【☆完結☆】転生箱庭師は引き籠り人生を送りたい

寿明結未(ことぶき・あゆみ)

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157 カイル兄ちゃんとの約束。

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――???side――


これから箱庭の持ち主であるリディアと、ダンノージュ侯爵家のカイルから俺達スラム孤児に話があると言われ、全員が用意された椅子に座って待った。
集まってくる年寄りや子供、それに大人の女性達の多さに驚きを隠せないままだったが、スラムの赤ん坊たちは箱庭の女性達の腕の中でスヤスヤ寝ている。


「では、これから君たちの事について話をする。分かりやすく話すつもりだが、分らない事があったら手を挙げて聞いてくれ。
まず、君たちには家を一軒用意している。トイレは全部で10個、朝からバタバタ用意して君たちのベッドも用意した。箱庭は一年を通して春のように過ごしやすく、気温も一定だ。
身体を壊す事は少ないとは思うが、具合が悪いと思ったらすぐに連絡するように。箱庭の中には薬師たちが常に一人はいるので、君たちが病気になっても直ぐに治せる! お金もいらないから安心するように!」


マジかよ……本当に俺達の為に家を用意してくれたのか?
しかもトイレが10個もついた家かよ!!
ベッドも用意して貰うなんて、本当にあり得る話なのか??
しかも具合が悪くなったらタダで薬師に見て貰える……?


「家に関する事は以上だ。続いて、箱庭の中だが、ある程度落ち着くまではこの広場をメインに過ごして欲しい。温泉は大人に付き添って貰うように。温泉分かるか?」
「「「「わかりません!」」」」
「そうか! 大きなお風呂だ! 身体の汚れを落とす為にも、後で爺様婆様達と皆には温泉に入って貰う! お風呂の入り方が分かるようになるまでは、大人と一緒に入るように! 温泉に入りたいっていえば、爺様婆様なら連れて行ってくれるだろう。お風呂は一日何回入っても良いが、長く入りすぎると病気みたいになって倒れる! なので、大人と一緒に入るように!」
「「「「「はい!」」」」」
「よし、いい返事だ。まず、着替えについてだが、赤ん坊を含め42人分用意してある。肌着、洋服、靴下に靴もあるぞ。喧嘩をしない様に皆で選ぶようにな。服は今後も増えると思うので楽しみにするように!」
「ようふく、もらえるの?」
「貰えるぞ。どんな服が良い?」
「あたし、かわいいのがいい!」
「ぼく、うごきやすいの!」
「じゃあ、それも後で洋服を作ってくれる人に話をしておくな」
「「「うん!」」」


俺達スラム孤児なんて、洋服はゴミ箱から拾ってきたものくらいしか着たことが無い……。
新品の服なんて夢のまた夢の話だった。
それにお風呂だとかいう温泉で汚れを落とすなんて、考えたことも無かった。
大人に言えばいつでも温泉に入れることが分かったし、俺も少しは身綺麗にしたい。
それは男の俺より、女たちの方が思っている事だろう。


「次に君たちが一番気にしているかもしれない食事についてだ。食事は、朝、昼、晩の三食。内容はその日によって変わってくるが、うちは見ての通りお年寄りも多い。ご飯は柔らかめの物が多くはなるが、美味しさも栄養もバッチリだ! 
それに加えて、オヤツ時間と言うお菓子を食べる時間がある。
箱庭で生活する者限定の、美味しい時間だ。子供達にはオヤツ時間は増やすことをリディアと話し合って決めている。なので、今回箱庭に来た君たちも同じように、子供達と同じオヤツタイムがついてくる。詳しくは時計の絵と、時計の絵の隣に書いたご飯やお菓子で分かりやすくしているので、それは家に入ってから確認して欲しい」
「「「「「はい!」」」」」
「質問です!」
「どうぞ」
「オヤツとかお菓子って何ですか?」
「オヤツやお菓子と言うのは、ご飯とは別の食べ物の事だ。君たちには箱庭に住む人たちと同じ三食のご飯の他に、朝と昼の2回、お菓子時間が用意されている。それと、爺様や婆様達から聞いて、食べ盛りの年頃の子には、オヤツだけでは足りないだろうと言う事で、他に食べ物も用意するようになっている。シッカリ食べて元気に過ごすように! カイル兄ちゃんとの約束だぞ!」
「「「「はい!!」」」」


食べ盛りの時に俺達男たちは食べたいものを食べれなかった。
俺は二十歳だが、見た目の年齢は良くて15歳くらいだろう。
その俺にも、お菓子時間が用意されていることに驚きを隠せないでいた。


「さて、君たちには箱庭に来たからには、勉強をして貰う事になる。読み書きや簡単な計算が出来るようになる為の、大事な事だ。読み書きや計算が出来るようになれば、冒険者になる事だって出来る。将来の仕事の幅も広がる。箱庭にいる読み書きや生産が出来ない子たちは皆勉強をする決まりがあるので、是非頑張って貰いたい!」
「アタシたちに勉強……?」
「でも働くにしても」
「働くことについては、箱庭師のリディアから話がある。大丈夫、悪い事は起きないよ」


カイルの言葉に女たちはホッと胸を撫でおろした。
まだまだ未知数な事が多いんだ、確認したい事は沢山あるんだろう。


「では、此処からは箱庭についての説明と、働くことについてになるが、それはリディアに話をして貰う。その前に――だ。今後ろでスヤスヤ寝ている赤ん坊の面倒は、朝から夕食時までは箱庭にいる女性や、婆様爺様達が見てくれる。その代わり夜はミルクとオムツは用意するが、君たちに見て貰いたい。子供の面倒を見る日は、勉強や仕事はそこそこにシッカリ昼寝をして、夜は赤ん坊の様子を見てくれると助かる。どうしても無理な時は大人に頼るようにな」
「「「「分かりました」」」」
「では、次はリディアから箱庭の説明と、仕事関係の事を話して貰う。ご飯の事に関する内容くらい大事な事だからシッカリ聞くように!」


そう言うとカイルは隣に立っていたリディアに頷き、リディアもカイルを見て微笑んでから俺達に向き合った。


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