのは」
頬を人差し指で掻きながらランガは照れくさそうに微笑んだ。
「えぇ、そうね」
私もその微笑みにつられて微笑む。
その笑みはごく自然と出たものだった。
「アンナ、喉は渇いていないかい?」
ランガは私の手を握りながらエスコートして行ってくれる。
よく集合場所として使われるこの街のシンボルである、大きな噴水のベンチで私たちは休憩をしていた。
「そうね、少しなにか飲みたいわ」
「うん、なにか買ってくるよ。ここで待っていてくれ」
「えぇ、ありがとう」
ランガはベンチから立ち上がって、少し駆け足で噴水近くの常にやっている屋台の元へと駆けていった。
ふとその時数人の男達がこちらを見てニヤついたような気がした。
「お嬢さん、彼と別れてしまったのか?」
茶髪の少しガラは悪いものの、顔は整っている男が私に声をかけてきた。
「? 飲み物を買いに行ってくれているの」
ふと、急に話しかけられたものだから一瞬困惑したが、無視するのもなんだから答えた。
「ふぅん、そうなのかい。そうだ、私達と出掛けないか?」
そう言うと、男の背後、人混みから4.5人の男たちがニヤつきながら出てきた。
「遠慮しておくわ」
そう言って私はそそくさと立ち去ろうとしたが、茶髪の男に腕を捕まれバランスを崩しコケてしまった。
「うっ、ぃたい」
「すまないね、お詫びをしよう。そうだ、行きつけの店があるんだよ」
男たちはごく自然を装って私を囲み、外の人達には見えないように取り囲んだ。
これはやばい。とっさにそう思った時、見慣れた金髪の男が手に持っていた紙コップの中の液体を囲んでいた男数人に掛けた。
「そこをのきたまえ。君たちのようなゲスな輩が近づいていいようなお人じゃない」
そう言った時のランガの覇気はまるで、野生の獣だった。
「な、なんだよ。連れの人がいるなら言ってくれてもよかったじゃないか」
そう言って茶髪の男を筆頭に、男たちは人混みに消えていった。
「・・・ふぅ、アンナ。すまない、僕が目を離した隙に」
そう言ってランガは手を出してくる。
私はその手を借りて立ち上がり、ランガにお礼を言った。
「こんな雰囲気だが、最後に寄りたいところがあるんだ。いいかい?」
「えぇ、まだ日が落ちるまでに時間があるわ」
そう言うとランガは私の手を掴み、人混みをすり抜けながら少し古い小物店へと入っていった。
「ここなんだ」
その古い小物店は、昔ながらの雰囲気のいいお店と言った感じで、棚に並んでいたのは人形やぬいぐるみがほとんどだった。
「ほら、これなんて可愛らしいだろう?」
そう言って持ってきたのは、赤い髪の可愛らしい人形だった。
先程の覇気など一切感じられず、いま赤い髪の人形を触りながら満面の笑みを浮かべている彼、ランガ・ダイナハウンは少年である。
どうも、ジニスです。
昨日は疲れていたのか、寝落ちしてしまって投稿出来ませんでした。
今日は「よし! 頑張るぞ!」ってなった瞬間にお気に入り登録の通知がものすごい勢いで来ていて、執筆前に確認した時50を超えていました。
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